フェノメノン   作:xtakashi

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日常会


第33話 誕生日会のご案内

 

 

 

 

「エクウェス祭での一連の差配、素晴らしかったぞ、理事長」

「お褒めにあずかり、誠に恐縮です。国防副長官」

 

 人払いがされた執務室で、二人の男が会話を交わしていた。

 

 一人は、ロザライムの国防全般に対し、絶大な権力を持つレイモンド国防副長官。

 もう一人は、ロザライム士官学校での絶対権力者である、リチャード理事長(学園長)である。

 

「しかし……レノ・パトリック・ニールセンが、思いのほか活躍できなかったことは、私としては少々誤算でございました。あれだけ、色々とおぜん立てをしていたにもかかわらず、まさか、バトルロワイヤルさえも突破できるかが、ぎりぎりになってしまうとは」

「ふん! 大口を叩いていた割には、ニールセンの坊やもたいしたことがなかったわ! まったく……ニールセン家との関係を踏まえて、こちらとしても便宜を図っているというのに、わしの顔に泥を塗りおって……!」

「おっしゃる通りで。ランキング9位にねじ込むのも、色々と苦労をいたしました。

 ……恐れながら、ニールセン家からの献金の額は、来年から増額させていただかなければ、割に合いません」

「わかった、わかった。学校側の事情については、わしからも、ニールセン家の党首に話をしておこう」

 

 その言葉に対し、リチャードは目を細め、薄い笑みを顔に浮かべた。

「ありがとうございます。レイモンド副長官」

 

「とはいえ……エバンスのせがれは、4位か……」

 口から、ふぅ──と葉巻の煙を吐き出しながら、苦々しく、レイモンドは口を開く。

 

「もう少し、低い順位にすることはできなかったのかね?」

「恐れながら副長官。これくらいが落としどころでございました。これ以上、露骨に順位を下げてしまいますと、さすがに、他の学校OBや貴族からも申し開きがあるやもしれません。また、学校の立場としても、これ以上、かのリンドレー少佐から目を付けられることは、望むところではありませんので」

「ふん……まあ、よかろう。しかし、エバンスのせがれもだが……キース・S・リンドレーについても、少し、対応を考えねばならんな。

 ……あの少佐、()()()()()()()()()()()()()()()()。ひとまず今後、学校側でやってもらいたいことがあれば、また別途、連絡しよう」

 

「承知しました。すべては副長官のご随意のままに」

 目を細め、口元をニコニコとしながら、返事をするリチャード。

 

「これからも頼りにしているぞ、リチャード」

「かしこまりました、非才の身ではありますが、今後ともよろしくお願いいたします」

 レイモンドの言葉に対し、リチャードは優雅に、深々と頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイモンドは気が付かなかったが、頭を下げたリチャードの口元には、一かけらも、笑みはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エクウェス祭も終わり、約2週間が経過した。

 クリスの、レギュレーション違反に関する疑惑について、学校側からは最終的に「詳細不明」の結論が下された。

 

 学校側から提示された調査の結果では、

 ①だれがいつ、どこでパーツを取り付けたのか不明

 ②クリス・エバンスによる、取り付けの可能性を否定する材料も見つからず、真偽不明

 以上、とされた。

 

 なんとも玉虫色の結果となってしまったが、そんなことはお構いなしに、クリスの学園生活は続いていく。

 

 クリスは、最近ではアルフレッド以外にも、エクウェス祭で仲を深めたグレン、アイビー、コレットとも、行動をともにすることが増え、今日も休み時間に5人全員で集まって、談笑をしていた。

 

 

「誕生日会?」

「そう、来月僕の家で、僕の誕生日会を開くんだ」

 ひょんなことから、アルフレッドは自身の誕生日会の話題を、その場のメンバーへ振った。

 

「今年は是非、クリスやコレット嬢にも、来てもらいたいと思ってね」

「……俺が言うのも何だけど、俺が参加してもいいのか?」

「わ……私なんかが参加してしまったら、アルフレッドさんにご迷惑になってしまうのでは……?」

 

「俺も、結構参加させてもらっているが、アルの誕生日会は毎年、日を分けて豪勢に開かれているんだ。そのうちの、いわゆる、貴族やお偉いさんが参加するお堅い会ではなくて、アルが言っているのは、カジュアルな奴のことじゃないか?」

 グレンが誕生日会について、補足を付け加える。

 

「そう、ちなみに今回の誕生日会は、僕がエクウェス会でランク1を取ったお祝いも兼ねているから、計三日間を想定している。そのうちの、三日目の会が、身分等は関係なく、僕にとって親しい人だけを招く会になる予定なんだ。そこに、君たちも是非来てほしい。まあ、心配はいらないさ。三日目の会は、二日目までと違って、かなりフランクなものになる予定だからね」

「ちなみに、私はすでに、正式にウォルコット家より、招待状を頂いておりますわ。私は家の関係で、二日目と三日目の参加になる予定ですわ」

 紅茶の入ったティーカップを、優雅にソーサーへ置きながら、アイビーは言葉をつなげる。

 

「わかった……ありがとう。参加するよ」

 口元に、小さな笑みを浮かべながら、クリスは答えた。

 

「クリスさんが参加されるなら……私も参加しようと思います」

 おずおずと、コレットも参加の意を表明する。

 

「よし! 決まりだな。なんせ、誕生日にもかかわらず、周りはお偉いさん方ばかりで、挨拶やらなんやらで、毎年、肩が凝って仕方なかったからな。アルと話すか、料理くらいしか楽しみがなかったが、今回はましになりそうだぜ。ちなみに、俺も二日目と三日目に参加する予定だ」

「おいおい、僕の誕生日の話を、なぜ君が締めているんだい。まあ、とにかく今年の、僕の誕生日の三日目は、エクウェス祭での()()()()()()()()()()()()()()が再結成、というわけだね」

「………………そんなチーム名でしたでしょうか? それは置いておいて、学校以外で皆様とお会いできるのも、かなり新鮮ですわね」

「……い、今から緊張してきました……。着ていく服装について、両親にも相談しないと……」

 

 

 

 こうして、クリスたち5人は、思い思いにアルフレッドの誕生日会へ、思いをはせるのであった。

 

 

 






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