波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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AB合同女子会

謎の対決を始めた男子たちは放っておいて、女子の方は普通に親睦を深めるための女子会が始まろうとしていた。

私のジャスミンティーと百ちゃんの紅茶を選べるようにテーブルに置いて、拳藤さんたちが持ってきてくれたお菓子をつまむ感じだ。

A組とB組の女子全員が集まってのお茶会なんて今までなかった気がする。

林間合宿の時も角取さん、取蔭さん、小森さんがいなかったし。

 

「我慢対決だってー。熱いの我慢するの、何が楽しいんだろー?」

 

「……なんか……轟くんの炎まで利用して……お風呂を疑似的なサウナにしてる……誰か倒れたりしないといいけど……」

 

透ちゃんのつぶやきに今の男風呂の惨状を伝えると、透ちゃんはうわぁって感じの引いた表情を浮かべた。

 

「サウナって……何が楽しいのかもっと分かんないや」

 

「おじさんとか、なんでサウナ好きなんだろうね?」

 

透ちゃんはさらに不思議そうな表情を浮かべて、小森さんもそれに同調していた。

正直私もあんまり分からない。

切島くんと鉄哲くんが凄く盛り上がってるけど、何が楽しいんだろうあれ。

 

「私、結構好きだよ。温泉行ったときのサウナとか。長い間は入っていられないけど、そのあとに飲むアイスコーヒーがまた格別なんだよねー」

 

「一佳、オヤジー」

 

「うるさい」

 

拳藤さんはサウナは嫌いじゃないらしい。

思い出したように言う拳藤さんに、取蔭さんがからかうように声をかけていた。

拳藤さんも特に嫌がっている様子はなく、笑いながら返している。

相変わらずB組女子も仲がいいみたいだ。

そんな様子を見ながら、クッションを抱えた三奈ちゃんが口を開いた。

 

「あ、でも私も結構好き!水風呂でキュウーって身体が締まる感じしない?」

 

「えー?ウチ、それが苦手」

 

「サウナ直後に水風呂入る人……意識すると……キュって締まる血管が見えるから……私もあんまり好きじゃない……」

 

「うわ、そういう方向か……確かにそれが見えちゃうと考えちゃうね。ヤオモモは?サウナ好き?」

 

私があんまり好きじゃない理由を言うと、響香ちゃんがちょっと引いたような表情をした。

私に同意を示して、そのまま百ちゃんにもサウナに関して聞き出していた。

 

「家にいた時は割と入っていました。代謝が良くなるように」

 

「家にサウナ!?」

 

「ええ、お父様が好きで、フィンランドから特注のものを取り寄せたそうです」

 

百ちゃんの家にはサウナまであるらしい。

私たちA組はもう慣れてるから微笑ましく見ているだけだけど、百ちゃんのリッチさに慣れていないB組は感心したような声を上げている。

 

「私、何かおかしなことを……?」

 

「大丈夫」

 

困惑する百ちゃんに、お宅訪問をしたことがある三奈ちゃんと響香ちゃんがフォローするように声をかけた。

 

「百ちゃんちのサウナは大きいの?」

 

「大きいかどうかは分かりませんが、50人くらいは入れますわね」

 

「銭湯のサウナより大きいやないかい……!!」

 

50人って、すごく広いな。

お茶子ちゃんが卒倒芸をしてしまうのも納得のリッチさだった。

 

「もしよろしければ、いつか皆さんうちに入りにいらしてください」

 

「え、いいの?」

 

「わー!行く行く!」

 

「さっきサウナ苦手って言ってたのにー」

 

「みんなと入るのは楽しそうじゃない!」

 

「ん……確かに……」

 

百ちゃんの提案に、皆一気に盛り上がり始めた。

百ちゃんは百ちゃんで、さっきサウナの後に身体がキュっとする感覚が苦手と言っていて特に今同意を示したりもしていなかった響香ちゃんに、不安そうに声を掛けたりもしていた。

まあ響香ちゃんも別にそこまで嫌ってわけじゃなくて、すぐに百ちゃんの家には遊びに行きたいって伝えてたけど。

 

 

 

「……ふふふ、男子はまだ我慢対決してるみたいだし、せっかくの女子会だし、ここは恋バナをするべきじゃないかなぁ!!」

 

「……透ちゃん……好きだね……」

 

「だって那歩島でももっと話したかったのに結局できなかったじゃん!!」

 

そんなに根に持ってたのか。

B組との合同の女子会では前も恋バナをしまくってたのにまたこの感じだから、B組も苦笑しちゃってるし。

 

「でも前もそんな感じのこと話して、ほとんどの人が好きな人はいないってなってたじゃん。誰か進展とかあったの?」

 

「進展……進展と言われると、微妙かもしれないけど……でも、話のネタはあるよ!お茶子ちゃんのしまっておく発言とか!瑠璃ちゃんのこととか!」

 

拳藤さんが苦笑いしながら林間合宿での女子会を思い浮かべて聞いてくる。

それにしても透ちゃん、どれだけ青山くんのことを話したかったんだ。

もう困ってるところを助けたとかでいいかな。それくらいならいいよね。

別に間違ったことは言ってないし。

私がそんなことを考えていると、顔を真っ赤にしたお茶子ちゃんが口を開いた。

 

「と、透ちゃん!さっき言った以上のことはないから!本当に!」

 

「えー、でもさっき波動が麗日に相談するように伝えたって言ってた時には顔真っ赤にしてたじゃん」

 

お茶子ちゃんの透ちゃんへの返答に、三奈ちゃんが若干不満そうに声をかけた。

お茶子ちゃんはお茶子ちゃんで顔を赤くして対応に困っている感じだ。

そんなお茶子ちゃんを横目に眺めながら、響香ちゃんが私に問いかけてきた。

 

「波動が、えっと、文化祭の後だっけ?それ伝えたの。どういう状況だったの?」

 

「どういうも状況もなにも……緑谷くんが……ヴィランと自分を重ねて悩んでたから……抱え込まないで誰かに相談しろって言っただけ……その時に……お茶子ちゃんに相談するといいよってついでに……」

 

「緑谷くんの反応は!?」

 

「特には……そっかって納得してただけ……でも……緑谷くんのお茶子ちゃんに対する感情は……もっと分かりやすいのがあったでしょ……」

 

「分かりやすいの?」

 

状況を説明すると、透ちゃんが興奮した感じで聞き返してきた。

でも、普通に納得してた文化祭の後のそれよりも、クリスマスパーティーの時の方が分かりやすい反応をしていたと思うんだけど、皆見てなかったんだろうか。

 

「ん……クリスマスパーティーのプレゼント交換の時……」

 

「そういえば、緑谷さんはおもちの大袋を……なるほど、あれは麗日さんのプレゼントですか」

 

「ん……緑谷くん……すごく嬉しそうにしてたでしょ……あれ……おもちだから喜んでたんじゃないよ……誰のプレゼントか分かったから……分かりやすく嬉しそうな表情浮かべてたの……これ……読心関係なく分かる情報……」

 

「ちょっ!!瑠璃ちゃんストップ!!ストップ!!」

 

顔を真っ赤にしたお茶子ちゃんがガバっと私を羽交い絞めにして、口を塞いできた。

でもちょっと遅い。もう意図はちゃんと伝わってて、三奈ちゃんと透ちゃんが目を輝かせている。

 

「つまり、緑谷もある程度気があるってことじゃん!!」

 

「好きかまでは分からなくても、気になってないとそんな反応にならないよね!?」

 

「そこだけ聞くと、脈があるようにしか感じないね」

 

「ね、今すぐ告白してもいけるんじゃない?」

 

「ん」

 

キャー!と興奮しながら騒ぐ三奈ちゃんと透ちゃんに、B組女子も口々に賛同していく。

やっぱり脈あるよね、これ。

読心の情報はそこまでって感じだけど、ふとした時の感情が明らかにお茶子ちゃんに気がある感じだし。

 

「ほ、本当に、しまっとくの!目標のためにいっぱいいっぱいで、余裕のない姿をかっこいいと思ったから!私も、頑張らないといけないから、だから……」

 

お茶子ちゃんは顔を真っ赤にしながら反論……反論?反論して、口ごもってしまった。

……これは、しまっておくって言ってるけど、好きなのは認めてるよね?

透ちゃんとかそれを理解して大興奮だし。

 

「皆、無理に詮索するのは良くないわ」

 

梅雨ちゃんが皆を止めるように、声を上げた。

流石に根掘り葉掘りツッコみ過ぎたのは皆分かっていたのか、それ以上お茶子ちゃんには無理に聞こうとしなかった。

代わりに三奈ちゃんの思考が私に向き出している。

 

「じゃあ麗日はこのくらいにしてー……波動の新ネタって何!?那歩島の時からすっごく気になってたんだけど!?」

 

「新ネタはねー!瑠璃ちゃんからっていうよりも、瑠璃ちゃんにって方があってるかも!」

 

「波動に?」

 

透ちゃんの発言を受けて、三奈ちゃんが考え始める。

それに合わせるように、皆も考え始めた。

そんなに真剣に考え込まないで欲しい。

そんな内容のことじゃないし。

 

「うーん……物間とか?波動と他のA組に対する態度が明らかに違うけど」

 

拳藤さんが指を立てて確認するように聞いてきた。

まあ物間くんも態度が全然違うんだけど、あれは完全に同情されてるだけだ。

 

「……物間くんは……そういうの一切関係ない……私の個性をコピーした時に……私が普段どんな状況で生活してるのか知って……同情してくれてるだけ……」

 

「……物間が?A組に?」

 

「ん……個性をコピーした時に……私に狂ってるって言ったのも……気にしてるみたい……それから……すごく気を使ってくれてる……」

 

「物間がそんなこと言ったの?さすがにそこまで直球の罵倒をする奴じゃないと思うんだけど」

 

「思わず出ちゃっただけだよ……私の個性の負荷……結構大きいから……すぐに受け止めきれなかっただけ……物間くんは悪くない……」

 

拳藤さん的にも物間くんは煽ったりはしても罵倒するような人じゃないっていうのは感じているらしい。

凄く意外そうな表情で聞いてきていた。

私がその問いかけに返答すると、ちょっと空気が暗い感じに変わりつつあるのを感じた透ちゃんが明るい声を張り上げた。

 

「……物間くんじゃなくて!瑠璃ちゃんにっていうのは、青山くんのことなんだよ!」

 

「青山?」

 

「そう!青山くん、明らかに瑠璃ちゃんを意識してるんだよ!秋のインターンで帰って来た時に、瑠璃ちゃんにだけ心配そうに声かけてたし!文化祭の準備でも瑠璃ちゃんが誘ったら素直にお昼ごはん一緒に食べてた!普段は一人で食べてるのに!文化祭の時もミスコンすごくよかったって直接褒めてたし!クリスマスパーティーでの"僕のキラメキショウ"でも明らかに瑠璃ちゃん気にしてたんだよ!」

 

「ほー」

 

皆の視線がこっちに集中する。

うーん、確かに言われてみれば青山くんからアプローチを掛けられてるように見える。

でも青山くんの感情とかは恋愛感情じゃなかったと思うんだけど。

 

「……多分……困ってるところを助けてからだと思う……それから……そんな感じ……」

 

「瑠璃ちゃん的には青山くんどう!?」

 

「別に……なんとも……」

 

「えーそんなことはないでしょー!」

 

三奈ちゃんと透ちゃんがテンション爆上げで囲んでくるのが困る。

どうしようこれ。

しばらく素っ気なく対応してれば落ち着いてくれるかな。

そう思う一方で、私がチェーンを通して首にかけてる指輪と、青山くんの腕輪がほぼ同じデザインなことに気付かれませんようにと祈り続けていた。

これがバレると流石にめんどくさい。

 

そんなこんなでしばらく素っ気なくしらばっくれ続けていたら、恋バナは鎮火していった。

透ちゃんたちはもっと話したがっていたけど、他にネタなんてないんだから仕方ない。

その後はなぜか山手線ゲームで担任の先生の良い所を言い合う勝負が始まった。

B組はB組でブラドキング先生の良い所をすごい数思い浮かべているし、A組も相澤先生の良い所を大量に思い浮かべている。

私も、今日、白雲さん相手に先生が語り掛けていた内容を、頭の中に思い浮かべていた。

『生徒たちには、お前のようになってほしくなかった……!正義のためと、己が命を軽んじるヒーローには……!お前のようになってほしかった……!誰かを引っ張っていけるヒーローに……!最高のヒーローには、長く生きて欲しいから……!』という、先生の心からの叫び。

私たちをかわいがってくれている先生の本心。

除籍なんて生徒を脅していても、生徒のことを心から心配してくれているその優しさ。

もちろん除籍がいいことだなんて思わないけど、先生には先生の信念があってやっていることだ。

今日の黒霧の一件で、私の中での相澤先生の評価は急上昇している。

いい所はいっぱい言えそうだった。

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