波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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協力3人娘

「で……」

 

「何を」

 

「すればいいの?」

 

今日はオールマイトに頼まれていた緑谷くんの訓練に付き合う日だった。

爆豪くんと緑谷くんが訓練をしていた体育館に行って、訓練に付き合うとは言っても何をすればいいのか分からなかった私、お茶子ちゃん、梅雨ちゃんの3人は並んで首を傾けていた。

今日のお茶子ちゃんは髪を結ってきている。可愛い。

訓練の時にたまにやってるやつだ。

 

「悪いね、皆忙しい時に」

 

「新しい力について、アドバイスをお願いしたいんだ!」

 

爆豪くんにこんがりやられてアフロになった緑谷くんが意気揚々とそうお願いしてきた。

まあ私は事情を知っているから拒否する理由がないし、お茶子ちゃんたちも頼まれて嫌がるような子たちじゃない。

 

「……手伝うのはいいけど……アフロ……気になる……笑いそうになるから……」

 

「こ、これは"かっちゃんを黒鞭で捕まえる"って訓練で負け続けた結果だよ。全然捕まえられなくてさ……速い標的にどう対処すればいいか"個性"の使い方が近い麗日さんたちに聞きたいんだ」

 

「爆破がルールにない!爆豪くんあーた、相変わらずひどいねぇ!!」

 

緑谷くんの説明に、お茶子ちゃんが憤りを隠そうともせずに爆豪くんに食って掛かった。

 

「実戦形式ってデクから言ってきたんだよ!!」

 

「そうだとしても……やりすぎだと思う……」

 

「ええ、流石にちょっと酷いと思うわ」

 

女子3人で爆豪くんを囲んで腕を振り上げて抗議するけど、爆豪くんはどこ吹く風で私たち相手にもキレてくる。

だけど相変わらずかどうかは別として、これは普通に爆豪くんが悪いと思う。

わざわざ頭を爆破しなくていいだろうに。

 

「私はどうしよっか!?ワイヤーは練習中の身ですが」

 

「そういう技術なら、相澤先生が得意そうよね」

 

「私も……爆豪くんと丸被り……」

 

お茶子ちゃんと梅雨ちゃんが意見を言うのに合わせて、私も意見を言っておく。

既に分かっているとはいっても、話を合わせるのに言っておいて損はないと思う。

 

「麗日少女には彼に空中制動時の身のこなしを、蛙吹少女には舌を使う際の身のこなし、波動少女には空中での移動時の身のこなしをご教授願いたい!!」

 

「デクくんいつもとび回っとるのに」

 

「ぴょんぴょんしてるわ」

 

「彼はパワーとともに滞空時間も増しているんだ!」

 

「ほほう!」

 

オールマイト、結構無理がある言い訳をしてくるな。

黒鞭の訓練ならお茶子ちゃんを呼ぶ意味がないのが良く考えれば分かってしまう。

黒鞭で浮くことはできないんだから、私と梅雨ちゃんで十分だ。

お茶子ちゃんは浮遊の感覚を掴むために呼んでいるから、説明できなくて苦しい言い訳をしている感じか。

 

「空中でもより高度な動きをしていかねばならないのさ。そして相澤くんだが、彼は今多忙を極めてる」

 

オールマイトはそこまで言って説明を区切った。

相澤先生、黒霧のことで何かやらなきゃいけないことがあるんだろうか。

オールマイトがそれっぽいことを考えていたけど……ちょっと、だいぶ心配だ。

 

「皆と先生の技は書いてて覚えてるんだ。身体の使い方というか……感覚部分で共有できそうなことを―――……」

 

そこからは緑谷くんが教えて欲しい感覚をブツブツズラズラと言ういつものあれが始まった。

相変わらず長くて分かりづらい。

一応思考を読んでるから本意は分かるけど、言葉だけ聞いてるとすごく分かりづらいのは変わらない。

 

 

 

緑谷くんのブツブツが終わってから、すぐに訓練を始めた。

最初はお茶子ちゃんのゼログラビティで浮くところからだ。

 

「空中で泳ぐイメージで手足のバランスを……そーそー」

 

「なるほど……こういうことか!」

 

お茶子ちゃんの説明を受けて、緑谷くんはすぐにエアフォースで空中を飛び回り始めた。

あの軌道は私がお茶子ちゃんに浮かせてもらっている時に波動の噴出で吹き飛んでいる時と全く同じだ。

あれなら助言できなくもない。

 

「おお!いいじゃん!」

 

「あれなら……私も同じことできる……アドバイスできそう……」

 

「よし!その状態で黒鞭や空中での動きのコーチもしてもらおう!」

 

「はい!!」

 

オールマイトも今のは悪くないと思ったようだ。

そのまま指導してもらうように緑谷くんに指示を出した。

 

 

 

そこからは普通に空中制動と黒鞭の特訓が始まった。

 

「背中まっすぐ!」

 

「出すんじゃなくて、当てたい場所に伸ばすイメージが大事よ」

 

ゼログラビティで空中に浮いている緑谷くんは、そのまま岩の方に向かって飛んでいっている。

やっぱり便利そうだ。

梅雨ちゃんも一緒に飛び跳ねてどんどん練習していた。

しばらく梅雨ちゃん主体でアドバイスして落ち着いたところで、緑谷くんは降りてきた。

 

「なるほど、こうすればいい感じにまっすぐ―――……」

 

「……分析……相変わらず好きだね……」

 

「デクくんらしいよね!」

 

「―――……よし、あす……ゆちゃん!ちょっと聞きたいことがあるんだけど!」

 

「梅雨ちゃんと呼んで」

 

緑谷くん、まだすぐに梅雨ちゃんって呼べないのか。

女子の名前呼びに慣れてないのは分かるけど、もうそろそろ1年経つんだし慣れてもいいころだと思うんだけど。

梅雨ちゃんもいつもの返答を返しながらも、緑谷くんの質問に答え始めていた。

 

「それなら、手をこう伸ばせばいいんじゃないかしら」

 

「私がワイヤーでやる時もそんな感じでやってるよ!」

 

「正面に飛ばすのは……緑谷くんもエアフォースでやってるでしょ……そのイメージを……単発の玉じゃなくて……紐に置き換えればいいと思うんだけど……」

 

緑谷くんに見せるために、私も波動を腕に纏わせてから正面に伸ばす要領で動かしていく。

あんまり遠くまで伸ばすと霧散しちゃうけど、可視化したのをにょろっと少し先に伸ばすくらいならできる。

正直波動弾にしてしまう方がコントロールが楽だったりするけど。

 

「イメージした紐を置きにいく感じにするといいんじゃない?」

 

「なるほど……!!」

 

「身体の延長だと思うのが大切だと思うわ」

 

緑谷くんが凄く真剣な感じで腕を伸ばした状態から、黒鞭をぴょろっと出してみたりしている。

正直ここからは感覚的な話になってくるから、梅雨ちゃんと一緒にどんどん試してみるのがいいと思う。

 

「じゃあ……その感覚で練習しよっか……黒鞭……当てたところに引き寄せられるだけじゃなくて……飛んでる時にエアフォース使えば……方向転換できると思うし……戦い方の幅が広がると思う……」

 

「うん!お願いします!」

 

「よーし、がんばろー!」

 

4人でおー!って感じで腕を上げて、緑谷くんの練習を始めた。

 

 

 

「跳びながら……行きたい方向の正反対になる位置に……腕を伸ばす……」

 

「えっと……こうかな?」

 

「ん……そう……ただ……重力とか慣性とかがかかってくる状況で……抗おうとしたり……無理矢理軌道を曲げようとするなら……それじゃダメ……パワーと向き……いい感じに調整……これは感覚……」

 

「な、なるほど……感覚か」

 

緑谷くんと一緒にぴょんぴょん跳んで助言しながら、爆豪くんとオールマイトの密談の思考を感知し続ける。

爆豪くんはいつも緑谷くんを毛嫌いしているのに、ちゃんと心配していた。

これから黒鞭以外の個性が発現したら誤魔化しがきかなくなるってこともそうだけど、継承者の死因まで考えて。

私はノートを見せてもらったうえでオールマイトの思考を読んだから分かるけど、老衰による40代での死亡なんて異常という言葉以外出てこない。

OFAが何か悪さをしているとしか思えないのだ。

だからこそ、爆豪くんは憧れているオールマイトであっても信じきれないと言っている。

 

爆豪くんが考えている緑谷くんの自分を勘定に入れない異常性は、私も読心で散々感じたことだ。

緑谷くんも、オールマイトも、自分を勘定に入れずに、とにかく助けるっていう考えに支配されることが多い。

完全に人助けに狂った狂人としか思えない思考をするのだ。

爆豪くんはそれを感じ取って恐怖を覚えてしまったんだと思う。

まあその結果がいじめとかにつながっているのは一切擁護のしようがないんだけど。

でも、今の爆豪くんは緑谷くんへの嫌悪感と同時に、申し訳なさも感じている。

だからこそ、生理的に受け付けないのは変わらないんだろうけど、それでも特訓に付き合い続けているのだ。

緑谷くんには一切伝わってないのがなんとも言えない所だけど。

そんな思考を散々感知してきたからこそ、お茶子ちゃんが爆豪くんに「相変わらずひどいねぇ!」って言ってた時は相変わらずって部分に若干疑問符が浮かんだ。

一応、爆豪くんも成長していると思うのだ。

少なくとも、仮免の後の一件がある前に今の状況に陥っていたら、爆豪くんは間違いなく緑谷くんを無視して特訓を手伝ったりはしてないと思う。

神野や仮免試験、その後の遅れを取ったという劣等感が、爆豪くんを成長させたんだと感じた。

 

 

 

しばらくオールマイトと話し込んでいた爆豪くんも、話が一段落してこっちに戻ってきた。

 

「おいクソデク!!もう1回やんぞ!!」

 

「あ、うん!ありがとうかっちゃん!」

 

「礼なんか言ってんじゃねーよ!!助言もらってちったぁマシになったんだろうなぁ!?」

 

「試してみたいことがあるんだ!頑張るよ!」

 

「それも含めて完膚なきまでにお前を叩きのめす!!そしてお前は死ぬ!!」

 

なんというか、さっきの思考を見てからこれを見ると完全にツンデレでしかないな、今の爆豪くん。

 

「爆豪くん!今度は頭の爆破はなしだからね!」

 

「知らねぇよ!!実戦形式だっつったのはデクだって言ってんだろ!!」

 

「……アフロにするの……何か意味があるの……?」

 

「意味なんてねえ!!顔に爆破食らったデクが死んだ証ってだけだろーが!!」

 

「それは流石に……爆豪ちゃん、もうちょっと考えて「それじゃ実戦形式にならねぇだろうがよ!!」

 

女子3人で抗議するけど、結局爆豪くんの意識は変わらなかった。

緑谷くんも特に拒否せずにそのまま向き合おうとしている。

それでいいのか緑谷くん。

 

その後、実戦形式の模擬戦が爆豪くんと緑谷くんの間で始まったけど、助言をもらって磨いただけの付け焼刃の技術で緑谷くんが勝てるはずがなかった。

緑谷くんのアフロが増量されたのは言うまでもない。

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