ゲーマー兄妹はVRMMORPGを始めたそうです。 作:EDFストーム1
とりあえず少ないですが...
それでは第三十話です、どうぞ!
「これで本当に成功するんでしょうね!?てか本当にこんなことしないといけないわけ!?」
「しつけぇな、言われた通りにしたら絶対成功するんだっつーの」
「アスナ....黙って、命令....従う」
東広場での騒動から数時間、空たち一行は難なくアスナのウインドフルーレ強化に必要な素材を集め終わり東広場ではなくNPCが経営している鍛冶屋にやって来ている。普通なら素材が集め終わったらなばそのまま鍛冶屋で武器強化をするだけでいいのだが、アスナがとても騒いでいた。
「だってなんでこんなとこでそんなことしないといけないよの!恥ずかしいじゃない!」
「いい加減諦めろよ。しなかったら成功する保証はできねぇぞ」
「アスナさんも早く諦めた方が楽になりますわよ」
「助けてキリトk「すまないアスナ、俺ももう諦めてる」わ、私に味方はいないのね....」
「ほれ、早く言われた通りのポーズしろ」
「三回まわって....次にその場でしゃがんで....最後に二回ジャンプ。これで絶対成功...白、保証する」
自分を誰も庇ってくれる人がいないとわかってしまい涙目になるアスナ。こんな街中で意味不明なことをさせられることになるなんて数時間前に誰が想定できるのだろうか。
(こうなったら最高速で終わらせるしかない....それも周りの人の目にも止まらぬ速さで!覚悟を決めるのよ私!)
覚悟を決め動き出すアスナ。まさに神速とも呼べる速さで回転し、しゃがみ、とび跳ねた。
「や、やったわよ.... 本当にこれで成功するのよね?」
「ま、そこはやってみりゃわかるさ。さっさと強化しに行ってこいよ」
アスナは空のニヤニヤした顔を見て、顔から火が出るくらい真っ赤にしながら涙目で鍛冶屋へと向かっていく。いくら強化を必ず成功すると言われても大通りでこんなことさせられたらやはり恥ずかしい。
その姿を見たキリトは、すでにいろいろ諦めているとはいえ後で自分もこれやらせれるのかぁと思うが、強化を成功させるためだとぐっとこらえている表情をしている。
「へい、らっしゃい!どんな御用で?」
「この武器の強化お願いします。ウインドフルーレ+4を+5に、種類はアキュラシー。強化ブーストは無しでいいわ」
「強化ブースト無しだと成功率60%ほどですがよろしいですかい?」
「ええ、かまわないわ」
「へい、わかりやした。それでは武器と素材をお預かりいたしやす」
アスナも「お願いします」と一礼し、まずウインドフルーレをNPCに渡した。続けてウインドウを操作し、事前にまとめておいた基材をオブジェクト化して渡し、最後に、看板に書いてある強化代行料金を支払い、すべての準備が完了した。
看板ごしにじっと見守るアスナの視線の先で、奥に設置されている炉にNPCは右手を伸ばした。そして、アスナから受け取った素材をざらざらと炉に流し込む。流し込んだ素材はたちまち赤熱し、やがて炉の中を青い光で染め上げた。準備完了したところで、預かったウインドフルーレを鞘から抜き、炉に横たえる。
青い光はたちまち細い刀身を包み込み、やがて剣全体が薄青く輝き始めた。
NPCはすかさずレイピアを鉄床の上に移動させ、右手に鍛冶ハンマーを握って、高々と振りかぶった。
カァン!カァン!とリズミカルな金属音を響かせながら鉄床にオレンジ色の火花が散る。一回、二回、三回、と上下するハンマーを見守るアスナ。製造と違って、強化に必要な打撃数はたったの十回だ。六回、七回、ハンマーは堅実なペースで青く輝く刀身を叩く。八回、九回、そして、十回。
全工程が完了し、鉄床の上のレイピアが一瞬眩く輝いた。
「強化成功だ。まいどあり」
年もあけましてお久しぶりです。
これから少しずつ更新できるよう頑張ります。