波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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プールでお茶会

夏休みに突入している今日は非登校日ではあるけど、私たちA組女子は学校に集まっていた。

目的は単純明快。

プール使用のために申請した日が今日だからだ。

今は更衣室で着替えている所。

男子更衣室の方にも多数の波動を感じる。

あの後ブドウ頭も緑谷くんを巻き込んで申請したみたいだけど、緑谷くんを"体力強化"なんて目的で誘ったら皆を呼ぶに決まってる。

まだいないのは上鳴くん、ブドウ頭、緑谷くん、爆豪くん、切島くんの5人か。

それ以外は揃っているみたいだ。

 

「おニューの水着着たかったのになぁ……」

 

三奈ちゃんがまだ残念がっていた。

 

「ねー!」

 

「学校だから……仕方ない……」

 

「まあ、残念だけどしょうがないよね」

 

「その分、皆で楽しめばいいんだよ!」

 

三奈ちゃんの不満に答えたりして、皆で話しながらささっと着替えてしまう。

 

「でもまさか日光浴で申請が通るなんてね!」

 

「私も驚きましたわ。相澤先生、特に質問などもなくあっさりと承認してくださりましたもの」

 

「多分……学校も……長期の外出自粛に……負い目があったんだよ……」

 

「やっぱりそれが理由かしらね」

 

「まぁこれで今年通ったからって来年も通るとは限らないよね」

 

着替えは済んだけど、響香ちゃんの波動が若干怖い。

凄く暗い波動を背負っている。

理由は分かりきっているけど、やはり触れるべきではない。

というか、響香ちゃん以外皆大きい方なのだ。

慰めても傷を抉るだけだ。

違う方向の話題を振って盛り上がった方が良いかもしれない。

 

「皆……私……ジャスミンティー冷やしたの……持ってきたから……後で飲も……」

 

話題を逸らすのも兼ねて、持って来たクーラーボックスの中を皆に見せる。

今日はジャスミンティーを淹れて冷やした上で持ってきたのだ。

この季節だから、熱中症対策は大事だ。

後はジャスミンの匂いがダメな人用に一応紅茶も持ってきている。

ただ、紅茶に関しては百ちゃんに提供するのは気が引けてしまう。

紅茶の知識が豊富そうというか、舌が肥えてそうな百ちゃんだと紅茶はうまく出来ているか心配になってしまう。

 

「わー!瑠璃ちゃんありがとー!」

 

「ジャスミンティー?」

 

「うん……ジャスミンの香りがするお茶……おいしいよ……」

 

透ちゃんが嬉しそうにお礼を言ってくれたのを皮切りに、皆クーラーボックスを覗き込んできた。

 

「その容器……瑠璃ちゃん、自分で淹れたの?」

 

「うん……お姉ちゃんが好きだから……家でよく淹れてるの……香りがいいジャスミンも……美味しい淹れ方も研究した……自信ありだよ……」

 

「いいご趣味をお持ちですね波動さん!今度私が淹れた紅茶と一緒にお茶会などいかかですか?」

 

「ん……楽しそう……今度やろうね……」

 

百ちゃんの提案に快く応じる。

皆でお茶菓子を準備したりするともっと楽しいかもしれない。

 

「ただ……ジャスミンティーって独特な匂いだから……ダメな人はダメかも……一応紅茶も持ってきてる……百ちゃんには及ばないと思うけど……」

 

「波動気が利くね」

 

「うんうん!そんなの気にしなくていいよ!ありがとう!」

 

響香ちゃんの暗い波動もすっかりなくなっている。

そのままワイワイ話しながら皆でプールサイドに移動した。

 

 

 

プールサイドに出ると、そこには私が更衣室にいると感知していたA組男子が揃っていた。

 

「あれ、男子も今日プール申請出してたんだ」

 

「ああ!緑谷くんにトレーニングをしないかと誘われてね!参加させてもらったというわけさ!」

 

「峰田くん……私たちの企画を聞いてた……峰田くんと上鳴くん企画で……緑谷くんを誘ってたはず……そういうこと……」

 

飯田くんの返答に私が呟くと、女子は何が目的かを察したみたいだ。

一応、飯田くんにはっきりとそういう目的じゃないのかと伝えない辺り、皆優しい。

 

まあ皆コスチュームがぴっちりしてたり露出してたりで、割と慣れている。

スクール水着なんか見られても今更感がある。

普段よりも露出というか、変化が一番大きいのは響香ちゃんかな。

 

男子が集まっているプールサイドとは反対側に、女子で集まって荷物を置いておく。

そのまま並んで準備運動をしていると、上鳴くんと峰田くんがすごい速さで入口の方に駆け抜けてきた。

そんな2人に気がついた飯田くんが、すぐに声をかけた。

 

「遅かったじゃないか!!」

 

「おいおいおい!なんでお前らここにいんだよ!」

 

「体力強化するから、皆も一緒にどうってメールしておいたんだ!」

 

ブドウ頭が文句を言ってるけど、緑谷くんグッジョブだ。非常に好感が持てる真面目さをしている。

 

その後すぐに現実逃避をやめた2人は、鬼気迫る表情でこっちを見てきた。

だけど、見た直後に上鳴くんは落胆した。これはこれで失礼だな。

ブドウ頭はブドウ頭で、悟りを開いているのか知らないけど普通にニヤニヤしながらこっちを見ている。

 

「やっぱりそういうことなのね、峰田ちゃん」

 

「アホだろあいつら」

 

「ん……でも、目的に体力強化なんて書いた……自業自得……」

 

梅雨ちゃんと響香ちゃんの発言に、私も続く。

私が呟いたあたりで、飯田くんが二人に近づいていっていた。

 

「上鳴くん!峰田くん!!学校内で体力強化とは!見事な提案だ!感心したよ!さぁ!皆と一緒に汗を流そうじゃないか!!」

 

2人は、水着姿でムキムキの肉体を惜し気もなく晒す飯田くんに抱えられて、連行されていった。

飯田くんは「はっはっはっはっ!!」なんて笑っている。すごく上機嫌だ。

二人の「まってくれ~」なんていう情けない声を聞いて噴き出した私は悪くないはずだ。

 

 

 

その後は普通に皆でビーチバレーで遊んだり、のんびり泳いだりして過ごした。

男子が休憩をするタイミングで、私たちも上がってジャスミンティーを振舞う。

男子の方は飯田くんがオレンジジュースを配っているみたいだ。

流石委員長。気が利いている。

 

「「「おいしー!」」」

 

「良い香りですわね。淹れ方にこだわっていることがすぐに分かりますわ」

 

「ジャスミンの香りがいいわね」

 

「市販のより全然おいしいよこれ」

 

「おいしいなら……良かった……」

 

皆口々に褒めてくれてちょっと照れてしまう。

まあジャスミンティー好きのお姉ちゃんに認められるものを作ったのだ。

美味しくなければ困ってしまう。

 

その後は合流した爆豪くんと切島くんとのやり取りもあって、男子が競争をすることになった。

女子ももう一通り遊んだし、男子に協力することにした。

まあ私たち、というよりも百ちゃんがスタートの合図を協力しているだけで、他の女子は見学しながらお茶会をしているというのが実情だ。

個性ありで行われる競泳?でプールの一部が凍ったり、コースロープの上を爆走する人がいたり、爆発で飛んで行く人がいたりと色々あったし、あのまま遊んでなくて良かったかもしれない。

とはいえ、特に大きな問題があるわけもなく、順調に時間は進んで……

 

「17時。プールの使用時間はたった今終わった。早く家に帰れ」

 

その言葉とともに現れた相澤先生によってお開きになった。

当然文句を言う人もいたけど、先生は「なんか言ったか」の一言で黙らせた。

相澤先生の統率力は相変わらず凄い。

 

 

 

その帰り道、女子全員で公園に寄っていた。

百ちゃんから話があるらしい。

 

「実は父がI・エキスポのスポンサー企業の株を持っていまして……その伝手でプレオープンの招待状を頂きましたの。3枚あるので、どなたかお二人とご一緒にどうかと思いまして」

 

「ブルジョワや……!!」

 

どうやら百ちゃんもI・エキスポの招待状を持っていたらしい。

3枚のチケットを見せてくれる。

お茶子ちゃんはいつもの卒倒を見せつつも、視線はしっかりと招待状に向いていた。

 

「マジ!?」

 

「え!?なに!?連れてってくれるってこと!?」

 

「行きたい行きたーい!!」

 

「ケロ。私も行きたいわ」

 

皆俄かにざわめき出した。

そんな様子を尻目に私が何も反応しないでいると、百ちゃんがこっちに視線を向けてくる。

 

「波動さんはよろしいのですか?」

 

「私も……招待状持ってる……ミルコさんにもらった……」

 

今日透ちゃんを誘うつもりで持ってきていた招待状を見せる。

皆の血走った目が私の招待状に向いた。

 

「ミルコにもらったってマジで言ってんの!?」

 

「ん……いらないから欲しいならくれてやるって……私がもらわなかったら捨てるとまで言われた……」

 

「さ、流石ミルコ。豪快だね」

 

響香ちゃんがビックリしたような声を上げた。

透ちゃんは私が伝えるミルコさんの様子に冷や汗を流してしまっている。

 

「波動さんのその招待状はプロヒーロー向けの物ですよね。確か、同伴者も大丈夫だったはずでは?」

 

「ん……だから……今日誘うつもりで持ってきてた……透ちゃんを誘うつもりだったんだけど……この状況だと……百ちゃんのと合わせて……じゃんけんとかにした方がいい……?」

 

百ちゃんの質問に素直に答える。

あとはこの同伴者枠をどうするかだ。

透ちゃんと行くつもりだったけど、これだけ皆行きたがっている状況で私だけ透ちゃんを指名するのもなんだかなぁといった感じだ。

 

「それは波動さんにお任せしますわ。波動さんの招待状なのですから。葉隠さんと行きたいということであれば、それでも大丈夫ですよ」

 

「ん……そっか……」

 

……どうしようかな。私が悩んで決めかねていると、透ちゃんが私の肩をつついてきた。

 

「瑠璃ちゃんがいいなら、皆でじゃんけんでもいい?」

 

自分も行きたいだろうに、透ちゃんは平等にじゃんけんを提案してきた。

 

「いいの……?」

 

「うん、瑠璃ちゃんさえよければだけど。こういうのは平等にやっといた方が後腐れしないと思うんだ!」

 

「ん……じゃあ、じゃんけんで……」

 

私がそう言うと、百ちゃんと私を除いた5人の間にビリビリとした電流が走った。

そのまま、私と百ちゃんが見守る中、5人は真剣に身構えた。

 

「「「「「うーらみっこなしよ、じゃんけんポン!」」」」」

 

そして全員が一斉に手を出した。

透ちゃんだけは透明化で見えない関係上、棒が付いたグーチョキパーのマークを出している。

あれ、いつも携帯しているんだろうか。

私が見ても良かったけど、私は透ちゃんが一番いいと思ってるのはさっきのやり取りで分かってるし、不正を疑われないようにするならこれが一番か。

 

勝ったのは、グーを出したお茶子ちゃん、響香ちゃん、透ちゃんだった。

 

負けに気が付いた三奈ちゃんが、「やっちまったー!!?」なんていう絶叫を公園に響かせていた。

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