仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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分離

side五代雄介

 

「俺?」

 

フューリーさんが指を指したのはソーさんだった。

 

去年、ニューメキシコ州にある町が、巨人とハンマー持った超人との戦闘があったというのはSPIRITSの情報で、知っていたけれど、それがソーさんだったとは知らなかった。

 

俺は、周りの人達の言い争いを宥めようと、必死だったが、なんだか腹部のアークルが警告を鳴らすように熱を帯びてきて、それどころではなくなってきていた。

狭間さんは、俺を周囲から引き離し、扉の前でどこかを睨んでいるようだった。

 

「ロキの杖の光が、躍動している。」

 

狭間さんの呟きにはっとなって、俺も杖に目をむけると、バナー博士が無意識にだろう、杖を握り締めていた。

 

バナー博士も、周りに指摘されてはじめて杖を持っていることを認識したようで、杖をテーブルに置くと、そのままアラームが鳴ったパネル画面を見に行っていた。

 

そして、その瞬間、中央の通風口らしい場合から炎が吹き出して、みんなが吹き飛ばされて、船体が大きく揺れた。

 

「五代さんは青のクウガになって、怪我人がいないかを確認してください。

俺は、ゴウラムをつんだクインジェットに向かいますから。」

 

そう狭間さんが、いうなやいなや、片手にいつもは持っていないドライバーを手に持って行ってしまった。

 

「スーツを着ろ。」

 

「そうだな。ユウスケも、スーツを着ろよ!」

 

「はい!」

 

先ほどまでは、まるで決闘でもしそうな雰囲気があったスタークさんとスティーブさんは、吹き飛ばされて正気に戻ったらしく、事態をどうにかしようとスタークさんは、こんな時でもユーモアのある言葉を俺に残して、あの装甲を纏いに向かって行った。

 

「超変身!」

 

俺もすぐさま青のクウガに変身して、バナー博士と、ナターシャさんが吹き飛ばされた先に飛び降りた。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「足が鉄骨に挟まってるの。

どかしてくれない?」

 

「わかりました!」

 

ナターシャさんが倒れている方に向かって、足が挟まっている鉄骨を掴み、ゆっくりと持ち上げる。

 

パワー不足の青のクウガでも、なんとかなったみたいで、ナターシャさんはスルリとそこから抜け出してきた。

 

「ありがとう。助かったわ。

クインジェットで見たのと、色が違うわね。」

 

「はい、青のクウガです!」

 

俺は、サムズアップをして答えると、バナー博士のうめき声が聞こえた。

 

「バナー博士!大丈夫ですか!?」

 

「大変…博士、落ち着いて、気を冷静に保つのよ。」

 

興奮状態なのか、こちらに答えようともしないバナー博士のうめき声はさらに強くなっていく。

 

「これって…」

 

「博士は、吹き飛ばされたショックで、ハルクになりかけているわ。

博士を落ち着かなせないと。」

 

しかし、バナー博士は徐々に様子がおかしくなっていくように見えた。

 

「ナターシャさんは、逃げてください。

ここは俺が押さえます!」

 

「大丈夫なの?」

 

「なんとかやってみます。

超変身!」

 

ソーさん並のパワーを考えて、紫の金のクウガに姿を変える。

 

 

「任せたわ。無理しないでね。」

 

「はい、ロキの方をお願いします!」

 

俺に気を使って、声をかけて、ナターシャさんは通路を駆けて行った。

 

「う、うヴう、ヴあぁぁ!」

 

「どうすれば…」

 

バナー博士の体がみるみる緑色に変化しながら、体を肥大化して、衣服を破いている。

 

そして、一瞬、バナー博士の悲しそうな目から、眼鏡が落ちて、にやりと顔の表情を変えて立ち上がった。

 

「大きい…」

 

『ぐおぉぁぉぉぉォォアア''ア"!!』

 

ハルクとなってしまったその姿に一瞬見とれるも、すぐに構えをとると、大振りなパンチに、腕をクロスして受け止めるも、周囲のパイプ類を巻き込みながら、吹き飛ばされてしまった。

 

「なんてパワーだ。ソーさんのハンマー並、いや46号並だ。」

 

カブトムシ型のグロンギのパワーを思い出しながら、金属類をどかして、立ち上がる。

 

「どうやって倒す…倒す?

いや、ただ止めるだけだ!!」

 

こちらに飛び掛かりながらパンチをしていたハルクに、咄嗟にその場から飛び退いた。

 

そのまま俺は、直線的な攻撃を与えるかどうかを躊躇しながら、大振りで、紫の金のクウガでもなんとか対処できるハルクの攻撃を逃げながら避け、防ぎ、そして再び殴り飛ばされる。

 

殴り飛ばされた先は、航空機の格納庫のようで、整備員やパイロットらしき人達が集まっていた。

 

「皆さん!逃げてください!」

 

それを隙とみたのか、ハルクは両腕をハンマーのように振り下ろしてきて、咄嗟にその腕を掴み膠着状態になってしまう。

 

しかし、そのハルクを殴り飛ばした人物がいた

 

「ソーさん!」

 

「あれはバナーか?」

 

「はい、博士が暴走して、ああなっているんです。」

 

「先ほど言っていたもう一人の自分というやつか。

バナー!落ち着け、俺達はお前の敵ではないぞ!」

 

ソーさんも博士を必死に説得しようと試みていたけれど、ハルクは、殴られた仕返しにと、今度はソーさんを殴り飛ばしてしまう。

 

そして再び、俺はハルクの攻撃を避けて、防ぐことを繰り返すことになった。

 

殴り飛ばされたソーさんが起き上がると、無言で右手を宙につきだし、そしてその手には、壁を突き破って現れたハンマーを手にして、ハルクを周囲にあった、航空機にまで殴り飛ばした。

 

ハルクは、その航空機の翼をもぎ取り、投げつけるが、ソーさんは、下をくぐるように避け、俺がその翼を受け止めてゆっくりと下ろした。

 

ソーさんは、投げ返すように、持っていたハンマーを投げるが、ハルクはそれを避け、ハンマーの柄を掴んでしまう。

 

「ハルクのパワーでも、ハンマーを持ち上げられないのって、どうなって!?」

 

ハルクは床に落ちたハンマーを必死に持ち上げようとするが、固定されたようにハンマーは動かなかった。

 

それをチャンスと見たソーさんがハルクを殴りつけ、拘束しようとするが、直ぐに振りほどかれ、しかも、俺に向けて投げつけてまできた。

 

ソーさんを受け止めつつ、勢いを弱めるために後ろに飛んで着地。

そこに、ハルクが殴りかかってくる。

 

ソーさんは、俺の前で再びハンマーを呼び寄せて、ハルクと一緒に上の階まで天井を突き破って行ってしまった。

 

「むちゃくちゃだ。

このままだと、ヘリキャリアが堕ちかねないぞ。」

 

俺もすぐに、天井の穴から上に行こうと、ジャンプした。

そこは、バナー博士やスタークさんがいたところとは違うラボのようで、さまざまな機材が転がっている。

 

しかも、外が見える窓からは、戦闘機がこちらに機首を向けてきている。

 

俺は咄嗟に、ソーさんを押し倒して、弾丸から生身のソーさんを守ろうと、覆い被さった。

 

しかし、ハルクには弾丸がまるで効いていないようで、怒ったハルクが窓から戦闘機に飛び掛かり、空中で戦闘機を破壊し始めてしまう。

 

「まずい!超変身!」

 

俺は青の金のクウガに変わると、戦闘機を破壊しているハルクに飛び掛かり、せめてパイロットの脱出を助けようとハルクの注意を引いた。

 

空中を駒のようにくるくると回転しながら、パイロットは脱出しようとするが、ハルクが飛び出た座席を掴んで、俺に投げつけてきた。

 

俺はそのまま、パイロットの座席を受け止めて、戦闘機から空中に投げ出されてしまう。

 

しかし、俺の真横を巨大なクワガタムシが通り抜けて、俺とパイロットさんを受け止めてくれた。

 

『#$☆-%&◇₩』

 

「ゴウラム!

ということは、狭間さんがクインジェットから下ろしてくれたんだな。」

 

「ぐぅ…」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「すまないが、ヘリキャリアまでお願いできるだろうか?」

 

「わかりました。」

 

ゴウラムに声をかけ、戦闘機が爆発して落下していったハルクを気にしながら、ヘリキャリアまで運んでもらうことにした。

 

 

 

side狭間玄乃

 

 

拘束状態だったものを解除している途中で動き始めたゴウラムを、やっとのことでクインジェットから下ろして、傾きはじめたヘリキャリア内を侵入者から身を潜めつつ、ロキが捕まっている檻にたどり着くと、ロキの代わりにソーが檻の中に入るのが見えた。

 

俺は再び、身を潜めると、ディエンドライバーにディエンドのライダーカードを挿入して、姿を晒した。

 

ちょうど同時にコールソンさんが試作品の銃を持って、コンソールを操作しようとしたロキを止ようとしていた。

 

「檻から出られたみたいだな。」

 

 

  KAMENRIDE

 

 

「貴様か。

約束していたなぁ。私が檻から出られたら、真っ先にお前を殺してやるとな。

殊勝な奴め、自ら殺されに来るとは!」

 

「変身!」

 

DI…END!

 

「何!?」

 

本来ならば、殺されるのはコールソンさんになるところを、わざわざ挑発までしてロキの標的を俺

にしたのだ。

 

ロキの性格上、会話の途中で背後から心臓を刺しに来ることはわかっていたので、タイミングを見計らって、変身エフェクトを発生させて、ロキの攻撃を防ぎ、その隙に更なるカードを挿入する。

 

 

ATTACKRIDE BLAST

 

 

「無駄だ!…何だと!?」

 

ロキは俺が放った複数の光弾を跳躍しながら避けようとするが、光弾は弧を描いてホーミングして、全弾が命中して入り口近くまで吹き飛した。

 

「コールソンさん!」

 

俺の変身に呆然としていたコールソンさんが、俺の声に、はっとして、持っていた銃で起き上がろうとしていたロキを攻撃し、更に奥まで吹き飛していた。

 

俺は、檻を操作するコンソールに向かうが、画面にはナイフのようなものが突き刺さっていて、火花がとんでいた。

 

「コールソンさん。

これは動かせるんでしょうか!?」

 

「駄目だ。落下は止められない!」

 

咄嗟にオーロラを発生させようとするも、僅差でソーが入った檻が落下してしまった。

 

「(俺のオーロラは固定された場所でないと発生させられない。

…仕方がない、原作通りに、自力で抜け出してもらうしかないか。)

はっ。ロキは!?」

 

「駄目だ。逃げられた。

ミスターハザマ、君も変身できたのか。」

 

「この姿の名前は、ディエンドといいます。

俺もSPIRITSのメンバーですから。」

 

「そうか。

私は、長官のところに向かう。

君は、ほかのメンバーに、ロキが逃げたことを伝えてくれ。」

 

「わかりました。」

 

 

そして俺は、変身を解いて、艦内を走るのだった。

 

 

 

 

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