ゲーマー兄妹はVRMMORPGを始めたそうです。 作:EDFストーム1
今回はステフ回?
それでは第二十一話です、どうぞ!1
攻略会議もキバオウの乱入もあったが無事に終わり、今は攻略に集まったメンバー達で飲み物などを飲みながら盛り上がっている。
俺達5人はそんな中、攻略会議が終わった後にすぐどこかへ行ってしまったもう1人のパーティメンバーのアスナを探している。
そして探し始めてすぐアスナを探し出せた。
彼女は人気の少ない花壇に座りながらこの街で売っているパンを食べていた。
「結構ウマいよな、それ」
アスナに最初に話しかけたのはキリトだった。
「そうかぁ?正直あれがないと全く美味いと思わないんだが」
「単体なら...カロリーメイトの方が...まし...」
「たしかにあれだけじゃそんなに美味しくはありませんわね」
「僕も同感かな〜 そんなに美味しくないと思うよ」
俺達の声にアスナも気づきこちらに振り向く。
「お前ら贅沢いうなよな〜、隣座ってもいいか?」
アスナはなにも言わずコクリと頷く。
キリトはアスナの隣に座るが近過ぎるのかアスナは少し距離を取った。
さすがに全員は座りきれないので俺達四人は後ろに座ることにした。
そして俺達も袋から同じパンを取り出す。
「あなた以外は美味しいと思ってないようだけど本気でこんなのが美味しいと思ってるの?」
「そりゃあパンだけじゃ俺だって美味しいと何か思わないさ、でも俺やあいつらもこの街に来て一日一回は食べてるぞ、まぁちょっと工夫はするけどな」
「工夫?」
俺はアイテムストレージから小瓶を取り出してアスナの隣に置く。
「そのパンに使ってみろよ、触れれば使えるからさ」
キリトが進めたのでアスナは小瓶に触れてみる、すると触れた指が青白い光を纏った。
青白い光を纏った指でアスナはパンをなぞる、すると....
「クリーム....」
アスナが使い終わった後にキリトもパンにクリームを塗り、パンを食べる。
するとクリーム使用回数が切れ、小瓶はパリンと砕け散る。
数秒間パンを見つめていたアスナもクリームをぬったパンを口に運ぶ。
「!!」
どうやら気に入ったようで一瞬でパンをたいらげた。
「一つ前にあったカサンカ村で受けれるの逆襲の雌牛ってクエストの報酬なんだがこのクリームはちょっと違うんだ。
後ろに座ってるステフがクリームをを解析してそれをさらに美味しく改良、量産したのがこのクリームなんだ。でも毎回思うが始まってそんなに日にち経ってないのによくそこまで料理スキル上げれたな、空達の実力にも驚いたけどこっちの方が驚いたくらいだぞ....」
空達の圧倒的な技量にも驚いたが、まだ第一層なのにほぼ料理スキルコンプリート済みって...
一体どの時間帯で料理の練習なんてしてたんだ?
それとも現実世界のパラメーター補正?でも補正でほぼコンプリートってステフってもしかして有名な料理家かなにか!?そんなことを考えるキリト。
このステフの料理スキルのパラメーター補正。
このソードアートオンラインを初めてから料理をしたのは酒場で働いていた時だけなのでゲーム内で熟練度などほとんど上がってない。
だがここまで補正が掛かる程、現実世界でのステフの料理の腕前はあるのか?
結論から言うとステフの腕前はとんでもなく上がっていた。
ステフが小さい頃からエルキアは消耗していた。
作物を作る土地も奪われ砂糖や小麦などもほとんど売られていなかったのだ。
なので食べ物も貧相なものになりお菓子など全く甘くないような事態になってしまうのも当然だ。
だがステフもこの時代はまだまだ子供、子供は皆お菓子や甘い物が好きだが砂糖などの物資も少なくドーナツはドーナツの形をしたパンのような状態である。
なのでステフは甘いお菓子を自分で作る事を考えた。
幸いにもステフは国王の孫娘、お菓子作りの原料は市民達と比べても多い、最初は使用人や本を読みながら作り初め、慣れた頃には自分でアレンジなどして料理をしていった。
そして数年後、空達が来た頃にはかなりの料理の腕前になっていた。
ステフが大きくなるまでにさらに小麦などの生産が減ったがそのころのステフは僅かな量の作物でも美味しいお菓子を作れる程になっていた。料理自体もそれなりの腕だがお菓子作りに関してはかなりの腕だった。
空と白が国王として戴冠してからも二人の食事は大体がステフの手作りだったり、空達が他国を引き込んで領地が増すに連れ、どんどん作物なども増えていきレパートリーもかなりの量になっていったのだ。
そんな暮らしをエルキアで過ごして来たステフの腕はもう店が出せるレベルまで成長していた。
これがステフの料理スキル補正の真相だ。
「最初にキリトさんに貰ったクリームはどちらかと言うとマーガリンみたいな味がしていたので酒場で働いていた時に教えて貰った実を混ぜて甘さを増やして、このクリームの原料も迷宮区までの道の間で採取できるものだったんで量産してみたんですの。
お口にあって貰えたなら作ったかいがありましたわ」
ステフは嬉しそうに解説してくれた。
どうやら料理スキルが無駄にならなかったことがやはり嬉しいようだ。
「どうですの空!やっぱり料理スキルは必要ですわよね!!」
「でも空腹感が満たされるだけだしやっぱりそこまで必要じゃなくね?」
「なら空にはクリームあげませんわよ!」
「残念だったなステフ、こうなるって予想できてたから俺は昨日の分のクリームを残しておいたのだ!」
「なっ!?」
「惜しかったな〜ステフ、まぁ全く無駄って訳じゃないってことは認める。
さすがにあんなクソまずいパンだけなんてゴメンだ」
空は全く無駄じゃないということは言ったがまだ認めたのは”多少”である。
ステフは空に「料理スキルはやっぱり必要だ」と言わせようと心の中で野心を燃やすのであった。
そんなステフの話はおいといて、先ほどまで無口だったアスナもここでようやく喋り出した。
「確かにこのクリームは美味しいわ、どうもありがとう。
だけど美味しいものを食べる為に私はこの街まで来た訳じゃない」
「じゃあ何の為に?」
「私が私でいるため。最初の街の宿屋で閉じこもってゆっくり腐っていく位なら、最後の瞬間まで自分のままでいたい。
たとえ怪物に負けて死んでもこのゲームに、この世界には負けたくない。どうしても」
アスナが話終えるとキリトは最後の一口でパンを食べ終えて言った。
「パーティメンバーには死なれたくないな、せめて明日は止めてくれ」
「あぁ、まったくだ。だが安心しろ、別にキリトだけってわけじゃないんだ。
お前を死なせるような事は絶対させねーよ」
「白も...そう思う」
「そうですわよ、そんな暗い考えはいけませんわ!」
「ま、僕も皆と同じ意見かな♪それに...」
テトは思い出す、はじまりの街で言ったあの言葉を。
(君の思惑通りにはさせたくないから、ね☆)
話が終わり明日のパーティの集合場所を確認して俺達は各自の宿屋へと戻っていった。
「にぃ...明日の攻略...大丈夫?」
「あぁ、メンバーのレベルも十分ボスに対応できるくらいにあげて来てるだろうしプレイヤー達のやる気も心配なさそうだ、だが一つ気になるんだよな...」
だが、空は攻略会議のときからあることがずっと気になっていたことがあったが、攻略会議が終わった後にそれが確信になった。
「何が気になってるんですの?」
「ディアベルだ、あいつ何かを隠している気がする。
キバオウが乗り込んで来た時も少し目が動揺していた。
それにさっきも集まったプレイヤー達と喋りながらディアベルは俺やキリトのことを少し気にした様子でたまに見ていた。
しかも視線を感じるようになったのも攻略会議の後からだ。
俺とキリト、それにキバオウの発言が関係してることは...」
「ベータ...テスターの事、ですわね」
「あぁ、ディアベルがβテスターと関係があるのは間違いないだろうがどんな関係なのかがわかんねーんだよなー」
βテスターに恨みがあるのか、それとも俺達がβテスターだということを気にしているのか、あるいは...ここで空の頭の中で最悪の状況が思い浮かぶ。
確信はないがもしこんなことになった場合は.....
「こんなことにならないことを祈りたいが、今から言う事ちゃんと聞けよ。
もしかするとこの第一層攻略、今後の進行を左右するもんになりそうだ」
空の表情が真剣をしながら白、テト、ステフに作戦を伝える。
「そんなことありえますの!?」
「にぃ...これは...でも...」
「確かに辻褄は通ってるね、こうなると厄介事になるのは間違いないね」
「あぁ、だがあくまでも可能性の話だ、だがもしこうなったら...覚悟を決めるしかないな。
これで俺の話は以上だ。明日は攻略なんだ、もう寝るぞ」
そう、全ては明日の攻略で全てが決まる。
明日の決戦に備え俺達は眠りについた。
アニメで女キリトが出て来た瞬間、キターー!!って叫んでいたストーム1です。
期待していた予測線を予測するあのシーンも見れて大満足♪
あとキリト君はアスナを真似してたのかなあれ?
次回はやっと第一層攻略戦です! それでは次回、お会いしましょう!