皇帝から三冠を奪ってみる   作:光らないタイプのモルモット

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実質ここから本編。
視点は今後基本的には荒ぶる地の文さんが務めます。


モブ娘ABC

 

 入学式の日。広い体育館に多くの新入生。横の方にはトレーナーが並ぶ。新人だからか、一番端にそいつはいた。

 

(新入生代表がシンボリルドルフ!? 皇帝か、確か競い合うライバルがいなかった描写あったよな。流石に新人じゃ担当出来ないというか、おハナさんが担当するだろうし、他の子育てて皇帝にぶつけてみるのは楽しそうだな)

 

 表情には欠片も内心を見せず、真剣な表情で今後の計画を立てていた。ちなみに主人公のこいつの名前は徳井(とくい)城太郎(じょうたろう)。特異で異常だろう? 今考えた。

 

 何事もなく式が終わり、生徒は教室に向かう。トレーナーは何人かで集まりそれぞれ新入生について話をしていた。

 

「やはり注目はシンボリルドルフだな。他の子には悪いがレベルが違った。本格化の兆しもあるらしいし、すぐにでも頭角を現すんじゃないか? 徳井はどう思う?」

 

「そうですね、他に目立った子もいませんでしたし黒沼さんの言う通りかと。いいですよね、シンボリルドルフ。どうすれば彼女に勝てるように育てられるか楽しみです(なぜか友好的で実質俺の教育担当みたいな位置にいる黒沼トレ。やっぱ飲みニケーション(なお片方素面)で距離が縮まったのがデカかったか。聞きたいことは色々あるしこれからも仲良くしたいな)」

 

 

 和やかに会話をした後、それぞれの仕事に戻る。担当のいないこいつはひとまず新入生のデータを調べることにした。

 

 基本的なスカウトの機会になる選抜レースは年に4回、1、4、7、10月に行われており、入学式の1週間後には行われる。本格化し始めた一部の新入生がレースに出てくることもある。そのままトレーナー契約をすることもままあることなので見逃せない。

 

(シンボリルドルフに合わせて考えるなら、デビューは来年かな。入学して一年間はトレセン学園に慣れるため、公式レースの出走登録は出来ない規則だし。入学後すぐの選抜レースに出る予定なのは、早めにトレーナーを見つけるかじっくり見定めるため? そこはおハナさんがなんとかするだろうから問題はない。

 それなら、やっぱり次の選抜レースに出る新入生が狙い目か。同級生の方がシンボリルドルフのことを意識してるだろうし、気合いの入り方が違うはず。みっちり鍛えて同時期にデビュー、目指すはクラシック三冠だな)

 

 人はそれを取らぬ狸の皮算用という。そもそもレベルが違うと感じたのは誰なのか、どうやって勝つ気なのか、こいつは無策だ。せっかくのステータスは見てないのか目が節穴なのか、それとも無理ゲーに興奮するドMなのか。なんにせよ、期待に胸を膨らませながら新入生のデータを調べにいった。

 

 

「よし、いい感じの子達がいるな。モブ娘ABCと名付けよう。一人一冠ならどうにかなるはず(楽観視)。丁度選抜レースもシンボリルドルフと走る様だし、楽しみに待っていよう」

 

 モブ娘と一括りにまとめるようなトレーナーと誰が契約したいと思うのだろうか。その事に気づかないまま、少し浮き足立って資料室から出ていった。

 

 

 

 待ちに待った選抜レース。少しの新入生とまだトレーナー契約をしていない在校生が参加する選抜レースは、いつもより観戦するトレーナーが多い。4月の選抜レースは新入生が走る最も早い機会であり、他と比べて多くなることを考えても注目度が違うように見える。その注目を集めているのは、やはりシンボリルドルフだった。

 

 

「あの名家シンボリ家で期待されているシンボリルドルフ。見るからに他とは能力が違うように見えるが、一体どんな走りを見せてくれるのか」

 

「可哀想だけれど、同じレースを走る新入生達には同情するわね……」

 

 

 周囲のトレーナー達が何かを言っているようですが、もちろんこいつの耳には入りません。見ているのはABCと名付けたウマ娘達のことです。

 

 さて、選抜レースは次々進みます。とうとうシンボリルドルフの走るレースになりましたが、レース前のウマ娘達は新入生ということもあってか緊張し萎縮しているようです。ABCと呼ばれる彼女達も勝ちたいという意欲はあるものの、やはり緊張している様子。

 そんな中、シンボリルドルフは堂々としておりしっかりと集中出来ている様子。これは既に決まったか、と周囲もやや弛緩した雰囲気に変わります。

 

 やはりというべきか、かなりの余裕をもった状態でシンボリルドルフ1着。2着とは2バ身差あり、そこには決定的なまでの力量の差が見えます。

 

(やっぱ能力的にはかなり負けてるな。才能的にもステータスの限界に差がある。最低でも領域に目覚めること、あとは技術と作戦で誤魔化すしかないな……実際に見た感じ、能力的に劣ると思ってはいても諦める気はなさそうだし、予定通りスカウトしにいくか)

 

 さて、シンボリルドルフのスカウトに動くトレーナーを尻目に1人違う方向へ歩きだします。向かう先には3名のウマ娘が、話しながらクールダウンをしている様子が。目には悔しさが滲んでいるものの、切り替えてトレーニングの計画を立てているようです。

 

「やあ、俺は君達と同じく今年入ったばかりの新人トレーナーだ。早速だが3人をスカウトしたい。君達モブ娘ABCでシンボリルドルフの三冠を阻止してみたいんだ」

 

 バッドコミュニケーション! 親愛度は元々0だ。

 

「は? スカウトとかいいながらモブ娘呼ばわりなんて、バカにしてるの? ふざけてるなら帰ってもらえます?」

 

「まあまあ落ち着いて。トレーナーさんももう少し言い方は考えてほしいかなぁ。幼馴染とはいえ、初対面の人に一括りにされるのはちょっと……」

 

「こんにちは〜。カナシーサダメと言います〜。よろしくお願いしますね〜?」

 

「はいこんにちは。ふざけてないし真剣にスカウトしにきてるよ。エートコナシ、ビミョーケッカ、カナシーサダメでちょうどABCだしちょうどいいだろ? 能力的にも才能的にもモブっぽいから間違いではないと思うし」

 

 うーん、これはバッドコミュニケーション。名前を覚えた上で省略、初対面でモブ呼ばわり。ほんとにこいつトレーナーか?

 

「このっ……! あんたなんかに構ってる暇ないんで! 行こっ、ミケ、カナ」

 

「あっ、待ってよエーちゃん。その、モブって言うのはやめた方がいいかと思います。スカウトは嬉しいですが、礼儀は大事だと思うので。失礼します」

 

「あら〜。じゃあお話はまた今度〜」

 

 何故かカナシーサダメによしよしされ、戸惑っているうちに3人とも立ち去ってしまった。そこでようやく過ちに気づく。

 

「もしかしてモブ娘って呼び方はダメなのか? 親しみやすくていい考えだと思ったんだけど」

 

 もしかしなくても大半の人は嫌でしょう。しかしそれはそれ、これはこれ。自身の過ちを特に気にした様子はありません。

 

「また明日声をかけてみるか」

 

 そもそも新人が一気に3人も担当出来るのか。報連相を怠るのは、こいつがノリで生きているからなのかもしれない……。

 




最低限のあらすじ、絶対書きたい部分はある。だが細部はその場の勢いで書いている。
つまりどういうこと? → どうしてスカウト失敗してるの(困惑)
次は遅くなる(確信)。もしも読んでる人がいたらしおりだけ挟んで放置しといてくれると助かりますね……
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