新たな性癖の扉を開いて数日。
第二次瀞霊廷侵攻を明日に控え、最後の平穏を満喫するジュダスは
今朝あった出来事に思考を巡らしていた。
今日の早朝。
静謐な空気の中、星十字騎士団及び全聖兵が陛下によって集められた。
第二次瀞霊廷侵攻に対して陛下から激励が飛ぶのかと思っていたが、その内容はまさかの後継者の発表であった。
しかもその後継者に指名されたのはポッと出の混血統滅却師だったのだ。
確か石田雨竜という未亡人みたいな雰囲気の男だった。
彼が紹介された時の空気など最悪だった。
聖兵たちも「誰だコイツ!?」みたいな雰囲気で動揺してたし、星十字騎士団の連中なんて「何でコイツが!?」といった感じで殺気立ってた。
更に俺にとっての最悪は陛下が続けて言ったことだ。
「だがあくまで雨竜は候補の一人だ。もう一人はジュダスお前だ。」
それを聞いて俺は白目剥いたね。
再度ザワついた。
聖兵はともかく星十字騎士団は「マジかよ・・・」「この△頭が?」って感じで殺気立ってはいなかったけど、雨竜の時となんか微妙に異なる雰囲気だった。
リルトットちゃんもシリアスだし、バンビエッタとバズビーはメンチ切ってくるし。
だからつい口が滑っちゃったんだよね。
「
あの時の空気は忘れられない。
速攻で久しぶりの涅槃超高速水平移動でバンビーズの溜まり場へ逃げ帰った。
雨竜君がクッソ動揺してたが、初々しいリアクションはこう評価だ。
最近皆順応しちゃって反応がツマらなかったからな。
とりあえずイライラ解消のためにイケメン一般聖兵を「ぱっか~ん」しようとしたバンビエッタを雑に気絶させて今に至る。
「何で俺が陛下の後継者候補なんだ?普通ハッシュヴァルドあたりだと思うんだけど」
今朝の出来事を思い出しながら疑問が口を滑る。
すると隣でお菓子をつまみながらゴロゴロしていたリルトットちゃんが彼女の考えを教えてくれた。
「分からねえが・・・あの陛下の事だ。そのまんまの意味じゃないだろう。そもそも最有力だったハッシュバルドですら陛下に比べれば力不足だ。まあ陛下が強すぎるんだけど。」
「確かに」
「ん~?ジュダスとあの石田雨竜が選ばれたってことは、二人に何か共通点とかあるんじゃない?」
先ほどまで笑い過ぎで死んでいたジジが復活して話に入ってくる。
彼女(彼)の言う通り俺と雨竜君に後継者に選ばれる要素があるのだろうか?
といっても彼の能力も性格もよく知らないんだが。
「といってもアタシら誰も石田雨竜の事なんて知らないしなあ。っていうか現世の滅却師だからココにきたのも最近だし、誰も知らないんじゃない?」
「そうですよね~。ワタシもあと知っていることって言ったら石田雨竜はあの黒崎一護と仲間だった、とか?」
キャンディスとミニーニャもお茶を飲みながら話に入ってくるが、基本的に最近見えざる帝国に合流した雨竜君について俺たちみんな大して知らないようだ。
とりあえず思いつかないが、共通点と言ったら現世生まれってくらいだろうか?
だがそれが何か関係あるのか?
分からない。
「バンビちゃんは何か分からない?分からないよねえ。」
ジジが気絶から復帰したバンビエッタに俺と雨竜君の共通点について質問した。
うん。
最近俺というバンビエッタに対する抑止力が出来たせいかどんどんバンビエッタの扱いが雑になっていく。
まあバンビエッタ自身にも原因はあるので仕方ないね。
「ジジ!バカにするんじゃないわよ!私に掛かれば二人の共通点なんて簡単よ!」
「はいはい。じゃあ共通点は?」
「まず二人とも男よ!」
「バンビちゃん・・・。」
「バンビエッタに期待した俺が馬鹿だった。」
「俺と同じ聖文字“E”を与えられた星十字騎士団の姿か?これが?」
「バンビエッタの奴最近知能指数下がってない?」
「シッ。」
俺も含めてバンビーズの面々からの駄目だしが激しい。
だが流石に今の回答は・・・どうしようもないな。
「だあ~!!うっさいわねえ!こういうのは当たり前のことでもとりあえず一つ一つ口に出してくの!そしたら意外と色々と思いついていくものなのよ!」
むう。
バンビエッタのくせに正論を。
まあ彼女に乗ってみるか。
「あとは二人とも現世出身で、星十字騎士団。あとは石田雨竜は混血統滅却師で空座町出身っと。・・・そういえばジュダスは純血なの?どこに住んでたのよ?」
「それが分かんないんだよね。多分父親も母親も滅却師・・・いやそういえば母親は弓矢使ってたか?・・・あれ?」
バンビエッタに言われて思いだそうとするが・・・父親は滅却師としてスタンダードな戦い方をしていた・・・気がする。
だが母親はどうだったか?
弓矢を・・・いや刀持って・・・弓矢に変えて撃ってたような・・・。
「あ!ああああああ!!俺の母親斬魄刀持ってた!!」
「何い!?それお前の母親死神じゃねえか!?」
「ええ!ジュダスって死神とのハーフなの?」
「へえ。ってことは混血統も共通点ね。石田雨竜は死神の血は流れてないわよね?」
知能指数が増したバンビエッタが話を続ける。
俺の記憶が確かなら、母親は普段日本刀を持っており、弓矢に変化させて戦っていた。
父親と二人で弓矢使って戦っていた記憶が強すぎて勘違いしていた。
そうだ。
俺の母親は死神だった可能性が高い。
「ええ。唯のと言っていいかは分からないけど、混血統滅却師なのは間違いない。」
「ってことは現世生まれの混血統滅却師が条件かしら?・・・ジュダスや石田雨竜の両親はどうしたの?」
「あ、ああ雨竜君の両親は知らないが、俺の両親は虚に殺されてる。俺は見えざる帝国に来るまで一人で現世と虚と戦いながら生きてきたんだ。」
「・・・なんでアンタも石田雨竜も生きてるの?」
「え?」
「ちょ!?お前何言ってんの?」
「だって純血統滅却師以外って陛下の聖別されたんじゃないの?」
脳裏に見覚えのないハズの映像が溢れる。
ある日、空から光の柱が降ってきて・・・俺の目の前で父さんが消えて、母さんが一人で虚と戦って・・・殺されて・・・・・・・・・・・・
「ア、 アアアアアアア!?」
思い出した。
俺は思いだした。
何で忘れてたんだ。
“経験(The Experience)”で強化先に項目が増える。
そうだ
俺には死神の力も持ってる。
だから虚を喰ってもおれは大丈夫だった。
生きるために虚を喰った。
“経験(The Experience)”で強化先に項目が増える。
気持ち悪い。
前世の・・・俺が〇〇〇〇だったころの記憶が浮かび上がる。
膨大な記憶量がジュダスという人間の記憶の流れ込む。
原作の設定、流れが激流となる。
その激流のまま俺は・・・俺の可能性が広がるのを感じた。
「大丈夫か!?ジュダス!?」
リルトットちゃんが俺を心配して
焦った様子で俺の様子をうかがってくれた。
かわいい。
「大丈夫だ。」
記憶を整理するのに時間は必要だが・・・大丈夫。
だが記憶を取り戻すと同時に、かつてに自分を思い出す。
そうだ。
俺は前世でリルトットちゃんとソイポン推しだったのだ。
「ばぶう。」
俺は最後の気合でリルトットちゃんの胸に頭を押し付け、
蘇った記憶の整理し、 “経験(The Experience)”を使用して爆発的に増えた強化項目を吟味し、自身を強化する。
今一般聖兵に転生した一人の転生者が本当の意味で目を覚ました。
エタったと思っていた作品が復活していた。
流れを思い出すために遡って最新話まで読む。
小説を書く暇なんてないよね。
つまりそういうことです。