波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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本編
プロローグ


私が"個性"を発現したのは4歳の頃、まだ幼稚園にも通っていない頃だった。

この頃の私はまだ自分の個性を理解できてなくて、自分が見えているものは他の人も同じように見えているんだと当たり前のように思い込んでいた。

個性の名前は姉と同じだったし、両親は私に優しく接してくれていた。

友達も皆素直で、無邪気で、だからこそ私はこの個性の嫌な所に気が付くことができていなかった。

 

そのことを思い知ったのは小学生の時。

友達と何気ない会話をしていた時だった。

その子の口から発した言葉と、身体から無意識に発している感情が、ズレていたのだ。

それを見た過去の私は素直にその子に聞いてしまった。

 

「なんで嘘吐くの?」

 

当然その子は否定した。でも私にはそれが嘘だっていう確信があったし、無知だった私は自分の言葉を引っ込めようなんて思わなかった。

泣き出してしまった友達だった子の声を聞いて、先生が来た。

先生は笑顔で何があったのか聞いてくれた。

友達と一緒に先生に説明したけど、私には先生が笑顔で話を聞いているのに『めんどくさい』と感じているのがすぐに分かってしまった。

幼かった私は、それを感じて自分の感情を制御することなんてできなかった。

 

「めんどくさくなんてないよ!私嘘ついてないのに!」

 

その言葉を聞いた瞬間、先生はびっくりしたような、怖がるような表情を浮かべた。

 

「め、面倒くさいなんて思ってないよ。瑠璃ちゃんは何を言ってるの?」

 

口では誤魔化すようなことを言っているけど、私には先生が『怖い』『考えていることを読まれてるの?』と色々なことを考えているのが手に取るように分かった。

 

この時初めて声に出されてなくても感じ取れてしまう感情が、私にしか分からないものなんだと理解した。

そしてその頃にはもう私は考えていることを読み取る怖い子として同級生には無視され始めていた。

私も私で平然と嘘を吐く同級生も、笑顔の裏で悪態を吐く先生も、誰も信用できなくなっていた。

 

中学生になると、それはさらに顕著になった。

同級生も、先生も、皆私を無視する。

たまに私のことを利用しようとして近づいてくる人がいるくらいで、それ以外の人は私に近づこうとすらしなかった。

私もこんな人たちのことなんて信用できなくて、学校では必要最低限のこと以外は人と関わらなくなっていた。

 

例外があるとすれば、家族だけだった。

家族とは言っても両親は私の個性を怖がっているのが伝わってきた。でも無視するようなことはなかったし、ちゃんと親としての愛情を注いでくれた。

今では慣れたのか普通に接してくれている。

これだけでも十分優しいというのは分かっているし、親として信頼もしている。

ただそれ以上に私が心を許しているのは、お姉ちゃんだった。

 

お姉ちゃんだけは私の個性の詳細に気が付いても『怖い』なんて思わなかった。

 

「すごーい!心を読めるの?私と同じ個性だよね?なんで!?どうやるの?」

 

お姉ちゃんだけは口に出す言葉も、伝わってくる感情も、全部一緒だった。

 

「瑠璃ちゃんは放出できないの?なんで?不思議!」

 

お姉ちゃんだけは私に心から笑いかけて可愛がってくれた。

 

「怖がる?なんで?無視なんてするわけないよっ!変なのっ」

 

裏表なく笑いかけてくれるお姉ちゃんに、私が依存してしまうのは当然の流れだったのかもしれない。

お姉ちゃんが中学生になって外であんまり笑顔を浮かべなくなったときは、中学校を破壊してやろうかなんてことも考えた。

でもすぐにやめた。

 

理由は簡単。お姉ちゃんが"ヒーローになりたい"と言ったからだ。

お姉ちゃんは個性で色んな人を助けて、その笑顔で色んな人を癒すすごいヒーローになれる。

だから私は、そんなすごいお姉ちゃんを助けるためにヒーローを目指すことにした。

私の個性なら、ヒーローになったお姉ちゃんをいっぱいサポートできる。

だから個性を使ってお姉ちゃんを手助けするために犯罪を犯すわけにはいかなかった。

 

お姉ちゃんは、雄英高校のヒーロー科に入学した。

倍率300倍のあの雄英高校ヒーロー科にだ。

流石私のお姉ちゃん。優しくてきれいで可愛くて個性もすごくて、その上頭もいいなんて非の打ちどころがないスーパーお姉ちゃんだ。

しかも今年の雄英高校の体育祭でも上位入賞するくらいすごい個性と応用力、文化祭のミスコンでも上位入賞しちゃう美貌の持ち主。

 

ただ文化祭のミスコンに関しては今でも文句を言いたい。

豪華絢爛ならそれでいいのか。あれがお姉ちゃんの可愛さを上回っているとはとても思えない。

あれはきっとサポートした人がいけないんだ。もっとお姉ちゃんの天使や妖精のような可愛らしさを押し出してアピールすればあんな結果にはならなかったはず。

 

っと、いけないお姉ちゃんのことになるとつい熱くなってしまう。

とにかく、どこに出しても恥ずかしくない、むしろいろんなところに連れ回して自慢して回りたいすごいお姉ちゃんなのだ。

私もそれに見合うヒーローにならないと、個性で手助けなんて夢のまた夢だし、お姉ちゃんの妹なんて恥ずかしくて名乗れない。

だから、私も雄英高校のヒーロー科を目指すことにした。

 

私の名前は波動瑠璃。

将来の夢はお姉ちゃんのサイドキックになることだ。

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