とある一般聖兵の日常   作:チョコラBB

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10話

「・・・」

 

場は沈黙に包まれていた。

いつもならバンビーズの溜まり場で煩さ、姦しい場所だ。

リルトットのお付きであるジュダスもよくその場にいたのだが今は見る影もない。

なぜなら誤解こそ解消されたものの、ジュダス(と他2名)が悪乗りした結果リルトットは大勢の目の前で少年漫画の主人公のようなムーヴをしてしまった。

現在彼女は羞恥とジュダスへの怒りから不貞腐れて寝転んでいる。

 

「リルトットちゃん!昼食にからあげ揚げたよお!ああ!?」

 

とりあえずジュダスは不機嫌なリルトットちゃんに機嫌を直してもらおうと唐揚げを持ってきた次の瞬間、口が伸びてきて皿の上から唐揚げが消え去った。

一応他のメンバー分もあったのだが何も残らなかった。

 

「あー!私の唐揚げ!?」

 

空気読めないどこかの絶対爆発させるウーマンが叫んでいるが、声こそ出さないものの他のメンバーも残念そうな顔をしていた。

彼女の傷は時間だけが癒してくれる・・・そう判断したジュダスは自然な動作でリルトットちゃんの頭をなでつつ膝枕。

彼女の口にフライドポテト、ケーキ、クッキー、グラブジャムンと様々なおやつを運ぶが嘘のようにどんどん吸い込まれていく。

その姿はまさにシュレッダーの如く!

そんな変わり果てたリルトットに生暖かい目を向けつつ、空気を入れ替えようと他のメンバーはそれぞれおしゃべりを始めた。

 

「ところでジュダスの聖文字は何貰うのかなあ?」

 

そう口火を切るのはジジ。

まあ一応以前から知ってる奇人ジュダスがどのような文字を受け取るのか、

更に言うならすでに全文字授与済なので必ず誰かと同じ聖文字になるのだ。

同じ文字で違う能力なのか、それとも同じ能力?もし同じなら規模なども同じなのか?

非常に興味をそそる話題である。

 

「お揃いでZとかどう?同じ能力ならタフになるよ!」

 

(ふむタフになるのは嬉しいことだ。それにゾンビの能力は工夫すれば色々出来そうな気がするんだよな・・・2代目様の卑劣な術とか。)

 

ジュダスはいまだリルトットちゃんの毒牙に掛かっていない季節のフルーツタルトを1つ手に取りジジに渡した。

中々の自信作で甘酸っぱい果物の触感の違いを楽しめる一品だ。

 

「わ~おいしい!」

 

「私のPとかどうです?同じだと完全に上位互換になりそうで嫌ですが、力こそパワーです。近接が得意なジュダスさんならシンプルに強化につながりそうです。」

 

「やはり暴力‥‥!! 暴力は全てを解決する‥‥!!」

 

「ケンシロウ、暴力はいいぞ!」

 

「誰がケンシロウか。」

 

割と心惹かれる意見を出したミニーニャにはイチゴ大福を渡す。

大福にイチゴって・・・と食わず嫌いしていたが食べたら割とイケるとジュダスは考えを改め作成してみた意欲作である。

 

「じゃあ私と同じTならどうよ!?でも同じだと詰まんないから違う方が面白いかもなあ。」

 

Tで「雷霆」以外か。

雷は浪漫の塊なんだが・・・T、T、Teleport?

 

「T、T、Teleport?」

 

思考レベルが一緒?

チョコレートのトリュフを渡す。

作りなれた逸品で自信作だ。

 

「G・・・。」

 

「は?・・・二人でお揃いのGとか最高では?」

 

リルトットちゃんとお揃いのGか・・・。

凄い嬉しいのだが、二人で口を伸ばすのはシュールだな。

違う能力だったら・・・GUNDAM?GUND-ARM?

なんか碌な目に遭わなさそうだな。

 

「ふふ。」

 

リルトットちゃんの機嫌が少し良くなった。

起き上がってくれたのでジュースを差し出す。

え?紅茶?もちろん用意してるよお!

 

「じゃあ私と一緒のEなんてどうよ?」

 

「ふむ確かにThe Explodeは強力な能力だな・・・」

 

「まあでも同じ能力だとつまらないわね・・・。かといって他の能力だと・・・earth、earthquake?なんか強そうね・・・electricityだとキャンディスと被るし・・・ジュダスだしevilとかだったりして!」

 

「う~ん、この一言多い感じ。」

 

最後に一言多いバンビエッタには現世の駄菓子屋で買ってきたおしゃぶり昆布を投げておく。

オラ喜べ!特別扱いだぞ!

 

「何で私だけこんなダサいのなのよ!?」

 

「お前おしゃぶり昆布旨いだろうが!贅沢言ってんじゃねえ!!」

 

「ハア!?アンタ相変わらず目上に対する態度が成ってないわね!」

 

「バンビパイセンこの中で真っ先に俺に負けたこと覚えてますぅ~?」

 

「それは偶々そういう順番になっただけで負けたのはワタシだけじゃないでしょう!?」

 

「でも俺に負けたのは事実なんだから、態度デカくないっすか~?」

 

「なんですって!」

 

「あ~ん?んん~?そこでイキってる~困ったちゃんはぁ~?もしかしてえ~?

バァ~?ン~?ビィ~?

アッ!忘れたー!いっけなぁ~い!俺負け犬の名前は憶えらんないんだったー!!」

 

「キイィィィ!?」

 

バンビエッタを煽っていると発狂してしまった。

とりあえずリルトットちゃんの機嫌も復活したので

彼女を愛でつついろいろ想像して楽しんだ。

 

この後陛下から「E」の聖文字を与えられたが、

目の前でオサレなくじ引きで決められてなんとも言えない気分になった。

 

それを聞いたバンビエッタのドヤ顔が非常に腹立った。

 




聖文字はランダムにアルファベットを表示するサイトを利用しました。
雨竜君が来るとAが3人になってしまうのでA以外にしようと思っていたら
2連続でAが出てびっくりしました。
3回目にEが出たので英単語を調べています。

https://randommmm.com/alphabet/

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