仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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SPIRITS創設編
再会


 

 

SIDE 五代雄介

 

久しぶりに日本に帰ってきて、ポレポレの手伝いをしている時だった。

 

「雄介、お前宛に荷物が届いているぞ。」

 

「俺宛にですか?」

 

「ああ、部屋に置いておいたから、休憩の時にでも見てきていいぞ。」

 

「誰からかは、わかりますか?」

 

「そういえば、贈り主の名前は書いてなかったなぁ。「すいませーん!」あっはい、はい。」

 

 

と、おやっさんはお客さんに呼ばれて行ってしまった。

 

 

そして、部屋に戻ると、足元に一つのダンボール箱があった。

屈み込んで、伝票を見ても、贈り主の名前は薄くなっていてよく見えなかったけれど、宛先は五代雄介様になっていた。

 

「何だろな~…ん?なんだコレ?」

 

箱に入っていたのは、緩衝材に包まれた、謎の物体と、一つの封筒だった。

 

「え~と、何々…あなたがこれを手にして見えたビジョンについて、詳しいことが知りたければ、下記の日付の場所に来られたし。

?…で、『これ』っていうのは、緩衝材に包まれたこれの事だよな。」

 

少々怪しみながらも、緩衝材を取り払うと、白い布に包まれたものが出てきた。

型からして、大きなバックルがついたベルトだろうか?

布を解いていくと、見たことはないはずなのに、どこか懐かしい感じがして、直接触ってみた。

 

その時だった。

 

急に、頭の中にとあるいくつもの光景がフラッシュバックした。

 

 

 

今よりも少し若い頃の自分が、炎に包まれた教会で、赤い装甲の戦士に変身する光景。

 

 

 

警察の人たちに囲まれて笑い合う光景。

 

 

 

怪物に殺されて倒れている人たちを見て、変身する自分。

 

『クウガ』

 

そう、怪物、いや『グロンギ』に、そう言われながら、『一条さん』達と一緒に戦う光景。

 

 

 

「…今のは、はっ、これって。

『アークル』?」

 

思わず、手に持っていたものをダンボール箱の中に取り落として、尻もちをついた。

 

「えっ、一体何が、今の光景は?

そうだ、これは、九郎ヶ岳の遺跡で見つかったクウガのベルト?

でも、2000年に、未確認は現れて無いし、一条さん達とも面識は無いはずなのに。」

 

でも、今のビジョンで、自分がクウガに変身して、未確認と戦っていたことを鮮明に思いだせれるようになってしまった。

 

「行かなきゃ、この場所に。

何で、アークルがあるのか、今のビジョンは何なのか聞かないと。」

 

再び、封筒に入っていた紙の日付と、場所を確認して、そして、ダンボール箱に入っているアークルを見つめている自分がいた。

 

 

 

 

2008年10月、紙に記されていたのは、某所にあるとある旅館だった。

 

駐車場には、あちこちの県からお客さんがきているみたいで、長野県のナンバープレートの車も見つけていて、沢山並んでいるバイクの空きスペースに駐車しながら、不安に駆られながら、もちろん、背中の荷物の中には、布に包まれたアークルも入っていることをもう一度確認して、旅館に入ることにした。

 

正面玄関には、二人組の男性がいて、『仮面ライダー御一行様』と書かれた看板が設置してある前で、話をしているようだった。

 

 

「こんな簡単に、仮面ライダーの名前をだして、俺たちにカードデッキを送ったやつは何をしようとしてるんだ!?」

 

「ふん、チェックインして、さっさと話を聞き出すぞ。」

 

「あ、待てよ蓮!」

 

 

首をひねりながら、二人組の男性は旅館の中に入って行ってしまった。

 

自分も、チェックインをしようと、正面フロアに入ろうとして、声をかけられた。

 

「五代…か?」

 

そこには、自分と同じように、少し老けこんだ一条さんがスーツ姿で立っていた。

 

「一条さん。」

 

「やっぱりか…お前のところにも何か届いたのか?

いや、まずは、はじめましてになるのか…

知っているのに知らない人物と話すことになるなんて不思議な感覚だが。」

 

「そう、ですね。

未確認も、クウガもいない世界のはずなのに、はじめて会うはずの一条さんが懐かしいなんて不思議ですよね。

あ、俺宛には、これが入ってました。」

 

「これは!?」

 

「実際につけたりはしてません。

俺の体に入ってしまうかもしれないなんて考えると、つけたりなんてできませんでした。」

 

「いや、正しい判断だ。」

 

自分の荷物の中のアークルをちらりと見せて、封を閉じると、別の方から、声をかけられた。

 

「あなたも一条さんの知り合いですか?

ああ、はじめまして、私は、警視庁捜査一課の北條といいます。

あなたも、この奇妙な集まりに参加されるということは、何らかの関係者であったということになりますよね?」

 

警察手帳を見せてきたスーツ姿の男性に聞かれるが、自分がクウガだと言える訳でもないから、言いよどんでいると

 

「北條さん、こいつは五代雄介、私と一緒に未確認についての関係がある人物です。」 

 

「どうも。」

 

「ほう、未確認ですか、我々警察は未確認については一条さん以外に情報源がありませんでしたので、話を聞かせてほしいですね。」

 

「それは、おいおい話をすることになると思います。

五代、チェックインはまだだったな。チェックインを済ませて、部屋で集まろう。」

 

「わかりました。」

 

そう言って、一条さん達と別れてカウンターに行くと、和服姿の女の人から名前を聞かれて答えると、何やら用紙に、チェックを入れると、部屋の番号を教えてくれた。

 

どうやら誰かと相部屋らしく、既にその相手の人は部屋にいるらしく、鍵は渡されなかった。

 

部屋について扉を開くと、誰もいなくて、スーツケースだけがおかれていた。

自分も、荷物を下ろすと、扉から一条さんが入ってきた。

 

「もしかして、相部屋の相手って、一条さんですか?」

 

「ああ、そうだ。

これで、ゆっくり話ができるな。」

 

と、ため息交じりに話しかけてきた。

 

 

 

 

 

SIDE狭間玄乃

 

 

旅館の正面玄関フロアのソファーに座っていると、正面の出入り口から、画面越しにしか見たことがなかった、オダ〇リジ〇ーではなく、五代雄介が現れて、一条薫、北條透と話をした後、それぞれで別れて移動していた。

 

近くのソファーに座っている男性、白いスーツ姿に白い帽子が似合う壮年の男性、鳴海荘吉が話かけてくる。

 

「あの者達も、仮面ライダーに関係がある者達なのか?

警察関係者に見えたが。」

 

「そうですね。

仮面ライダーと、警察関係者は、切ってもきれない関係にあります。

あなた方も、照井竜や、警察とは関係を持っていますよね。」

 

「それは、探偵という職業をしているならば、当然のことに過ぎない。

しかし、いまだに騙されている気分だ。

ガイアメモリや記憶のフラッシュバック、そして、あんな映像作品を見せられは、信じざるをえんがな。」

 

俺が最初に鳴海探偵事務所を探していたのは、協力を得るためだった。

 

ユグドラシルコーポレーションや、ゲンムコーポレーション、鴻上ファウンデーションも一応候補に挙げていたが、俺自身は二代目ディエンドになったとはいえ、社会的地位があるわけではない一般素人に過ぎない。

 

しかし、探偵という職業は、一般市民の相談を受け、対応をしてくれる職種だ。

しかも、鳴海荘吉はこの世界では生存していて、警察組織とも連絡を取り合える貴重な相手といえる。だから、自分の側に引き込む最初の一人に選んだ。

 

 

2007年6月

 

 

俺が、鳴海探偵事務所を起点に見つけ出したこの世界は、仮面ライダーはいない。

もちろん、仮面ライダーという特撮作品も平成以降の作品は存在せず、ましてや、スーパー戦隊、ウルトラマン、ゴジラ等といった特撮そのものが存在しても流行しなかった世界である。

 

だから、もし仮面ライダーという単語を聞かれても、若い世代は、認知度が限りなく低い作品として扱われている。

 

しかし、『ポレポレ 』『花鶏(あとり)』『ハカランダ』『甘味処たちばな』『Bistro la Salle(ビストロ・サル)』といった喫茶店や、『ユグドラシルコーポレーション』『幻夢コーポレーション』『鴻上ファウンデーション』『スマートブレイン』といった企業、『城南大学』『天ノ川学園高等学校』という場所がこの世界には存在している。

 

個人で調べられる限りでは、仮面ライダーではないが、その人物は存在していることを知ることができた。

 

そして、とある世界の者達も、この世界には含まれていた事で、自分が目的の世界に来ることができたとわかった。

 

 

 

 

あのクラインの壺らしき空間にあったアイテム群を見て回ったところ、自分が知る仮面ライダーのアイテムが全て置いてあることが見てとれたため、まずは、確認として、メモリーメモリに、自分の世界から持ち込んだ仮面ライダーの映像ファイルを読み込ませて、他のアイテムに移し替えた場合、どうなるのかを検証してみた。

 

結果は俺が考えていたことが起きた。

これは、俺のイメージによっておきた事象かもしれないが、そのアイテムに触れた時に、映像ファイルの中からそのアイテムに関係のあるシーンが、フラッシュバックして脳裏によぎるようにすることに成功した。

 

これは、メモリーメモリで、情報を移し替えて、そのアイテムに触った最初の1回におきるようで、取り扱いには注意が必要だと思われた。

 

そこで、自分の資金をもとに、大量のアタッシュケースと、ウレタンシート、無地のダンボールを日本の平行世界に行き購入してアイテムを移し替える作業から始まった。

 

結構時間がかかったが、選別と、梱包一歩手前の状態にまですることができて、次いでに意味深な手紙をワープロで作成して、印刷手前の状態で、一旦放置することにした。

 

そして、準備を終えた俺は、鳴海探偵事務所にアポの電話を入れて、訪れることにした。

 

 

風都の風花町1丁目2番地2号に建つ、古びた玉屋かもめビリヤード場その2階に向かう階段の前に、木製の看板が立てられていて、妙な緊張感と、まるで、撮影場所の聖地巡りをしているような高揚感があふれてきた。

 

片手に持ったアタッシュケースを握りしめ、背中のリュックの重みを感じながら、階段を上りはじめた。

 

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