波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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始業一発気合入魂鍋パだぜ!!!会(前)

目が覚めたら、寮の共有スペースのソファで寝かされていた。

タオルケットまでかけられている。

相澤先生は今教師寮のエリちゃんの部屋で、エリちゃんの角のムズムズに対応しているみたいだった。

……やってくれたのは相澤先生とかなんだろうけど、起こしてくれてもよかったのに。

そんなことを考えていたら、透ちゃんが駆け寄ってきた。

 

「あっ!瑠璃ちゃん起きた!」

 

「透ちゃん……?」

 

「大丈夫なの?先生にこのまま起きるまで休ませとけって言われてたんだけど……」

 

「……ん……大丈夫だと思う……ありがと……精神的に疲れてただけだから……」

 

「何があったのかって聞いても大丈夫?」

 

「……答えられない……かな……」

 

私がそう答えると、透ちゃんは心配しながら少しだけ寂しそうな顔をした後に、気合を入れなおすように握りこぶしを作った。

 

「そっか……分かった!じゃあとりあえず、元気になったならこっちに来て!」

 

「……料理?」

 

「そうそう!このあとね!インターン意見交換会兼始業一発気合入魂鍋パだぜ!!!会をするんだよ!」

 

皆が料理しているからそれを聞いてみたら、透ちゃんがずらずらと謎の会の名前を言い出した。

言いたいことは分かるけど、その名前は誰の発案だ。すごく分かりづらい。

 

「えっと……会の名前……長くて言いづらくない……?」

 

「でもこの名前の通りの目的だから!B組も来てくれることになってるんだよ!」

 

「なるほど……?」

 

B組まで呼んで盛大に鍋パをするらしい。

鍋か。

皆の思考的にレパートリーは豆乳鍋、キムチ鍋、寄せ鍋、担々ゴマ鍋みたいだ。

うん。ベーシックなのが多いし、作りやすいかな。

皆で作るというならこういうのの方がいいだろう。

ちょいちょい闇鍋とかいう思考が見えるのが怖いけど。

やるのか、闇鍋。

 

「私も……手伝うね……」

 

「いいよいいよ!瑠璃ちゃんは席に座って待ってて!いつも作ってくれてるし!」

 

「大丈夫だから……一緒に料理したい……」

 

「そう……?大丈夫ならいいんだけど、無理はしないでね」

 

「本当に精神的に疲れただけで……身体はなんともないし……寝たら楽になったから……」

 

私が料理をしたいことを伝えると、透ちゃんは少し心配そうにしながらではあったけど頷いてくれた。

皆と楽しく料理が出来れば気分転換になる気がしたから、できればやりたかったのだ。

黒霧の思考を読むのにも疲れたし、先生たちの感情を感じ取りながら過去とかまで伝わってきて、精神的に疲れていたのだ。

黒霧……白雲さんのことは、それだけ重くのしかかってきていた。

 

 

 

その後は皆と料理をして鍋パに備えた。

私は梅雨ちゃんたちがしている鍋の味付けの方に合流して鍋を仕上げていった。

後は煮込むだけという状態までもっていって、共有スペースの机の方に持っていった感じだ。

 

そんな準備をしていたら、緑谷くんたちもオールマイトとの密談を終わらせたらしくて寮に戻ってきていた。

継承者の個性のことを話していたっぽいし、一応後で詳細は書いておこうかな。

 

「遅いぞ2人ともー。早く手伝わねーと肉食うの禁止だからな!」

 

「すぐやるね!」

 

「肉を禁じたらダメに決まってんだろがイカれてんのか!!」

 

「ええ……やべぇ人じゃん」

 

上鳴くんの声掛けに対して、緑谷くんはすぐに走って手伝いに来てくれて、爆豪くんは謎のキレ方をしながらも野菜を切っている人たちの方に向かってくれた。

そんな状況を横目に、百ちゃんがお茶っ葉を持ちながらウキウキしながら声を上げていた。

 

「なんでも入れてよろしいなんて素敵なお料理ですわね!」

 

「お茶っ葉はよろしくないですわよ!?」

 

「……あれ……闇鍋のだよね……そういうのが醍醐味じゃ……」

 

お茶っ葉にツッコむお茶子ちゃんに声をかけると、恐る恐ると言った感じで私が手に持っていたものを指さしてきた。

 

「る、瑠璃ちゃん……持ってるそれはなに……?」

 

「……工芸茶用の……ジャスミン茶葉……」

 

「瑠璃ちゃんもしかしてふざけてる!?」

 

「……たまにはこういうのも……いいかなって……闇鍋だし……」

 

「で、でもそれ食べられないよね!?さすがにやめとこう!?」

 

……暗闇の中で掴んだものを絶対に食べないといけないルールだし、私以外の人は何も見えないんだから確かにやめておいた方がいいか。

ジャスミンとはいっても毒がない種類のやつだから、万が一食べても害があるわけじゃないし、面白いと思ったんだけどな、これ。

闇鍋なんて美味しくなるわけないんだからふざけてなんぼだと思うんだけど。

 

「そこまで言うなら……やめとく……」

 

「そ、そうしてくれると嬉しいな!」

 

「でも……闇鍋なんて美味しくなるわけないんだから……ふざけた方が……楽しくない……?」

 

「はっ!?なら私、皆がびっくりするようなもの入れたい!」

 

お茶子ちゃんが安堵しかけていたところに、話の流れを聞いていたらしい透ちゃんがお皿を運びながら乱入してきた。

そこまで来た辺りで、お茶子ちゃんは闇鍋を制御しようとするのを諦めたらしい。

菩薩のような笑顔を浮かべた状態で固まってしまった。

 

「ニラ切った奴誰だ!」

 

「俺だ」

 

「姉ちゃん泣くぞ!!クソが!!」

 

爆豪くんの声が響いたと思ったら、轟くんが切った全く切れていないニラを切り直し初めてくれていた。

爆豪くん、なんだかんだで轟くんと仲良くなっていたらしい。

ちょっと意外だった。エンデヴァーに救援要請出したときはまだそんな雰囲気なかったと思うんだけど。

ニラを切り終わった爆豪くんはそのままキッチンの鍋の方に歩いて行って、キムチ鍋を作っていた砂藤くんを押し除けた。

キムチ鍋は自分好みの味にしたかったらしい。

まあ爆豪くんが納得する味なら美味しいだろうし、このままキムチ鍋は任せよう。

私も寄せ鍋の味の調整は頑張った。

梅雨ちゃんとお茶子ちゃんが調整していた豆乳鍋も外れることはないだろうし、坦々ゴマ鍋は砂藤くんが調整してる。

余程のことがない限りは闇鍋以外は美味しく出来るはずだ。

 

 

 

そんな感じで皆で大騒ぎしながら鍋の準備は終わった。

後はB組が来るのを待つばかりだ。

鍋を煮込み始めて、皆でソファに座って話しながらB組を待っていた。

各々が雑談して待っている中、透ちゃんはいつものごとく私に声をかけてきてくれていた。

 

「そういえば瑠璃ちゃんはインターンどうだったの?」

 

「ん……ミルコさん……身体の動かし方とか……技のキレをよくする方法……すごく丁寧に教えてくれた……全体的に動き……良くなったと思う……」

 

「じゃあ瑠璃ちゃんの動きがミルコ並みになってたり!?」

 

「流石にそこまでは無理……ミルコさんについて行くので精一杯だったし……」

 

「あはは、だよねー」

 

透ちゃんも分かりきってはいたけど、ふざけて聞いてきた感じみたいだった。

楽しそうにケラケラ笑っていた。

 

「透ちゃんは……どうだったの……?ヨロイムシャのところだったよね……」

 

「私はコンボとか新技の開発かな!光の屈折がいい感じに出来るようになったんだー!青山くんと連携すればレーザーも曲げれちゃうよ!」

 

「それ……結構すごいよね……」

 

「でしょー?頑張ったんだから!」

 

透ちゃんが胸を張ってドヤ顔を披露してくる。

それにしても、レーザーを屈曲できるってことは自分に当たってる太陽光を屈折集中して、虫眼鏡みたいにして発火的なこともできるんじゃないだろうか。

透ちゃん自身が見えないのと合わせると、ナインに使った人間閃光弾に勝るとも劣らない凶悪度な気が……

私がそんなことを考えながら苦笑いしていると、寮の玄関の扉が開いた。

 

「お邪魔するよー!」

 

入ってきたのはもちろんB組で、拳藤さんを先頭に小大さん、塩崎さん、小森さん、角取さん、取蔭さん、柳さんといったB組女子勢揃いでやってきていた。

男子は寮で鍋とかを準備してから来るつもりらしい。

女子が先に来たのはソファとかのセッティング目的っぽい。

 

「さぁ、どうぞ上がってくれたまえ!」

 

「いらっしゃーい!」

 

委員長として出迎えた飯田くんを筆頭に、女子皆でそれに続いて出迎える。

もうお互いに何度か寮を行き来しているから、気兼ねなんてなかった。

 

「これ差し入れ。ジュースとかお菓子。食後に食べようよ」

 

「まあ!ありがとうございます!」

 

拳藤さんが差し入れの入った袋を百ちゃんに手渡して、百ちゃんもにこやかな笑顔で受け取った。

その裏で、小大さんが"サイズ"で小さくして持ってきた数台のソファを取り出していた。

 

「ソファ、持つよ!」

 

「んーん」

 

「大丈夫」

 

「……そっちじゃなくて……轟くんたちを手伝えばいいのに……」

 

女子にいい所を見せようとした上鳴くんが、小大さんにササッと駆け寄って笑顔を浮かべていたけど、小大さん本人と柳さんにすぐに遠慮されていた。

というか、上鳴くんは小さくなったソファを運ぶのを手伝うなんていうちっちゃいことじゃなくて、既に置いてあるソファを動かすのを手伝った方がアピールできたと思うんだけど……

今まさに轟くんと砂藤くん、口田くんが気を利かせてスペースを空けてるし。

その空いたスペースに、柳さんが"ポルターガイスト"で浮かせながら小さなソファを配置していった。

 

「解除」

 

小大さんのその一声で、ソファは元の大きさに戻った。

目測も完璧で、鍋が置いてある机の周りにソファがいい感じに配置された。

これでB組も皆座れるだろう。

 

「目論見が外れたなぁ、上鳴ぃ!」

 

「俺はみんなに優しい男なんだよっ!」

 

「……しかし上鳴……女子が増えるのはいいことだなぁ……!」

 

「そうだなぁ、峰田。囲まれてーよな」

 

「俺、来世は鍋になる。囲まれてつつかれるんだ……そんで、熱くてハフハフされるんだ……」

 

「……最高だな、それ」

 

……ブドウ頭がまた妄言を宣い始めた。

上鳴くんと意気投合するのはいいけど、せめてもう少しこそこそできないんだろうか。

うっとりしながら変なことを言っている2人に、女子側は普通に引いてるんだけど。

 

「バカじゃないの?」

 

「なんだよ、ちょっとかわいい妄想話してただけだろー」

 

「気持ち悪いの間違いでしょ」

 

「ん……響香ちゃんの言う通り……いつもの妄想よりはマシだけど……それでも普通にドン引き……」

 

呆れたように言った響香ちゃんに同調して文句を言っておく。

流石にもう少し周囲のことを考えて話してほしい。

 

「あら?あとはもう来ないのかしら?」

 

「男たち?もちろん来るよ。ちょっとねー……色々持ってくるよ。A組、先に謝っておく。ごめんね」

 

「……物間くんがいるんだから……予想はついてた……謝る必要……ない」

 

梅雨ちゃんの純粋な疑問に、拳藤さんは謝罪も交えて返した。

まあ物間くんがいるからそうなることは容易に予想がついてたし、今更だ。

皆も物間くんのことを思い出したようで、ハッとしたような顔を浮かべた瞬間、ドアをバーン!って凄い勢いで開きながら物間くんを先頭にB組男子が入ってきた。

 

「やぁ!!待たせたね!!待たせすぎたかな!?」

 

「いや、待ち過ぎてはねぇ」

 

「……待ってたのは間違ってないから……とりあえず鍋置いて……鍋パ……始めよ……話は食べながら……」

 

「で、出鼻を挫いてくるじゃないか」

 

「いいから……皆待ってた……」

 

物間くんに構ってたらいつまでたっても食べ始めることが出来ないし、当然の流れですらある。

物間くんが来てから少しして入ってきたB組男子もお腹が空いていたのか、すぐに鍋を置いてソファに座った。

コップにジュースとかウーロン茶とか、各々の希望の物を注いで皆でコップを持っていく。

コップが行きわたったのを確認した飯田くんが、いい笑顔を浮かべながら皆の前に立った。

 

「では!"インターン意見交換会"兼、"始業一発気合入魂鍋パだぜ!!!会"を、始めようーーー!!!」

 

「かんぱーい!!!」

 

「キャー!」

 

「食べる~~~!」

 

音頭に合わせて皆でコップを掲げて、鍋パが始まった。

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