とある一般聖兵の日常   作:チョコラBB

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あけおめ!
エアコンが壊れました!


20話

聖文字“L”の聖十字騎士団 ペペ・ワキャブラーダは瀞霊廷侵攻に伴い、その能力で自分の手駒を増やしては次の犠牲者を手駒にするという風に自身の勢力を拡大していた。

彼の能力(ザ・ラブ)は手でハートマークを作り、そこから霊圧を飛ばして敵の体にハートマークをつけることで敵を洗脳する能力である。

簡単にいえば能力を使用された相手はペペを心底愛して彼のために自分の意志(・・・・)で全力を尽くすというエロ〇人そのものの能力である。

尚、能力は愛を植え付けるため心を持つものしか操れないが、逆を言えば心さえあれば物でも操ることが可能である。

尚、ペペ自身もその能力をフル活用して敵も味方も自身に不都合な相手は洗脳し、使い潰すという悪辣さ、合理性を兼ね備えた性格であるため、原作では味方であるミニーニャを洗脳しリルトットを襲撃させて手柄を独占しようとした結果、マユリのゾンビ軍団により失敗、最終的には報復としてリルトットに食われて死亡している。

ではこの世界ではどうなっただろうか?

 

この世界では剣八、ジュダス、ベレニケが墜落した後、特記戦力更木剣八という大手柄を得るために、バズビーなど他の聖十字騎士団と共に落下地点へと駆け付けた。

また同様にジュダスという脅威の排除、剣八の救助という目的のため生存している隊長・副隊長格の死神たちも落下地点に駆け付けた。

結果、般若顔で周囲を警戒しながら剣八を治療する卯ノ花烈と彼女に対して警戒しながらジュダスを治療するバンビーズ、気絶して放置されているベレニケ、それらの周囲を滅却師と死神の残存勢力が囲むという一触即発の状況となっていた。

 

しかし現在はとある異常事態の発生により双方一時休戦となっていた。

突然どちらかの勢力が心変わりをして和解をした?

そんな訳はない。

単純に双方にとって強大な敵が生まれたからである。

 

残存勢力が集結してからしばらく舌戦が始まった。

バズビーなど血の気が多い聖十字騎士団がボロボロの死神たちを挑発し、それに対して死神たちが皮肉を返し煽り返す。

外見は可愛らしい滅却師の少女が話したと思ったら、カマっぽい死神がその少女が男の娘であることを暴露して挙句には「精液臭い」と非常にセンシティブな煽りを行う。

ソレにブちぎれた男の娘がゾンビ化した死神を出したら、対抗して光り輝く死神がヤバい薬を投与してゾンビを奪ったり、ゾンビ化した破面を投入したり。

最終的には超シリアスな空気の中、破面・死神・滅却師という3種族のオカマ(男の娘含む)3人が煽り合うという地獄のような状況となった。

 

「ゲッゲッゲッ隙ありだネッ!」

 

そんな中、事前に洗脳して死神たちの中に紛れさせていた檜佐木修平を動かし、ペペは特記戦力である更木剣八と卯ノ花烈を洗脳することに成功した。

まあ剣八は気絶しているし、檜佐木も光り輝く死神に危ない薬を投与されて沈黙してしまったが、ペペ的には問題はない。

卯ノ花烈一人でも更木剣八に比肩するほどの戦闘力を持っているのだから。

いま彼の脳裏には死神も他の聖十字騎士団もすべて葬り、または洗脳して自分一人が手柄を独り占めにする未来でいっぱいだった。

まずは自分の身を守るために卯ノ花を自分の前に配置し、生き残った雑兵たちも集める。

さて警戒されているが、もう少し手駒を増やすまでは卯ノ花達に損害が出ないよう立ち回らなくてはいけない・・・そうペペが思考を回していた時、ソレは起きた。

 

ザシュッ

突然卯ノ花が刀を一閃、ペペを切り裂いたのだ。

 

「な、なんデ!?」

 

痛みと驚愕と共に倒れ伏すペペ。

能力は解けていない。

間違いなく卯ノ花烈はペペの術中に嵌っている。

では何故だ!?

ぺぺは混乱と共に卯ノ花を問いただした。

 

「何デ、何でMEを切るんダ!?卯ノ花烈!!ボクのことを愛してなイノ!?」

 

「? これは異なことを・・・ペペ様のことをお慕いしているに決まっているではないですか?」

 

心底不思議そうに、穏やかな慈母のような表情で卯ノ花はペペに返答する。

表情と実際にやっていることがかみ合っておらず非常に異様で、周囲の死神も滅却師も警戒し、少し距離を取る。

 

「じゃあなんでダ!?」

 

「ええ。ペペ様のことを愛しております。だからこうして斬りあおう(・・・・)と思ったのですが、ペペ様も真剣にやってください!」

 

プンプン!といった擬音が見えそうな口調であるが、血の滴る刀を持ったまま血だまりに沈むペペも前に立つ卯ノ花。

ペペも周囲の面々も卯ノ花の言葉を聞き、その異常な愛に言葉を失う。

 

「へ?・・・はあ!?オカシイだろうが!?」

 

混乱の極致、卯ノ花の言葉をかみ砕いて理解したペペは彼女の異常な価値観に愛し方に心底恐怖した。

ペペはこう見えて「愛」まつわる能力に目覚めただけあって「愛」に対してそれなりの考えを持っている。

「愛」には様々な形がある。

シンプルに相手を大切にする、性愛を感じる、自分を犠牲にする、相手に意地悪を、複数を相手に、実に様々な形がある。

なるほど、究極的には相手を自分一人で独占するために相手を束縛する、暴力的な手段を取る、過去洗脳したものたちの中にもそんな人間はいた。

だがうまく言語化できないが、卯ノ花烈、彼女のソレはそういった過去の事例のどれとも異なる気がする。

生理的な嫌悪と共にペペは能力を解除した。

ペペは経験上、能力を解除した際それまでとの落差によりしばらく相手がフリーズすることを知っていた。

もちろんフリーズが収まれば、烈火のごとく激怒するが、どうせ今のままでも切られるのならばフリーズした隙に距離を放し、気絶した更木剣八を起こすしかない。

愛する自分のために全力で守ってくれるだろう。

 

「解除!」

 

ザンっ!!

 

ペペの予想通り、確かに卯ノ花はフリーズした。

だが彼女は無感動に、すぐさま刀を振るい、ペペを両断した。

 

「エ・・・・?」

 

「・・・・・」

 

怒りのあまり一周して完全な無となった卯ノ花の表情。

ペペの背後にある街並みが1㎞近く深い亀裂を刻まれる。

 

「「ええ・・・?」」

 

ソレを見て周囲の死神と滅却師はドン引きである。

洗脳が解ければ怒るのは当然だ。

だけどコレは・・・ヒク。

愛し方もアレだし、解除された瞬間フリーズせずにとりあえず切るあたりヤバい。

聖十字騎士団もペペについては嫌われて当たり前の人格をしていたので好感度が低かったのだが・・・珍しく憐れみを覚えていた。

 

「タイチョー・・・?」

 

先ほどまでのジュダス・バンビーズ相手のキリングマシーンっぷりに引き続き、卯ノ花の異常な「愛」を見た虎徹勇音の瞳からはハイライトが消えていた。

某元五番隊隊長にブっ刺された某五番隊副隊長を彷彿とさせるその絶望顔は、一部有識者もニッコリだ。

 

(え・・・?何この空気?)

 

治療の甲斐あって、ちょうど卯ノ花が洗脳されたあたりから目を覚ましていたジュダスはとりあえず寝たふりを続けた。

意識が戻ったといってもまだ満足に動けないし、なんというか関わりたくなかったからだ。

ジュダスは剣八の霊圧を探る。

反応があった。

 

(おい剣八お前寝たふりするんじゃねえよ!?お前の嫁だろ!どうにかしろよ!?)

 

(・・・・・・・)

 

ジュダスは霊子を操り空気を操作、剣八の耳元に音を飛ばす。

 

(狸寝入りじゃん!いつもの戦い上等な十一番隊はどうしたんだ!?)

 

(うるせえ・・・。俺は今気絶してるんだ。話しかけるな。)

 

(ウッソだろ?お前本当に剣八?ウォーモンガーだったお前がそんな逃げ腰になるなんて・・・)

 

(俺は戦いが好きなんだ。最初から負けるのが分かる戦いですらない物に誰が好き好んで関わるか。)

 

(お前、いつも好き好んで関わってるじゃん(断言))

 

二人が小声で話し合う。

(剣八の分もジュダスが空気を振動させて耳元に声を飛ばしている。)

卯ノ花とペペにより生まれたこの異様な空気の中、関わりたくない二人は目を覚ます気配はない。

 

「いい加減起きろ!ジュダス!!」

 

「アイタッ!?」

 

だがさすがに延々と小声で口論を繰り返していれば周囲に気づかれる。

特にジュダスのそばにいるリルトットはもちろん、剣八センサーを常備している卯ノ花にもだ。

 

「・・・剣八、起きているのでしょう?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ。」

 

((凄い嫌そう・・・。))

 

嫌々、本当に嫌々と剣八が起き上がる。

まだボロボロであるがその流血は既に止まっていた。

 

異様な空気が解かれ、再度死神たちと滅却師達の間に戦意が高まる。

あるものは斬魄刀を、矢を、能力を構える。

ジュダスも置きあがり拳を構える。

リルトットはそんなジュダスの前に立ち口を能力によって伸ばした。

 

そんな時、天から光が降ってきて何人かの滅却師の肉体を貫いた。

 

 

 




尚、チャンイチは飛び降りたけど死神たちどうにかなりそうだった上に陛下が霊王を襲撃しているのを知ったため再度頑張って霊王殿へ登っています。

主人公の数少ない見せ場が一つ減りました。
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