波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

140 / 268
チーム分け

運動場γについてすぐに、いつもの煽るような声が聞こえてきた。

 

「おいおい、まーずいぶんと弛んだ空気じゃないか。僕らをなめているのかい」

 

「お!来たなぁ!!なめてねーよ!わくわくしてんだ!!」

 

「フフ……そうかい。でも残念。波は確実に僕らに来ているんだよ。さぁA組!!!今日こそシロクロつけようか!?」

 

物間くんが、いつも通り私たちを挑発するように煽ってきた。

それにしても、B組での物間くんの立ち位置はA組でいうブドウ頭の立ち位置と同じ感じのようだ。

小森さん以外のB組女子が冷たいやや引いたような感じの視線を向けている。

特に小大さんは物間くんに対して冷たい視線を向けている。

あれは私がブドウ頭に向ける視線とほぼ同質のものな気がする。

実際小大さんの思考は物間くんに対して冷たい思考になっているし、そう間違ってない気がする。

物間くんのことが苦手なんだろう。

そんなことを考えていたら、物間くんは凄まじい笑顔で高笑いしながら(ぼくしらべ)なんて書いてある紙を見せてきた。

 

「見てよこのアンケート!文化祭で取ったんだけどさぁーあ!A組ライブとB組超ハイクオリティ演劇どちらが良かったか!見える!?二票差で僕らの勝利だったんだよねぇ!!」

 

「マジかよ、見てねーから何とも言えねー!!」

 

「……どっちの出来がとかの話はともかく……ぼくしらべの時点で……信頼性が高いデータじゃない……参考にならない……」

 

「入学時から続く君たちの悪目立ち状況が変わりつつあるのさ!!」

 

物間くんは変わらず高笑いしながら、手を打って煽り散らしてくる。

だけどこのデータの信頼性はそんなに高いものではないだろう。

雄英の生徒数で母数100以下のデータだし、さらにぼくしらべなんて書いてあるし。

そもそもアンケートの取り方が謎。少なくともA組のライブ中にそんな投票箱は体育館にはなかった。

体育館で取ったんじゃないとすると、物間くんがアンケートを取っていったことになるんだけど、この時点で公平じゃない。

負け惜しみとかじゃなく、どっちが良かったかとかを判断できるようなデータではないと思う。

 

まあそんなことはどうでもいいか。

とりあえず物間くんは気を付けた方がいい。

怒りに震える拳藤さんが拳を握って震えているし、相澤先生の思考も制裁に関するものになっている。

 

「そして今日!!A VS B!!初めての合同戦闘訓練!!僕らがキュ!!」

 

「黙れ」

 

案の定物間くんは相澤先生の捕縛布で首を絞められて、強制的に黙らされた。

相澤先生がいるところで授業妨害にもなるような行為をしているんだからさもありなんとしか思わない。

だけどあれは苦しいとか以前に、結構がっつり絞められていて痛そうだ。

一応最低限の加減はしているんだろうけど。

 

物間くんが黙らせられたことで話せる状況になったと判断したらしいブラドキング先生が話し出した。

 

「今回特別参加者がいます」

 

「しょうもない姿はあまり見せないでくれ」

 

特別参加者というのはもしかしなくてもブラドキング先生の後ろに隠れている心操くんのことだろうか。

心操くんは頻繁に相澤先生と特訓をしていたし、特別参加者として参加できるということは先生視点でも捕縛布の扱いもある程度できるようになったということだろう。

先生たちの思考的にも編入テストの意味合いもありそうだし。

 

「ヒーロー科編入を希望している、普通科C組、心操人使くんだ」

 

「「「あ~!!!」」」

 

「心操ーーー!!」

 

「まぁねってこういうことか!」

 

「あれ相澤先生の捕縛布?」

 

「マスクはオリジナルかな」

 

「よろしくなー!!」

 

紹介された心操くんに対して、皆口々に感想や挨拶を述べていった。

特に尾白くんの驚きようが凄い。体育祭で痛い目を見ているから当然ではあるんだけど。

 

「一言挨拶しろ」

 

「何名かは既に体育祭で接したけれど、拳を交えたら友達とか……そんなスポーツマンシップを掲げられるような気持のいい人間じゃありません。俺はもう何十歩も出遅れてる。悪いけど必死です。立派なヒーローになって、俺の"個性"を人の為に使いたい。この場の皆が超えるべき壁です。馴れ合うつもりはありません」

 

相澤先生に挨拶を促された心操くんは、そう言い切った。

それと同時に皆から拍手が響いてくる。

正直挨拶というよりも宣言って感じではあったけど。

 

「ギラついてる」

 

「引き締まる」

 

「……嫌われる個性で……それを人の為に使おうと思えるの……凄いと思う……」

 

「いいね彼」

 

心操くんの宣言には私としても思うところはあった。

正直、心操くんはすごいと思う。

洗脳なんていう人から嫌われる個性で、それを人の為に使おうと思うのが私には理解できない。

私はお姉ちゃんのためにヒーローを目指しているんであって、波動の感知や読心を人の為に使いたいと思ってヒーローを目指したわけじゃない。

悪意とか負の感情は苦手だから、可能ならそういうのをどうにかしたいとは思うけど、あくまで可能ならの話だ。

読心を負の感情を向けてくる人の為に使おうなんて、私にはとてもではないけど思えなかった。

だから正直にいって、心操くんのその考え方はすごいと思うと同時に理解できないものでもあった。

 

 

 

「じゃ、早速やりましょうかね」

 

「戦闘訓練!!」

 

心操くんの紹介も終わったことで先生たちは今日の授業の説明に移った。

ブラドキング先生が大きな箱まで取り出している。

ボールみたいなのがたくさん入っているし、くじ引きでチームを決める感じか。

 

「今回はA組とB組の対抗戦!!舞台はここ、運動場γの一角!!双方4人組をつくり、一チームずつ戦ってもらう!!」

 

「……心操を加えると41名。この半端はどう解決するのでしょうか?」

 

「心操は今回2戦参加させる。A組チーム・B組チームそれぞれに1回ずつ。つまり5試合中2試合は5対4の訓練となる」

 

宍田くんの質問に相澤先生が答えると、不公平だと思ったらしい透ちゃんが憤ったような感じで声をあげた。

 

「そんなん4人が不利じゃん!!」

 

「……透ちゃん……落ち着いて……」

 

「ほぼ経験ない心操を4人の中に組み込む方が不利だろ。5人チームは数的有利は得られるがハンデもある」

 

私が隣の透ちゃんを落ち着かせるために声をかけたけど、すぐに先生が補足してくれた。

 

「今回の状況設定は"ヴィラングループを包囲し確保に動くヒーロー"!お互いがお互いをヴィランと認識しろ!4人捕まえた方が勝利となる!」

 

「ヒーローであり相手にとってはヴィラン!?どちらに成りきればいいのだ!?」

 

「ヒーローでよろしいかと」

 

訓練の設定に対して飯田くんが相変わらずの空回りを見せている。

なんでそういう思考になるのかがよくわからない感じだ。百ちゃんの言う通り、普通にヒーローに成り切ればいいだろうに。

 

「双方の陣営には"激カワ据置プリズン"を設置。相手を投獄した時点で捕まえた判定になる」

 

「緊張感よ!!」

 

「自陣近くで戦闘不能に陥らせるのが最も効率的。しかし、そう上手くはいかんですな……」

 

「"4人捕まえた方"……ハンデってそういうことか?」

 

爆豪くんは本当に頭が回るし、理解力がある。その通りで間違いない。まあ心操くんの実力からして足手まといにはならないからハンデになるかと言われると疑問が残るけど。

爆豪くんの質問には、相澤先生が答えた。

 

「ああ……慣れないメンバーを入れること、そして5人チームでも4人捕えられたら負けってことにする」

 

「お荷物抱えて戦えってか。クソだな」

 

「ひでー言い方やめなよ!」

 

「いいよ。事実だし」

 

「徳の高さで何歩も先行かれてるよ!」

 

「……心操くん……足手まといには……ならないと思うけどね……」

 

爆豪くんが文句を言う中、私がボソッと呟くと透ちゃんが不思議そうに聞いてきた。

 

「そうなの?」

 

「ん……少ない側が……捕える対象を選べるのと……心操くんが連携の訓練をしてないことくらいだよ……ハンデって言えるの……それが数的有利と釣り合うかと言われると……微妙……」

 

「じゃあやっぱり4人が不利ってことか!?」

 

透ちゃんがまた若干憤っている。

だけど先生たちはそんなの無視してくじの箱を差し出してきた。

 

「じゃ」

 

「くじな」

 

 

 

1試合目

蛙吹、上鳴、切島、口田  VS 塩崎、宍田、円場、鱗

2試合目

常闇、葉隠、波動、八百万 VS 黒色、拳藤、小森、吹出

3試合目

飯田、尾白、障子、轟   VS 回原、角取、鉄哲、骨抜

4試合目

青山、砂藤、耳郎、爆豪  VS 泡瀬、鎌切、取蔭、凡戸

5試合目

芦戸、麗日、緑谷、峰田  VS 小大、庄田、物間、柳

 

私は2試合目。

透ちゃん、百ちゃん、常闇くんとチームになった。

相手は拳藤さん、小森さん、吹出くんに黒色くん。

個性だけで見てしまうと拳藤さん以外は全員厄介だし、拳藤さんは頭が回ることも考えると全員厄介な感じか。

 

「よろしくね!」

 

「ああ。よろしく頼む」

 

「よろしく……」

 

「よろしくお願いしますわ!」

 

私も含めた皆がチームメイトと挨拶し始める。

私のチームだとブレーンに百ちゃん、隠密行動に透ちゃん、汎用性の高い常闇くん、索敵に私という感じか。

まあ考えるまでもなく役割分担には困らなそうな感じだ。

 

「じゃ、心操引け」

 

「それぞれ出た数字のチームに入れる」

 

差し出された箱から心操くんが引いたのは、A組1、B組5だった。

つまり梅雨ちゃんの所と物間くんの所に入るということ。

私とは関わらない感じだ。

まあそれでよかったと思う。

心操くんの個性は私とは相性最悪だし、編入試験の意味合いがあるなら彼にとっては関わらない方が断然いいだろう。

心操くんが各チームと挨拶を終えたところで、相澤先生が話を締めるように最後のルール説明を始めた。

 

「スタートは自陣からだ。制限時間は20分。時間内に決着がつかない場合は残り人数が多い方の勝ちとする」

 

そこまで説明されて、1試合目のメンバーは指示された位置まで移動し始めた。

残りはここでモニター前に座って見物する感じになった。

皆まだ作戦会議とかはしていない。

私は2試合目だし、この試合で作戦の重要性が分かってからとかだと遅いと思うから、試合を見ながら作戦会議を提案しようかな。

百ちゃん中心に作戦会議すればいい感じの作戦を考えられそうだし。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。