波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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作戦会議

そろそろ第一試合が始まるというところで、オールマイトとミッドナイト先生がやってきた。

どうやら見学に来たらしい。

 

「オールマイトとミッドナイトが来たー!熱愛!?」

 

「やめて。年上管轄外」

 

三奈ちゃんが相変わらずの恋愛脳でミッドナイト先生をからかう。

先生は先生でちゃんと乗りながらも否定している感じだ。

オールマイトは50歳くらいだったはずだし、仕方ない気もするけど。

 

「どっちが勝つと思います?」

 

「どうだろうねぇ。多くのピンチを乗り越えてきたA組は強い。しかし……データを見ると実はB組の方が伸びてるんだ。トラブルがない分着実に地力を上げている」

 

オールマイトがそんな感じで解説する。

確かにB組は堅実に実力をつけて行っているイメージがある。

授業の時の波動を見ていても実際そんな感じだし。

そんな話をしている間に第一試合の参加者が全員スタート地点にたどり着いた。

 

「じゃ、第一試合……START!」

 

ブラドキング先生の掛け声とともに、試合が始まった。

 

さて、私は第二試合だし、この第一試合を見ながら作戦会議をした方がいいと思う。

その前に確認しておきたいことが少しある。

試合が動き出す前に相澤先生に質問してしまおう。

他の生徒に聞こえないように端の方にいる先生にこっそり近づいて声をかける。

 

「先生……聞いておきたいことが……あるんですけど……」

 

「どうした」

 

「読心……どこまでしていいですか……?試合前の作戦会議とかも……全部していい感じですか……?」

 

「……それを聞くということは、もう隠しているわけではないんだろ?」

 

「はい……自分から言ったりはしてないですけど……特に隠しているわけでもないです……」

 

「なら俺から言うことは何もない。好きに使え。今後、そういう個性のヴィランを相手にする可能性もある。今までの挙動、言動を見て気付けていないというのなら、それは相手側の落ち度だ」

 

「……分かりました……ありがとうございます……」

 

読心も好きに使っていいという確認が取れたから、先生に頭を下げて透ちゃんの隣に戻る。近くには百ちゃんと常闇くんもいる。

それにしても、作戦会議の読心もしていいとなるとこっち側にだいぶアドバンテージがある感じだ。

バレている可能性ももちろんある。

B組で完全に私の読心を知っているのは物間くんだけだ。だけど、物間くんは読心に関してはちゃんと隠してくれている。

あとバレる可能性があったところというと、始業式の日に物間くんや切島くんたちに言ったことを聞かれている可能性があることと、この間のミスコンの時に拳藤さんが悪意に敏感というお姉ちゃんの言葉を聞いているくらいか。

それに挙動とかを合わせて考えれば予想できなくはないはず。

実際ミルコさんとかナイトアイには挙動で見破られてるし。

相澤先生は挙動、言動、状況の合わせ技の積み重ねだからほぼ例外だ。

 

そんなことを考えながら透ちゃんたちのところに戻った。

 

「透ちゃん……百ちゃん……常闇くん……私たち……次試合だし……見ながらでいいから……作戦会議しよ……」

 

「うん!しようしよう!」

 

「ええ……あちらでしましょうか。あそこまで行けば聞こえないでしょうし」

 

「ああ、そうだな」

 

皆もすぐに同意してくれて、他の人から少し離れた位置に離れた。

3人にも読心で作戦会議も含めて盗み見してもいいと言われたことを伝えてしまおう。

 

「今確認してきたんだけど……拳藤さんたちの作戦会議も……全部読心していいって……」

 

「うわ、それほんと?」

 

「ん……今後そういう個性を持ってるヴィランに……遭遇するかもしれないし……もう隠してないなら……言動や挙動から気付けない……相手の落ち度だって……」

 

「確かに、真理ではあるか……」

 

「そう言われてしまうと、何も言い返せなくなってしまいますわね。私たちも拳藤さんたちの個性で知らないことがあれば、それは私たちの分析不足の一言で済んでしまうことですし、条件自体は同じということですか」

 

「一応……精度とかは別として……拳藤さんとかには……気付かれる可能性は……あると思うけど……」

 

相澤先生の容赦のない裁定に、皆ちょっと引きつつも納得は示している。

百ちゃんなんかはむしろ相手側の個性のことを頭の中で分析し直しているくらいだ。

 

「百ちゃん……分析し直すの……ちょっと待って……合宿の時に……ラグドールさんが読んでた個性の詳細……4人分伝えるから……」

 

「うわぁ、そっか、そうだよね。合宿の時皆個性の分析してもらったもんね。当然読めてるよね」

 

「ん……ただ……ここ数ヶ月の成長が加味されてない……古い情報っていう前提で聞いて……」

 

「ええ、もちろんですわ」

 

そこからは拳藤さんから順番に個性の情報を伝えていった。

拳藤さんの大拳。人を覆えるサイズまで両拳を巨大化できる。基本的にそれだけ。弱点はないけど、悪く言えば普通の個性。

小森さんのキノコ。湿っているところにキノコを繁殖させられる。弱点は滅菌処理に弱いこと。

黒色くんの黒。黒色ならなんでも溶け込めて、その中を高速で移動できる。弱点は強いて言えばただ溶け込むだけだから、動かすとかは出来ないこと。あとは単純に光に弱くて、強い光で照らして入っている影を消すと飛び出てきてしまうことくらいか。

吹出くんのコミック。発したオノマトペを具現できる。弱点は発声しないと具現化できないこと。

皆も頷きながら聞いている。百ちゃんはそこから個性が伸びているとしたら、という仮定で考察し始めている。やっぱり百ちゃんは頼りになる。

 

『早くも削り合い!宍田、円場の荒らしが覿面!!これは!!残人数は同じでも精神的余裕はB組にありか!?我が教え子の猛追が遂に!!A組を打ち砕くのか!?』

 

「いいぞ僕らのブラキン先生!」

 

「偏向実況やめろー!」

 

作戦会議をしている間にも試合は進んでいる。

A組は口田くんと切島くん、B組は円場くんが確保されたようだ。

その様子をブラドキング先生が凄まじい贔屓ぶりを見せながら実況していた。

それに対して三奈ちゃんや響香ちゃん、青山くんが垂れ幕やプラカードを作ってまで抗議していた。

……皆作戦会議しなくて良いのかな。見ながらでも多少の作戦会議は出来ると思うんだけど。

まあ私たち以外は試合と試合の合間でも作戦会議はできるからいいといえばいいのか。

試合を見るのも勉強になるから、ある程度ちゃんと見ておかないといけないのは確かだし。

 

「……拳藤さんに読心について気付かれている可能性があると言っていましたわね。それはどの程度か確認しておいても?」

 

「ん……ミスコンの時にトラブルがあって……お姉ちゃんが私は悪意に敏感だからって言ってるのを……聞いてる……どの程度読めるかはわからないだろうけど……読心の存在には気付いてても……おかしくない……」

 

「それならば、読心で盗み見た作戦が罠である可能性も一考するべきですわね。読心の可能性に気付かれているならば、それを逆手に取ってくる可能性もあります」

 

「ん……そのあたりは……注意した方がいい……拳藤さん……頭が回るし……そういうの得意そう……」

 

百ちゃんの指摘は何も間違っていない。

拳藤さんなら気付いている可能性もあるし、最悪のケースを想定して筒抜けの対策をしてくる可能性もある。

ブレーンになるであろう拳藤さんを重点的に深く読んでおくつもりではあるけど、どうなるかは分からない。

 

「読心に気が付かれていてもいなくても、波動さんがいる以上場所は筒抜けなのですから、相手には速攻しか作戦はありません。何かしらの手段を用いて分断をするように仕掛けてくる可能性が高いと思いますわ」

 

「ん……私もそう思う……少なくとも……私は一人にしたいはず……」

 

「ですが、そこは私たちも逆手に取ることができます」

 

「あ!そっか!テレパス!」

 

「はい。私たちが通信機をつけていない状態で分断された場合、各個撃破に動いてくると思います。そこで波動さんがテレパスで敵の位置を伝え、こちらに有利な状況になるように誘導してくださるだけで、優位はゆるぎないものとなりますわ」

 

「ブラフ。罠として十分に期待できるな。この時期の新技を、読まれる可能性は低い」

 

 

 

その後も色々作戦会議は続いた。

基本的に頭が良くて話をまとめるのもうまい百ちゃんが中心で、私がちょくちょくサポートする感じで話は進んだ。

 

「では、基本的な役割は私と常闇さんが遊撃。波動さんが索敵。葉隠さんが隠密ということでよろしいですか?」

 

「ん……大丈夫……」

 

「うん!もちろんだよ!」

 

「ああ。異論ない」

 

一応ある程度こちらの作戦は決まった。

ただ、拳藤さんたちはまだ作戦会議をしていない。

さっき少しだけだけど、拳藤さんの思考が私に関する考察になって、悪意に敏感ということについても考えていた。

その後から分析しなくなったあたり、明らかに警戒し始めたとみるべきだ。

多分程度は分からなくても読心に思い至っている。

作戦会議をまだしていないのは、こちらに対策を考える時間を与えないためだろうか。

確かにそれはそれで有効ではあるけど、代わりに試合直前まで全然話し合いをできないことになる。諸刃の剣の対策だ。

でも結局相手の作戦を読めないなら、こちらの作戦はこれ以上詰められない。

あとは本番直前に詰めるしかないか。

 

そんなことを考えていたら、ブラドキング先生が声を上げた。

 

『第1セット、ぐぬぬぬぬ、A組+心操チームの勝ーーーーー利!!』

 

ちょうど操られた塩崎さんがB組の残り全員を檻にぶち込んで試合終了となったようだった。

それにしても梅雨ちゃんと上鳴くんの機転が利いたいい作戦だったと思う。

心操くんの強みをよく生かされていた。

今は一人一人反省点を聞かれていて、それに対して相澤先生からのコメントを返され終わったところだった。

 

皆も作戦会議や対策を練る重要性にようやく気が付いたらしい。

至る所で作戦会議が始まっていた。

誰を軸にするか、どんなアイデアやコンボがあるかといった感じの内容が主だ。

私たちのチームは私の感知を軸にしていく作戦を組み終わっている。

一方で、拳藤さんたちはまだ作戦会議すらしていない。

本当にスタート地点についてからすぐに作戦を決めるつもりか。

まあ拳藤さん以外の3人も私がいる以上速攻が基本になることは分かっているっぽいし、最低限の意思の統一はできているのか。

 

『では第二セットチーム2!準備を!!』

 

ブラドキング先生が準備するように促してきた。

私たちはササッと指示にしたがって、A組、B組一緒に指定のエリアに向けて移動を開始した。

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