仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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アイアンマン3編
始まりを告げる電話


side狭間玄乃

 

始まりは、五代さんからの連絡だった。

 

『狭間さん。スタークさんと最近、話をしましたか?』

 

「五代さん。

いきなり何ですか?というか、端末越しの会話が英語って、もしかしてアメリカにいます?」

 

『はい。スタークさんにパーティーに招待されたんですけど、あれ?

狭間さんは招待されてないんですか?』

 

「されてませんよ。

ええ、されてません。ここのところスターク氏とは、仕事の話もなく、ましてやプライベートでパーティーなんて。」

 

『あー、すみません。

狭間さん疲れてるんですよね。すみません』

 

「いえ。こちらも、嫌みを言ってしまい、申し訳ない。

それで、彼がどうかしたんですか?」

 

『実は今、スタークさんの友人の方がいまして。』

 

『画面越しにすまない。

トニーの友人のジェームス・ローディ・ローズ空軍大佐だ。』

 

端末の画面越しには、どこかのレストランと思える場所にいる五代さんと、黒人の男性が映る。

 

「ああ、あのアイアンパトリオットの。

はじめまして、ゲンナイ・ハザマです。」

 

『そう、そのアイアンパトリオット。

アンケートで選ばれたんだ。いい名前だろう?

…いや、そうじゃなくて、ここのところ、トニーは寝てないようで、精神が病んできているみたいなんだ。

あのニューヨークの宇宙人が来てからあいつは、アイアンスーツを作り続けている。さっき一緒に昼食を食べていたら、発作のような物が起きて、スーツを着込むと落ち着いたようだった。

ユウスケから聞いたが、君は日本で影響力のある人物だと聞いた。

日本で、そういった医者に心たありはないだろうか?』

 

「申し訳ない。

俺の知り合いには医者は、外科医ぐらいで、精神科医には知り合いはいません。

五代さん。もしもいたとしたら、どうするつもりだったんですか?」

 

『それは、狭間さんの能力で。』

 

思ったとおり、オーロラを使って、行き来するつもりだったようだった。

 

「五代さん。何のためにパスポートという物があると思っているんですか?」

 

『ニューヨークでは、沢木さん達を連れて来ていましたよね。』

 

「あの時は、人命優先の緊急時でしたし、政府とのやりとりで12時間以内に国内から退去しなければならないという取り決めをしていました。

ローズ大佐、そういう訳です。申し訳ない。」

 

『いや、駄目で元々だったんだ。可能性があっただけでもありがたかった。

ユウスケ、ありがとう。』

 

「五代さん。アメリカにはどれくらい滞在する予定何ですか?」

 

『後、2~3日で帰ろうと思ってました。』

 

「滞在場所は?」

 

『モーテルですけど。』

 

「では、モーテルを引き払い、スターク氏の家で泊まれるように交渉してみてください。

見返りは…そうですね、クウガの能力や、バイクのアップデート、ゴウラムについて技術交流ができないかとか、そういう風な話をしてみてください。」

 

『ええ!?

大丈夫何ですか?そんなことして。』

 

「スターク氏の精神病は恐らく、ニューヨークのチタウリの出現していた通路の内部を見た事での不安からくる物でしょう。

一緒に戦った人物が近くにいれば、彼の不安も和らぐと思います。

料理を作ってやったり、話を聞くだけでもいいかもしれません。」

 

『まるで、狭間さんが精神科医みたいですね。』

 

「素人考えですよ。

必要ならば、グロンギの事も話してかまいませんよ。

ニューヨークの戦いと同じぐらいの体験話ならば、彼も話をしてくれるかもしれませんし。」

 

『はい。がんばってみます!』

 

「ああ、それと、テンリングスというテロ組織が、アメリカでは話題のようです。

あの組織は、俺の能力を欲していたという情報もありました。

十分に気をつけてください。」

 

『はい、わかりました。

それじゃあ。』

 

 

五代さんとの連絡が切れると、アイアンマン3が始まった事を知った。

 

俺も、アメリカに行く準備を整えようと、行動を開始した。

 

 

 

 

side門矢士

 

この世界には、今まで旅をしてきた世界の中でも、最も長く滞在している。

 

俺の役割もいまだにはっきりしないし、海東はすっかり後方師匠面で優遇されている。

 

ユウスケは、この世界のクウガがアメリカに行ったことで話相手がいないのか、今では絶版でプレミア物らしい仮面ライダーSPIRITSの漫画を読んでいる。

 

夏ミカンは、戦闘がほとんどない事に、何だかんだ楽しんでいるようだ。

それに、じいさんの友人から貰ったという酒を飲んで潰れているじいさんの介抱もしている。

 

とにかく、この世界は不思議な世界だ。

本来ならば、仮面ライダーはこの世界では、マイナーな映像作品でしかない空想上のものだった。

 

なのに、ライダー達になっていたはずのやつらが普通に暮らしている。まるで、ライダーの歴史だけを抜き取った世界だ。

 

さらには、海東が未来の異世界で後継者を指名している。

 

その後継者がそれまでに集めたお宝をこの世界でばら蒔いているのは笑えたが、それが二代目の選択ならば応援してやるのも先輩のつとめか…

 

この世界の未来、ある一定の時間軸にはどうやら、なんらかの強い力が働いているらしく、俺の能力を持ってしても、2018年以降には移動できないようだった。

 

この期間はやはり、ジオウ、常磐ソウゴとなんらかの関係があるのかもしれないと、本人を探してみたが、見つけれはしても、何故か本人に会うことができなくなっていた。

 

オーマジオウの干渉か、はたまたそれ以外の要因か。

 

狭間が、この世界をまるで、『常磐ソウゴが、オーマジオウになるためにライダー達の歴史を継承と称して、抜き取った世界』と、称したくなるのもまあわかる。

 

俺も、そういう印象を持ってしまったからだ。

 

2018年以降にいけないのは、俺の、ディケイドの歴史も抜き取られてしまったからなのか、俺だけでは、わからなかった。

 

SPIRITSの本部とやらの場所も廃虚同然だったし、ライダー達の姿を見かけることもなかった。

 

何かに見られているような気がしたが、気配もしない不気味さを感じて、この2012年の時間軸に戻ってきていた。

 

いや、逆に気配が減っていくような…

 

 

 

「…君。…さ君。…士君!」

 

「ん?どうした夏ミカン。」

 

「さっきから何考えこんでいるんですか?

顔にこーんなシワ寄せて変な顔になってましたよ。」

 

「プッ、アハハははは!

夏ミカン。お前、その顔なら、笑いのツボなんて必要ないな。」

 

「士君!…もう!

せっかく人が心配して聞いたっていうのに!」

 

「お前の、その顔は、反則だろ。

はー、苦しかった。

別に何も小難しい事なんて考えちゃいない。

最近が平和すぎて、俺のやるべき事ってのがわからないままになっていると思っていただけだ。」

 

「そうですね。

私たちが来てから、この世界で戦闘なんてしてませんし、事情は聞きましたけど、世界の崩壊の危機ってわけでもないみたいですし。」

 

 

そんな話をしていると、狭間に渡された端末が反応した。

 

電話を取ると、画面表示にして欲しいと言われたので画面を操作して、机の上に置く。

 

ユウスケもなんだなんだと、近づいてきた。

 

『皆さん、お久しぶりです。

クリスマスシーズン中で、気を休めているところを申し訳ない。』

 

「いや、むしろ暇していたぐらいだ。

さすがに、何もない日がこうも続くとは思ってなかったからな。」

 

『それについても関係することです。

現在、この世界のクウガ、五代雄介さんが、アメリカに行っている事はご存じだと思います。』

 

「そうだな。こっちのユウスケも暇してるからな。」

 

そう言うと、目の前のユウスケは不満そうな顔をしていた。

 

『彼は今、アメリカのヒーロー、アイアンマンこと、トニー・スターク氏のパーティーにお呼ばれされています。

まあ、一緒に戦った中に俺もいたのに、俺も呼ばれてないのは不満ですが、そこはともかく、スターク氏の友人にあたる人物がテロ行為に巻き込まれたという情報が入ったので、自分もアメリカへ発ち、先ほど空港に到着したのですが、現地のニュース番組で、スターク氏がテロリストを挑発。

しかも、丁寧に現住所を公言してしまいました。

五代さんに連絡を取ったところ、その友人という方の護衛として、病院に残っているそうです。

彼も、スターク氏の挑発行為は、俺の電話ではじめて知ったそうで、俺も五代さんも、これからスターク氏の住所に向かいます。』

 

「それで、俺たちにどうして欲しいんだ?」

 

『あなた方は、この世界では、パスポートを取得できないので、助力をお願いする際に秘密裏にオーロラの能力でお呼びすることになるかもしれません。

相手は、テンリングスというテロ組織で、日本でも俺のオーロラ能力を狙っていたほどの、大きな組織と思われます。

皆さんには、これから一週間から10日ほどの間に、オーロラ能力の通路が現れた際には、警戒をして二の足を踏まずに飛び込んでもらいたいというのがお願いになります。』

 

「ずいぶんあいまいな期間だな。」

 

『それでは、こうしましょう。

夜間の間だけ。その認識でお願いします。

パスポートもなく、政府との交渉もなく、秘密裏にこちらに来てもらうことになるでしょうから。

もしも、夜間の間ならば、戦闘も市民の目が向きにくいと思いますので。』

 

「俺は、今からでも行けるよ?」

 

「おい、ユウスケ。」

 

『では、ユウスケさんは、先ほどの期間中にいつでも行けるように待機しておいてください。

それでは!』

 

「きれちゃいましたね。」

 

「おい、ユウスケ。

俺が、苦情をつけたように思われたじゃないか。」

 

「え、違うのか?」

 

「ただの確認のつもりだったのに、お前ときたら…」

 

「狭間さん、ずいぶんと急いでるようでしたね。」

 

「アメリカで、一緒に宇宙人と戦った仲間みたいなものだろうからな。

…はぁ。しょうがない。待機しておくか。」

 

俺達は、通信のきれた端末を見つめ、いつくるかもわからない要請を待つことにした。

 

 

 

 

 

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