沢山のプロヒーローが続々とやってくる。
突出して跳んできたであろうミルコさんに続いて、エッジショットやベストジーニスト、リューキュウにバーニンを筆頭とした炎のサイドキッカーズまで。
展開したヒーローたちは、巨大な樹木のような怪物の群れに対処し始めた。
「おりゃ!はあっ!おおりゃあっ!!」
ミルコさんも目の前の怪物に蹴りを繰り出してぼこぼこにしていた。
ベストジーニストは個性を使って複数体を雁字搦めにしている。
やっぱりプロヒーローはすごい。
これだけの戦力があれば、押し返せるかもしれない。
「ミルコさんっ……!私もっ……!」
ミルコさんの横で触手を伸ばし始めていた怪物に向かって跳び上がる。
溢れる波動をそのままに、怪物の頭部に勢いの全て叩き込むために落下していく。
「波動蹴っ!!」
踵が直撃した瞬間に、波動を噴出する。
だけど、巨大な怪物はまだ動けるみたいだった。
「まだまだ甘ぇなっ!蹴りはこうやんだっ!——
私が追撃を放とうとした瞬間、ミルコさんが降ってきた。
それで目の前の怪物は動かなくなった。
「ありがとうございます……!」
「弱点の見極めが甘いんだよお前は。無駄に見え過ぎるせいで急所の判断がおせぇのが問題だ。もっと経験積め」
「はい……!精進します……!」
確かにミルコさんの言う通りだ。
一撃で敵を倒せる急所なんかの見極めはまだできないし。
私の戦闘経験不足が原因なのは間違いないから、言われた通り経験を積むしかないだろう。
「はあっ!——おい、こいつらなんだ。とりあえず蹴っ飛ばしとけばいいのか?」
「——波動弾っ!!はい……!これはバルド・ゴリーニ……ダークマイトの個性……錬金の生成物です……!無限に増殖し続けます……!」
「はっ!随分景気のいいこった!」
周囲の怪物と戦いながら最低限の情報共有をする。
戦っても戦っても減らないっていう情報は最悪もいいところなはずなのに、ミルコさんは蹴りを繰り出しながら獰猛な笑みを浮かべていた。
うん、いつも通りのミルコさんだ。むしろ安心する。
「ん……ホークス……?」
上空にホークスがいるのを感じた。
……ホークスだけこっちをチラッと見て奥に飛んで行こうとしてる?
中心部、あるいは常闇くんの方に向かおうとしてる感じかな。
『ホークス……!中心部は——』
「おい、リオル」
「っ、は、はい!なんですかミルコさん……?」
ホークスにテレパスで中心部を教えようとしたら、ミルコさんに声をかけられた。
……思考的に、ミルコさんもホークスが飛んで行こうとしたことに気づいてる?
「お前もあいつと行け」
「えっ……それは……」
「いいから、行け。どのみちこいつら倒しても解決しねぇんだろ。なら発生源をどうにかしなきゃ意味がねぇ。お前なら見つけられんだろ」
「……分かりました……ミルコさんも——」
「舐めんなよ。こいつら程度、私の敵じゃねぇよ。行け!!」
「はいっ!!」
溢れ出し続けている波動を操作して、身体を浮かせる。
そのまま波動の噴出で一気に飛び上がった。
ホークスはもうだいぶ先まで行ってしまっている。
私の速度じゃ追いつくことは不可能だろう。
今の思考からして……目的は常闇くんだな。
さっきの場所にいないと見て探し始めたらしい。
元凶はOFAを持っている緑谷くんに任せるってことだろう。
それなら……
『ホークス!!常闇くんは……!そこを直進していけば見える壁の穴を通って200m程度先の……!闘技場のような場所です……!人型の錬金生物の集団と戦っています……!!』
『助かるよ、ありがとう。君は——』
『私はデクたちの方に行きます……!』
『オーケー。お互いにやりたいことをやろうじゃないか』
『はい……!』
ホークスが穴に入っていくのが感じ取れた。
私もだいぶ遅れて穴に入ろうとした辺りで、今度は通形さんの波動を感じた。
……ふむ。
いろんな場所を出たり入ったりしている。
通形さんは通形さんで別のヴィランを探しているのだろうか。
『通形さん……?何かを探してるなら手伝いますけど……』
『リオル!いやー、この要塞を動かしているヴィランがどこかにいるってオールマイトと予想を立ててね』
『……確かに……要塞が動いているなら……動かせる個性持ちがどこかにいるはずですね……錬金で動かせると思えないですし……』
『そうそう!それで、まず雄英を狙っているこの要塞自体を止めようってなったんだけど……どこにいるかって知ってたりする?』
『ここまでで見つからなかったので……すくなくともこの周辺にはいないです……中心の方に向かいましょう……私もそっちに向かうので……見つけ次第テレパスします……』
『そうだね、その方がよさそうだ!……ところで、中心ってどっちか分かる?』
『あはは……今向いている方向の左が中心です……私はそっちに向かいます……』
『了解!じゃあ動こうか!』
通形さんの移動方法的に、大体の方角は分かっても地下とか室内ばかりを移動していると方向感覚はなくなりやすいか。
まぁ納得。
とりあえず私の説明で納得してくれたみたいだし、これで問題なさそうだ。
通形さんは再び移動を始めている。
私も爆豪くんたちが開けたであろう穴を通って中心に移動し始めた。
中心に近づいていくにつれて、見えるものは増えていった。
闘技場のようなところで戦っている常闇くんはもともと見えていたけど、今はホークスが手伝い始めてる。
数が減らないのは変わらないけどそこは問題なし。
その先のしばらく行ったところに、多分轟くんと爆豪くんが戦っていたであろう形跡が見える。
すごい大柄な男と逆にすごい小柄なお年寄りのペアが氷漬けになっている。
……これ大丈夫なのかな。
いや、でも、一応思考が読み取れるあたり生きてるのか。
というか、意識あるのか。
え……この2人、テレポートとテレキネシスのペアか。
この2人ももれなく適合者だったと考えると……あの2人よくこのペアを倒せたな。
緑谷くんが言ってたコンボで最強って話は間違いじゃなかったと証明されてしまったわけだ。
っ……新しくヴィランが範囲内に入った。
2人、別々の場所だ。
片方は気絶済み。というか、この人はスローモーションの人だね。
傷的に緑谷くんに一瞬で叩きのめされた感じかな。
緑谷くんの発勁で超高速で迫れば遅くされてもまぁ倒せるだろう。
もう一人は……大量のモニター画面で要塞内を観察してる?
赤くて大きな鼻をした小柄な男だ。
……こいつかな。
思考が明らかに個性による何かの遠隔操作だ。
浮かせて回収とかもこいつがやってたのか。
監視者はこいつだけ……?
いや、でもあの怪物たちは錬金製だろうから、さっきまで監視者の中にバルド・ゴリーニもいたとかだろうか。
まぁいいか。
読み取れている個性の内容的に、多分通形さんなら過剰変容の影響下のこの人相手でもやれるだろう。
戦えないから隠れてるっぽいし。
『通形さん……!見つけました……!中心部のお屋敷の地下に……!赤鼻の小柄な男がいます……!こいつが要塞を操作してます……!』
『中心部のお屋敷って言うと——』
上空を飛んでいる私のほぼ直下の地面の辺りに通形さんが飛び出してきた。
そのまま辺りを見回している。
言った方がいいだろうか。
でもここまでくるともう普通に見えているから大丈夫だろう。
大きなお屋敷……こんな要塞の中には似合わないそれは、もう目前まで迫っている。
『あれか!』
『そうです……!』
『じゃあ俺はそっちに行くよ!助かった!』
『はい……!個性は任意の空間内のものを……重力を無視して動かすものです……!通形さんが不意を突けば大丈夫だとは思いますけど……!注意してください……!』
私がそこまで言うと、通形さんはグッドサインをして地面にめり込んでいった。
頼りになる先輩だ。ミルコさんもホークスも通形さんも、心配せずに任せられる。
私はそのまま上空に方向転換して、上方向で繰り広げられている乱戦の方に向かった。
着いた時には、もうほとんど決着はついていた。
「ただ勝てばいいってもんじゃねえ!てめーの強さにゃ、憧れねぇ!!」
「ぐがあぁ!か、顔がぁぁ!俺の顔がぁぁっ!あぁぁぁあぁぁっ!!」
爆豪くんが放った爆破は巨大な炎の竜巻のようになってバルド・ゴリーニの全身を燃やしている。
特に顔は、錬金で偽装した外見が無理やり引きはがされていた。
よかったこれでようやくオールマイトの顔に二重に見えるヴィランの悪辣な顔を重ねなくて済む。
「そいつがてめーの正体か」
「オールマイトには似ても似つかない」
「私もそう思う……!オールマイトに……先生に憧れることはあっても……!こんなやつには、憧れない!!」
……緑谷くんが飛び込む準備をしている。
必要ないとは思うけど、私も援護しておく。
相手の防御行動を削るくらいの役割は担えるはずだ。
空間に飛び出てそのまま上空に上り、移動中から練り上げていた波動で巨大な波動弾を形成していた波動弾を、そのまま投げつけた。
「そうだろ!!デク!!」
「そうだろ!!緑谷!!」
2人が緑谷くんに呼びかけると同時に、緑谷くんが飛び出していった。
波動弾によって上空に意識を向けて対処していたバルド・ゴリーニは、緑谷くんの接近に対して明らかに反応が遅れた。
防御行動を取ろうとしたがら空きのその腹部に、緑谷くんの蹴りが突き刺さった。
緑谷くんはそのまま、内心でたくさんの技名を叫びながらバルド・ゴリーニをボロ雑巾のように殴りまくっていく。
最後に渾身のセントルイススマッシュが首元に突き刺さると、バルド・ゴリーニは吹き飛んでいった。
その間際に、確かに聞こえた。
バルド・ゴリーニを止めようとしてくれていた人の声が。
『力に固執するお前では、ファミリーをまとめることはできん。恐怖だけでは人は動かん……』という、あまりにも正しい指摘をしてくれている声が。
……父親が止めてくれていたのに、それを殺してこんな愚かなことをしたのか、こいつ。
父親への親愛の情を、この男から確かに感じるのに、それなのに……
承認欲求が暴走した結果がこれかと、ため息を吐かずにはいられなかった。
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※ユアネクスト編最新話にのみ表示されるようにつけ外ししているため連日見ている人には申し訳ありません
一次創作ハイファンタジー、箱入り巫女が幽霊となんやかんやしながら死に戻りする物語です。
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天青の巫女 ~箱入り少女とおちゃらけ幽霊の死に戻り救済譚~