フェノメノン   作:xtakashi

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ヒーローが遅れてやってくるのは、様式美ですね。

主人公無双がお好きな皆様、大変長らくお待たせいたしました。主人公が戦い始めるまで、15話もかかってしまった・・・。
お好きな処刑用BGMと共にお楽しみくださいませ。


一応、おすすめはっておきます。

ロボット者ではないですが、こんなのでもいいかも。
Crosswise by T.M.Revolution
https://www.youtube.com/watch?v=ZwzWDnhUO_E&t=3s

ロボットものなら、これ。
Armored Core Master of Arena BGM - 9
https://www.youtube.com/watch?v=jCt31W7yUUk



第15話 現れた超常現象

 

 

 

「ロレント将軍。報告します! サルデニアの残党と目される、汎用型アーマーフレームが1機、バーンズの方角からそちらに向かっております!」

 

 ウラテアの索敵部隊より、魔導通信越しに1件の報告が、ロレント将軍に上がる。

 その報告を受け、ロレント将軍はバーンズの方向に顔を向けた。

 

 確かに、遠くの方でアーマーフレームらしき影が、こちらに接近している様子が見て取れた。

 他のウラテアのフレーム乗り達にも、情報は共有されており、皆がそちらを見る。

 

 

 突如として、一斉に同じ場所を見始めたウラテアのアーマーフレーム部隊につられて、

 クレイモア騎士団も思わず、その方角を見た。

 

 戦場にも関わらず、皆が、一点の方角を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 その機体は、ただ戦場に()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 ただ悠然と、砂埃を上げながら、キリングフィールドまで、向かっていたにすぎない。

 

 

 

 

 にもかかわらず、その場にいる誰もが、その機体に注目した。

 

 

 

 

 サルデニア、ウラテア、敵、味方、関係なく、すべての人間が、その未知の機体から目が離せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「汎用型フレームの残党だと……? 今更なんのつもりだ……?」

 戦いに横やりを入れられことで、冷や水を浴びせられたような気分となったロレント。

 少し違和感を覚えながらも、ロレントは、憮然とした表情で、エメラルド・ケイオスの中で一人つぶやく。

 

「ふん! いまさら汎用型フレームが、たった1機で何ができる。将軍の手をわざわざ、煩わせるまでもない。お前たち、うるさい羽虫の駆除は任せる。さっさと片づけてこい!」

 ドミニクが、ロレントに代わって部下たちに檄をとばす。

 

 もうすでに、勝敗は決した後だ。

 輝かしい勝利に、水を差されたような気分となり、ドミニク自身も少しイラついていた。

 

 

(……?)

 新たなアーマーフレームに、困惑していたのは、ウラテア側だけではなかった。

 

 サラ、そしてクレイモア騎士団のメンバーも、突如現れた、自分たちと同じアーマーフレームに対し、疑問がぬぐえなかった。

 

 どうにかして生き残り、かつ比較的軽症のクレイモア騎士団のメンバーは、ボロボロのフレームを投棄して、一か所に集まっていた。

 

「あいつは一体だれだ……?」

「わからん……識別信号は、味方のようだが……」

「もしかして……例の勇者様か?」

 

 軽快に、推進剤を噴出させる音を響かせながら、たった1機の、未知の汎用型フレームが、自分たちの方向へ、まっすぐに、どんどん近づいている。

 

 そんな、のこのことやってきた獲物に対し、手柄を建てようと、血気盛んなウラテアのフレーム乗り3名が一定距離まで近づく。

 そして、まずは小手調べとばかりに、りゅう弾砲を発射した。

 

 3つの弾丸は、まっすぐにその未知の機体まで飛んで行く。

 

 しかし、おかしなことに、そのアーマーフレームは、攻撃をされたにもかかわらず、回避行動をとるそぶりも見せない。直進の進路を保ったままであった。

 

(だめだ、直撃する!)

 生き残ったクレイモア騎士団のだれもが、その味方が憐れ、りゅう弾砲の餌食になる未来を想像した。

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、その時、()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 りゅう弾砲の弾は、大きな轟音とともに、間違いなくそのアーマーフレームに着弾したはずだった……のだが、巻きあがる粉塵が晴れると、()()()()()()()()()()、そのアーマーフレームは直進を続けているのだ。

 

 

「なんだ……? 何が起こっている?」

 ドミニクは、今の目の前で起きている現象に、理解が追い付かなかった。

 

 そうこうしているうちに、ロレントおよびドミニクの部下たちによる、一斉射撃が行われる。

 謎のサルデニアの援軍に対し、りゅう弾砲が雨あられと注ぎ込まれた。

 

 しかし、謎の機体への弾丸は、まるで撃つほうが、()()()()()()()()()()()()()、全く当たらない。

 

 

 攻撃を回避する際は、推進装置を利用して、大きな動作をとることが、この世界のアーマーフレーム機動の常識である。

 

 しかし、パッとみたところ、その機体はほとんど回避行動らしい行動をとっていない。

 まるで、その機体の周辺の空間だけ、歪んでいるのではと思えるほど、不自然に弾が命中しないのだ。

 

 その様子を、ロレントもドミニクも、味方であるはずのサラも、クレイモア騎士団のメンバーも、ただ茫然と眺めていた。

 

 

 

 だんだんと、ロレントの背中に、冷たい汗が流れ始めた。

 今まで、多くの戦場をかけて来たロレント自身の「カン」が、()()()()()()()と、警報を鳴らしている。

 

 正体はいまだわからない。

 しかし、早急に打ち倒さなければ、まずいことになると、ロレント自身の中の「()()」が訴えかけている。

 

「よくわからんが……弾が当たらなければ、接近して攻撃すればよいのだ! さっさと行け!」

 ドミニクのその言葉を合図に、近接攻撃をしかけようと、ウラテアのアーマーフレームが続々と、謎の敵機に接近する。

 

 

 そして、1機のアーマーフレームが、謎の機体へ、自身の近接用のブレードを、振り下ろした次の瞬間……

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()、空中に吹き飛ばされていた。

 

 

 

 

 謎の機体は、剣による残身をとっており、おそらく、吹き飛んだ機体は、()()()()()()を受けたのだと思われる。

 しかし、その瞬間を、明確に捉えることができた人間は、その場に誰もいなかった。

 

 

 

 

「気が付いたら、機体が空中に浮いていた」

 後に、この時攻撃をうけた、アーマーフレーム乗り、ジョン・ウィリアムは、そう述懐する。

 

 

 

 

 そうこうしているうちに、次々と、謎の機体に、ウラテアのアーマーフレームが殺到する。

 近接用ブレードをきらめかせながら、謎の敵を撃破しようと、猛然と襲い掛かった。

 

 瞬間、その謎の機体の姿が、わずかに「()()()」ように見えた。

 

 そして、次の一瞬には、ウラテアのアーマーフレームが吹き飛ばされているか、破壊されていた。

 よく見ると、まるで閃光のように、剣の筋が銀色の光となって、戦場を縦横無尽に動いている。

 

 謎の機体の姿がぶれて、銀色の光の閃光が放たれると、その瞬間、ウラテアのアーマーフレームが、次から次へと撃破されていく。

 

 

 信じられないような光景が、戦場でおこっていた。

 その場にいる誰もが、目の前で起こる現象を信じられず、目を疑った。

 

「なぜだ……!? どういうことなのだ……!? 敵はただの汎用型フレームではないのか!!? なぜこのような()()()()(フェノメノン)のような出来事が起きているのだ……!!?」

 ドミニクは、部隊を率いているという立場も忘れ、一人のアーマーフレーム乗りとして、混乱の極致にいた。

 

 

 サラは、ボロボロになったクリムゾン・プライドの中で、息をのみながら、戦いを見守っていた。

 

(おそらくだが……攻撃、移動、防御、回避の基本動作すべてが、恐ろしく()()()()なんだ。一切無駄な動作がなく、行動の初動が捉えられず、見ている側は、まるでその場で動いていないような、もしくは瞬間移動したような錯覚に陥る……。いったいどういうことなのだ? これが、ただの汎用型アーマーフレームで、できる動きなのか? 大体、動かしているのは誰だ? ……あいつか? あいつが動かしているというのか? あの平凡で、無気力な、えせ勇者が……?)

 

 

 自分で思い立った仮説に、サラは否定したい気持ちになった。

 しかし、考えれば考えるほど、それ以外の可能性は思いつかないのであった。

 

 

 




主人公無双は次回も続きます。
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