波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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ミスコンの準備(前)

今日の練習も終わって夜。

寮の共有スペースで女子でまったりしていると、お茶子ちゃんが質問してきた。

 

「そういえば瑠璃ちゃん、ミスコンの出し物どうするか決まった?」

 

「ん……一応……演武みたいな感じがいいかなって……こうすれば……多少見栄えもするし……」

 

お茶子ちゃんの質問に答えながら、手に波動を集める。

そのまま手に波動を纏わせるように放出して、それを軽く圧縮する。

すると外側が紫黒、内側になるにつれて青白くなっていく波動が私の手を覆って揺らめき始めた。

 

「わぁ!綺麗だね!」

 

「いいわね。演武ってことは、ドレスもチャイナドレスに決まったの?」

 

「そこはもう決定!動きやすいし、瑠璃ちゃんにも似合ってるし、足も長く見えるからね!」

 

梅雨ちゃんの問いかけに、透ちゃんが元気よく返答する。

ドレスは波動の暗めの青とは対照的にちょっと明るめの青に決めていた。

この辺は百ちゃんと一緒に詰めた感じだ。

 

「それにしても、波動がここまで真剣に出し物考えたりするとは思ってなかったんだけど。波動先輩のアピールで時間使い切ると思ってた。上鳴とかにそんな感じのこと言われて立候補承諾してたっぽいし」

 

響香ちゃんがそんなことを聞いてくる。

実際その指摘は何も間違ってない。承諾した時は間違いなくステージ上でお姉ちゃんの布教をしまくる予定だったし、投票の呼びかけすらしようと思っていた。

だけど事情が変わったのだから仕方ない。

 

「ん……そのつもりだったけど……お姉ちゃんから真剣勝負って言われたのと……エリちゃんが見に来るし……思考が……ワクワクしてる感じだったから……期待を裏切るのは……どうかなって……」

 

「エリちゃんかー」

 

「それなら、いい所を見せないといけないわね」

 

「瑠璃ちゃんとねじれ先輩のドレス姿見て視線が釘付けになってたもんね」

 

お茶子ちゃんや梅雨ちゃんも納得した様子を見せている。

やっぱりエリちゃんの期待を裏切るようなことはできないよね。

多分お茶子ちゃんや梅雨ちゃんが代表者でも同じ感じで本気になっていたと思う。

そんなことを考えていたら、百ちゃんが話の続きを切り出してきた。

 

「演武をどのようにするかは決めましたか?ドレスは私が創造すれば微調整はできますが、どのような演武にするかによって調整の内容が変わりますし「ドレスの……調整?」

 

百ちゃんがドレスの話をし出したら、いつから聞き耳を立てていたのかブドウ頭が話に割り込んできた。

その後ろには上鳴くんもついてきている。

 

「ドレスはチャイナドレスなんだろ!ならそんなの出し物に関係なくエグいスリット入れれば間違いねぇよ!それで飛び跳ねて演武なんてしてみろ!チャイナドレスで強調されたオッパイが凶器となって暴れまわり、さらに良い感じに色々見えて目の保養にへぶぅっ!?」

 

「相変わらず最低ね、峰田ちゃん」

 

ブドウ頭がいきなり気持ち悪い妄想をぶちまけながら、いつもの目を充血させて鼻息を荒げる気持ち悪い表情で妄言を宣ってきた。

私が制裁しようと思ったけど、今回は梅雨ちゃんが即座に舌をブドウ頭の顔面にめり込ませて、そのまま舌で簀巻きにして床に叩きつけてくれた。

それにしても本当に最低でありえない妄言を吐いてきたな。なんで面と向かって女子に対してそんな妄言を言えるのかが本当に理解できない。

というか仮に飛び跳ねるにしてもスポブラでちゃんと揺れないようにするし、スパッツも穿く。そんなまともな対策も取らないで暴れまわったら痛いし恥を晒すだけじゃないか。普通にありえない。

ブドウ頭はそれでダウンしたけど、まだ後ろにいた上鳴くんを響香ちゃんが睨みつけた。

 

「で?上鳴もこんなくだらないこと言いに来たの?場合によっては似たような目に遭ってもらうけど」

 

「いやいやいや!?ちげーぞ!!今のは峰田が勝手に言っただけだ!ミスコンの出し物のことを話してるみたいだったから、俺たちも波動を推薦した手前意見だしたりで協力できないかと思っただけだ!!」

 

響香ちゃんの脅しに上鳴くんが凄く焦った様子で必死に釈明した。

言い訳とも取れる内容だけど、嘘は吐いてない。あのブドウ頭の妄言はブドウ頭の独断ということだろう。

まぁ上鳴くんも期待している感じの思考をしていたから一切信用できないけど。

 

「……一応……嘘は言ってない……」

 

「ほらな!ほらな!嘘は言ってねぇよ!」

 

「一応、なんだ」

 

「ん……上鳴くんも……ブドウ頭の妄言を聞いて……期待してたから……」

 

私がそれを伝えると、上鳴くんにも女子からの冷たい視線が向けられた。

 

「し、仕方ねぇだろ!男なんだから!想像しちまうのは仕方ねぇじゃねぇか!」

 

「……だから……一応……想像に留めてたから……制裁するつもりはない……」

 

私がそこまで言うと他の女子も溜め息を吐いたり気を取り直したりして、上鳴くんが相談に入るのを黙認して相談を続ける姿勢に戻った。

 

「で、演武の出来だよね……見かけだけの演武なら……練習してある程度出来るようになったけど……なんていうか……」

 

「インパクトに欠けるって言うか、分かりやすく言うと地味なんだよねー。手の波動の揺らめきは綺麗なんだけど、それだけだから記憶に残らないって言うか……」

 

私が言葉に詰まっていたら、演武の練習に付き合ってくれていた透ちゃんが説明を引き継いでくれた。

実際透ちゃんの言う通りで、普通に単調な上に地味なのだ。

これだけだととてもではないけどいい評価はもらえないと思う。

 

「ん……ちょっとやってみるね……見てて……」

 

ソファから少し離れてスペースがあるところで簡単な演武を見せていく。

演武とはいっても動画とかで見て学んだ付け焼刃の型の動きをしながら、手に波動を纏わせて可視化するだけなんだけど。

少しの間それを続けてある程度の所でやめて皆の方に戻る。

 

「どうだった……?」

 

「う~ん、葉隠と波動が言ってる通りかなー。躍動感に欠けるって言うか……」

 

「これをステージの上でやるのですよね?そうなるとやはり物足りない感じがしてしまいますわね」

 

「悪くはないけど、遠目にこれを見て印象に残るかと言われると微妙ね」

 

皆の感想も私と透ちゃんが思っていたものとほぼ同じだった。

やっぱり物足りない感じがしてしまう。

何か改善できるところがないかを透ちゃんと考えても、結局の所私が武術の素人なのもあって演武の難易度を上げたりするのは難しかったりといい案が浮かばなかったのだ。

 

「何か改善できるところとかないかなー。私と瑠璃ちゃんで結構考えたんだけど、なかなかいい案が出なくて」

 

「改善案かぁ」

 

「う~ん……」

 

皆も真剣に考え始めてくれた。

しばらくの間意見を交換し合っていたけど、あんまり進展はなかった。

そんな感じで頭を悩ませていたら、今まで黙っていた上鳴くんが口を開いた。

 

「なぁ、あながち峰田が言ってたのも間違ってなかったんじゃねぇか?」

 

「あんたまだそんなこと言ってんの?」

 

「上鳴ちゃん……あなた……」

 

上鳴くんにまた女子からの冷たい視線が突き刺さったけど、上鳴くんは冷や汗を流しながら話を続けた。

 

「違う違う!いや、違わねぇのか?……俺が言いたかったのは、エロとか関係なく飛び跳ねるのがありなんじゃねぇかと思ったってことだよ」

 

「飛び跳ねる?」

 

上鳴くんのその言葉に、皆冷たい視線を引っ込めて頭に疑問符を浮かべた。

でも、そうか。その手があったか。

何も決まった型だけをやらないといけないわけじゃないし、私なりに変えるというのは確かにありだ。

 

「ああ!波動のあの吹っ飛ぶ感じのジャンプとか、空中での方向転換とか再ジャンプを演武に組み込むんだよ!そうしたら躍動感も出るだろうし、必殺技まで織り交ぜたりすればド派手な感じになるんじゃねぇか!?」

 

「……あぁ!なるほど!」

 

「確かにそれなら地味な感じじゃなくなるし、インパクトもあるかもね!」

 

「ん……ありかもしれない……」

 

皆も私と同じ感想を抱いたようで、上鳴くんの意見ににこやかに同調し始めた。

上鳴くんも満更でもなかったようで、ちょっと照れくさそうに笑っていた。

 

そんなちょっと方向性が決まって和やかな雰囲気になっている中、制裁でダウンしていたブドウ頭が再起動した。

 

「……ようやく、オイラが言いたかったことが分かったみてぇだな……!」

 

「いや、峰田くんの言いたかったことはこれっぽっちも分からなかったけど」

 

「ん……全く参考にならなかった……参考になる意見を言ったのは……上鳴くん……」

 

透ちゃんと私でブドウ頭の発言を真っ向から否定する。

それでもブドウ頭はめげずに話し続けた。

 

「いや、飛び跳ねるならやっぱりスリットは大事だろ!ないと動きに制限がかかるし、跳んだ時に良い感じのスリットがあればチラリズムがだな……!」

 

「まだそんなこと言ってる……」

 

「……まあ、全く参考にならないかと言われるとそうでもありませんが……ある程度のスリットがあった方が演武をしやすいのは確かですし」

 

百ちゃんの言う通りではある。

だけどブドウ頭のエロに満ちた思考を伴った提案を素直に飲むのは、色々とこちらの気分的に思うところがあった。

再起動してから言っていることは完全に間違っているわけではないというのが厄介な所だ。

 

結局、しばらく話し合って演武には上鳴くん発案の飛び跳ねる感じのアレンジを加えつつ必殺技を織り交ぜる感じで行くことになった。

ドレスに関してはブドウ頭の意見を嫌々ながらも少し取り入れ、演武をする上で必要な分と男子から見た時の見栄えを考えて、ある程度のスリットを入れるということで落ち着いた。

一応話し合いで決まったことだし、私も納得してはいる。

ちゃんと私も嫌がらないラインの調整を女子でしてくれているし、結論としては一切おかしな点はない。

だけどブドウ頭の最初の妄言のせいで、いまいち釈然としない感じがしてしまうのがなんとも言えないところだった。

 

そんなこんなで話し合いをしていたら結構遅い時間になっていたのもあって、演武の内容はまた後日詰めるということで今日は解散になった。

ブドウ頭はある程度自分の意見を受け入れられてニヤついているし、本当に釈然としない。変な期待をするにしてももうちょっと隠すことはできないのか。

どこまで行ってもブドウ頭はブドウ頭だった。

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