side狭間玄乃
スタークさんと、ローズ大佐に凄まれ、銃を突き付けられ、怯えながらもどこか調子が狂うしゃべり方をするトレバー・スラッタリーというおっさんは、後のシャン・チーでは重要な役割を担う人物でもある。
このおっさんは、缶ビールを飲みながら話すもんだから、話の内容は途切れ途切れだし、たまに自慢話を混ぜ込んでくる。
この度に、ローズ大佐の脅しの声がおっさんを襲って、そして再びアルドリッチ・キリアンの計画を話し出していた。
このおっさんは、ペッパーさんのことは知らないが、フロリダ沖のタンカーで、大統領をどうにかするという計画があるらしいと言っているようだった。
「おい、どうする?
さすがに、今からじゃあ僕のスーツを修理しても大統領の救出は間に合わないぞ。」
「副大統領に連絡を入れる。
警備を敷いてもらおう。」
「そういえば、副大統領の娘の足を直す変わりに引き入れるとか言ってたな。
この情報は役に立つのか?」
「おいトニー、このおっさん、今になってめちゃくちゃ重要なことを言ったぞ。」
「酔っ払ってんだろ。見逃してやれ。
そういえば、おいお前。確かモーターボート持ってるって言ってたよな。」
「ああ、使うなら、鍵は確か…付けっぱなしだったと思うよ。」
そう言いながら、さらに缶ビールをあけて飲み始めている。
「まったく、緊張感のないやつだ。
おい!そこのイチャイチャカップルも行くぞ。」
そして、なんとか女性から離れようとする五代さんと、カップルと言われて嬉しそうにする姿が対象的に見えながら、その女性もついていった。
俺は個人的に確認したいことがあったので、そのおっさんに聞く。
「あんたはテンリングスじゃないんだよな?」
「ただの役者で、雇われただけだって。」
「じゃあ、アルドリッチ・キリアンは、俺、ディエンドの能力を欲してはいなかったか?」
「ディエンド?さぁ、聞いたことないなぁ。」
「…そうか。じゃあ、情報提供料代わりに、ひとつ言っとく。
テンリングスを騙って表舞台に立ったあんたを、本物のテンリングスは許さないだろう。
じきにあんたを捕らえにくるはずだ。生き延びたければ、道化になることだ。
リア王とかな。」
「謝ってもだめかな?」
「二度は言わない。じゃあな。」
そして、俺が表に出ると、スタークさん達が待っていてくれたようだった。
「あの酔っ払いと何話してたんだ?」
「SPIRITSの情報網では、テンリングスは俺のゲート能力を狙っているという情報がありました。
それを聞いたんですが、アルドリッチ・キリアンからも何も聞いてないようでした。」
「お前さんも大変だな。
じゃあ、チームを分けるぞ。」
「その事なんですが、俺に大統領の救出に行かせてほしいんです。」
「何だハザマ、お前の能力は、飛んでいる飛行機の中にも行けるのか?」
「いえ、そこまで万能でもありません。
俺は空は飛べませんが、乗り物がありますので。」
「そうか。
それじゃ、僕と、ユウスケ、ミスハンセンはキャンピングカーだ、ユウスケは運転を頼む。
それと、スーツの修理が必要だからまた搬入を頼む。
ハザマと、ローディはモーターボートで行ってくれ。
ハザマはJ.A.R.V.I.S.にナビしてもらえ、端末と接続できるようにしておく。
大統領を救出次第、合流して、ベースキャンプに乗り込むぞ。
それと、J.A.R.V.I.S.。パーティーの準備だ。」
『ホームパーティープロトコルですね。
了解しました。』
俺とローズ大佐は、屋敷に横付けされたモーターボートに乗り込むと、ローズ大佐の運転で海へと向かっていく。
「端末を起動してっと、これでいいのか?」
『ハザマ様のGPS機能を利用して道案内を致します。』
「よろしく。」
「それで、どうするんだ!?」
「こうします。」
KAMENRIDE
「変身!」
DI!END!
KAMENRIDE HIBIKI
FINAL FORMRIDE HI HI HI HIBIKI
「何か人が呼びだされたと思ったら、赤いでっかい鳥になったぞ。
どうなってるんだ!?」
「そういう仕様なので、あんまり気にしないでください。
では行きます!」
俺は、ヒビキアカネタカに、海面まで下がってもらって飛び乗り、上空へと向かった。
上空でも、ライダーに変身しているからなのか、そこまで息苦しくもなく、寒くもなかった。
J.A.R.V.I.Sのナビを聞きながら、体感で20分ほど飛んでいると、飛行機が見えてくる。
『ハザマ様。目の前の飛行機に大統領が乗っていらっしゃいます。』
「よし。あまり近づき過ぎると、バレるから上空に向かう。」
J.A.R.V.I.S.に返事をして、上空に向かうと、今まで抑えていた不安感が振り返してきて、咄嗟にクラインの壺の中に入った。
J.A.R.V.I.S.との通信が途切れるが、今は保険を使って、不安感と、恐怖心をなんとか誤魔化し、クラインの壺の中で、再びディエンドに変身して、今度はアギトを召喚、アギトトルネイダーに変化させて、入ったところと同じ場所に飛び出た。
そのまま滑るように飛行機の上まで近づくと、窓を覗いて確認する。
すると近くの窓に穴が空き、銃で撃たれたことがわかった。
「動いたか!?」
俺は急いで出入り口に向かうと、扉が突き飛ばされて飛んできたので避けようとしてアギトトルネイダーを動かそうとしたが、それが飛行機に接触して体勢を崩し、整えるのに距離が離れてしまった。
飛行機に近づくと、出入り口の扉がなくなっていて、そこに勢いをつけて飛び込むと体を赤熱させたエクストリミス兵士、ローズ大佐を気絶させた奴が楽しそうな顔をして、こちらを見ていた。
「ディエンドか?
てっきりアイアンマンが来ると思ったが、まあいい。
お前はエレンの敵だ。
ここで殺させてもらう。」
「大統領はどうした?」
「遅かったな。うちのボスが、鉄の愛国心とやらで連れてったよ。」
あの飛んできた扉の時に出て行ったことがわかった。
そして、近くの部屋から救助を頼む声が聞こえるが、目の前の敵は見逃してもらえそうになかった。
なので、その扉の近くにオーロラを発生させた。
「何だ?自分だけ逃げようってのか?」
「違う。呼ぶだけだ。」
そのオーロラから、躓くように出てきたのは、別の世界のクウガである、小野寺ユウスケさんだった。
「えっ!?どういう状況!?」
その登場に顔をゆがめた男が、小野寺さんに向かおうとしたので、その男に組み付いた。
「混乱しているところ悪いですが、あなたの後ろの扉に、救助を待つ人がいます!
小野寺さんは自力でゴウラムに変化できるでしょうから救助をお願いします!」
「わ、わかりました!
変身!」
「何訳わかんねぇことをぺちゃくちゃと!
クウガだと?させるかよ!」
日本語が通じなかった男も、小野寺さんがクウガに変身して、焦ったのか、ポケットから何かの装置を取り出して、そのボタンを押した。
すると、その部屋から爆発音がして、悲鳴が上がり、そして遠ざかっていく。
「小野寺さん!」
「ええぃ!南無三!!」
その部屋に突入した小野寺クウガが俺の視線からいなくなったが、飛び降りたような音は聞こえた。
「くそっ!だけど、お前はここで倒す!」
この男まで野放しにできないと戦いを挑むが、ローズヒルで戦ったエレンとか言う人よりも頑丈で、パワーがあり、そして、ディエンドライバーの光弾で男の体がえぐれはするが、回復が早く、すぐにふさがってしまう。
こちらも、熱のエネルギーや、相手の攻撃がほとんど通じていないためにお互いが膠着状態になっていた。
だから俺は、相手の死角に入るように動いて隙を伺い、クラインの壺からナイフ状の武器、エターナルエッジを取り出して、右腕を斬り飛ばした。
だが、みるみるうちにその腕が、赤熱しながら再生し始めるところが見えて、一瞬動きを止めてしまい、男が俺を突き飛ばした。
そして、その男は落ちていたさっきと同じ装置を
拾って、もう一度ボタンを押すと、今度は機体が大きく揺れた。
「何をやった!?」
「コックピットを爆破してやったのさ。
これでお前は殺せる。」
ならば、遠慮はいらないと、カードを挿入すると、突然、その男が苦しみ出して、頭を不規則に振り回すと、その頭部が、オレンジ色の別のものに変わった。
「バグスターウイルスだと!?」
俺が驚くのもつかの間に、機体がみるみる傾きはじめて、急いで、出入り口に飛び付いた。
幸い、バグスターウイルスは、周囲の状況に適応できないらしく、座席に押し潰されていたので、そのまま飛び降りて、空中で、ディエンドライバーを操作する
FINALATTACKRIDE DI DI DI DIEND
落下しながらあちこちが爆発させている飛行機に向けて、せめて飛行機の墜落で被害が出ないようにと、バグスターウイルスごとディメンションシュートで飛行機を撃ち抜いた。
そのまま俺は、降下ながら、真下にオーロラを発生させて、そこに飛び込み、海上から上に向かって出口を開いて、ある程度の高さで停止して、そのまま着水した。
そして急いで、周囲を確認すると、クウガゴウラムが、その背中に人々を乗せて飛んできて、俺を通り過ぎ、人々を浅い海岸に下ろして、そして俺の方に飛んできた。
その昆虫を模した足に捕まって、海面から上がる。
「助かりました。」
「本当にいきなりで、びっくりしましたよ。
でも助けられてよかったです。」
「船がありますのでそちらまで運んでください。
方向を教えます。」
「わかりました!」
クウガゴウラムと、それに捕まった俺は、ローズ大佐の待つモーターボートに向かった。