Live or Die?   作:阿弥陀乃トンマージ

30 / 51
第8惑星(1)ライブ配信

                  8

 

 小型であるが派手な宇宙船がケイたちの宇宙船の近くに降り立ち、その中からネラとビアンカが現れる。

 

「どこにいるかと思えば、イオにいるとはね……」

 

「一日早いけど、タスマっち、迎えに来たよ~♪」

 

「……」

 

「どったの?」

 

「そちらの『ジェメッレ=アンジェラ』のマネージャーになるというお話でしたが……お受けすることはできません!」

 

 俺の後ろにギャラクシーフェアリーズの三人が並ぶ。ビアンカがキョトンとする。

 

「あらら……」

 

「なに? ひょっとしてまだ諦めていないの、アンタたち……」

 

「そ、そうです!」

 

 ネラの問いにアユミが答える。ビアンカが両手を広げる。

 

「諦めの悪い女は嫌われるよ~?」

 

「『諦めたらそこで試合終了』という言い伝えもあるしね……」

 

「……試合ってなによ?」

 

「さあ?」

 

「さ、さあ?って……」

 

 コウの言葉にビアンカがズッコケそうになる。ケイが口を開く。

 

「アホは放っておいて……」

 

「いや、アホって」

 

「ジェメッレ=アンジェラ、勝負をしましょう」

 

「勝負?」

 

「ええ」

 

「アンジェラに対しての申し出ってことは……アイドル(裏の顔)としてってことね……?」

 

「そういうことよ」

 

 ネラの問いにケイが頷く。裏の顔ってアイドルってことか、表が賞金稼ぎか? 相変わらずややこしい子たちだな。

 

「どうする? ネラ?」

 

「う~ん……」

 

 ビアンカの問いにネラが首を捻る。ケイが笑みを浮かべながら尋ねる。

 

「まさか……逃げるの?」

 

「え?」

 

「まあ、それならそれで構わないわ。ねえ、コウ?」

 

「うん、ただアタシってば口が軽いからな~」

 

「へえ、例えばどうするの?」

 

「『ズンドコベロンチョ』が『ギャラクシーフェアリーズ』に日和って逃げたって話をあちこちに言いふらしちゃうかもな~」

 

「ジェメッレ=アンジェラよ! 全然違うっしょ!」

 

 ビアンカが声を上げる。ケイが小首を傾げる。

 

「どうする?」

 

「いいじゃない! そのケンカ、買ってやるし!」

 

「ビアンカ……」

 

「あっ……」

 

 ネラの声にビアンカが我に返る。ネラがため息をつきながら答える。

 

「はあ……まあ、いいわ。誘いにあえて乗ってあげようじゃないの」

 

「……よろしいんですね?」

 

「よろしいですわよ」

 

 アユミの問いにネラがおどけながら頷く。

 

「それでは、勝負と参りましょう……」

 

「ちょっと待って」

 

「え?」

 

 話を進めようとしたアユミをネラが制し、自らの端末を操作する。平原に簡易ではあるが、ステージが出現する。

 

「3D投影ステージよ、ここで互いにパフォーマンスを披露しあおうじゃない」

 

「ふむ……面白いわね」

 

 ケイが頷く。

 

「それじゃあ、まずは準備と行きましょうか」

 

「ええ」

 

 二組がお互いに自らの宇宙船へと戻り、ライブ衣装に着替えてきた。当たり前かもしれないが本格的だな……。ネラが口を開く。

 

「着替えたわね。それじゃあ各自、次の段階よ」

 

「ええ、分かったわ」

 

「ん?」

 

 各自が端末を取り出してポチポチとし始めたぞ。な、何をしているんだ?

 

「急で申し訳ないけど、ライブ配信をやるから見に来てね~♪っと……」

 

「無料だよ~ファンの皆、集合~♪っと……」

 

 あ、ああ、ライブ配信の宣伝をしているのか……え? ライブ配信?

 

「アユミ、投稿した?」

 

「えっと、木星の映えスポット付きの投稿を上げた方が良いですよね?」

 

「いいわよ、この際映えは考えなくて……コウはどう?」

 

「うお~このネコちゃん、かわいい~」

 

「何の動画を見てるのよ、アンタは!」

 

「……ちょっと、真面目にやってる?」

 

「……申し訳ないわ」

 

 ネラに対し、ケイが素直に頭を下げる。ビアンカが口を開く。

 

「ネラ、大分視聴者が集まってきたよ」

 

「うん……これくらいで良いかしらね」

 

 俺も自身の端末を取り出し、確認する。あった、これがライブ配信だな……って、もうこんなに視聴者数が⁉ ちょっと呟いて、この短時間でこれだけの数を集めるとは……今更ながら二組ともすごい人気、そして宣伝力だな……いや、ギャラクシーフェアリーズはあまり貢献していないかな?

 

「それじゃあネラ……」

 

「ええ、勝敗はネット投票で決めましょう。今から十分間のパフォーマンスが良かった方に投票してもらって、票数が多かった方が勝ちよ。それじゃあ、スタート!」

 

「!」

 

 ジェメッレ=アンジェラの二人が息の合ったキレのいいダンスを見せる。動画のチャット欄も大騒ぎだ。早くも多数の票が二人に投じられている。

 

「ううっ……」

 

 アユミが早くも及び腰だ。大丈夫か? ネラが声を上げる。

 

「突っ立っているだけ⁉ せめて土下座でもしたらいいんじゃないの?」

 

「ははっ、ネラ、キツいね、でもそれやったらマジウケるかも~♪」

 

 ビアンカが笑う。ケイが唇を噛む。

 

「くっ……」

 

「三人とも!」

 

「‼」

 

「コンビネーションでは叶わない! 君たちのバラバラな個性で勝負だ!」

 

 気が付いたら俺は叫んでいた。

 

「マ、マネージャーさん……」

 

「バラバラ……分かったわ!」

 

「⁉」

 

 三人がダンスを始める。はっきり言ってバラバラだ。しかし、良く言えば三者三様の個性がよく見える。これはこれで味があって良いかもしれない。俺は端末を確認する。

 

「おおっ⁉ ギャラクシーフェアリーズが追い上げて……ほぼ同じペースで票が伸びているぞ! もうすぐ十分経過だ!」

 

「どうなった⁉」

 

「マネージャー⁉」

 

 ビアンカとケイが尋ねてくる。俺は口を開く。

 

「……全くの同数だ!」

 

「そ、そんな⁉」

 

「し、信じられない……」

 

「~♪ 珍しいこともあるもんだね~」

 

 ネラが愕然とし、アユミが唖然として、コウが口笛を鳴らす。俺が恐る恐る尋ねる。

 

「ど、どうする……? このままだとドローだが……」

 

「配信を止めて頂戴……」

 

「え?」

 

「早く!」

 

「あ、ああっ!」

 

 ネラの声に驚きながら、俺は配信を止める。ネラがゆっくりと口を開く。

 

「……アンタたちとドローとかあり得ないから……」

 

「は?」

 

「『ジェメッレ=ディアボロ』と『ギャラクシーマーダーズ』……お互いの賞金稼ぎ(表の顔)でケリをつけようじゃないの…」

 

「上等よ……」

 

 ネラとケイが銃を構える。どっちかというと裏の顔だと思うんだが。ややこしいな……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。