皇帝から三冠を奪ってみる   作:光らないタイプのモルモット

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書けるだけ書いてたらくそ長くなった。正直読まなくていいと思う。

半分くらい説明な気がする。なお全て妄想捏造設定なので公式と違うのは許して……あと整合性も考えてないし変な所とか矛盾があっても気にしないで……。

そういえばトレーナー寮じゃなくてトレーナー用宿舎、が正しいのかな?想像してたのもアパート的な感じだから寮だとちょっと意味違うし…でもなんか寮の方が聞き馴染みがあるからこのままいく。トレセン敷地と隣接した土地で買ったあるいは建てたと考えてもろて。


トレーナーの朝は早い

 

 午前5時、起床。

 

 腕だけを動かし、アラームを止める。のっそりと上体を起こし、そのまま虚空を見つめる。襲い来る眠気に抗いながら、何をするでもなくただぼーっとする。大体5分〜10分経ってから、大きく伸びをしながら動き出す。

 

 まずは顔を洗う。それによってスイッチが入り、いつもの状態になる。それまではぽやぽやとして、言葉を選ぶことなく本心のみを垂れ流す状態のため注意が必要。また、その間の記憶が残りづらい。母親はこれを利用して好きと言ってもらうことにハマった時期があった。

 

 その後、ササッと朝ご飯を食べる。基本的には白米をかき込む。白米の付き添いに選ばれるのが最も多いのが納豆、時折沢庵やキムチ、海苔になる。何にせよ、白米とお供だけで楽に済ませる。

 

 手抜き朝食を終えると、テキパキと準備をする。歯磨きや着替えといった身支度を済ませ、家を出る。着替えるのはスーツ……もどきである。面接に着た様なしっかりした物ではなく、より緩く、動きやすい運動可能な物だ。私服やパジャマもそうだが、主にゆるゆるの余裕が余分にある服を好む傾向にあり、それはそれとしてトレーナーだしスーツだろ! と動きやすいスーツもどきを仕事着にしている。ネクタイもなければ夏はただの半袖ワイシャツなのでパッと見だと中学生である。

 

 なぜゆるゆるぶかぶか隙だらけの服を好む様になったかというと、子どもの頃によくあるどうせすぐ成長するし大きめの服を買おう、というのが最初だ。それを続けている内にだんだんとその緩さが気に入り、結果として成長の止まった今でもゆるゆるの服を着ている。萌え袖……チラリズム……いい! という母親の趣味も一因になった。ワンチャンまだ背が伸びるし……という期待もないでもない。ゆるゆるの私服だからこそ体格の違うシービーが着れる、という良いのか悪いのか分からない副産物があった。

 

 なお言うまでもない事だが、トレーナーは服装が自由である。どれだけ奇抜な私服だろうと、どれだけ肌の露出が多かろうと公序良俗に反しない限りは問題ない。苦言は呈されるかもしれないが。なんなら既にたづなさんにその鎖骨の見え方はちょっと……と言われボタンを閉められた。当然その後元に戻した。

 

 

 午前6時、トレセンに到着。

 

 トレーナー寮から程近く、少し歩けばもうトレセンだ。とはいえ、広大な敷地を持つトレセンでは目的地まではさらに距離があるが。

 

 朝練か、早く登校している生徒に(分かる範囲で名前を呼びながら)挨拶をしつつ普通に歩く。門近くでいつもの警備のおじさんに挨拶をし、控えている鎮圧部隊の元ばんえいウマ娘に今日もデカイ! と一声かけるのが日課だ。

 

 ちなみに。ばんえいウマ娘はとにかく体格がよく、力こそ正義であり筋肉こそ至高! ……とまではいかないものの割と近い考え方が基本である。そういったガタイがいい子が集まっていることもあり、ばんえいウマ娘は引退後の就職先に困る事がほぼ無い。警備会社もそうだが、肉体労働全般、特に土木作業や引越し業界で引く手数多である。やはり筋肉。筋肉は全てを解決する。

 

 つまり何が言いたいかというと、ばんえいウマ娘は2つの派閥に分かれる。1つ目は、小さくて可愛いのが好き! 私が守護る! というショタコン派閥。2つ目は自分達のように鍛えている男性が、しかし自分達とは比べ物にならない程貧弱なのが堪らない! というガチムチ派閥だ。とはいえ、あくまで変態の中での派閥であり心中はともかく表面上は普通の子が多いが。そんな訳で、こいつは人気がある。そして黒沼トレも人気がある。結果、現在の中央トレセンにおいては真面目に勤務するノーマルよりも変態の方がモチベが高いという不思議な現象が起きている。

 

 トレセンに着くと、まずはトレーナー室(職員室)に向かう。既に少なくない人数がいるので軽く挨拶し、入口近くのPCで出欠入力。そのままホワイトボードでお知らせやイベント日程、その他書類の締切等を把握し、自身のデスクに向かう。そこで本日の業務の有無と連絡事項が無いかを確認する。基本的には配られている仕事用スマホで確認出来るが、アナログが好きなトレーナーも少なくない。

 

 本日の業務、と言っても無い事の方が多いのだが、基本的には2パターンある。

 

 まずはトレーナー自身の能力が必要な場合。中央トレーナーともなると、トレーナー業以外にも何かしら秀でた能力が存在することが多い。重宝されているのはプログラミングと調理だろうか。規模の大きい分関係者の数が多いトレセンにおいて、作業を時短出来るツールが作成可能、というのはとても助かることだ。頻度こそ少ないが、イベント時などによくこき使われている。調理に関してはシンプルに、食堂スタッフが足りない場合の穴埋めに駆り出される事がある。また、そういった技能は関係なしに事務員の助っ人として会社員の様に働く事もある。特に、年末調整と年度末の卒入学の時期は事務室が地獄と化し、手の空いているトレーナーは共に亡者へと変貌する。なお、こいつの場合理事長やたづなさんの手伝いを頼まれる事がある。

 

 もう1つは担当ウマ娘関連だ。ある程度の成績を収めているウマ娘であれば、勝負服やグッズ関連の打ち合わせだったり、雑誌の取材だったり、様々な広告やテレビ番組に関するオファーなどなど、トレーニングやレース以外の事も考える必要がある。とはいえ優先すべきはレースであり、ウマ娘自身の考えが尊重されるので勝負服以外に関しては全て断る事も出来る。なんならシービーは内容にもよるが大半を断っている。そもそもの数が尋常じゃないので断らざるを得ないとも言うが。GIウマ娘というのはそれだけで大きな影響があるのだ。ましてクラシック二冠でありいずれ三冠になるのだから当然である。

 

 

 さて、デスクを確認し、特に業務が無い事を確認すると、自身のトレーナー室へ向かう。鍵なんてものはない(ドアに徳井トレーナー室、と張り紙をしてある)。

 

 中に入ると、冷蔵庫に入れてある乳酸菌飲料をグイッと一気。その後、缶コーヒーを取り出す。なお缶コーヒーといいつつブラックではなく甘々のカフェオレだ。雰囲気を重視している。その他冷蔵庫に存在するのはお茶、水、スポーツドリンク、にんじんジュース、数種類の炭酸飲料だ。その時の気分で適当に補充している為、日によっては中身が変わる。エナドリは使う機会が無いので無い。最初に入っていた高級にんじんジュースではなく、普通やや良いくらいのにんじんジュースだ。あれは、CBが冗談半分でこれ美味しかったんだよね〜と言ったら何も考えずダース単位で買ったバカがいただけである。Bが気に入り飲みまくり、流石に贅沢過ぎると普通の物に変わった。それはもう駄々をこねまくるBの姿があったかもしれない。

 

 カフェオレをちびちび飲みながらPCを開く。今日のトレーニング予定と使用場所の申請を確認。それだけである。必要に応じて今後のトレーニング予定を立てる、レースが近ければ出走登録や移動手段の確保、対戦し得るウマ娘の分析、最新のトレーニング関連の論文の読破といった事も行うが、全て終わっている時はやる事が無い。暇である。これはこいつが異常なだけであり、一般的なトレーナーは担当について考えを巡らせ永遠に悩み続けるものである。チームを持っていたり複数担当している場合、時間が足りないのがデフォだ。

 トレーニングに関してはABCはほぼ付きっきりで対応しているし、CBは普通のレールを敷いたところで当然のように脱線するので意味が無い。気分に合わせたトレーニングが出来るように多種多様なメニューを渡して好きにやらせ、たまにバランスを調整するだけで勝手に強くなる。対戦相手の対策も、シンボリルドルフが強すぎて勝とうとすると必然的に他のウマ娘にも勝てるし、CBは下手に決めるより自由にやらせた方が強い。それはそれとして聞かれたらある程度答えられるくらいは調査しているが。同世代であれば名前、適性、脚質、戦績と脅威度。常識のように話す事が出来る。

 

 

 まだ精々午前7時である。経過時間の割合が1番多いのが移動とは一体。授業すら始まっていない。

 

 暇を持て余した時に何をするかというと……生徒会室に突撃する。他にやる事ねえのかと思うが、ない。強いて言うなら自分磨きだが、これまでの生活でトレーナーになった時に何かしら役に立ちそうと思ったものは片っ端から勉強し、学び、試し、大体の技能は身につけているので、トレーナーとして欲しい技術がもうないのだ。相手の思いを読み取る能力は必要そうだが、それは望むべくもない。なので、先輩トレーナー、主に黒沼トレの所でサポートしながら色々教わるか、生徒会室に行くか、理事長室に行くかの3択である。遊ばないだけマシだろう。やる事もなく誰にも構ってもらえない日は大人しく直近のレースを片っ端から観ている。やる事あんじゃねぇか。

 

 お茶菓子……というか片手間に食べられるお菓子(今回はキャラメル)を持って生徒会室に向かう。一応ノックをし、どうぞの声を聞いてから開ける。

 

 ああ、君か。と慣れた様に出迎えるのは我らが生徒会長様だ。年齢不詳だが、まだトレセン学園に在籍している。

 

 トレセンでは、高等部の授業を修了してもまだ現役で走っているウマ娘はそこそこ多い。マルゼンスキーもそうだ。高等部が終わった後の年は、大学もしくは専門学校の授業をオンラインで受ける、あるいは資格勉強をすることが多い。いくつかの大学や専門学校と提携しており、引退後トレセンを卒業次第、試験はあるが編入という形が取れる。また、資格に関しても少数ながら講師がいるため、独学よりも効率が良い。最も人気なのはサブトレーナー資格で、そのままトレーナーの手伝いをしたい、という娘はそこそこいる。サブとはいえかなりの難易度なので、それが実るかは別問題だが。何もせずにトレーニングに専念する、という子もいるが、トレセンでは平日の午前、つまり授業中にグラウンドの手入れを行う事が多いので必然的にトレセン外で行う事が多く、なおかつ担当トレーナーが時間があるとは限らないためそれが効果的かは議論の余地があるだろう。消耗を考えると、トレーニング時間は長ければいいというものではない。

 

 さて、ここまで説明して、じゃあ会長が何をしているかと言うと……既に大学の単位を卒業出来るレベルで取り終わっている。トレセンを卒業したら、大学に編入し、その後1年間で卒論を書いたら大学も卒業出来る。なんなら卒論も既にOKが出ているので、無駄に1年間過ごすだけで大学卒業可能な状態になっている。しかも1年間はある種の温情、大学を楽しんで欲しいという粋な計らいなのでなくても卒業出来る。そういう次元に達しているのが現生徒会長である。

 

 なので、会長も生徒会長としての活動以外やることが無い。時間があるから、と学園から頼られる事を全て引き受けていた結果、多種多様な学園行事の多くが生徒会主導になっている。それならいっその事、と前理事長が学園内の整備管理や予算編成まで任せる事にした。トレセン学園をほぼ生徒会が牛耳ったと言っていい。現在学園が上手く運営出来ているのはほとんど会長によるもの。それはそれとして当然ながら当初の役割もこなしており、最も分かりやすいのは数箇所に設置した目安箱に入っている生徒からの要望や相談、苦情や嘆願の対応だろうか。購買にあれこれが欲しい、ルームメイトがうるさい、あの教室の電気が暗い、壁に落書きされていた、夜中に幽霊を見た、視線を感じる、誰々が迷惑行為をしていた、バイトを探している、たづなさんが速すぎる、限定パフェを食べられなかった、寮の冷蔵庫に入れていたお菓子を食べた犯人を探してくれ、隠していたはずの写真が無くなっている、トレーナーの筋肉はいいものだ、トレーナーに抱き着きたい、脱がしてもいいのか、あれは私を誘っている、などなどただの感想からどうでもいい事まで様々な物が揃っている。生徒の人数が多い分、意見もそれだけ多くなっている訳だ。名前は任意記入な事もあり、匿名でポエムが毎日届いた事もあるそうだ。そのポエムを四苦八苦しながら解読したところ、会長へのラブレターだったらしい。それに対する会長の答えは、私を追い抜いたらもう一度言ってくれ、という無理難題を突きつけたとか。

 

 ともかく、会長も暇……では絶対にないが、基本的には生徒会室にいる。用がある時は学園内を動き回っているが、朝は大体届いた物を読んでいる。どれだけ下らない内容だろうと生徒が書いた物である以上向き合うべきだ、という思想があるため全てに目を通している。それを仕分け、対処が必要なことは学園に申請したり、あるいは生徒に話を聞きに行ったりする。

 

 そんな訳で、暇な時に生徒会室に行けば少なくとも会話は出来、生徒会の仕事を手伝う事も出来るのだ。なんだかんだあって気楽に話す仲になってからは暇な時の選択肢に加わっている。

 

 以前どこかで話した通り、ミスターシービーがクラシック三冠を獲るのであれば生徒会長に相応しい実績ではないか、という事で目をつけていたのがきっかけだ。トレーナーが付いていない頃から頭一つ抜けた能力を見せていたシービーに期待をしていた、とも言える。普段の日常態度も品行方正ではないが、性格に癖があるのはウマ娘にはよくある事であり一定の人気がある、つまりカリスマ性があるというのは生徒会長の素質があるだろうということだ。だが、ようやく担当トレーナーが付き一安心していた所、違う方向性で心配になる行動をしていたので、これは流石に生徒の模範になるのは難しいなと諦めた。念の為本人にも打診してみた所、キャラじゃないから、と一蹴された。

 

 元々最年少トレーナーとして気になっていた新人が1年目から複数人担当し、その内の1人がその年デビューするミスターシービー、という事もあって早々に接触しており、その時点で大丈夫そうだ、とは思っていた。能力はまだ分からないが人柄は特に問題なく、信頼も厚い。一応何か困った事があれば手助けが出来る様にと気にかけていたところ、何度か話している内にこいつ善人だけど変人だなと気付き、いつからか気安く話す仲になっていた。

 

 長々と書いたが、では会長以外の生徒会役員はいないのか、というと普通に授業である。学生の本分を見失ってはいけない。トレセン生徒の本分はレースだが。そして、放課後はABCのトレーニングがあるので、会長以外とはそこまでの関わりがない。なので特に書くことがない。

 

 

 話があっちこっちそっちどっち? となったが、とにかく、暇つぶしに生徒会室に来たトレーナー。ほい手土産、とキャラメルを掲げ、面白いやつある? と机の上にある紙を覗く。

 

 遊びではないんだけどね、と呆れつつ、話し相手がいるというのは存外気分が上がる様で、1人事務的にこなしている時よりも表情が柔らかくなっているが、それを知る人はいないので何も言われることは無い。

 

 これはどうだい? と渡された紙に書いてあるのは、デカデカと書かれた『恋人が欲しい!!』という一言。清々しくていいよね、試しにキミが立候補してみたらどうだ? と問いかける。

 

 可愛い子で、話してみて性格が良ければそれもやぶさかじゃないんだが、シービーに作るなと言われたから無理だな。という返答は想定外だったのか、おや、フフ、そうなのか。担当に言われたのなら仕方ないな、と楽しそうに笑う。

 

 残念だ、私が恋人になるチャンスも無くなってしまったな、とからかうがアホには通用しない。別にお前が恋人でもいいんじゃないか? 性別は書いてないぞ? とズレた返し。全く、キミという奴は……と呆れ、しかし、本当に面白いなとにっこにこ。

 

 ここまで好感度を稼げているのは、アホはアホ故に偏見を持たずに相手と関わり、仲良くなれば相手が誰であれ気にせず距離を詰めるため、何かしらの立場や雰囲気を持つ、つまり理事長や黒沼トレ、そして生徒会長の様な人物に特攻が入るのだ(黒沼トレには敬語だが大分交流を深めている)。たまたま気が合っただけとも言う。とはいえ、心を開くまでは一定の距離を保っているのが普通に良い人という擬態を成功させている理由だろう。実際変なだけで能力はあるし善人だし。まあトレセンだと奇行が目立つ(主にCBとCのせい)ので、そこそこの割合で変だとバレていたりするが。

 

 そうして雑談混じりに仕分けをしたり、時に事実確認を行ったり、相談の対応を考えたりとしている内に時間は過ぎていく。基本的には生徒会の仕事は役員だけで会議するため、トレーナーが手伝うのは精々目安箱に届いた物についてだ。それもおおよそは会長がこなせる為、会長の話し相手になっているだけ、と言ってもいい。とはいえ生徒会長という1人のウマ娘の役に立っているので、トレーナーとしての本懐を果たしているかもしれない。

 

 

 午前11時頃。昼食の為に食堂へ向かう。

 

 トレーナー含むトレセンスタッフは昼食のみではあるが、生徒と同じく食堂の利用が無料である。福利厚生の1つだが、とはいえお昼時の生徒がごった返す昼休みは避けることを推奨されている。規模に合わせてかなり広く作られている食堂だが、全生徒を収容するのは流石に無理があり、弁当持参や購買で買って済ませるような生徒を除いたとしても定員オーバーする。なのでその前後に食べる事が誰にとっても良いのだ。こいつは基本11時頃に食べ、遅くとも12時前には食堂を出る様にしている。

 

 ちなみにだが食堂では、毎日数種類のメニューを作り希望のメニューに応じて列を作ることで可能な限り早い提供を目指している。一度ビュッフェ形式のカフェテリアにする事でスタッフの負担を減らせるのでは、という話も出たがお試し期間で問題発生したため消えた。というのも好きな料理だけを大量に盛る子が一定数おり、そして人気料理は消費に補充が追いつかず、補充した直後に群がり、結局混雑が悪化した。喧嘩が起きなかったことは幸いだろう。また、バランスを考えない、野菜を取らない子がいたので担当トレーナーは嘆いた。なので多少のスタッフの負担や並ぶことによる待ち時間があったとしても、現状が最善だろうということになった。調理を続ける人とは別で、受付〜受け渡しまでを1メニューにつきスリーマンセルであたっており、熟練の技は1人数秒で捌くことを可能とした。また、目にも止まらぬ速さで完璧なバランスで特盛にするその技術は、大食いウマ娘からの尊敬を集めている。

 

 一緒にいた生徒会長はというと、既に別れている。というのも、生徒会役員の1人が割と強火の会長ファンであり、頑として食事を共にしたがるからだ。困ったように笑う彼女は、しかし実際の所そこまで困っていないのだから特に言うことも無い。またなと告げ生徒会室を出るのは、既に何度も繰り返したいつものことだ。

 

 さて、昼食は何を食べるのかというと、特にこだわりもなく毎回日替わり定食を食べている。というかメニューは日替わりなので日替わり定食なんてものはないのだが、まあ本日のオススメみたいなものだ。どうせ何でも美味しいのだから、オススメがあるならそれでいい。食堂の顔的なおばちゃんに気に入られており、当然の如く毎日大盛りにされている。若いんだからいっぱい食べて大きくなりな、と子ども扱いされている訳だ。まだ大きくなれると諦めていないこいつからすれば、成長すると期待してくれているとも取れるその行動に感謝をし、そしていつもおなかいっぱいになっている。

 

 ちなみに、そのおばちゃん……だけでなく、一部の厨房スタッフからはこいつがとても美味しそうに満足気に食べる(自覚無し)のでかなり好感を持たれており、特に何はなくとも大盛りになるのは変わらないだろう。この日は山盛りキャベツに明らかに2人分はありそうなトンカツ、大盛りどころか特盛の白ご飯と、おそらくトンカツに使わなかった部分を使ったであろう豚汁だった。

 

 いただきます、と軽く手を合わせると、バクバクガツガツとまではいかないがお行儀良く、というには勢いよく食べ進める。20分とかからずに米粒一つ残さず完食。ごちそうさまでした、と小さく呟きながら、満足そうに食器を返却口に持っていく。美味しいご飯で腹を満たしご機嫌となり、軽く鼻歌まで歌いながら食堂から出た。

 

 

 午前12時。少しすれば昼休みの生徒でガヤガヤとし始める頃だ。喧騒を避けつつ、腹ごなしに歩く。

 

 今日トレーニングで使うのは第5グラウンドだ。最も広く何でもあり、イベントでも使用する第1グラウンドの他、様々な違いのあるグラウンドがいくつも存在する。グラウンドでのウマ娘のトレーニングでは、あまり大人数で同時にやると事故や怪我が起こり得るため人数に制限がある。人の少ない早朝、あるいは夜の場合は当人同士で譲り合いながら使う事になるが、放課後や休日はその日の朝に申請が必要となり、希望人数によっては抽選や、前日に使ったかが考慮され、当然使えない日も出てくる訳だ。どれだけトレセンの敷地が広く、グラウンドが複数存在していても、無限ではない以上どうしても限界はある。なお、あまり広くないグラウンド(狭いとは言ってない)は人数によってはチームで貸切が出来る事もある。

 

 トレーニングはグラウンド以外だとジムやプール、あるいは学園外で行う事があるが、その場合だと少し変わる。とはいえ、プールは同じように申請が必要で、負担が少ない事もあり主にトレーナーからの人気があるため頻度としては少なくならざるを得ない。ジムは好みが分かれ、器具の種類も豊富なため譲り合いの精神でなんとかなっている。学園外の場合、特に制限はない。もちろんルールは守った上で、だが。

 

 使用する場所の状態の確認のために移動しているだけで腹ごなしになる。敷地の広さの利点、かもしれない。

 

 想定していたトレーニングが出来ることを確認すると、またもや手持ち無沙汰な時間だ。午前の授業が終わり、昼休み、その後レース関連の午後の授業(たまに無い事もある)、掃除、帰りのHR、という時間割で、今日は午後の授業がある。つまり後2時間ちょっとは暇だ。

 

 かといって午前の様に会長と駄弁る、というのも無理だ。昼休みは生徒会役員で交流を深めているだろうし、授業始まるまで待つのであれば結局空き時間が出来る。

 

 とりあえずトレーナー室に戻る。大体3割くらいの確率でCBが来るからだ。来ないとしても、とりあえず手元に飲み物が欲しい。

 

 今日は7割だったようだ。まぁ確率的にそんなもんだろう。CBがいれば、昼休みの間は遊べるんだが。

 

 

 仕方ないので理事長室に行く。きっと昼食もまだだろうし、仕事中だろう。遊びに……手伝いに向かう。

 

 ノックは忘れない。そしてどうぞ、のどが聞こえるか聞こえないかのギリギリを攻めて開ける。何とも言えない微妙な顔をたづなさんがしているが、別に怒ることはない。諦めているのかもしれない。

 

 理事長、やよいちゃんと目が合うとおおっと喜んだ顔をする。机上に置かれた書類の高さ的に、今日はかなり暇(暇ではない)だったようだ。つまり遊び相手を求めていたのだろう。

 

 やっほー、やよいちゃん、こんにちはたづなさん。遊びに、じゃない手伝いに来ました〜、と勤務中とは思えないテンションで言う。会長よりは頻度は下がるが割と来ているためもはや慣れたものだ。

 

 理事長室は友達の家じゃないんですよ、といつも通りの注意をし、本日は仕事も少ないですしいいですよ、と理事長に休憩の許可を出す。……なぜ理事長に理事長秘書が許可を出しているんだろうか。そしてそれに違和感がない。既に術中に嵌められている……!? 

 

 歓喜! と扇子を開きながらわーい、とはしゃぐ子どもが2人。じゃあ昼食を、と思ったが既に片方は食べている。そしてそれを分かっているやよいちゃんは、それはそれとして手料理を所望する。食堂は混んでいるからだ。そして、多くの生徒が食事中の場所に理事長が行くのは生徒がリラックス出来ないから、と理論武装もかんぺきなやよいちゃんである。なのでやよいちゃんが時間がある時は、わざわざトレーナー寮に帰って手料理を振る舞うのがいつもの事だ。なお時間が無い時はおにぎりやサンドイッチをパクつくか、本当に忙しい時はカロリーバーかゼリー飲料になる。理事長とはいえ子どもがそんな環境なのはブラック過ぎる……むしろ理事長がウマ娘の為にと行動して仕事を増やしているのもあるが。そんなやよいちゃんは思いっきり甘やかしましょうねぇ〜。

 

 

 さて、トレーナー、の上には肩車されている理事長、の上にいるにゃんこ。そんな生徒の二度見を誘う様相でトレーナー寮へと向かう。ごはんっごっはん、と見た目に相応しい有様のやよいちゃんも、生徒とすれ違う時には威厳のある姿(当社比)で挨拶を行う。下にいるトレーナーも何事もないかの如く挨拶をするためそういうものかと錯覚する生徒の多いこと。新しい理事長が見るからに子ども、という事で距離感を測り損ねていた生徒が、親しみを覚えるとても良い行動だろう(適当)。既に1年以上経ってるし、ポケットマネーをウマ娘の為なら惜しまないことも浸透しており、十分馴染んでいるだろ、という話は聞いていない。

 

 これに遭遇した事のある人の反応を一部抜粋すると、マルゼンスキーは凄い物を見たと許可を取り撮影、シービーは笑いながらそのままトレーナーを肩車しやよいちゃんが高さに狼狽え、会長は一瞬表情が固まり何と言うか迷った挙句普通に挨拶をして通り過ぎ、黒沼トレは四度見か五度見をした後に自身の目線に近くなった理事長に挨拶していた。

 

 なおこれはたづなさんの許可を取っている。正確には休憩時間の時は良いですが来客の予定がある日は絶対にやめて下さいね、である。トレーナーのゲキウマこーしょーじゅつとやよいちゃん激カワおねだりにより勝ち取った自由な遊びである。段ボールに隠れるスニーキングミッションは却下された。このやよいちゃんは見た目通りの年齢のやよいちゃんなので仲のいい男友達がいたらきっとこのくらい子どもらしくても許されると思うの。威厳は露ほどもないけど、やる時はやるので多少はね。

 

 

 トレーナー寮に着いて大体午後1時前。特にやよいちゃんからの要望も無かったので、普通に家にある物を見てメニューを決める。

 

 おや、あまり食材が残ってなかった様だ。米は何が起きようと欠かさずストックしてあるが、それ以外だとほぼ常備してあると言っても過言では無い人参の他、卵数個とキャベツ半玉、豚バラ肉しかない。

 

 んーと考え、まぁシンプルでいいか、と豚玉と豚丼どっちがいいか尋ねると、米の気分だったのか丼! と勢いよく返事が来たので作り始める。

 

 とはいえ、普通のレシピと変わらない。肉を適当な大きさに切って、タレはしょうゆ、みりん、酒、砂糖のいつものメンツをいい感じに混ぜるだけ。油引いて肉炒めて、火が通ったらタレ入れて絡める。どんぶりに米を盛り付け、まぁ合うだろとキャベツの千切り敷いて、ついでに人参の千切りも敷いて、上に肉を乗せる。タレが多めにかかっていて、これはご飯が進むやつぅとテンションを上げたやよいちゃんが今か今かと箸を持って座っている。

 

 お待たせいたしました、と仰々しく置くとうむ、苦しゅうないと乗っかりすぐさま、ではなくちゃんといただきますをしてから食べ始める。美味しい! と笑顔で一言言ってから、その後無言で食べ進める。その隣ではやよいちゃんがどこからか取り出した猫缶が器に移され、お行儀よくにゃんこが食べていた。

 

 朝使った茶碗とついさっき使用した器具を洗い、やよいちゃん可愛いなぁとぼーっと眺めているとごちそうさまーとピカピカの器が2つ出来上がる。タレが付いているやよいちゃんの器よりも、何一つ形跡のないお猫様の器の方が綺麗ではあるが誤差だろう。食べ終わって毛繕いもしたお猫様は、満足したのか定位置に戻ってお眠タイムの様だ。正直猫って普通に重いし、首の上に乗られるとまじで息苦しいからやめて欲しい(切実)。四六時中頭に乗せてるやよいちゃんはすげーよ。

 

 口の端にタレが付いてるのをティッシュで拭いてやり、残りの時間をどうするか話す。休憩は1時間くらいは許されるので、まだ20分程残っている。

 

 特にやる事も無かったので、ウマ娘の名前でしりとりを始める。両者共にウマ娘の事が好きだからこそ成り立つゲームだ。とはいえ、制限無しだと確実に終わらないのでいつも適当な縛りを加えて行っている。今回は、現在のトレセン生徒かつ逃げの作戦で走れるウマ娘、という縛りだった。

 

 大体は勝敗が付かず、時間切れもしくはその単語から始まる該当者がいない、という結果に終わる。勝敗が決まる時は、普通にンで終わってしまう事もあれば、思いつかなかっただけで該当者を指摘される事もある。ほぼ五分五分で、共に凡ミスで負けることが多い。パッと思いついて口に出たウマ娘がンで終わった、というのが負けパターンだ。一般通過レースファンどころか、ベテラントレーナーとも一線を画す知識量が遊びに費やされていた。

 

 そんな遊びで時間を潰し、理事長室に戻る。流石に肩車は無しで普通にだが。理事長はそこまで子どもではない。肩車ぐらいでテンションの上がるお子様ではないのだ。正直大人でも肩車は若干テンション上がるけど。

 

 無事に理事長室までやよいちゃんをエスコートし、今日はそこまで忙しくないですし手伝いも良いですよ、とたづなさんに追い出される。アホの手も借りたい状況では無かったらしい。

 

 

 時刻は午後2時頃。もう少し、ではないが少し待てばトレーニングの時間だ。いつ来ても問題ない様にトレーナー室で待つ。

 

 これくらいの時間だと、脳内でシンボリルドルフとのレースをシミュレーションし、ABCの勝ち筋を探す、ある種のゲームをしている。

 

 ABCの現状と成長率は完璧に理解しており、理想の状態に育成したら、というのはほぼズレなしで想定出来るのがトレーナーだ。領域についても、若干未知数な所はあるが効果は聞き取り済み。それらをフルで活用した時に1番勝率のある場合を考えるのは、無駄に能力の高いアホがかなりのめり込むくらいの難易度だ。その他のウマ娘についても適性や能力から出走しそうな子を想定しているせいで、場合分けが多すぎるのも時間を溶かしてハマる要因だが。実際のシンボリルドルフがどう伸びるかは分からないので、最悪の場合、つまり最強にした状態を想定している。なお脳内シミュレーションでの勝率は3%に満たない。完璧に策がハマり、かつド根性を発揮した時か、限りなく運が味方した時に勝てる想定だ。ちゃんと勝ち目があるあたり、理論値を目指している事が窺える。

 

 ただ、シンボリルドルフのトレーナーがおハナさん……東条トレーナーではなく、若手の男性トレーナーであり、時折行う敵情視察でも思っていたより伸びていなかったため、楽観視は出来ないが割といけると思っている。この辺はいずれまた書く。

 

 さて、いつも通りAがルドルフに追い抜かされた辺りで時間になっていた様だ。ちなみに脳内ABCの勝率は、ほぼ誤差だがA>B>Cである。シンプルに、時間が経つ程能力の差が開いていくことが大きい。

 

 

 午後3時頃。ABCがトレーナー室に集まる。トレーニング場所を伝え、着替えてもらう。当然だがトレーナー室にジャージ等の着替えは置いてある。一々寮に戻るのは面倒だからだ。着替えの際はトレーナーは追い出される。CとCBに関しては気にしてないが、AとBは普通に気にする。というかトレーナーが気にしろ。

 

 グラウンドに向かう。その前にトレーナー室にあるホワイトボードに今日は第5グラウンド、とCB宛にトレーニングの場所を書いておくと、用があればくる。ホワイトボードは何かしらの説明で使う時以外はいつも伝言板として使われている。トレーナーはともかく、CBがスマホを見ない事が多いからだ。

 

 グラウンドに到着すると、準備をしながらトレーニングの説明。ウマ娘のトレーニングについて真剣に考え始めると割とかなり時間がかかりそうなので明確なトレーニング方法は考えていない。めちゃくちゃ綿密に個人毎の最高効率になる様に考えられたもの、だと思ってほしい。

 

 

 少なくとも状態を見る目に関しては真面目な時間も終わる。と言っても、トレーニング中にふざける事はない……とは言えないが邪魔になるレベルで行う事はない。軽口を叩くし煽りもするが、支障をきたす事はまずしない。

 

 トレーニングの時間はメニューや調子など、日によって変わるが、おおよそ6〜7時に終わる。季節にもよるが暗くなる前には終わる事が多い。大体週に5〜6日、平日に無かったり、休日でも行わないもしくは短い、という事もある。完全に脚の消耗具合で決めているので、予定より早く終わったり少し多めに行うこともよくある。また、マッサージや鍼灸等の手段で休息のレベルを上げることも。頼り過ぎると効果が出づらくなるのでたまに、ではあるが。

 

 何にせよ、午後6時過ぎ、トレーニング終了。クールダウンやらもしっかり終わり、トレーナー室へと戻る。汗をかいている事もあり流石のCもトレーナーを抱きしめるのは自重する……訳もなく、普通に距離感は狂っているが、まぁこれはトレーナーが努力の証とも言える汗に対し悪印象を持つ訳がないので当然ではある。Cも最初は乙女心から遠慮気味だったのだが、トレーナーが不思議そうな顔をしたのが悪いのでこのアホが全て悪い。

 

 トレーナー室に戻ると着替える。基本的に、季節問わずトレーニング後は汗だくな事が多い。人間もウマ娘も、運動すれば汗をかくことは変わらない。体質にも左右されるが、とはいえどのみちジャージは汚れるので洗濯の必要がある。そう、洗濯である。

 

 学生寮には当然だが洗濯機が多数存在し、干すスペースが無い都合上乾燥まで行われ、各自やる必要がある。こまめに行う子もいれば、限界まで溜める子もいる。大雑把な子の為に基本的には洗濯物を入れてボタンを押すだけでいいようになっているが、あまりにも生活力が壊滅した子は寮長が代わりに行う事もある。この際寮長の気苦労は考慮しないものとする。

 

 何が言いたいかというと、洗濯を誰がするのか、だ。結論から言うと、トレーナー室に洗濯機が鎮座している。担当となり1週間程した頃、持って帰るの面倒くさい、というCBの一言により洗濯機という仲間がトレーナー室に増えた。それが無ければCBの分はトレーナーが代わりに洗濯していた事だろう。当初はとても広く感じたトレーナー室ではあるが洗濯機が増え、それぞれの着替えやら私物やらが増えた結果、結構広いけど体感そこまで広くない、くらいになってしまった。生活感が出たとも言う。

 

 トレーナー室に戻り着替えが終われば、普通に解散である。雑談も割とするが。基本的にはABCはそのまま食堂に夕食を食べに行き、トレーナーはやる事が無ければ普通にスーパーに寄って帰る。

 

 生徒の昼食事情については書いたが、朝夕について。朝食は基本的に寮で食べる事になり、朝イチでおにぎりやパンなどが届けられる。その他、料理が趣味な子や面倒見のいい子が寮のキッチンで作った物が配られる事もあり、余程遅くに起きない限り食べ損ねる事は中々ない。また、食べ損ねた子や足りずにお腹の空いた子の為に食堂の前におにぎりが置かれており、授業の間の休み時間に急いで取りにくる子もいる。サンドイッチが置いてある事が稀にあり、グルメなウマ娘からは食べるとその日一日幸せになれると言われている。

 

 夕食でも多いのは食堂で食べる子だろう。夕食の時は昼食と比べて混雑しづらく、メニューがやや多めとなっている。が、品切れとなる事もあるので狙いがある場合早めにくる必要がある。昼食に比べ時間があるので、寮のキッチンで作る子や外食する子も多い。寮にある冷蔵庫は自由に使っていい共用の物と、付箋に名前を書いて各自の物を入れる物に分かれており、余った食材を共用に入れたり、逆に足りない物を共用から貰ったりと有効活用されている。夜中にお腹が空き、冷蔵庫を漁るウマ娘の姿が時折見られるとか……。

 

 

 生徒ではなくこのアホの夕食を見てみよう。近場にあるスーパーに寄り、安かったり割引されている野菜と肉を適当に買う。メニューを考える事もなく、特に贅沢もしない。

 

 帰ってくると、特に理由もなくただいまーと口に出し、荷物を置くと手洗いうがいを欠かさない。風呂にお湯を張りながら、さっそく夕食作りを始める。なお完全に手抜きである。

 

 買ってきた野菜と肉、あるいは冷蔵庫に入っている前日の余りをてきとーな大きさに切って、炒める。以上。味付けとしては、脳死で焼肉のタレ、シンプル塩コショウ、しょうゆベースで適当に、の3種類を気分で選ぶ。たまに味噌になったりする。大きめのどんぶりに白米をよそい、上に作った適当肉野菜炒めを乗せて完成。無駄な洗い物も増えず、しっかり野菜も食べる完璧な食事である。異論は認める。

 

 特に捻りもなくいつも通りにうまーと思いながら食べ終え、洗い物も済ませる。その後入浴。アホの入浴シーンなんてどうでもいいので飛ばすが、トレーナーとして清潔には気を付けている。

 

 ここからは自由時間だ。もはや一日中自由だっただろ、という事実はともかく自由時間である。

 

 トレーナーの趣味がウマ娘というのは万国共通の認識だが、しかし全てをウマ娘に捧げているかというとそうでもない(人によるが)。こいつの場合、ゲームは趣味と言っていいだろう。

 

 

 幼少期から自己研鑽に励み狂気とすら思う程の努力は、しかし親から見れば心配になるもので。母親は息抜きの為に(ついでに息子の手料理を食べたくて)、理由を付けて花嫁修業をさせていた。では父親はというと、娯楽を覚えさせようとゲームを一緒に遊んだ。父親が好むのはシミュレーションや脳トレだったが、わかりやすい方がいいだろうとRPGやアクション系を買い与え、定期的に遊ぶことにした。

 

 様々なジャンルに触れた結果、こいつの好みだったのは2種類。所謂死にゲーの様な達成感を味わう高難易度もの、そして盆栽ゲーと呼ばれるタイプの育成ものだった。ドMかな? 

 

 難易度は高ければ高い程良いと思っているタイプの人間であり、しかしクリア自体はギリギリ可能、というバランスを好み、何度も何度もやり直して最適解を探す、という過程を楽しんでいる。また、地道にコツコツとしかし着実に強くなっていく、数字が増えていくのも好きだ。

 

 つまり、ウマ娘の育成である。チャンスは一度きりだが、勝つため、夢を叶えるための難易度が極めて高く、日々の積み重ねが大事。好みまんまである。あるいは逆に、トレーナーが天職だからこそそういったゲームが好みなのかもしれない。

 

 シンボリルドルフ打倒という無理ゲーでありながら、しかし可能性が0ではないというちょうど良い難易度になり得たからこそABCが選ばれた可能性もある。ちなみにただのこじつけなので一切関係ない。それならCBはなんだよという話である。完全に縛りプレイじゃん。

 

 何の話だったか、そう、トレーナーが自由時間に何をするかという話だ。そもそも早寝早起きのため時間自体短いが、自由時間にはゲームをする。もしくは家事。家事に休みはない。アニメや漫画、ネットサーフィンも多少は嗜んでいるが、それらは休日に少し時間を割いている。

 

 割と頻繁に来るCBやたまーに集まるABCのためにテレビゲームはいくつかのパーティーゲームを買っているが、死にゲーは買っていない。パーティーゲーム系によくあるミニゲームも好きではあるが、それはそれとしてやり込む程の時間はない。

 

 なのでもっぱらスマホゲームをする。放置ゲー寄りの、毎日地道に行うタイプの美少女ゲームだ。別に美少女である必要もないが、どうせなら可愛い子を眺めたいよなぁ? 特に推しを作るでもなく、全員を平等に育成しているので遅々として進まない。トレーナーは高給取り(正確にはそこそこ以上の給料に担当関連が増える)なので課金をする金はあるが、別に急いでやる気もないので感謝の気持ちのお布施レベルしか行わない健全ユーザーだ。デイリーミッションを終わらせ、イベントを軽くやって終わり。こんな風にプレイ出来たらきっと精神的にいいんだろうね……。

 

 はい。自由時間終了。良い子は寝る時間です。

 

 

 寝る準備だ。寝る前に歯磨きを行う。そしてそれがスイッチを切る合図であり、ふにゃふにゃに変貌する。ねむ……と目をこする仕草は完全に無防備であり、ぶかぶかパジャマも相まって思春期ウマ娘の理性くらいなら壊せそうな姿である。これを何度も見ているCBは……もう手遅れかもしれない。元々なんか感情狂ってるし手遅れだった気がするから多分誤差。でもABCは多分誤差じゃない。Aは絶対むっつりだし(偏見)。Bはほぼ友達くらいの感覚で煽り合いしてるから、ギャップにやられてそう。まぁそれはそれこれはこれと割り切ってるから問題なし。Cはどうせ抱きしめるだけだし何も変わんないな、よし。

 

 布団に入ると、そのまますやぁと快眠。1分程で夢の世界へ旅立つ。幼児かな? 寝付き良い能力ほしい……。

 

 

 

 

 散々トレーナーの1日を見たが、これはCBが現れないレアケースである。昼休みや放課後にトレーナーをおもちゃにし、そのまま泊まりに来る場合が多く存在する。今回は書くのが面倒……菊花賞前でトレーニングに集中してたからいなかっただけである。

 

 タンスには当然のように私服や下着が入れられ、なんなら制服もある。洗面所には歯ブラシや尻尾用のオイルやブラシが置かれている。大体風呂上がりはドライヤーをしてもらっている。新しい布団も買ってあるが、使われることはほぼない。普通に一緒に寝ている。担当と同じ布団で寝るトレーナーとは一体……今更か。

 

 CBがいる時は食事に力が入り、手抜きで済ませることはない。朝だろうと最低限の要望には応える。流石に揚げ物は却下だが。夕食も大体希望のメニューだ。当然、栄養バランスも考えた上で美味しく作り上げる。時折食べられるレベルではあるがなんとも言えないチャレンジメニューが作られるのはご愛嬌。

 

 なお、トレーナーの私服はCBを担当する前に比べ若干減った。いくつかはCBの部屋着となり、そして大体の私服が若干伸びたか……? 元々このくらいだったか……? と悩むくらいにはよくCBに奪われている。代わりに(?)CBの私服を着させられる事があったが、サイズが合わない事と、綺麗よりの服が多かったので微妙に似合わなかった。可愛い系を着てメイクをすると10人中10人が女子と間違える見た目になるとフォローしておく。

 

 

 

 最後に、遥か過去、遠い昔に行われたCBによる悪逆非道の卑劣な行為の一部を書くこととする。いつもの事ながらCBのキャラ崩壊注意。いつもの事なのやばいな? そろそろCBファンに見つかったら怒られそうで怖い。実質別人だから……(無理がある)。

 

 スイッチを切りふにゃふにゃになり、布団に入り後は寝るだけになった時にそれは行われた。

 

「おやすみ……」

「ねえ、寝る前にちょっといい?」

「んー?」

「ちょっと聞きたいことがあって」

「なんだ」

「大した事じゃないよ。ただ、アタシの事迷惑に感じてないのかなって思って」

「急にどうした……」

「自分で言うのもおかしいんだけど、結構わがまま言ってるし面倒な事してるでしょ?」

「んあーそうかぁ? そうでもないだろ……」

「ほら、今もこうして一緒にいるし」

「別にいいだろ担当なんだし……」

「わざわざダート走ろうとしてて」

「どこ走ろうと個人の自由だろ……」

「服だって奪うよ」

「好きにしろよ……」

「トレーニングだってサボるかもしれないよ?」

「理由があれば問題ない……」

「気分だったら?」

「それも理由になるだろ……」

「……アタシの事嫌いにならないの?」

「なんだお前面倒くさい彼女か……? 俺は好きだぞ、自由気ままでらしくていいじゃん」

「……そうかな?」

「そーそー。もう寝ていいか……?」

「……少しでいいから抱きしめてくれない?」

「ほらぎゅー。よ〜しよし、お前は最高だぞ〜。特に顔がいいな〜。身体(能力)もいいぞ〜。抱き心地もいいな〜。これ以上うるさいとその口塞ぐぞ〜。おやすみ〜…………」

「……!? (抱きしめてとは言ったけど耳元で囁いてとも顔を抱きしめて寝てとも言ってないよね!? もう寝てるし……いい匂いだし落ちつくかも……鼓動が聞こえる…………)」

 

「んぉぁ……んぅ? ……なんか腕重い……? ……なんでCBを腕枕してんの……? めっちゃくっついてるし……おい起きろ、動けん。……おい。……起きてるよな? 離せ。……無視すんな、揉むぞ。……動けよ、キスするぞ。…………腕折れてるかもな〜」

「そんなに力入れてないし平気だよね?」

「起きてんじゃねぇか、折れてる訳ないだろ。お前本当に俺が実行したらどうする気だ」

「責任とってよ。キミにあんなことされてアタシは壊れちゃったんだから」

「何もしてねぇよ。……してねぇよな?」

「アタシの弱い部分、知られちゃった」

「え、怖いんだが。大丈夫? 俺のファーストキスは守られてる?」

「なんで自分の心配してるの? 普通アタシの心配だよね?」

「いやだってお前なんか距離感おかしいし。平気で脱ぐじゃん」

「キミにだけは言われたくない言葉だね。それに見られてもいい相手なんて限られてるんだよ? 光栄に思ってほしいな」

「そうだな、すごい肉体美を見れて光栄だ。均整のとれた身体は惚れ惚れするよ。でもお前も俺の着替え見てるからトントンだろ」

「……やっぱおかしいよね、トレーナーって」

「俺におかしな部分はない。もうこの際おかしくてもいいが、とりあえず離してくれ。顔を洗わせろ」

「アタシもー」

「分かったから離れろよ……」

「トレーナーは担当のする事に従うべきだよね?」

「逆だろそれ。全然従わない悪い子にはおしおきしてやろうか?」

「何するの?」

「あー……何がいい?」

「それを聞くの? そうだね、揉む?」

「ふざけんな俺は犯罪者でもロリコンでもねえ」

「少し前に自分で言ったこと覚えてる? というか、むしろアタシがショタコンに間違われる側だよね?」

「そんな訳ないだろ誰だよその言葉教えたやつ」

「今アタシの目の前にいるよ」

「……記憶に無ければそれは無かった事になるんだぞ、知らなかったのか?」

「そっか、じゃあアタシの事をめちゃくちゃにしたってたづなさんに報告するね」

「おいおいおいなんだよシービー様、何かしてほしいことでもあるのか? 俺に出来る事なら何でもしてやる、それがトレーナーってもんだからな」

「じゃあ今日一日トレーナーはアタシの下僕ね?」

「かしこまりましたお嬢様まずは顔を洗わせてください」

「下僕が勝手に動いちゃダメだよ」

「ふざけんな顔洗ってうがいしてさっぱりしないと一日が始まんないから許してください」

「仕方ないなぁ……ほら、目瞑って」

「いや自分で出ぶぼぁごほっごほっ」

「あーあ、勝手に動くから。動くと狙いが定まらないから気を付けてよ」

「…………ガラガラガラペッ」

 

 この後トレーナーは大人しく傀儡になっていたが、CBがトレーナーに歯磨きをしてもらってる時に変な気分になって我慢出来なくなりそうになって中断した。こうしてトレーナーの貞操の危機は去った。

 

 思春期って唐突に強烈な不安に襲われたり、急に甘えたくなったりするよねって話。なおこれは時と場合により無かった事になりうる、あるいは有り得たかもしれない出来事みたいな立ち位置になる可能性があるくらいその場のノリで書いたので深く考えないでほしい。というか途中で脳内CBが暴走しだしたせいで完全にアウトルート直行する所だった、危なかったぜ。

 




なんか気づいたらCBを書きたくなるの多分洗脳食らってるわ。書きやすい様に勝手に設定と解釈増やしたのが思ったより効いてるせいで、開き直り方が激しすぎる。

テンションバグりながら書いてるとまじで支離滅裂になるのやばい。そしてそれを見直すと全てを消したくなってもっとやばい。早く完結させないといつか耐えられなくて衝動的に消しそうで怖いな……。

次の投稿は確実に遅い。新シナリオに慣れるまでは無限タキオン育成するし、その後競技場チームの更新もするだろうし。ガチャ爆死したらアプリモチベ消えてその衝動で書く可能性はなくもない。3月中には更新したいけどね……。
てかオルフェさぁ、元々の、というか推定オルフェのイメージ強すぎて違和感しかない。すぐに慣れると思うけど。きっとサポカも強いだろうし、新友人のついでに引けるといいなーって思い中。無料10連あるし1天井は確定、2天井も視野。ドゥラも欲しいけど……どちらかを選ぶ時はどちらかを諦める必要がある。すまない。アニメ見た直後なら多分衝動的に引いてた。
追記。サポカ200連でSSR1枚とかいう稀に見る爆死。というか流石に酷すぎる。ワァ…ナイチャッタ…
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