波動使いのヒーローアカデミア   作:あじのふらい

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コスチューム改造計画PART2

必殺技訓練初日の体育館γの使用時間が終了した。

 

先生がコスチュームの改良も並行して考えるようになんて言っていたけど、私も少しできないか気になることがある。

そのためにもパワーローダー先生の所に行くことにした。

私が更衣室に行かずにコスチュームのままパワーローダー先生がいるであろう工房に行こうとすると、透ちゃんが話しかけてきた。

 

「あれ?瑠璃ちゃん、どこ行くの?」

 

「パワーローダー先生に会いに……工房に……相談したいことがあって……」

 

「そうなんだ!実は私も相談したいことがあるんだよ!一緒に行こ!」

 

「ん……分かった……一緒に行こ……」

 

透ちゃんと一緒に夕暮れで赤く照らされた廊下を歩く。

ちなみに青山くんは普通に更衣室で着替えて普通に寮に向かっている。

まぁ校舎内から寮は普通に感知範囲内だ。気にするほどのことじゃない。

青山くんがこっちを気にせずに変な所に行ったりしなければ大丈夫なはずだ。

 

話しながら歩く私と透ちゃんの少し前にはお茶子ちゃんと飯田くん、さらに前には緑谷くんがいる。

私たちが曲がり角を曲がって工房が見えるようになった瞬間、工房の扉が緑谷くんを巻き込みながら爆発で吹き飛んだ。

 

「えっ!?ちょっ、大丈……」

 

透ちゃんが心配しようとしたけど、すぐに動きを止めた。

それも仕方ない。爆発で吹き飛んできた発目さんが、緑谷くんを押し倒して胸を押し付けていたんだから。

押し付けられた本人である緑谷くんの思考と表情もさることながら、私たちよりも近くで見せつけられたお茶子ちゃんの思考と表情もすごいことになっている。

 

私たちがお茶子ちゃんたちに追いついた頃、ようやく発目さんが起き上がった。

 

「突然の爆発失礼いたしました!!お久しぶりですね!ヒーロー科の……えーーー……全員お名前忘れました!」

 

「み……みどりりやいずいずく……」

 

「飯田天哉だ!体育祭トーナメントにて君が広告塔に利用した男だ!!」

 

緑谷くんが胸を抑えて興奮、焦り、その他もろもろがごちゃまぜになった感情を鎮めようとしながら自己紹介しているけど、全然話せてない。

初期の女子全員に対して発動していた人見知り的な感じになっている。

お茶子ちゃんはそれを暗い平坦な表情で凝視していて、自己紹介すらしていない。

 

発目さんはそんな緑谷くんたち一行に見切りをつけて、早々に工房に戻ろうとする。

だけど緑谷くんがコスチューム改良の件でパワーローダー先生に用があると言ったあたりで興味を惹かれたようで、凄い勢いで振り返って緑谷くんに詰め寄った。

 

「発目……寮生になって工房に入り浸るのはいいけど……これ以上荒らしっぱなしのままだと出禁にするぞ……くけけ……」

 

そんな発目さんを止めるようにパワーローダー先生が工房から出てきた。

 

「イレイザーヘッドから聞いてる。必殺技に伴うコス変だろ。後ろの2人もまとめて聞くから、入りな」

 

促されるままに工房に入ると、パワーローダー先生が緑谷くんたちに以前来た時に聞いたような説明をし始めた。

緑谷くんがそれを聞いて自分の要望を言うところまでは良かったんだけど、それに対して発目さんは身体を密着させながら緑谷くんの身体を弄り始めた。

 

「は……発目さん何を?」

 

お茶子ちゃんが、さっきみたいな表情になって汗を垂らしながら質問する。

相当危機感を覚えているらしい。

 

「フフフ、身体に触れているんですよ。はいはい……見た目よりがっしりしていますね。フフフ良いでしょう。そんなあなたには……」

 

そう言ったあたりで、発目さんは緑谷くんから離れてアイテムの山を漁り始めた。

 

「……あれ……邪な思考は一切ない……」

 

「まあ……そうだよね、あの感じは」

 

透ちゃんも微妙そうな顔をしている。

だけど、少し考えた後に思い直したのか、ワクワクした顔をし始めた。

思考の内容としては『一切恋愛感情のないライバルの登場でお茶子ちゃんと緑谷くんの仲が一気に進展するのでは!?』というものだ。

流石にどうかと思うけど……余計な焚き付け方しないように釘を刺しておくか。

 

「透ちゃん……ダメだよ……」

 

「ん?ああ、流石にこじれたりしそうだし余計なことはしないよ。まあ恋バナで根掘り葉掘り聞いたりはするだろうけど」

 

「ん……そのくらいなら……いいのかな……?」

 

馬に蹴られない程度につっつくのは、まぁいいのかな……?

そんなことを話していると、発目さんはお探しの物を見つけたらしい。

発目さんはそのまま緑谷くんにパワードスーツを着せて腰を捩じ切りそうになったり、パワーローダー先生に要望を伝えていた飯田くんの腕にジェット噴射するブースターを強制装着して天井にぶつけたりと好き放題していた。

まあその後のやり取りも含めて、緑谷くん的には収穫があったみたいだし良かったのかもしれない。

お茶子ちゃんの"酔いを抑えたい"という要望にも発目さんは目敏く反応してよく分からない樽状のアイテムを押し付けようとしていた。

発目さんは男女見境なく興味が引かれる内容にアイテムの押し付けや開発で対応しているだけで、悪い人ではないんだろう。

 

 

 

そんなこんなで先に対応してもらっていた3人組の話が終わって私たちの番になった。

お茶子ちゃんたちは先に戻っていった。

まあお茶子ちゃんはここに残っていても発目さんに色々削られていくだろうしその方がいいだろう。

 

「んで?そっちの2人の用件は?」

 

「じゃあ私から!この前作ってもらったコスチュームみたいに透明の、マントというか……スカーフみたいなの作って欲しいんです!」

 

「……忍者みたいなの……?」

 

「そうそれ!」

 

透ちゃんの思考から思い浮かんでいそうなものを言語化してみる。

 

「エキスポの時に思ったんだよね。通信機とか何かを使ってても頭を覆って隠せるものが欲しいなって!そうしたら私が隠密行動してる時も連絡が取れるし!マントだと大きすぎて邪魔になりそうだし、ただのスカーフだと小さすぎるから!だから忍者みたいなのを首に巻いておきたいなって!」

 

「そのくらいなら前回のノウハウもあるし、前よりは期間はかからないだろうね。いつでも修理や変更の要望に応えられるようにある程度は髪の毛を培養しておくと言っていたから、今回は髪の毛なしでも行けるだろうし」

 

「本当ですか!?」

 

確かに透ちゃんが隠密行動中も通信機を使えるなら、取れる選択肢の幅が一気に広がる。

私との合わせ技なら私の声だけ通信機で聞いて透ちゃんが伝えたいことは思い浮かべるだけでいいから、エキスポの時みたいな状況だともっと効率的に動ける。

凄くいい追加案な気がした。

透ちゃんのコスチュームが最初は手袋とブーツだけだったとは思えない進歩だ。

それにしても、ぴっちりボディスーツに忍者風スカーフ……透ちゃんのコスチュームがどんどん現代版忍者みたいな感じになっていっている。

今のところやってることは隠密行動中の忍者そのものだからイメージ通りではあるんだけど。

 

「次。そっちはどうしたい」

 

「はい……私は……波動の枯渇を……なんとかしたくて……」

 

「波動の枯渇?」

 

私が要望をパワーローダー先生に伝えると、透ちゃんが聞いてきた。

 

「ん……そう……出来ることなら……波動をあらかじめ溜めておいて、必要な時に取り出せる……みたいな装置……そういうのが欲しい……」

 

「な、なんか大分難しそうだね……」

 

確かに難しいことだろうし、前例がないであろうことをやってもらおうとしていることは分かっている。

でも、実際にこれが出来ると私の波動の枯渇問題の解決に近づくと思う。

普段からそこに波動を貯めておいて、必要な時に取り出してそれを利用できるなら枯渇して消えそうに、なんてことにはそうならないと思う。

 

「フム……ちょっと待ってな」

 

パワーローダー先生はどこかに電話し始めた。

しばらく透ちゃんと話しながら待っていると、電話が終わったパワーローダー先生がまた近づいてきた。

 

「待たせたな。流石にここでは対応できないからそれ作った事務所に確認したら、作れないことはないだろうってさ」

 

「本当ですか……!?」

 

「ああ。もともと波動が使える生徒のコスチュームと聞いて、波動の研究者に渡りをつけていたらしくてね。その手の棘。それに波動の伝導率のいい素材を使ってたらしい。それを改良して波動を貯め込みやすい物質を作るのは、まあ不可能ではないだろうってさ」

 

波動を研究している人。もしかしてI・エキスポで波動が見える眼鏡とか作ってた人だろうか。

確かにあれが作れる人なら、波動について凄く詳しそうだ。

 

「前回は、体内の波動を移動させて打撃に使うと聞いていたからその形状にしたらしいな。波動を貯めておくとなると用途が変わるから、棘から耐久性の高い形に変更も考えたいから要望を教えてくれってさ」

 

「なるほど……?」

 

棘を有効に使えたのは期末試験の時だけな気がしないでもない。

そして波動タンクにしようとするなら、棘から破損の可能性が低い別の形に変えた方がいいというのも理解できる。

でも形を変えるとして、耐久性が高い形なんて言われても球体みたいな感じしか思いつかないんだけど。

 

「球体からそぎ落とした感じのを……今の棘の所につけるのはどうでしょうか……?」

 

「悪くはないんじゃないか?まあ少なくとも先が欠けたりする可能性のある棘よりは、角もないからよっぽどいい。じゃあそれで伝えるぞ」

 

「はい……お願いします……」

 

パワーローダー先生が要望を紙にメモしていく。

だけど、棘の所を改造するとなるとコスチュームは1回事務所の方に送った方がいいということだろうか。

 

「じゃあ……コスチュームは送った方がいい感じですか……?」

 

「いや、その棘だけ外して送る。それで出来上がった手の甲につけるパーツだけ送り返してもらって俺がここでつける。その方が無駄がないからな」

 

それならすごく助かる。流石に必殺技の訓練は体操服じゃなくてコスチュームでしたい。

 

「それで1つ注意だが……あくまで作るのは波動を貯め込みやすい物質であって、そういう装置じゃない。それに波動を込めたり取り出したりってのは個人の技量に頼ることになるだろうってのが見解らしいから、努力は必要だからね」

 

「はい……出来るように頑張ります……ありがとうございます……」

 

他の物に込めた波動を取り出せるかは正直分からない。

ただ自分の波動を空中に出して、それを操作して波動弾にしたり出来ているのだ。

自分の波動なら、物質からも取り出したり出来る可能性があると思う。

そこからは私の努力次第だろう。

 

パーツに関しては、届いたらパワーローダー先生が連絡をくれるらしい。

用件は済んだし、先生にお礼を言って工房を後にする。

その後は着替えて寮に戻った。

寮に戻ったあたりで砂藤くんがキッチンでお菓子を作っているのが見えた。

あの匂い的にレモンシフォンケーキかな。早く食べたい。

百ちゃんの波動から、紅茶を淹れようと考えているのも伝わってくる。百ちゃんの紅茶の淹れ方を教わるのもいいかもしれない。

とりあえずシャワーを浴びたらキッチンに行ってみようかな。もしかしたら味見させてくれるかもしれないし。

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