波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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本部捜索

山の中を車で進んでいって大体2時間くらい経ったところで、車は止まった。

ミルコさんは普通に車内で寝てた。

着いたのを確認して、ミルコさんを起こして車を降りる。

 

ここからは徒歩だ。

まあ徒歩とは言ってもミルコさんも私も普通に跳躍してるんだけど。

それでも、目的地まで中々の距離がある。

一応感知しながら移動しているけど、今のところ私たち以外の人は感知できない。

野生動物はいるけど、それだけだ。

しばらくミルコさんの後ろをぴょんぴょんしてついていく。

そして、ようやく目的地が近づいてきた。

 

「……確定ですね……」

 

「もうなんか見えたのか?」

 

周囲の目につかないように、近づいてからは森の中を進んでいたから、視覚ではまだ何も見えていない。

入口も、まだ範囲内には入ってない。

だけど、見えるのだ。

地下に広がる広大な空間。

その中を大量にうろついている、狂気的な思想の持ち主たちが。

 

「……地下に……すごく広い空間があります……中を歩いている人間も……狂気的な思考の持ち主ばっかりで……狂信者って感じです……思考の内容も誘導できないですし……正直……今の状態での読心は……ほぼ参考にならないかと……」

 

「まあ本部の場所が特定できてれば十分だろ。一応もうちょっと近づくぞ。入口と中の構造くらいは押さえられるなら押さえておきたい」

 

「はい……行きましょう……」

 

森の中を分け入って、さらに本部に近づいていく。

すると、遠くに、崖を切り出して神殿の入り口のような感じにしている建造物が見え始めた。

 

「……舐めてんのか、あれ。入口まるわかりじゃねぇか」

 

「……真上からは見えないですけど……横からは普通に見えますよね……あれ……むしろ……なんで今まで見つかってなかったのか……謎です……」

 

「大方政府か警察、公安あたりのどこかに信者が潜り込んでんだろ。それで交通封鎖するなり、危険地域に指定するなりすりゃ好き放題だ」

 

「……なるほど……」

 

そう考えると腐り切ってるな、この国。

どこまでの人間がつながっているのか分からないから、公的な機関が一切信用できなくなるし。

最初のヒューマライズ襲撃は完全に察知されていたし、さらにいえば緑谷くんに対する謎の指名手配だ。

そう考えると、やっぱりこの3つの組織の中のどこか、あるいはすべての地位を持っている人間の中に、信者がいるとしか思えない。

とりあえず司令部には通信した方がいいか。

エンデヴァーたちが無駄な時間を費やさないようにしないと。

 

「ミルコさん……報告……私からで大丈夫ですか……?」

 

「今更聞くのか。私は中は見えてねぇからお前がするのが適任だろ。警戒はしといてやるから、さっさと通信しとけ」

 

「はい……ありがとうございます……」

 

一応スマホを取り出してみるけど、案の定圏外だ。

あらかじめ渡されていた衛星通信の端末を取り出して、司令部に通信を掛ける。

これ、何気に画面までついていて映像通信までしてくれるらしい。

凄く高性能な機械だった。

 

「オセオンから司令部へ……本部発見の報告です……」

 

『本当ですか!?長官!オセオンから本部発見の報告が入りました!』

 

通信手の人が慌てた感じで長官に報告している。

とりあえず、話を続けていいんだろうか。

勝手に続けるか。

多分通信手は聞いてるだろうし。

 

「オセオンの山脈地帯……北の端の方……司令部とエンデヴァーが抽出した最北端のポイントです……真上からは見えませんけど……崖を抉って神殿を作ってます……横から見たらまるみえの状態です……地下深くまで広がっていて……最深部には……異常なくらい大きな機械が置かれています……施設の中には……大量の信者……大体……数百人規模の狂信者が……ここにいますし……間違いないかと……」

 

『最北端……分かりました。ひとまずその他の捜索班に伝えて、捜査を中断させます。そちらは……』

 

「地下の構造を記録します……その後……途中まで乗ってきた車の所までひとまず戻るつもりです……それで大丈夫ですか……?」

 

『問題ありません!よろしくお願いします!』

 

私の言ったことを、通信手はすぐさま了承してきた。

それでいいのか通信手。オールマイトにも長官にも相談してなかったけど。

まあ私はいいんだけど。

無駄な時間もかからないし。

 

 

 

とりあえず、持ってきていたバッグの中からメモ帳を取り出して、構造を記録していく。

その過程で、フレクト・ターンとかの思考も読んだけど、個性持ちに対する憎悪とか、『人類の救済を』とか、そんなことばっかり考えていて一切参考にならない。

とりあえず、イギリスとかのトリガー・ボムが回収されたことを把握している様子はなさそうではあることは分かった。

回収されてることに苛立っている感じも無ければ、焦ってる感じもない。

もしかしなくても、定時連絡とかしていないんだろうか。

それだけ信者を信頼しているんだろうか。それとも、通信を傍受されるのを嫌がったのかな。

それなら現状を把握していないのも頷ける。

来るべき時っていうのをどうやって伝えるつもりだったのかは分からないけど。

速攻で信者を捕まえたの、正解だったかもしれない。

 

そんなことを考えていると、フレクト・ターンの思考から、『解除キー』、『取り逃がした』、『クレイドならば計画遂行中にここにくることもできまい』、なんていう思考が読み取れた。

解除キー……?

クレイドはオセオンの隣の国だったはず。

計画遂行中に、ここにくる……

そういうことか。

 

「ミルコさん……!トリガー・ボムの解除キーがあるみたいです……!クレイドに取り逃がした何かが……それを持っているような思考をしていました……!ここに来ることもできまいとか考えているので……ここにトリガー・ボムを止める何かがあるはずです……!」

 

「あー、なるほど。あの指名手配はそういうことか。わっかりやすいなぁおい。誰が持ってんのか一瞬で分かんじゃねぇか。とりあえずすぐに司令部に連絡するぞ」

 

「はい……!」

 

ミルコさんに報告すると、すぐに報告するように促された。

すぐさま衛星通信の端末を取り出して、通信をかける。

すぐに通信を取ってくれたみたいで、すぐに映像通信が始まった。

 

「オセオンのリオルから司令部へ……報告します……!」

 

『どうしましたか?何か不都合でも……』

 

「フレクト・ターンの思考が……トリガー・ボムの解除キーが存在することを示唆しています……!クレイドに取り逃がした何かが……!それを持っているような思考をしていました……!"計画遂行中にここに来ることもできまい"と考えていたので……!解除キーを使用する装置は……!この本部にあると思われます……!」

 

『それは本当かい波動少女!?』

 

私が報告していると、オールマイトが画面横から飛び込んできた。

私は話しやすいからいいんだけど、それでいいのかオールマイト。

 

「はい……クレイドに取り逃がしたって考えていることと……緑谷くんのおかしすぎる指名手配からして……恐らく緑谷くんが持っているのではないかと……緑谷くんにコンタクトは取れませんか……?」

 

『いや、今はどこにいるのかすら』

 

オールマイトがそこまで答えたところで、映像通信の方から、大きな音が聞こえてきた。

それと同時に、オールマイトの視線があらぬ方向に向かった。

 

『我々、ヒューマライズは決起する。"個性"という名の病に冒された者たちから……"無個性"と呼ばれる"純粋なる人類"を守るために……我々が開発した"人類救済装置"は、世界25か国に配置され、既に動き始めた。人類救済までのタイムリミットは、今から2時間。だが、我々も無慈悲ではない。この計画を阻止したいと願うのなら、"人類救済装置"を設置した地域をお教えしましょう。我々と異なる考え方をしていようとも、チャンスは平等にあるべきだ……』

 

『長官!トリガー・ボムの設置区域、全25か所、事前に得ていた情報通り、全てヒューマライズの支部がある区域と一致しています!』

 

『だが、地図上に25か所全て表示されているぞ。これは……』

 

「イギリスにないのは変わらないと思います……!フレクト・ターンはトリガー・ボムが回収されていることを認識していません……!」

 

『その情報は助かるよ、波動少女!すぐに各国のマスコミに連絡してくれ!イギリスは全て回収済み、日本、オーストラリア、カナダ、ロシア!それにオセオンも今まさに1個回収できている!不安をなるべく軽減できるようにするんだ!』

 

その後、しばらくオールマイトや長官はバタバタと指示を出し続けていた。

 

 

 

少ししてから、オールマイトが戻ってきた。

 

『波動少女!落ち着いて聞いてほしい。これから、本部に対して総攻撃をかけることが決定した。もちろんすべてのヒーローを投入することはできないが、万が一に備えて他のトリガー・ボムを捜索するクレア・ボヤンスと、避難誘導のために残る数人のヒーロー以外の、オセオンにいるヒーローの総力を結集して、本部に総攻撃を仕掛ける。解除キーをもっているであろう緑谷少年たちには、こちらでなんとしてでもコンタクトを取って、本部に送り届ける。ヒーローたちには、総攻撃をかけて本部を制圧し、解除キーを使用するであろう装置の確保をしてもらいたい。そのためにも、波動少女。君はさっき内部の構造を把握すると言っていたね。紙に書いてたりするなら、それを全て画面に映して欲しい』

 

「分かりました……」

 

オールマイトに言われて、さっきメモ帳に書いた施設の構造を順番に映していく。

その作業をしていたら、ギラついた感じで楽しそうにしているミルコさんがオールマイトに問いかけた。

 

「私たちはどうすればいい。先に突入しとくか?」

 

『いや、軍用ヘリでエンデヴァーたちがそう時間もかからずに到着する。それを待って欲しい。突入は、タイミングを合わせて行いたい。エンデヴァーたちの降下に合わせて突入してくれ』

 

「……分かったよ。仕方ねぇな」

 

オールマイトの指示に、ミルコさんはちょっとだけぎらつきが陰った感じで納得していた。

……突入して大暴れ、したかったんだろうか。

したかったんだろうな。

ここ数日私のサポートって感じで立ち回ってくれていて、相当鬱憤が溜まっていたっぽいし。

突入の時はすごい勢いで突出しそうだ。

 

オールマイトはそこまで伝えると、通信を切った。

多分、指示しなければいけないこと、話し合わなければいけないことが山ほどあるんだと思う。

緑谷くんにもどうにかコンタクトを取らなければいけないだろうし、司令部側は暇なんて全くないだろう。

 

一方で私とミルコさんは、エンデヴァーたちが来るまで少し暇になってしまった。

一応、もう少しだけ近づいておくけど、ある程度の所までだ。

移動自体はすぐに終わった。

時間を無駄にするのももったいないし、私は内部の構造の確認、何かトラップや仕掛けがないか、まともな思考が読めそうな信者の個性の把握をしながら、エンデヴァーたちの到着を待った。

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