ゲーマー兄妹はVRMMORPGを始めたそうです。   作:EDFストーム1

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22話目にしてやっと第一層ボス戦ですね〜
ボス戦=長くなるの関係になりそうな予感.....

それでは第二十二話です、どうぞ!




再戦!vsイルファング・ザ・コボルドロード

西暦2022年12月3日11時。

俺達は現在攻略メンバー達と共にトールバーナと迷宮区の間にある森のフィールドを歩いていた。

 

「確認しておくぞ、俺達の担当はボスのイルファング・ザ・コボルドロード だ。

 取り巻きのルイン・コボルド・センチネル は俺達以外の班の担当。

 スイッチで各隊の場所が移動したりするが俺達はボスの足止めが中心で取り巻きを倒した隊からボスへの攻撃に参加していく作戦だぞ」

 

「わかってる」

キリトの確認にアスナは即答した。

 

「しっかしやっぱり俺達がボス担当か〜

 βテスターだってばらしちゃったし当然っちゃ当然か」

 

攻略会議で俺とキリトがβテスターだとばらしてしまっている。

当然危険度が最も高いボスに経験があるβテスターをぶつけるのは当然だ。

 

「にぃ...よけいな...ことを」

「妹よ、だがあんとき武器のことを指摘しないで後で犠牲者が出たらそれこそ大変なことになるぜ。βテスター達が黙ってた、みたいなことになりかねない。

 そうなったらすでにβテスターだってことをばらしてたキリトにどんな視線を向けられるかなんか考えるまでもないだろ」

 

ただでさえキバオウのことがあったくらいだ、βテスターの非難っぷりは目に見えてる。

こんなボス攻略なんて大事な時にβテスターがボスの情報を隠していたせいでビギナーが死んだなんてことになればβテスター達がどうなるかなんて誰だって察しがつく、そんなことにさせないために俺はわざわざβテスターだと明かしたんだ。

 

「僕はボスと戦える方が全然いいんだけどね〜」

 

テトはβテストの時は取り巻きとしかまともに戦わせてもらっていなかったから今回はボスの相手をさせてもらえるので嬉しがっていた。

 

「テトは本当余裕だな...ボスの相手なんて普通そんなにしたくないだろ。

 まぁいい、作戦は俺と空でボスの斧をソードスキルで弾くからその隙に残りの四人はボスにすかさずスイッチで飛び込んでくれ」

 

「ん...了解」

「うん、まかせてよ♪」

「が、頑張りますわっ!」

「スイッチって?」

 

三人が返事をする中、アスナの返答は疑問形だった。

 

「え、もしかしてパーティ組むのこれが初めてなのか?」

(まぁ俺も空達と迷宮区で組んでなかったら初めてだったけどな)

 

キリトは、はじまりの街からこのトールバーナまでの間でプレイヤーと会話をしたのはクライン、コペルだけだったのでキリトも空達と迷宮区で組むまでは一度もパーティを組んだ事がなかった。

 

「うん、パーティは初めて」

「そうか...なら歩きながらでもコツを教えとくよ」

 

俺はアスナにスイッチのコツ等を教えながら迷宮区へと進む。

 

 

 

 

 

 

 

トールバーナから出発してから2時間。

攻略組達はやっとボス部屋の前までたどり着いた。

戦う前に各自、最後の確認をし終えてディアベルが前に立つ。

 

「聞いてくれみんな、俺から言う事はたった1つだ、勝とうぜ!いくぞ!!」

 

 

ディアベルはそう言い終えるとボス部屋の扉を開く。

ディアベルを筆頭に少しずつ部屋に入って行くプレイヤー達。

俺達はディアベルの次にボスの部屋へと入った。

プレイヤー全員がボス部屋に入ると辺りが怪しく光り出し、奥の玉座に座っていたこのフロアのボス、イルファング・ザ・コボルドロード が雄叫びと共に姿を現した。

雄叫びと共に取り巻き、ルイン・コボルド・センチネル3体も姿を現す。

 

「攻撃開始ーー!!!」

「「「「「うおおおおおぉぉぉぉーーーーー!!!」」」」」

 

こちらに向かってくるイルファング・ザ・コボルドロード 達にディアベルのかけ声と共にプレイヤー達は立ち向かう。

 

「A.B隊は左、C隊は中央、D.E隊は右のルイン・コボルド・センチネルを向かい撃て!

 F隊はイルファング・ザ・コボルドロードを押さえていてくれ!」

ディアベルは各隊に指示を出す、ちなみに俺達はF隊だ。

 

「さぁ〜て、じゃあ行くとしますか!」

「ちょっ!ボスってあんなに大っきいんですのっ!?」

「ぅん...ステフ...ビビり過ぎ」

「ははっ♪やっと僕もこれでボスと戦えるよ〜♪」

「お前らいくら強いからって慢心しすぎんなよっ!俺達も行くぞ」

アスナもなにも言わず頷き、空達やキリトに続く。

 

こうして第一層攻略の火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

「A隊、C隊スイッチ!D隊は防御しつつ攻撃の準備急げ!」

 

戦闘開始からはや20分、ボス攻略は随分と苦戦していた。

その理由はボスも取り巻きもβテストの時と比べものにならないくらいレベルが上がっていたのだ。

ボス攻略は大人数でボスに挑むのがセオリーだ。

しかし、βテストの時、ボスがたった三人に攻略されたとなれば話は別だ。

運営側もそんなことになれば当然、製品版のレベル調整をあげてきている。

そのせいで今のボスはlv20程度ないと歯が立たなく、取り巻きですらlv15はないと危険なほどになってしまっている。

俺達やキリトも散々レベル上げをしてきているのでレベルはこの時点で24と群を抜いているのでなんとかボスの攻撃を他のプレイヤー達から守る事が出来ている。が、他のプレイヤー達は別である。

lv20に到達しているプレイヤーは指で数えられる程しかおらず、空達を抜くと平均レベルは17程度が今の攻略パーティの現状だ。

ボスの攻撃が当たれば即赤ゾーン突入は確実、取り巻きの攻撃ですらあたればHPの1/3〜半分は持ってかれてしまう。

 

「E隊はA隊とスイッチ!E隊は後退しつつダメージを受けたプレイヤーは今のうちに回復しろ!

 B隊は防御しつつD隊とスイッチをする準備、今だ!

 F隊は取り巻きを倒すまでなんとか持ちこたえてくれ!」

 

 

今のところディアベルの指揮のおかげで死亡したプレイヤーは0だが大ダメージを負ったプレイヤーも少なからず出てきている。

 

 

「こっちも正直なかなかキツいな....よし、ステフ!お前取り巻きの方行って助太刀してこい!!」

「って空!なにを言ってますのよ!」

「今のお前のレベルじゃボスの攻撃を止めるのも危ないからさっさとあっちの方をかたずけて大人数でしかけないとこのままじゃジリ貧なんだよ!いいから行ってこい!」

 

このパーティのレベル順はアスナとステフが同じレベルだがアスナは凄まじい手だれだった。

俺や白、テトは剣先が見えるが他のプレイヤー達からみたら全く見えない程の速度で剣を突いている、動きも素早いのでボスの攻撃を回避しつつカウンタ―なども仕掛けている。

逆にステフも同じ細剣だが盾持ちのせいで素早さが落ちているし、かといって盾でボスの攻撃を受け止めるのもキツい。

ならステフをあっちの取り巻きを倒している方に向かわせた方がいい。

レベルも取り巻きになら1人で倒せるくらいにはある。

 

「わ、わかりましたわ!私が帰ってくるまでに死んだりしたら承知しませんわよ!」

 

「お前に心配されるほど俺達は弱くなんかんーよっと白!」

「ん...まかせる」

 

空はボスの横からのなぎ払いを受け流し、白とスイッチを交わし、ソードスキル”クロスエッジ”をきめた直後にすかさず”ラピッドポイト”も直撃させる。

この二つのソードスキル、クロスエッジはDEXをラピッドポイトはVITを半減させる追加効果がある。

二度の攻撃とデバブのおまけ付きでやっとボスの二つ目のゲージを削りきる。

 

「あと二つもゲージあるのかよ....

 でもさっきの白の攻撃で怯んでるっぽいしデバブもついている今がチャンスか。

 テト、俺達も行くぞ!キリト達は斧を弾いてくれ!!」

 

「りょ〜かい!ボスってやっぱりなかなか強いだね〜」

「お前ほんと余裕だな...まぁチャンスだし俺達も行くか」

 

今現在、全プレイヤーの中で最も高いレベルの白の連続攻撃でもやっと一本のHPバーの1/4削りきれるくらいと苦戦をしいられている。

しか白の攻撃でDEX、VITが半減している隙にダメージを与えようと空とテト、体勢を整え直した白が仕掛ける。

 

ボスも体勢を直し、向かってくる空達に範囲攻撃ソードスキル” グランド・ディストラクト”でなぎ払おうとするがキリトとアスナのソードスキルによって弾かれ、またも隙が生まれる。

 

「よしっ!ナイスだ、白、テト攻撃あわせろよ!」

「ん...まかせる」

「一気に畳み掛けるんだね!わかったよ♪」

 

まずテトがソードスキル”フェル・クレセント”で脚を切り崩しボスを宙に浮かす。

 

「行ったよ空!」

「おう、まかせろっ!」

 

そこにすかさず空が突進系ソードスキル” レイジスパイク”で攻撃をして吹き飛ばす。

 

「最後頼むぞ白!」

「ラ...ジャー」

 

ボスを吹き飛ばした先にいる白は”アーマーピアス”でイルファング・ザ・コボルドロード の右目を吹き飛んでいる勢いを利用して確実に突き刺す。

 

『ガァアアアアアアアアア!!!』

 

モンスターがプレイヤー達を認識する方法は二種類のタイプがいる。

一つは目を使ってプレイヤーを探すタイプ。

もう一つは嗅覚などの匂いでプレイヤーを探すタイプだ。

このイルファング・ザ・コボルドロード は前者に該当するので白の攻撃によって視野が半分狭まり、吹き飛ばされた勢いも利用され、目と言う急所にもダメージを与えられて一気にゲージが削られつとう残すは一本になった。

 

 

 

 

だがここで変化が生じる。

 

 

 

 

まだ赤ゲージに突入していないはずなのにイルファング・ザ・コボルドロード は斧からタルワールに武器を変更したのだ。

 

「やっぱβテストとは変わったか。だがまぁ武器自体が変わらなかっただけまだましか」

キリトは一瞬だが動揺するも空は予想通りと一切表情に変化はない。

 

「みんな落ち着け!武器が変わるのが早まっただけで情報通りの武器だ!

 こっちは取り巻きを倒す事だけを集中するんだ!

 A隊はF隊の援護に迎え!他の隊とステフさんはそのままルイン・コボルド・センチネルをA隊、F隊の所に近づけるな!!」

 

ディアベルの迅速な判断で情報と若干違かったことにざわめいたプレイヤー達は落ち着きを取り戻しボスに取り巻きを近づけさせないように攻撃を再開する。

 

 

「F隊!増援にきたがどうすりゃいい?」

「俺達は大丈夫だ、俺達よりあっちにいるキリトやアスナの方の援護に行ってくれ!」

「わかった!こっちは頼むぞ!」

そして急いでキリト達の元へ向かうA隊。

 

「ゲージもあと一本だが油断は禁物だからな。

 おいテト!お前も取り巻き倒し手伝ってこい!」

 

ここはプレイヤー全員で包囲しつつ確実にとどめをさすのが安全だ。

A隊の増援も来たし攻撃を弾く人数は増えているので、高レベルのテトを送ってさっさと取り巻きを倒しているプレイヤー達を呼ばなければ....

 

「どうやら僕が行かなくても大丈夫みたいだよ♪」

「空〜取り巻きは全員倒し終わりましたわよ〜」

 

どうやらステフを中心に取り巻き三匹は無事に撃破出来たようだ。

取り巻きを倒していた他のプレイヤー達、全員がこちらにやって来た。

その間にもボスのHPゲージは白やキリト達がさらに削り残り半分となっている。

 

「よし、よくやったステフ! お前ら全員よく聞け!!

 ボスのHPバーも残り僅かだ、ボスを囲んで一気に畳み掛ける。

 各自ボスを囲むように移動しろ!!」

 

これで囲み終わればもう安全だろう、そう思っていると

「待て、俺が出る!!」

 

後方で指示を出していたディアベルがここで前線に姿を出す。

そのまま俺を通り過ぎボスの目の前まで進んだ。

その時、ディアベルの顔は笑っていた、第一層をこれで攻略できるというような喜び方じゃない...そう、それは宝が目の前に迫っている時のような笑い方だ。

今の笑いでディアベルが何を隠していたか空は気づいたが問題はそこじゃなかった。

長年、数多のゲームを制覇してきた空だからわかるのか、このまま行くのは危険だ!

 

 

「あいつまさかっ!? おい!!下がれディアベル!!!」

 

 

 

だがもう手遅れだった。

ボスの最後のHPバーが赤色になりディアベルが止めをさそうとするがイルファング・ザ・コボルドロードがタルワールを手放し、野太刀を持っていたのだ。

 

 

「駄目だ!全力で後ろに跳べ!!」

俺達と距離が離れていたキリトも気がついたようで大声で叫ぶ。

だがディアベルには聞こえておらずディアベルはそのままソードスキルを発動させた。

が、イルファング・ザ・コボルドロードは柱を利用して跳ね回り、ディアベルにソードスキル”旋車”で斬りかかる。

しかしディアベルにこれを避けるすべは無く見事命中してしまう。

 

「うあああぁぁぁぁぁ!!!」

 

しかしイルファング・ザ・コボルドロードの攻撃は止まらない。

そこに追い打ちと”浮舟”を発動させ、ディアベルを吹き飛ばそうとするがディアベルはなんとか吹き飛ばされずに堪える。

 

だがこの後のディアベルの対処がマズかった。

ディアベルは一瞬だがイルファング・ザ・コボルドロードに背を向けてしまった。

その隙を見逃すはずもなくその背中にソードスキル”緋扇”の三連続攻撃が全て命中してしまい今度こそ吹き飛ばされた。

 

「ディ、ディアベルはん!!」

 

キバオウが叫びディアベルの元に向かおうとするがディアベルを吹き飛ばしたイルファング・ザ・コボルドロードが跳んで来て咆哮を浴びせる。

その咆哮が合図だったのか、入り口付近からまた三体のルイン・コボルド・センチネルが出現した、俺達は挟まれてしまった。

 

 

ディアベルの方にはキリトが走って向かったのでディアベルはキリトに任せよう。

だがあの攻撃じゃあもう....

 

「全員急いで後退しろ!!

 後退したらHPが減ってる奴は誰かに守ってもらいながら急いで回復!

 俺達でボスは対処するからそっちはまた出て来た取り巻きを絶対に近づけさせるな!

 ステフ、テトお前達もあっちに行って手伝ってこい!!」

 

「空!いくら何でも無茶ですわ!たった二人で押さえるだなんて!」

「大丈夫だよステフさん、あの二人を誰だと思ってるんだい?」

あの二人は伝説と謳われた「 」なのだ、彼らに黒星などありえない。

 

「ぐっ...わかりましたわ...本当に大丈夫なんですよね!?」

「さっきも言ったがむしろステフに心配されるほど俺と白は弱くねーよってんだ、なぁ妹よ」

「ぅん....全然....だいじょーぶ」

「もぅ...あなた達のこと信じてますわよ!」

「本当は僕もボスと戦いたいけどこの状況じゃあ、しょうがないよね〜

 あっちは押さえとくから二人とも頑張ってね〜♪」

 

二人が他のプレイヤー達を率いてルイン・コボルド・センチネル達を迎え撃つのを確認して俺達はイルファング・ザ・コボルドロードの方に視線を向けた。

 

「さぁ〜て、それじゃあもう一踏ん張りと行きますか」

白もコクリと頷き俺と白はイルファング・ザ・コボルドロードに向かって行くのだった。

 

 

 

 




Fate劇場版決定でかつそれが桜ルートと大喜びしすぎて眼鏡をブレイクしちゃったストーム1です。
少々オリジナル展開を入れたんですがどうだったでしょうか?
戦闘回はやっぱり長文になってしまうので次回にちょっと延長.....(^^:)
なんでやっ!を期待していた方は少々お待ちを。

それでは次回でお会いしましょう!

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