波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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部屋王決定戦

そんな感じで部屋王決定戦は始まった。

1階に行かないと女子棟には行けないから、まず男子の部屋を見せてもらうのは変わらない。

今まで見た人の部屋はそれで問題ないとして、他の人の部屋を順番に周っていく。

 

4階。

男子は爆豪くん、切島くん、障子くんだ。

爆豪くんはもう部屋で眠ってしまっている。

既に熟睡しているみたいで感情も読み取れなくなっている。

 

「じゃあ切島部屋!!ガンガン行こうぜ!!」

 

「どーでもいいけど多分女子には分かんねぇぞ。この男らしさは!!」

 

テンションが高いままの透ちゃんと三奈ちゃんを先頭に部屋に入る。

私は扉から覗くだけにとどめておく。

波動で感知していた通り、部屋は筋トレグッズやサンドバック、標語の貼り付け、なぜかある大漁旗とすごく暑苦しい感じだった。

これは流石に女子受けは悪い。まあ切島くんはそういうの狙ってないだろうけど。

 

「……うん」

 

「彼氏にやって欲しくない部屋ランキング2位くらいにありそう」

 

「大漁旗……なんで……?」

 

「アツいね、アツクルシイ!」

 

「ホラな」

 

女子受けは狙ってなくても現実を見せられるとちょっと悲しかったらしい。

若干涙目の切島くんだった。

 

次は障子くんの部屋だ。

障子くんの部屋は布団と小さな机と座布団以外何もなかった。

 

「何も面白いものはないぞ」

 

「面白いものどころか!!」

 

「ミニマリストだったのか」

 

「まぁ幼い頃からあまり物欲がなかったからな」

 

「こういうのに限ってドスケベなんだぜ」

 

ブドウ頭が布団を捲ったりしているけど、私はそんなの気にしている余裕がなかった。

障子くんの思考を読んでしまって、幼い頃がどういう状況か少し読めてしまったのだ。

私が顔色を悪くしているのに気が付いたのか、部屋を出た後に障子くんが近づいてきた。

 

「すまん、波動。読ませるつもりはなかったんだが……俺もそのうち皆に打ち明ける。それまでは言わないでもらえるか?」

 

「ん……私の方こそ……ごめん……」

 

「気にするな。さっきの件は、俺も勇気を貰えた。波動のおかげだ」

 

障子くんはそう言って笑顔を浮かべていた。

 

 

 

それ以上の会話はしないで皆を追いかけて5階に移動した。

5階は轟くんと砂藤くんだ。

 

「次々ー!」

 

「轟さんですわね」

 

轟くんの部屋ということで女子が少し色めきだつ。

というか、轟くんの部屋波動で見る限り和室なんだけど……

入居当日即リフォームってどうやったんだ。

百ちゃんの手伝いに集中していたから、外から戻った後の轟くんの行動まで見ていなかった。

まさか畳を貰っているとは……

 

「和室だ!!」

 

「造りが違くね!?」

 

「実家が日本家屋だからよ。フローリングは落ち着かねぇ」

 

「理由はいいわ!当日即リフォームってどうやったんだお前!」

 

「……頑張った……」

 

「なんだよこいつ!!」

 

皆もただただ困惑することしかできていない。本当にどうなってるんだ。

 

「じゃ次!男子最後は!」

 

「俺……まーつまんねー部屋だよ」

 

「轟の後は誰でも同じだぜ」

 

砂藤くんの部屋に入ってすぐに分かった。

この甘い匂い……シフォンケーキの匂いだ……!

すごく美味しそうな匂い……さっきまで焼いていたんだろうか……ちょっと分けてもらえないかな……?

 

「おいしそうな……匂い……」

 

「確かに良い香りするな。コレなに?」

 

「ああイケね!!忘れてた!!だいぶ早く片付いたんでよ、シフォンケーキ焼いてたんだ!!皆食うかとおもってよぉ……ホイップもあるともっと美味いんだが……食う?」

 

その提案に私のテンションは有頂天になった。

砂藤くんの方に駆け寄る。

 

「「「食う~!!」」」

 

砂藤くんがシフォンケーキを切り分けて渡してくれる。

切り分けるところからワクワクして1番前で見ていたから、1番に渡してもらえた。

垂れそうになる涎を飲み込みつつシフォンケーキにかぶりつく。

 

「ふわふわ……なめらか……さっぱり甘くて……おいしい……!!お店で売れるレベル……!!」

 

「あんまぁい!ふわっふわ!」

 

「ステキなご趣味をお持ちですのね砂藤さん!今度私の紅茶と合わせてみません!?」

 

男子が砂藤くんに文句を言っているけど、何も聞こえない。

砂藤くんはホイップがあるともっと美味しいとか言ってた。まだ変身を残しているとか驚異的過ぎる美味しさだ。

シフォンケーキおいしい!

 

 

 

そしてついに女子部屋のお披露目になった。

 

「マジで全員やるの……?大丈夫?」

 

「大丈夫でしょ。多分」

 

さっきと同じで下から順に見ていくことになった。

最初は私だ。

 

「はい……どうぞ……」

 

特に思うことはないから普通に扉を開けて招き入れる。

男子たちは「おぉ……」なんて言うだけで何も言わない。

ブドウ頭も最初だからかヤバイ思考を行動に移してはいない。他の子の部屋の時はしっかり監視しておかないと……

透ちゃんが安心しているのだけが気になる。どういうことだ。

 

「透ちゃん……?」

 

「え?ああ、私瑠璃ちゃんの部屋はもっとお姉さんでいっぱいだと思ってたから、普通に写真だけでびっくりしただけだよ!」

 

「そういうこと……私も……ポスターとか作りたいけど……お姉ちゃんに嫌がられたら……心が折れちゃうからしてない……」

 

「つ、作りはしたいんだ……」

 

お姉ちゃんは可愛くてきれいで最高のお姉ちゃんなんだからそんなの当り前じゃないか。

そんなことを話していたらお茶子ちゃんがコルクボードに目を付けた。

 

「コルクボード?随分大きいねぇ」

 

「ん……大事な写真……貼ってる……」

 

「お姉さんとの写真ばっかりだね!あとは……最近の透ちゃんとの写真?」

 

写真がお姉ちゃんとの物ばかりだったのが気になったらしい。

 

「……そこに貼ってるの……受け入れてくれた人との写真だけだから……貼った後に嫌われたら……悲しくなっちゃうし……」

 

私が答えると皆の顔が歪んだ。

楽しい雰囲気の中で言うことではなかったか。

そう思っていたら透ちゃん、三奈ちゃんにまた抱きしめられた。他の女子も撫でたりし始めている。

 

「これからいっぱい写真増やそうね!」

 

「コルクボードなんかじゃ貼りきれないくらい思い出作っちゃうからね!!」

 

「……そうなったら……困っちゃうね……」

 

「幸せすぎて困らせちゃうから!!」

 

私も自然と笑顔になってしまっていた。

そんなこともあったけど、私の部屋は終わりにして次の部屋に移動した。

 

 

 

次は3階の響香ちゃんと透ちゃんだ。

先に響香ちゃんの部屋に向かう。

 

「……ハズいんだけど」

 

響香ちゃんは恥ずかしそうにしながらも拒否はしていない。普通にドアを開けてくれた。

部屋の中は多種多様の楽器で埋め尽くされていた。

 

「耳郎ちゃんはロッキンガールなんだね!!」

 

「ロック……」

 

「これ全部弾けるの!?」

 

「まぁ一通りは……」

 

響香ちゃんがイヤホンジャックを突き合わせて恥ずかしがる。

そんな響香ちゃんに上鳴くんと青山くんがここぞとばかりに辛口なコメントを始めた。

 

「女っ気のねぇ部屋だ」

 

「ノン淑女☆」

 

淑女っぽい部屋ってなんだろう。ちょっと気になる。

私の部屋の時には言わなかったけど、私の部屋は淑女っぽかったんだろうか。謎だ。

そして当然のように上鳴くんと青山くんは響香ちゃんのイヤホンジャックで制裁された。

 

その次は透ちゃんの部屋だ。

全体的に可愛らしくまとめられたいかにも女子って感じの部屋。

 

「どーだ!?」

 

「お……おお、フツーに女子っぽい!ドキドキすんな」

 

私の時よりも反応がいいのが少し気になる。

それはそれとして私は動き出そうとしたブドウ頭の頭を掴んだ。

 

「……は?」

 

「な、なんだよ!?何もしようとしてねぇよ!?」

 

「……は?」

 

「……ぐっ……何も考えてねぇよ!!言いがかりは「嘘吐きは嫌い……」

 

「……すいませんでした……」

 

部屋の匂いを嗅ぐのはまだいい。

だけど箪笥を開けて下着を見ようとするのは違うだろう。

嘘を吐き続けるようだったら波動で制裁も辞さなかったけど謝って諦めたから許してあげることにした。

他の女子も何をしようとしたのかまでは分からなくても、最低なことをしようとしたこと自体は分かったようだ。

ブドウ頭に厳しい視線を向けていた。

 

その後は虎柄のカーテンとかハート柄の絨毯とか可愛らしくまとめられた三奈ちゃんの部屋とお茶子ちゃんの生活感に溢れる部屋を見て回った。

どっちも男子は私の部屋の時と似たような反応しかしてなかった。

 

最後に5階。百ちゃんと梅雨ちゃんの部屋がある階だ。

梅雨ちゃんの部屋は、梅雨ちゃんが気分が優れないってことで飛ばすことになった。

梅雨ちゃんは爆豪くん救出を止めたつもりだったのに止められなかったことを後悔しているようだった。

中から梅雨ちゃんがこっちの様子を伺っていて少し心配になっちゃうけど、お茶子ちゃんが気付いているからきっと大丈夫だと思いたい。

 

最後の百ちゃんの部屋は、天蓋付きのベッドが部屋を占拠していて皆は外から見ることしかできなかった。

私は手伝っただけとは言っても、このベッドがある部屋に荷物を入れていくのは結構大変だった。

 

そんなこんなで談話スペースに戻ってきて、投票も手早く行われた。

私が投票したのは砂藤くんだ。理由はもちろんシフォンケーキが美味しかったからである。

シフォンケーキがなかったら口田くんに入れていただろう。結ちゃん可愛かったし。

どっちの理由も部屋要素は薄いけど仕方ない。

 

「えー皆さん、投票はお済みでしょうか!?自分への投票はなしですよ!?それでは!爆豪と梅雨ちゃんを除いた……第一回部屋王暫定一位の、発表です!!」

 

三奈ちゃんが投票箱に手を突っ込みながら大きな声を上げる。

私からしたらもう結果は見えているけど、こういうのはワクワクする。

 

「得票数6票!!圧倒的独走単独首位を叩きだしたその部屋は―――砂藤ーーー力動ーーー!!」

 

「はああ!!?」

 

本人が一番びっくりしている。

 

「ちなみに全て女子票!理由は、「ケーキおいしかった」だそうです!」

 

「部屋は!!」

 

案の定上鳴くんや峰田くんとかが怒って砂藤くんが攻撃され始めた。

でもあのシフォンケーキの魔力には抗えないから仕方なかったのだ。

私はともかく百ちゃんすらも唸らせる程の砂藤くんのシフォンケーキが全て悪い。

 

部屋王決定戦が終わって今日は解散になった。

お茶子ちゃんが爆豪くん救出に向かった5人を呼び止めて外に呼び出している。

梅雨ちゃんのことはお茶子ちゃんに任せておけば大丈夫だろう。

私も透ちゃんと話しながら歯磨きをしたりしてから部屋に戻る。

今日はぐっすり眠れそうな気がした。

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