波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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暴発と冬仕様

結局あれから透ちゃんと練習しようとしていたら凄い勢いで迫って来た緑谷くんも含めて、3人で色々実験してみた。

その結果分かったのは、感知範囲内ならテレパス可能であると言うこと、距離が離れれば離れるほど精度が落ちてノイズやタイムラグが大きくなることだった。

多分距離が離れるほど相手の波動に干渉するのに時間がかかったり、私の波動と僅かな誤差が出来てノイズ交じりになってしまうんだと思う。

波動に干渉出来るなら自分の波動以外も武器として使えないかと思って色々試してみたりもしたけど、出来たのはやっぱり共鳴させる程度の操作だけ。

自分の波動のように自由自在に動かすなんていうのはできそうにもなかった。

 

そんなことがあって翌日も色んな人、主にお姉ちゃんや透ちゃん、A組女子に協力してもらって練習を続けた。

緑谷くんに協力してもらわなかったのは……うん、単純に昨日すごい勢いで迫られて怖かったのだ。

なんだったら練習してることを察して話を聞きに来たりしてたし。

エンデヴァーの初戦の後から自分のことでも思うところが多そうなのに、なんでこうも他の人のことにいつも通り興味津々なのか。

そんなことを思いながら1日を過ごして夜。

テレパスによる興奮も収まったらしい緑谷くんは基礎体力訓練とOFAの訓練を遅い時間までして、その疲れのせいかお風呂にも入らずに眠ってしまったようだった。

まあここまではいい。私も何も思わずに寝たし。

問題は目が覚めてからだ。

なんで緑谷くんの部屋はあんなにボロボロになってるんだ。

しかも大事にしているオールマイトのフィギュアとかも倒れたりしているし。普段だったら絶対にありえないことだ。

襲撃でもあったんだろうか。

緑谷くん自身はランニングしてて今は寮にはいない。

緑谷くんの思考と青山くんの監視をしている人の思考をしばらく注視してようやく緑谷くんの個性の暴走?があったことが分かった。

OFAって暴走するものなのか。流石にちょっと心配になってしまう。

それもあって緑谷くんが寮に戻ってくるのを待ち伏せして話を聞くことにした。

今、共有スペースには私しかいない。好都合でもあった。

 

「緑谷くん……」

 

「波動さん?どうしたの?」

 

私が声をかけると、緑谷くんが不思議そうな顔で疑問符を浮かべる。

 

「大丈夫……?部屋……ボロボロだけど……」

 

「う、うん。僕はなんとも」

 

「思考見てたから分かったけど……個性の暴走ってほんと……?そっちも心配……」

 

「それが、僕にもよく分からなくて……」

 

これは嘘だ。

思考からして、暴走に関しては本当によく分からないけど、何か心当たりがあるようだった。

 

「……嘘だよね……それ……心当たり……あるんだ……」

 

「……うん。だから、オールマイトに相談しようと思って」

 

「……なるほど……分かった……緑谷くんが一番信頼してる……オールマイトに相談するなら……大丈夫だよね……」

 

「うん、ありがとう。心配かけてごめんね」

 

緑谷くんはちょっと困ったような感じで小さく笑みを浮かべながらそう言ってきた。

まあとりあえず今はそれでいいか。話を濁したのはOFAのことで何か心当たりがあったからみたいだし。

それを誰に聞かれるかも分からないここで言わないのも、事情を知っている私にしか分からないようにオールマイトに相談するとだけ伝えるのも、ほぼ満点の回答と言っていい。

これ以上ツッコむのも野暮だろう。

……あとはまぁ、言いたいことは言っておくか。

 

「納得したから……それはそれとして……緑谷くん……くさい……」

 

「えっ」

 

「汗臭いよ……昨日もシャワーすら浴びずに寝て……今もまた汗かいてるし……皆が起きる前に……シャワー浴びた方がいい……」

 

「ご、ごめん!?え、そんなに臭いかな!?」

 

「うん……くさい……」

 

『く、くさっ!?』とか『そこまで直球で言わなくても!?』とかショックを受けてないで早くシャワーを浴びてきて欲しい。

昨日自主トレの後にシャワーを浴びなかった自業自得だ。

ちょっと離れて話してても汗臭い感じの臭いが分かってしまう程度には臭い。

女子も含めて寮で共同生活をしているんだから、そういう最低限の身だしなみはどうにかしておいて欲しい。

緑谷くんも流石にそこまで言われて危機感を覚えたようで、私に謝りながらシャワーを浴びに行った。

 

 

 

そんなこともあってお昼。

緑谷くんはお弁当を買ってオールマイトの所に直行していた。

皆とご飯を食べながら、こっそり見ておくか。

 

「メシだー!」

 

「「メシだー!」」

 

三奈ちゃんとお茶子ちゃん、透ちゃんが腕を振り上げてそんなことを言っている。

よっぽどお腹が空いていたらしい。

 

「メシだ」

 

「い・い・だ」

 

「峰田くん……ボケ……分かりにくい……」

 

女子がメシメシと騒いでいたのもあって、それを聞いていた峰田くんが急に飯田くんを指さしながら三奈ちゃんたちと同じことを言いだした。

飯田くんの苗字の読み方を変えたボケなんだろうけど、流石にちょっと分かりにくいと思った。

 

それはそれとして食事を食べながら緑谷くんとオールマイトの密談を監視する。

『初代の記憶……!見たか……!』とかいう思考になっている。つまりそう言うことらしい。

緑谷くんは夢で初代OFAの持ち主の記憶を見て、目が覚めたら暴走していたということか。

面影はまぁ体育祭の後の密談とかでも話していたからいいとして、その後も『特異点』、『まだ20%』、『培ってきた人たちの想いが"力"の一部として記憶されてる』、『見た影の中でオールマイトだけボヤッーとしてた』とか、気になる情報は色々あった。

あとは緑谷くんが急に先々代がキレイな人だったとか言い出したくらいか。

オールマイトも嬉しそうに笑っている。なんというか、オールマイトに女性に対して綺麗とか思う感情があると思ってなかったから少し意外だった。

 

 

 

そんな感じのこともあって午後。

今日のヒーロー基礎学は演習だ。

運動場γを使ってするらしく、皆で着替えてからそっちへ向かっていた。

私のコスチュームはそのままだけど、皆結構冬仕様に改造を施している感じだ。

 

「ワクワクするねー!」

 

「ん……今日のは……いつもと違う感じ……楽しみ……」

 

透ちゃんも冬仕様とかには変わっていないうちの一人だ。というよりもぴっちりスーツ組は梅雨ちゃん以外誰も冬仕様とかにはしてない。

梅雨ちゃんは見た目は変わらないけど、防寒保温スーツに変わっているらしい。

まあ梅雨ちゃんは寒くなると寝ちゃうから当然の機能だ。

 

透ちゃんは今も寒さとかを感じている様子はなく元気にピースしている。

そんな透ちゃんもいつもと違うことをするのは楽しみみたいで、期待に胸を膨らませていた。

まあB組との合同訓練なんて言われれば楽しみになるのも仕方ない。

物間くんが大騒ぎしそうなのがなんとも言えない所だけど。

 

「私冬仕様~!カッコイーでしょーが!」

 

「ええ!」

 

「流石に寒くなってきたもんね」

 

三奈ちゃんが冬仕様のコスチュームをアピールし始めた。

三奈ちゃんの変化は、半袖程度の袖が出来たのと首元のもこもこが増量しているかんじだろうか。

冬仕様と言いつつ半袖止まりなのは酸を出す関係上仕方ないことだと思うし、いい感じの変化だと思う。

あと女子で分かりやすい変化があるのは百ちゃんだ。

 

「百ちゃんも……マント……かっこいいね……」

 

「ありがとうございます!」

 

「ヤオモモは流石に寒そうだったもんね。個性のためとはいってもあのままじゃなくて良かったよ」

 

百ちゃんは素肌から創造する関係上露出を減らすわけにはいかないのは分かるけど、それでも最近は凄く寒そうだった。

全身すっぽり覆う感じのマントみたいだし、これなら多少はマシだろう。

百ちゃんや三奈ちゃんみたいにある程度の露出が必要な個性はこういうところが大変だなと思う。

 

「!かっちゃんも変えてる」

 

「あーーーーー!?文句があるなら面と向かって言えや!!クソナードが!!」

 

「そのスーツ……防寒発熱機能付き?汗腺が武器のかっちゃんにとってとても理に適った変更で素晴らしいと思「ほめてんじゃねーーー!!!」

 

緑谷くんは緑谷くんで凄いな。相変わらずではあるんだけど、なんであんなに邪見にされて罵倒されてて、キレるのが分かってる爆豪くんにも平然と声をかけられるのか。

私は自分に対して負の感情を向けてくる人とは関わりたくないと考えてしまうから、とても真似できない。

あと爆発すると分かってる人にもわざわざ声をかけにいったりしない。

特に爆豪くんなんかイライラしてたりキレてたり、内心を見ていると爆発しやすい状態ばっかりで、思わずツッコんだり口を挟むことはあるけどあまり自分から声をかけようとは思わないし。

 

「緑谷が一番変化激しいよな。最近また何か付いたし」

 

「やれることが増えてきたからさ。すごいんだよ、このグローブ。実は既に2代目なんだけど、発目さんが強度まで調整してくれて!」

 

「あー!発目なー!」

 

緑谷くんがそんな感じで嬉しそうに発目さんのことを話しだした途端、お茶子ちゃんが固まった。

というよりも、発目さんによる緑谷くんへの胸の押し付けの数々を思い出しているようだ。

そう思って微笑ましく見守っていたら、お茶子ちゃんが急にガンッなんて音がなるくらいすごい勢いで自分の頭を殴った。

 

「去れ!!」

 

「麗日ーーー!?」

 

「お茶子ちゃん……!?いくら嫌なこと思い出したからって……!!」

 

「……!そういうこと!?お茶子ちゃんそういうことだよね!?」

 

「お、なになに麗日!何を思い出したの!?」

 

「ちょっ!?瑠璃ちゃんも透ちゃんも違うから!!そういうんじゃないから!!三奈ちゃんも、私なんも思い出しとらんで!!」

 

あまりにも露骨で自虐的なお茶子ちゃんの行動に私が思わず口を出すと、透ちゃんと三奈ちゃんがワクワクしながらお茶子ちゃんに詰め寄った。

お茶子ちゃんも慌て始めてしまって必死で誤魔化そうとしている。

でもここまで露骨な行動を取って、緑谷くんに発目さんの影がちらついた瞬間に態度が変わって、隠しているなんてどのみち無理がある言い分なんだからもうちょっと態度に出さない方法とかを考えた方がいいと思うんだけど。

せめて男子がいるところだけでも。

そんなことでワイワイ話しながら移動して、運動場γに辿りついた。

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