「おれは しょうきに もどった!」
一晩眠って記憶も心も安定した。
今まで忘れていた原作の記憶も、過去の記憶も、完全に思い出した。
おかげで妙にスッキリというか、新しいパンツを正月元旦の朝のような爽やかな気分だ。
その上で俺は考えた。
自身の“経験(The Experience)”で得られる力、原作知識より得た陛下たちの力。
「・・・無理では?」
“全知全能”とかどうしようもなくない?
勝てる勝てないとかじゃなくて倒せなくない?
陛下とか“静止の銀”とかなければ無理ゲーだし。
少なくともジェラルド、ハッシュヴァルド辺りは殺しきれる気がしない。
あいつら強さとかじゃなくて概念系の防御能力(生命力)だからその能力を無効化できる方法を編み出さなければどうにもできない。
俺の能力は炎や雷、爆撃と多彩だし、自賛になるが戦闘能力は非常に高い部類だ。
だがそれらは破壊力はあっても、種も仕掛けも無い概念系の防御力は突き抜けないし、ジェラルド並みのワケわからん生命力は殺しきれない。
ペルニダは・・・マユリ様に任せるとして、アスキンと罪深バードについては殺すことは可能と。
「とりあえず“原作”通りならバンビーズは無事(?)に生き残れるんだしバンビーズの金魚のフンしとこう・・・!」
うん。
リルトットちゃんが死ぬならまだしも原作なぞっとけば生き残れるし、厄介な連中は陛下が自分で殺すし、その陛下自身も舐めプした結果、“静止の銀”で能力無効化されて霊王様になるし。
俺自身が“聖別”で死なないようにどうにかすれば問題ない。
勝ったな!ガハハハ!!
※フラグ
朝食を摂り、準備運動を行う。
他のメンバーは割と余裕かましているが、そういうのが原因で“原作”では敗北したんだろうなと感じる。
俺は原作には存在しないイレギュラーであるため生き残る可能性は不明だ。
少しでも生存の可能性を高めるために準備を怠ることは出来ない。
十分な準備運動で体をほぐし、装備の点検を行う。
治療薬や包帯などの道具もポーチに仕舞い込み、そっと毒薬などの劇物も懐に入れる。
もう少し早く記憶が戻ればいろいろと準備できたのだがまあ贅沢は言うまい。
最終決戦の前に記憶が戻っただけ御の字だ。
準備を整えてリルトットちゃんの隣に立つ。
他のメンバーも近くに並ぶ。
バンビエッタは俺たちを率いるかのように少し前に立った。
その瞬間バンビエッタを除く全員がアイコンタクト。
遠くから鐘の音が響く。
景色が歪み、白亜の街並みの中に死覇装を纏った死神たちの姿が浮かび上がる。
さあ戦争の時間だ。
景色が切り替わり、眼下の死神に対しバンビエッタが爆撃を行いながら降り立つ。
浮足立つ死神たちに対し、何かオサレな口上を言っているのだろう。
あのドヤ顔と死神たちの驚愕顔のコントラストが美しい。
俺はそこまで見て、リルトットちゃんたちと逃げ出した。
少し時間が経過した。
遠く離れた場所で立て続けに爆発や炎が起こっている。
それ以外にも様々な場所で建物が倒壊していく様が見て取れる。
どうやら予定通りバンビエッタや他の面々が暴れているようだ。
死神たちの霊圧が大小問わず花火のように消えていく。
読者として読んでいるときはネームドキャラも新キャラもあっさり死んでいったのは衝撃だったものだ。
そんな派手に暴れている他の星十字騎士団たちと対照的に俺たちは神聖滅矢で地味にパシュパシュしている。
といってもリルトットちゃん達バンビーズがメインで、俺は周囲の警戒を理由に接触的に手を出していない。
なぜなら原作知識とはいえ滅却師の敗北の可能性が高いのだ。
戦いが終わったら速攻トンズラする予定であるが可能な限りヘイトを稼がないよう立ち回るのは無駄ではないはずだ。
「来たか。」
「おわ!?共鳴して羽が出ちまった!」
瀞霊廷各所で滅却師の霊圧が跳ね上がる。
同時にキャンディスに雷のような形状の羽が生えた。
原作通り浦原喜助の手により卍解を取り返されたのだろう。
だが制限がなくなったことにより、星十字騎士団達がどんどん滅却師完聖体を発動し更なる蹂躙を続ける。
順調に原作通り進んでいる。
「このまま行ってくれれば万々歳だな。」
「オイ。ジュダスそれじゃ俺たちが功績を稼げねえだろう?お前ももっと積極的に戦おうぜ。」
「リルトットちゃん。それも良いけどどうせ脅威度の高い奴は生き残るよ。どうせなら少なからず疲弊しているであろうそういう奴を狩ろう。」
「なるほどな。それでいこう。」
「ジュダス君は悪い男ですね~。」
「楽できていいじゃん!」
「っても少しは稼がないとなあ。なあジュダス周りに敵は?」
「ふむふむ。」
見聞色の覇気を使用して周囲の状況を読み取る。
バンビエッタの下に隊長・副隊長格クラスの霊圧が集まっているがドンドン小さくなっている。
順調、順調。
このままゾンビエッタちゃんになって新属性を得てほしい。
「本当便利だな。ジュダスのソレ!“ケンブンショクのハキ”だっけ?ワタシも覚えようかなー?」
「霊子を広範囲にばら撒いた上でそれを完全に制御して、そこから得た情報を元に情報を読み取るサムシングがあれば出来るよ。」
「うげー!?サムシングって何だよ!」
「・・・センス?勘?」
「自分でも分かってないのかよ・・・。」
だって覇気に関しては酒で泥酔してるときに習得したからイマイチ理解できてないんだよね。
武装色については筋組織、皮膚、骨に霊子を込めれば何となく出来るのは分かっているが見聞色についてはサッパリだ。
おそらく蝙蝠の超音波の反射を読み取り、脳内で像を結ぶような感じだろう。
「・・・バンビエッタは隊長・副隊長格を複数相手に暴れてるな。やっぱ強いな。——ああ、巨人が暴れているあそこらへん。」
「ああ・・・巨人居なくてもあんだけ派手に爆発してたら誰でも分かるな。」
「そだね。リルちゃん。」
BG9は負けたな。
バズビーとマスキュリンは順調に敵を倒している。
蒼都は敗北・・・アレエ!?
普通にピンピンしとるやないか蒼都ォ!?ナンデ!?ツアントォ!?ナンデ!?」
「うわ!?どうしたジュダス!?なんかよく分からないが蒼都が勝ってるなら良いじゃねえか?」
「・・・バンビエッタも疲弊してるけど巨人をブッ倒してピンピンしてる!?」
「・・・バンビちゃんなら全然おかしくないと思うけど?」
俺の驚愕の声に反応してキャンディスとジジが答える。
まあ傍から見ると友軍が健在なのを悔しがってる変な奴だもんね。
「どういうことだってばよ・・・?」
あ、蒼都は改良版飛廉脚で氷漬けを避けたのか。
・・・俺のせいじゃん!?
俺のガバじゃん!?
記憶の戻る前の俺の馬鹿!
慌てて他の戦いを探る。
「落ち着け・・・落ち着け・・・。」
読み取りづらいがグエナエルも優勢。
気のせいか相手の死神、やちるのダメージが大きい気がする。
原作よりもいい勝負・・・あグレミィに消された。
なんでや。爺さん頑張ってたじゃん。
ナナナは適当に一般隊士を刈ってるし、ペペは気配を隠して様子を伺ってるな。
ロバート、アスキンも健在、ここら辺は原作通りだな。
マスキュリンは阿散井恋次と、能登さんはルッキャさんと会敵したようだ。
ゴゴゴッ!!
グレミィと剣八が居たあたりに巨大な岩石製の舞台がせり上がる。
最強格同士の戦いが始まるようだ。
というか舞台の上で既にマグマやら水やら斬撃が飛び交っている。
海軍本部の頂上決戦かな?
「・・・各所で滅却師が優勢で戦っているみたいだ。あそこの石舞台の所ではグレミィと特記戦力である更木剣八が戦っているみたいだ。」
「・・グレミィが負けるとは思えねえが念のため近づこう。そもそもグレミィと戦ってあんな長時間戦っている時点で普通じゃねえ。グレミィが遊んでる可能性もあるがマジなら苦戦してる可能性が高い。もしグレミィが負けても流石に更木剣八も疲弊してるはずだ。取るぞ。」
「OK!」
「りょーかい!」
「分かりました。」
流石リルトットちゃんクレバーだ。
きっと原作でもこんな感じでいち早く剣八に追い打ちをかけたんだろうな。
原作でも一護が来なきゃ剣八を倒してただろうしな。
「分かっ「更木剣八の下へは行かせませんよ。彼は今全力で戦える敵と会えて心底楽しんでいるのですから。」たよリルトットちゃん、んん!?」
誰かが近づいているのは分かっていたが真逆声をかけてくると思わなかった。
まあブリーチは敵も味方も不意打ちせずに声をかけて戦ったり、なぜか能力を説明したりするからそこは驚くほどではない。
問題なのは聞こえてきた声が妙に凄みのある
俺は半ば予想できたのだがその予想が外れていることを祈って振り返る。
其処には長く美しい黒髪を常とは異なり降ろしている美女が一人。
「何で此処にいるんだ四番隊隊長 卯ノ花烈!?」
「おかしなことを。死神である私が瀞霊廷を襲う無頼の輩を前にしてそのまま見過ごす理由などないでしょう?」
「せめてその良い嗤い顔を隠してもらえませんかねエ!?」
ジュダスは こんらん した。
問 本来死んでるはずの尸魂界で一二を争うヤベー女に会敵したジュダス君の
心情を答えなさい
例 鎧なしでレッドアリーマの群れに襲撃されたアーサー