「ねえジュダスあんた序列ってものが分かってないようね。」
「はあ序列ですかバンビエッタ様。」
日々鍛錬に励むジュダスは先日の〇竜神降臨から頻繁にバンビエッタに絡まれるようになった。
その際狂乱したとはいえ敬愛するリルトットを爆破しようとした彼女については、彼の中で噛みすぎて味のしないガムより僅差でマシという扱いである。
面倒くさいと感じているジュダスは近くにいるリルトットや他のバンビーズの面々に助けを求めるが目線を合わせて貰えなかった。
「まあ・・・確かにな。」
「だよな~。変な動きでアタシたちをからかってたもんなあ。」
「そうだよね~。キャンディちゃん天井に張り付いたジュダス君に驚かされたり超高速反復横跳びで涙目だったもんねえ。」
「ウルセエ!焼き付くされてえか!?ジジ!」
「何気にワタシの拳相殺されてショックでした。」
先日少しハッチャけすぎたようで助けがない。
俺の直属の上司にして付き合いが一番長い親友は、俺を見捨てていた。
ガッデム!
「・・・それで今日は何ですかバンビエッタ様?」
「ひう。あ、あんた最近私の扱い雑じゃない・・・?」
「気のせいではないでしょうか?バンビエッタ様。それで具体的にはどうすればよろしいので?」
「そ、そうよ!最近少し私たちに対するアンタの態度が悪いのよ!だからまずはアンタが私たちのことを心の奥底でどう思っているのか確認することにするわ!」
塩対応しているのはバンビエッタだけのつもりなのだが。
再度リルトットたちを見るが助けてくれる気はないようだ。
「それでどうすれば良いのでしょうか?」
「その為に今日は協力者を連れてきたわ!」
バンビエッタの声と共に一人の男が部屋に入ってきた。
星十字騎士団「Q」ベレニケ・ガブリエリ
それが男の名前だった。
「僕はベレニケ。今日はバンビエッタに脅s、協力を依頼されてね。
僕の力「異議(The Question)」を使うんだ。もちろん本来の使い方とは異なるが質問を行うことでその解答を強制させることが出来る、もちろん嘘はなしだ。」
「そうよ!だからアンタは今から私がする質問に嘘をつけないの。覚悟することね!」
(気に食わない答えをしたからと言って、どうするつもりなんだろう?全力で反抗するつもりだけど。)
「まずは手始めに・・・そうねえ。このベレニケについてどう思っているのかしら?」
「えっ僕?」
「影の薄い人」
「君酷くない?」
「そんなの当り前のことじゃない。もう少しないのかしら?」
「能力を説明する間もなく登場して1コマで喉えぐられて殺されそう。」
「怖っ!?なにその具体的かつむg「まあそんなものね。」そんなものなの!?」
ベレニケさんは素晴らしいツッコミ力だな。
「じゃあ・・・本番よ!アンタ私の事をどう思っているのかしら?」
「顔、スタイル共に美しく非常に好みの容姿をしています。胸は大きいのに腰は細くすっとした長い脚など100点満点に近い。また黒髪ロングなどもかなり得点が高いですね。俺が知っている女性の中でも3指に入ります。」
なんだと!?
俺の内心が暴かれていく!
ベレニケ、なんて恐ろしい男なんだ!?
俺の性癖が、聖域が白日の下に晒されてしまう!!
「へ、へえ。ふ~んアンタ私に事そういう目で見てたのねえ!まあ身体はなかなか良いモノを持ってたけど、アンタみたいなフツメンには欠片も興味はないけど!」
イラっ
「ただ・・・」
「・・・ただ?」
「内面が男が想像する女性の嫌いなところだけを集めて煮込んだようなクソみたいな性格なので、外見と合わせて総合的にマイナスですね。嚙みすぎて味のしなくなったガムにギリ勝てるくらいの好感度です。」
「ハア!?何よアンタ!!ぶっ殺すわよ!?」
「前半の外見については凄い高評価なのに、総合で味のしなくなったガム程度の好感度って・・・中身クソ過ぎない?」
ベレニケさん割と言うね。
「オイ!ジジがまた爆笑し過ぎでビクビクしてるぞ!?」
「ジジ様がまた死んでおられるぞ。」
「~~~~じゃ、じゃあミニーニャ、ミニーニャのことはどう思ってるのよ!?」
「え、ワタシですか?」
「発育の暴力。」
やべえぇぇぇ!
セクハラで訴えられたら完敗だよ!?
バンビエッタならどれだけイジっても問題ないけど他のメンバーは不味い。
これ以上は色々な意味で・・・
「おっぱいが大きくとても全身がフワフワと柔らかそうな可愛らしい容姿をしています。」
ストップ。
まじでストップ。
「ただあまり接点がないせいか内面についてはよく知らないので、少し重そうというか怖い女ってイメージがあります。」
やばい。
前半とは別の意味でヤバい。
前半がセクハラ的な意味でヤバいが後半は生死的な意味でヤバい。
「・・・・・」
なんかリアクションしてえ!?
「プッじゃあジジは?」
バンビエッタ本当に性格が悪いな(確信)。
お前気づいてるか?
ミニーニャ様の視線俺だけでなくお前にも向いてるぜ?
ベレニケさんなんか顔面蒼白で静血装展開してるっていうのに・・・。
うん部屋の出入り口が塞がれた。
「可愛らしいですね。あとニッチな分野で凄いファンできそうですよね。」
「ん~まあねえ!」
セエェェフ!
ある意味一番ヤバそうな気配のするジゼルさんは喜んでいる。
マジセェェフ!!
「でも自分ボンッキュッボンが好みなのでそう意味ではあんまりですね。そもそも可愛くても男の娘は俺の対象外です。」
ピシっ
ジゼルさんが停止した。
「・・・・」
なんかリアクションしてえ!?(2度目)
「ひっ・・・じゃ、じゃあキャンディスは!?」
「え?・・・ジゼルって男なの!?嘘だろ・・・かわいいと思ってたのに・・・。」
オラ!バンビ!まだ被害を広げるつもりなのかコラ!?
何気にベレニケさんにも流れ弾が飛んでってるぞ!?
「キャンディス様は派手な容姿ですが美人ですし正に理想のボンッキュッボンですね。ギャルっぽい感じも俺は好きですね。内面もキツそうですが、普段の様子を見ていると・・・何というか・・・割と真面目というか可愛い気がしますね。」
「・・・・」
なんかリアクションしてえ!?(3度目)
「でも普段の言動からビ〇チというか性に奔放そうな感じなんですよねえ。まあそれでも男としては興奮しますし、処〇厨というわけでもないのでバッチコイなんですけどお付き合いしてからもビッ〇は勘弁してほしいです。自分NTRれ趣味無いので。」
「・・・・」
なんかリアクションしてえ!?(4度目)
それほど酷いこと言ってない気がするけど、位置取り的にキャンディスさんの
様子が全く分からないんで怖いんですけどぉ!?
「ん~じゃあリルトットは?」
バンビ何が不満なのか。
既に俺も含めてこの後は地獄絵図しか想像できないぞ。
見てみろよ?俺たち以外の聖兵皆逃げたんだぜ?
「リルトットですか・・・彼女は実は同期でしてその時からの付き合いですので、本当に長い付き合いです。」
ヤメロォ!?
「彼女も口調がキャンディス様と同様で乱暴というか荒いですが、見ての通りとても可愛らしい容姿をしています。ある意味あのキュートな少女然とした容姿に「オレ」という男っぽい一人称に乱暴な口調のミスマッチも中々に魅力的、ああこれがギャップ萌えか。
ほかにもあの綺麗でサラサラの髪、いつもちゃんとケアしていて帽子をぬぐとキューティクルが整っていて天使の輪が輝いているんです。常時完聖体といっても過言ではないと思うんですよ。内面でいうと常に努力を欠かさず頑張り屋さんでしていつもクールを装っているんですが可愛いモノやあまいものが大好きなんです。彼女の能力上食事が多いのでよく自分が作るんですがいつも美味しそうに食べてくれて美味しいとお礼を毎回行ってくるし、片づけを手伝ってくれて、もちろん仕事の時の自分の仕事をきっちり行ったうえで俺を助けてくれたりねぎらいの言葉をかけてくれて・・・あああとは彼女も料理が旨いですし、掃除など家事一通り出来るんです。女子力は凄いです。・・・本当にいい子ですね。(早口)
つまりですね、リルトットは凄く可愛くて魅力的な女の子なんですよ。」
「ア゛ア゛ア゛ア゛アアア!!」
「オイ、リルトットの奴両手で顔を覆って動かないぞ?顔真っ赤だ。」
「リルちゃん悶えててか~わいい!」
「リルトット先輩死にかけのウーパールーパーみたいで可愛らしいですね。」
「え?コイツを貶めようと思って聞いたのに・・・何コレ?」
「俺もう帰っていいかな。凄くブラックコーヒー飲みたいんだけど」
「まあ自分の好みであるボンッキュッボンではないので今のところ性的な意味ではピクリともしませんが・・・これで体型も理想的だったら大変でしたね。きっと俺のバスターがバインバインするところでしたね!」
「ねえ唐突に私の名前を卑猥な表現に使うの辞めてくれない?」
「オイ、リルトット凄い虚無顔で私の胸ガン見するの止めてくんない?」
「とりあえずジュダス君は土下座した方が良いと思うな。」
「ねえ甘酸っぱすぎるんだけど。帰っちゃダメか?」
「どうぞブラックコーヒーです。」
「ありがとう。ミニーニャちゃん」
唐突だが俺は以前から思っていたことがある。
無数の糸状に縒り合せた霊子の束を動かない箇所に接続し、自分の霊力で自分の身体を操り人形のように強制的に動かす超高等技術 乱装天傀。
これは体外に動きの起点を作って自分の身体を霊子でコントロールする技術なのだが、霊力のロスも大きく、霊子の束そのものを砕かれるとすぐさま身体が動かなくなる。
俺は先の血装の鍛錬をする過程でこの乱装天傀を体内から起動することでそれらのデメリットを解消するに至ったが・・・同時に新たなメリットが2つ生まれた。
一つ目は隠密性。
体内で完結する事象のため、白眼でもない限りまず気づかれることがない。
二つ目は肉体操作への干渉。
精神または肉体に干渉するタイプの能力を受けた際、俺自身の制御をオートからマニュアルに切り替えることで、都度正常な状態へ修正することが可能なのだ。
流石に干渉されていること自体気づけない類だとそもそも無理なのだが・・・
つまり今回のように肉体を操作し質疑に答えるよう強制させる状態なら解除することが出来るのだ。
(・・・肉体の操作権は取り戻した。霊子の操作による飛廉脚改良版もイケる。
そして・・・アレもイケる!)
「最後に一つ言いたいのは・・・」
床に座り霊子の路を作る。
イメージとしてはどこぞの戦闘機人の使うウイングロードだ。
一瞬で道を作り、一瞬で駆ける!
失敗すれば俺はここで社会的にも物理的にも不味い気がする!
宙を浮かぶ道を作る。
自分の身体を加速し、道を駆ける。
まだ足りない。
向かい風の影響を少しでも少なくするために寝そべる。
最後に・・・揃えた両足を静血装で防御して霊子に点火する!
「今からしばらく休暇をとります。」
バンビーズの面々がこちらの意図に気付き動き出す。
・・・リルトットちゃん滅却師完聖体まで使わなくてもよくない?
「爆撃(The Explode)」
ドオン!!
一気に加速して俺は窓から飛び出した。
星十字騎士団最高位ハッシュヴァルトの朝は早い。
日中はユーハバッハの補佐に加えて他の癖の強い星十字騎士団員たちの監査及び指示を行う。
その他にも個人で滅却師達の避難先の手配もある。
もちろん自身の鍛錬も欠かせないし、ユーハバッハの急な思い付きで余計な仕事が増えた時などThe Balance(ザ・バランス)を使用してこっそりバズビーに不幸を押し付けようかと考えるほど多忙を極める。
「今日もいい天気だ。」
ハッシュヴァルトは爽やかな朝日を見るのが好きだ。
美しいし、生命力に溢れており、自身にも活力が沸いてくる。
この日も彼は朝日を眺めて己を奮起させていると・・・
「涅槃のポーズで空をかっ飛ぶ不審者」と目が合った。
「なん・・・だと・・・!?」
ハッシュヴァルトにとって忘れられない夜明けとなった。
シャンフロのギャラクシア・ヒーローズ編は良いぞ!