仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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決意

side五代雄介

 

戦闘機のパイロットさんをヘリキャリアの甲板に下ろすと、ゴウラムも甲板に着地して、動かなくなってしまった。

 

「お疲れゴウラム。」

 

俺は変身を解いて、周囲にいた人に、ゴウラムを運んでもらうようにお願いして、中に入っていく。

 

すると、艦内にフューリーさんの声が響いた。

 

『今回の襲撃で、大勢の仲間が死んだ。

私の目の前で息を引き取る者もいた。

彼らのいた日々を忘れてはならない。

冥福を祈ろう。』

 

俺は、グロンギによってたくさんの人達が死んで行ったことを思い出していた。

 

体が震えそうになる。

けれど、それでも、誰かのために戦う決心をしたあの時のこともまた、思い出した。

 

「…行こう。」

 

俺は、足を進める。

 

会議室に着くと、スーツを脱いでいたスタークさんと、スティーブさん、狭間さんが座っていて、フューリーさんが一人で血のついた帽子を手に持っていた。

 

「ユウスケか。ちょうどいい、お前達にも話をしておきたかった。

これは、私の目の前で息を引き取った、整備員が持っていた物だ。

ヒーロー達のサインを欲しがっていた純粋な奴だった。」

 

その帽子は、机の上に置かれて、その帽子をスティーブさんが手に取って眺めている。

 

「八方ふさがりだ。

通信は不能、キューブの在処も不明、バナーも、ソーも。

私のせいかもしれん。

確かに、我々はキューブの力で兵器を作ろうとしていた。

だが、それだけではない。もっと危険な計画も進行中だった。

その計画は、スタークは知っているが…」

 

椅子に座って、うなだれていたスタークさんは、フューリーさんに自分の名前を言われて、顔を上げた。

 

「その名を、『アベンジャーズ計画』と言い、めざましい力を持った者達を集め、チームを組み、より大きな力にする。

彼らが協力すれば、強大な敵にも、必ず立ち向かえると、信じていた。

私も、今回の襲撃で死んでいった者達も、本気で、死ぬまで信じていた。」

 

その言葉に、何を思ったのか、スタークさんは、無言で、部屋から出て行ってしまった。

 

そして、スティーブさんもまたその部屋から出て行ってしまった。

 

「五代さん。

俺は、怒っています。

こんなことを仕出かしたロキだけじゃない。

俺には力があるのに、助けられたはずの人達よりも、いろんな理由をつけて目を背けている自分自身に怒っているんです。

…俺は、仮面ライダーというヒーローが憧れでした。

苦悩し、乗り越え、誰かのために戦える。

そんなヒーローが、大好きなんです。」

 

座ってうつむき、下を向いて独白する狭間さんの隣に立って俺は言葉を紡いだ。

 

「狭間さん。

あの旅館で、はじめて会った時、あなたは言いましたよね。

あなたは、何の戦う力を持っていなかった、一般人だと。

今のあなたは、一般人じゃないです。

狭間さんも立派な『仮面ライダー』なんです。

俺も狭間さんも同じ、仮面ライダーですよ。」

 

 

「…ありがとう…ございます。

…俺はもう、力を使うことに理由をつけて逃げるつもりはありませんから。」

 

狭間さんはそう言うと、立ち上がって、俺に頭を下げてから、彼の背後に、銀色のカーテンを発生させていた。

 

「俺は一度、SPIRITS本部に戻ります。

一時的にでも助力できる戦力があるかもしれないですので。

それと、すぐに行動可能でしたら、クインジェットに行くのをおすすめします。」

 

「それはどういう。」

 

「行ってみればわかります。それでは。」

 

そう言うと、そのままゲートをくぐり抜け、その銀色の幕が消えてしまった。

 

俺は、狭間さんが言った通りに、クインジェットに向かうと、作業員の人が、ゴウラムを機体の上部に固定が終わったようで、脚立から降りて来ていた。

 

「ありがとうございました。」

 

「どういう構造なのか、興味がつきませんが、できるところまではやりましたので。」

 

そう言って離れて行くのを見送り、後部ハッチから中に入ると、俺のビートチェイサーが固定されていた。

 

パイロット席にはすでに、副パイロットの人がいて、俺が入ってきたことに眉を歪めていた。

 

すると、後部ハッチから、スティーブさんと、ナターシャさん、それとはじめて見たアーチェリーにも似た弓矢を持った男性が入ってきて、うろたえる副パイロットの人をクインジェットから下ろしてハッチを閉めてしまった。

 

「ユウスケも来ていたのか。

ミスターハザマはどうしたんだ?」

 

「狭間さんは、ゲートを開いて一度SPIRITSに戻りました。

仲間を連れて来るそうです。

あの、皆さんはいったいどうしてここに?」

 

「我々はフューリーの命令で動くことをやめた。

ナターシャ、出してくれ。」

 

「誰だこいつ?」

 

「彼は日本の協力組織SPIRITSのユウスケ・ゴダイ。

我々のメンバーの一人だ。」

 

「そうか。クリント・バートンだ。」

 

「よろしくお願いしますバートンさん!

俺はユウスケでいいので。

ところで、どこに向かっているんでしょうか?」

 

「ニューヨークだ、そこにロキがいる。

奴は我々を怒らせた。

アベンジャーズとして、報復する。」

 

「ロキの居場所がわかったんですね!

ニューヨークには、SPIRITSのメンバーもいますので、本部との連絡がとれると思います。

それと、怒っているのは俺や、あなた方だけじゃないです。

狭間さんがすごく怒っていました。」

 

「聞いたか、スターク。」

 

『付き人君も一人前の戦士になったってことだな。

…先に行くぞ。』

 

窓の外にはところどころ、装甲がぼろぼろのアイアンマンが、クインジェットより先に行ってしまった。

 

 

そしてニューヨークに到着すると、すでに空には穴が空いていて、街中から炎と煙が上がっていた。

 

「スターク!こっちは3時の方向!」

 

『どっか寄り道してたのか?

パークアベニューへ行け。引き連れて行く。』

 

 

ナターシャさんの声にスタークさんが答える声が聞こえてきて、機体が揺れてきたので、手すりに捕まって耐える。

 

「あれがチタウリ。うわっ!?」

 

俺と、スティーブさんはあちこちに捕まって揺れから耐えていると、どこかのビルで、ロキとソーさんが戦っているところが見えた。

 

クインジェットで援護しようとすると、ロキの杖から発射された光弾に、エンジンの片方をやられて、機体制御がとれなくなりながらもなんとか不時着してくれた。

 

後部ハッチが開くと、スティーブさん達が出て行く。

 

俺はビートチェイサーに乗り込んで、そのままハッチから飛びだした。

 

すると、背部のゴウラムの拘束があまかったのか、そのまま飛び上がって、ビートチェイサーの馬の鎧となった。

 

「ずいぶんとごつい見た目になったな。

さっきのデカイ、クワガタムシもユウスケの仲間だったのか。」

 

「はい。ゴウラムって言います。」

 

「なごやかに話している暇はない。行くぞ。」

 

俺は、放置された車などを、ビートゴウラムで弾き飛ばしながら走り出して、ある程度空間のある場所に集まった。

 

「五代さん!」

 

すると、近くから声が聞こえて、そちらを向くと、SPIRITSのメンバーの飛電其雄さんが向かってきていた。

 

「飛電さん、お久しぶりです。」

 

「挨拶は後にしましょう。

本部との連絡はとれていますのでまもなく狭間さんが来るでしょう。

まさか、ニューヨークが、戦場になるとは思いませんでしたが、自分も変身できるように持ってきていて正解でした。」

 

「飛電さんは、とにかく、市民の避難を優勢してください。それと…」

 

「ユウスケ!デカイのが来るぞ!」

 

急いで話そうとしていたけれど、スティーブさんの声で、上を向くと、空の穴からまるで、機械でできた巨大な魚か、恐竜のような見た目の物が姿を現した。

 

「空を泳いでいる。

これは、早く動いた方が良さそうですね。」

 

 

 Kamenrider!

 

 

「変身」

 

 

サイクロンライズ!ロッキングホッパー!

 

Type-One

 

 

飛電さんは、仮面ライダー1型に変身すると、逃げ遅れた人たちの救助に走って行ってしまった。

 

 

「変身!」

 

俺も赤のクウガに変身して、戦いに備えた。

 

 

 

 

 

side狭間玄乃

 

『緊急放送を行います!アメリカ、ニューヨークの映像です。』

 

 

本部に戻り、協力してもらえそうな人たちを集めて映像を見る。

 

「急がないといけませんね。

皆さん、本当によかったんですか?」

 

 

そこにいたのは、沢木哲也さん、紅渡さん、日高仁志さん、野上良太郎さん、の4人だった。

 

 

 

「俺はアギトになれないけれど、姉さんや義兄さん、人間のために戦いたいっていう気持ちが、この蜂さんが、俺を選んでくれたっていうことでしょうから、期待に応えたいんです。」

 

 

 

 

「僕も、キバに変身できないし、キバットもいません。

でも、名護さんの弟子だから、託された力を正しいことに使いたいんです!」

 

 

 

 

「俺の無茶なトレーニングを止めてくれた玄乃には今では感謝しているけどな、直談判してまで、力を欲した俺を、この大剣が所有者と認めてくれたってことだろう?

鬼の戦い方とは違うだろうけど、精一杯、戦わせてもらうぞ。」

 

 

 

 

「僕も戦いは怖いです。

でも、たとえデンライナーがなくても、モモタロスが僕を忘れない限り、僕もモモタロスを忘れたくないんです。

モモタロスと、また一緒に戦えるなら、よろしくお願いします!」

 

 

 

「わかりました。オーロラを開きます。

この先は戦場の可能性もありますから、現地に着いたら、すぐに変身してください。

飛電其雄さんの1型と、五代さんも向こうにいますので、できる限り、協力をお願いします。

それと、戦闘よりも、市民の避難を優先してもらえると助かります。」

 

 

俺はそう言うと、ディエンドライバーを持って、オーロラを発生させ、そのままくぐり抜けるのであった。

 

 

 

 

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