悪夢の剣八コンビとの闘いは対戦相手を変更して継続していた。
バンビーズ5人は能力と聖滅矢メインで遠距離からの攻撃に終始することで卯ノ花を封殺している。
バンビエッタとキャンディスの二人が爆撃と雷撃でメインアタッカー、他のメンバーが聖滅矢で応援と周囲の警戒、たまにジジが隙を見て血液を振りまいているが警戒されているようだ。
一応ゾンビ化した死神の平隊員や隊長格も控えているようだが単純に嗾けても卯ノ花は躊躇なく切ると思われるため温存している模様だ。
対して俺はというと、
「ハハッ!ハハハハハハッ!!お前良いな!シンプルに強え!!他の奴もいいがお前の戦い方が一番好みだぜ!!」
更木剣八とタイマンをしているがコイツ本当におっかない。
ボロボロだったくせに卯ノ花により軽く治療されただけなのに、クソ強い。
しかも戦えば戦うほど強くなってる気がするし、目に見えて動きが洗練されていっている。
俺もやり合いながら完現術が馴染んで動きがよくなっているが剣八に追いすがるので精いっぱいだ。
「お前!戦えば戦うほど強くなってるじゃねえか!?良いぜ!最高だ!」
剣八からの好感度が現在進行形で高くなっている。
止めて!?卯ノ花が蟲ケラを見るような目でこっちを凝視してるの!
怖いの!?
あ、バンビエッタが腕飛ばされて、ジジに直してもらってる。
「偶々最近得た能力が馴染んできただけだ!お前みたいに戦えば戦うほど強くなるバグじゃねえんだよ!!」
虚圏でチャド氏から学んだ完現術について、短い期間であるが俺は見えざる帝国に保管されていた資料を基に調査した。
どうにも現世では虚に襲われた人間、特に赤子がまれに目覚める特殊能力として伝わっていたようだが資料にはかつて霊王から分かたれた欠片を魂魄に宿した存在が目覚める力らしい。
俺に霊王の欠片が宿っていたことは驚いたが、まあその程度だった。
それよりも完現術というのは万物の魂を操る力らしく、特に術者の思いれのあるものを媒介に能力を行使することが一番強力に作用するという情報が重要だった。
俺の場合は何だろう。
俺は自分のこれまでの人生を振り返って考えた。
原作知識からチャド氏の場合は祖父との思い出がある“皮膚”こそが能力の媒介となり、
敵を穿つ拳や仲間を守る盾を生み出しているらしい。
確か織姫の場合も兄との思い出の髪飾りが媒介になっていたので、そういうことなのだろう。
では俺の場合は?
簡単だ。
記憶が不完全ながらも戻り、「俺」という存在が始まってから持っていた所有物などたった一つしかない。
俺の“肉体”そのものである。
「じゃあ試してみようじゃねえか!!出来なきゃ俺かお前が死ぬだけだ!」
思うに陛下の聖文字による能力の発現とは、陛下の持っている霊王の欠片、もしくはそれに類似するほどのナニカを分け与えた上でアルファベットという指向性を与えることで発言する完現術なのではないだろうか?
少なくとも星十字騎士団の多種多様な能力は、そのほとんどが術理もクソも無い異能だということは分析した俺がよく知っている。
特に強力な能力を持っている親衛隊とかグレミィなどは元々欠片を持っているからなのではないだろうか。
「“神の肉体”」
能力について理解したこと、剣八サンドという絶望的状況で生存本能を刺激されたことにより、滅却師としての技能、“The Experience”の能力、そして完現術という今まで俺が身に着けた力が完全に組み合わさり、俺の肉体を変質させる。
神つまり霊王という滅却師の肉体を模倣する。(模倣というにはスケールダウンが激しいが)
更木の斬撃を右腕で受ける。
ガギィ!!
「何!?」
更木でも俺の肉体に傷一つ付けれなかった。
今の俺は全体的に輝いて全体的に白く染まっており、全身に薄っすらと紫色に輝く文様が浮かんでいる。
他の星十字騎士団のように羽こそないが中々オサレではないだろうか。
きっと漫画なら見開き確定だろう。
「無駄だ。今の俺の肉体をお前であろうとも傷つけることは不可能だ。」
「ハッ!以前に同じようなこと言ってやがった破面がいたなぁ!今切れないんだったら切れるようになれば良いんだよォ!!」
知っている。
故に“The Experience”で今経験した剣八の斬撃を元に肉体を強化する。
それでもきっと剣八はそれを数回も繰り返せば強化をさらに超えるほど強くなるだろう。
ならば俺はさらにその上を行く。
見分色の覇気を応用して霊子を用いて空間を、剣八を、バンビーズを、卯ノ花を感知する。
斬撃を避け、受け流し、武装色及び強化した腕で防ぐ。
「面白れえ。面白れえ!!」
剣八を殴る。叩く。蹴る。切る。
一瞬でボロボロの肉体がさらにボロボロになる。
だが剣八は太々しく笑い、切りかかってくる。
(段々速く、強くなっているが・・・)
「舐めるな!」
俺は更に上に行く。
生まれ持ったものだけなら俺よりも剣八のほうが恵まれているだろう。
だが俺は鍛錬だけは人一倍してきたし、何より・・・
「俺が負けたらリルトットが困るだろうがぁ!!」
剣八が両の手で野晒を握り振り下ろす。
避けようと思えば避けれるだろうが・・・敢えて正面から打ち砕く!
「静動轟一!」
「神の肉体」を俺の制御下に完全に置く。
野晒を弾く。
拳が少し切れるが、刀身はひび割れ、剣八に拳が突き刺さり、剣八の肉体を構成する霊子を伝って身体の中と外を同時に破壊する。
「流桜・・・」
「ハハッ!」
剣八が血反吐を吐いて倒れる。
霊子の足場も作れないのだろう。
地上に落ちていく剣八は同時に見る間に霊圧が小さくなっていく。
そしてそのまま地上に廃墟に墜落。
卯ノ花が血相を変えて剣八の元に駆け寄っていくがこっこぞとばかりにバンビーズが邪魔を行うせいで近づけない。
「最後まで楽しそうに笑ってやがった・・・。」
俺は恐るべき強敵である剣八を倒したことで気を抜いた。
俺が卯ノ花に攻撃を加えるリルトットちゃんの様子を見降ろしていると顔に影が差す。
「嘘だろう?」
頭上を見上げると、そこには斧を振りかぶった赤鬼がいた。
「ガアアアアアアアア!!!!!!!」
更木剣八が卍解したのだ。
油断していた俺はソレを避けきれずその身に受ける。
袈裟懸けの斬撃。
(ヤラれた!!原作知識で卍解という可能性があるのに油断した俺のミスだ!!)
霊子をかき集めてほぼ泣き別れ状態の肉体を再構成、同時に乱装天傀で身体を手動操作に切り替える。
なんとか首を動かすが、解放された剣八の力に剣八自身の肉体が耐え切れず原作のように腕が千切れかけている。
にも拘らず、斬魄刀が慌てて力の開放を止めたのか徐々に元の状態に戻っていくが、剣八は此方に飛び掛かって来る。
「死んでたまるかあああ!!?」
どうにか剣八の斬撃を避けようと足掻くが俺の身体は今にも千切れそうで全く動かない。
それでも生にしがみ付き吠えた。
だが現実に身体は動かない。
時間がゆっくりと流れだす。
眼前には斬魄刀の刃。
これが走馬灯というやつか?
何か手は無いのか・・・。
まだ・・・更に何か掴めそうなのに・・・
リルトットちゃん・・・。
おや?
遥か遠くのバンビエッタが、
ナニカを抱えて、
爆発させて、
そのナニカがこっちにカッ飛んでくる。
ナニカは人の形をしており、剣八の一撃が届く間際に剣八に激突した。
「ガ!?」
「」
飛んできたのは気絶したまま全身に静血装を発動したベレニケだった。
ベレニケの体当たり(?)により止めを刺された剣八はついに気絶し再度落下。
ベレニケもそのまま落下。
俺は最後の力を振り絞り、剣八を“The Jail”で封印する。
後はリルトットちゃんがどうにか剣八の身柄とネタに卯ノ花と交渉してくれるだろう。
薄れる意識の中、般若の顔でこちらに走ってくる卯ノ花を見た気がするが俺は何も見なかった。
ベレニケ君は本作では防御に特化しています。
またベレニケ君には当初から何かしら剣八に意趣返しさせるつもりでしたが何故かこんな形になりました。
次回は遂にペペ様が登場します。
まあ原作通りでリルトットちゃんに手を出しますので・・・ねえ?
死にます(無慈悲)