超機動世界 ディメンジョン・ガンダム   作:長紀歩生武

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青年は人生を文字通りに一変される。

上から降って来た謎の機体、そして緑色の髪の妖精…のような少女によって。

彼の戦いの日々は、ここから始まった。

同時に戦う時のもう一つの姿が彼のこれからの苦悩となるのであった。


act.1「次元の裂け目が運命の分かれ目」

 

そこは、ガンダムが実在しない世界だった。

 

ガンダムは二次元のエンターテイメントでしかなく、モビルスーツもスペースコロニーも存在しなかった。

 

という事は、スペースノイドと地球との間に起こる対立は発生しなかったし当然ニュータイプなど居ない。

 

それ故に連邦の白き流星とジオンの赤い彗星の闘いも起きなかった。

 

 

………その、ハズだった。

 

 

 

「ガンダム?ああ、まだ続いてたんだな。」

 

新聞紙のテレビ放送欄にまた「ガンダム」の新番組が載っていた。

 

昔は良く観てたもんだ。

 

もちろんまだ観てるヤツは何人もいる。

 

だが俺は何年か前からか忘れたが、ガンダムどころかテレビ自体をあまり見なくなった。

 

さっきはYouTubeやニコニコ動画すら最近見る気が減って、たまにはテレビでも面白そうな番組やってないかと探してたところだ。

 

「全然興味沸かねー番組ばかりだな。」

 

別にテレビや動画サイトをディスってるつもりはない。

 

とにかく、最近特に放送や配信の動画自体に興味が沸かないのだ。

 

「………また昔見たアニメや特撮でもレンタルするか。」

 

ついでに面白そうなゲームでもないか探してみよう。

 

俺はアパートの階段を降りて町へと向かった。

 

入社三年目の長期連休。

 

たいして友人もいなけりゃ金も女もいない。

 

趣味は金がかかるし、人付き合いは面倒なインドア派。

 

「俺も昔はニュータイプになってガンダムを操縦する津森でいたんだけどな。」

 

もしくは巨大ヒーローとかな。

 

子供の頃に夢見た絵空事だ、夢や空想じゃあ人はメシが食えない。

 

………いや、それで食べていける人達もいるのは知ってる。

 

俺は大した才能も無かったし、努力も中途半端に挫折した。

 

そのおかげで何も打ち込めず、こうして青春と休日を暗くうだうだ過ごすのが、ダメ人間の俺だった。

 

そう。

 

この日、あの空が割れるのを見るまでは。

 

「…あれ、雲が?」

 

さっきまで雨が降っていたのに、雨雲がまるでナイフで切り分けられたケーキみたいに真っ二つに割れていた。

 

雲の切れ間、なんてもんじゃない。

 

まるで定規でも当てたかのように、真っ直ぐに真っ二つだったんだ。

 

その隙間から光が洩れている。

 

太陽の光だと思うだろ?

 

でも違う。

 

自然の日光よりもその光は鮮烈だった。

 

「雲隙間がどんどん広がっていく…。」

 

広がった雲の隙間から見える光の中に人型の影が見えた。

 

その影はどんどん大きくなる。

 

どんどん、どんどん大きく…て、

 

「落ちて来てんじゃねえ?!」

 

その影は俺に向かって落ちていたのだ!

 

身を翻して駆け出す俺。

 

するとそれを追うように、雲の隙間の光から光の球体が降って来た。

 

…て、

 

「落ちてくるのが2つに増えてるじゃねーかあ?!」

 

人型の影と光の球体は、ものの見事に俺の上に落ちた。

 

 

チーン♪

 

 

………あ。

 

気が付いた俺は光の空間に浮いていた。

 

手足が見えない。

 

死んで魂だけになっちまったのかな。

 

すると、

 

『ごめんなさい、間に合わなかったー!』

 

「?どこかから声がする…?」

 

声の方に意識を集中すると、そこには何か妖精のような光がふわふわ浮いていた。

 

『本当にごめんなさい!止めようと思ったんだけど…!』

 

その妖精は緑色のショートカットされた髪型をしていた。

 

白く肌にまとわりつくようにピッタリとしたボディスーツを着ていた。

 

起伏の少ない、やや中性的なスタイルだった。

 

『悪かったわね!起伏が少なくて!』

 

さっきまでの殊勝な態度からガラッと変わって怒りだしやがった。

 

「今のはあくまで客観的に容姿を述べただけだ。」

 

『ハイハイそうですか?謝って損したー!』

 

「それはそうと、そもそも何故キミは俺に謝る必要があるのか説明が欲しいんだが。」

 

『!』

 

『じ、実は、私はある悪者を追ってここに来まして。』

 

「ほうほう。」

 

『それで、偶然というか、たまたまと申しますか、ブレーキをかけて停めて置いた機体がフラーッと貴方の真上に落ちまして…。』

ソワソワしながら説明する緑色の髪の毛の妖精。

 

…て、ちょっと待て?!

 

「因みにその時追っていた悪者はどうした?」

 

『向こうは凄く操縦上手くて私の腕じゃ追えなくて、逃げられちゃいまして…』

 

『どこに行ったのかなー?なんて、機体から降りてキョロキョロしておりましたら…』

 

「それはつまり、その悪者とは全く無関係に俺は事故に合わされた、と?」

 

『そ、そーなんです、これは事故なんです!』

 

「道路交通法では過失相殺で言えば10対0で全額アンタの支払いとなる事案だぞ。」

 

『ドーロコーツー…カシス・ソーダ?』

 

「何だその中華料理っぽい名前は?あとカシスソーダなんて言ってねえ!」

 

「よーするに、アンタが全部悪いから責任取れって話しだよ!」

 

『ええー?死んだ人間生き返らせられないわよー!?』

『それに私はさっきも言った悪者を追いかけなきゃならないの!』

 

「それはそっちの都合。何でもいいから俺を生き返らせろ!」

 

「あ、何なら異世界転生でもいいぞ。その代わりチートをガン積みでな?」

 

『言ってる意味わかんないんだけど?』

『まあ、厳密にちゃんと生き返らせられる方法は無いけど、…代わりの方法ならその身体のまめ生きられるけど?』

 

「何でもいいから早くやってくれ!」

 

『じゃあいくわね。』

 

そう言いながらその妖精は俺の中へスーッと入って来た。

 

「お、おい?何だこりゃ?」

 

『何って…この身体を乗っ取る事で復元してるのよ。』

 

「復元?乗っ取る?」

 

『そのあとで身体のコントロールを貴方に渡す。』

『ただし、私の探してた悪者が見つかったらソイツを捕まえるなりやっつけるなりしてね、それが私の本来の仕事なんだから。』

 

「わ、悪者をやっつける?どうやって!」

 

『そこに横たわっている、貴方を押し潰したその機体を使って、ね。』

 

「お、俺を殺した機体でか?それに俺、こんな機体なんて動かせないぞ!」

 

『大丈夫。もう二人の脳はリンクしてるから操縦方法は思い浮かぶはず。』

『確かめるためにコックピットに入ってみて。』

 

大きくて何だかよくわからんその機体の一部が開いたので俺はよじ登って中に入った。

 

車のシートみたいな椅子に腰掛けるとカバーのようなモノに身体の前面が覆われた。

 

そしてモニター画面のようなモノが数枚宙に浮き、何やら表示していた。

 

『どう?動かし方がわかるでしょ?』

 

「…うーん。」

 

「サッパリわからん!」

 

『ええっ?そんなハズは?』

 

と、その時。

 

 

ズズーン!!

 

「地面が揺れた?」

 

すると一枚のモニター画面が拡大され、そこには見た事もない…いや、どこかで見たような気もするような巨大人型が街で暴れまわっていた。

 

「な、何だコイツ?」

 

『それが、私の追っていた敵。』

 

「…まるで、ガンダムに出てくるザクみたいなヤツだ。」

 

『パイロットは混乱してるみたい。ここが何処であろうとただ暴れ回らずには気が収まらないようね。』

 

『こうなったら私が操縦する!身体のコントロールを奪うわよ!』

 

「ダメ!これは俺の身体だ!」

 

『何言ってんの、元々私の身体でしょ?』

 

「いいや、これはアンタが俺に弁償した肉体だ、渡すもんか!」

 

『て、抵抗しないでよー?!』

「そっちこそ、横暴だー?!」

 

俺達が互いに自己主張し過ぎたせいなんだろうな、こうなってしまったのは。

 

ふと気が付くと俺の身体は光に覆われ、そして気が付くと。

 

「身体が、白いピチピチのボディスーツ姿に…」

 

『よし、行くわよ!』

 

『…あら?何で?』

 

彼女の意志ではピクリともこの身体は動かなかった。

 

「あ、俺だとグーチョキパーが出来る。」

 

『まさか私の容姿だけ元に戻ってるの?』

 

「あ、でも喜べ!ちゃんと操縦方法がわかるようになったぞ!」

 

『それは不幸中の幸いね。』

 

こうして俺はナゾのザクみたいな敵機体と戦う羽目になった。

 

…緑色の髪の毛の、白いピチピチボディスーツを着込んだ少女の姿で。

 

 





これはガンダムの姿をした機体でややガンダムっぽい世界観などを適度に取り入れたロボット作品にしようかなー、なんて考えて書いて見ました。

また時間の都合が付けば続きを書くと思います。
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