仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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「その、もう一人、女性の仮面ライダーはどうなんだ?」

 

若干不安そうな顔をしたローズ大佐の言葉に、俺は言葉を返す。

 

「そちらの女性は、例の人物の行き過ぎる行動力や、態度などを抑制してくれるので、不安であれば、彼女を頼ってもいいと思います。」

 

「そうか、そうだな。そういう人物は頼りにさせてもらうよ。

スターク、そろそろ移動した方がいいんじゃないのか?」

 

「そうするか。それじゃ、片付けは助手その2と、助っ人君、飯を食べたんだからちゃんとやれよ。

に任せて。ローディ、モーターボートまで行って、一応船でも脱出できるように乗って行ってくれ。

ユウスケ、ああ助っ人君じゃない。

ついて行ってやれ。」

 

「わかりました。」

 

「んじゃ、またハザマは運転手よろしく。」

 

俺と小野寺さんは、テーブルや椅子、飲み物などを片付け、俺は運転席に座る。

その間も、ミスハンセンはもはや不満そうな顔を隠そうともせず、ソファーでふんぞり返っていた。

 

小野寺さんは、助手席でアメリカの景色を楽しんでいるようだったし、俺は運転に集中していて、すぐ近くにスタークさんが来ていたのには気づかなかった。

 

「ハザマ。」

 

「え!?

あ、スタークさん。なんでしよう?」

 

「運転に集中していたところ悪いが、ひとつ礼を言っとく。」

 

「何ですいきなり?」

 

「僕じゃない。ローディだ。

ハザマが志願した救助が失敗して、ローディは焦っていただろう。

だが、お前の真面目さがローディを冷静にさせた。

お前も助かっただろうが、ローディも助かったってことだ。

日本のことわざにもあるだろう。

飯を食わないと戦いはできないってな。

『トニー様、正確には…』J.A.R.V.I.S.、言わなくていい。

とにかくそれだけだ。」

 

スタークさんはそう言って、またスーツをいじりに戻っていった。

 

 

 

フロリダ沖の埠頭、巨体なクレーンがコンテナや荷物をタンカーから移動させるための施設なのだが、銃を持ったエクストリミス兵士がうろつき、ヘルメットをかぶった作業員があちこち動き回っているのを少し遠くに止めたキャンピングカーの前で見ていた。

 

「ハザマ、あっちを見てみろ。」

 

スタークさんが指す方向を見ると、モーターボートを埠頭からは見えないだろう場所に止めて、屈みながら動いているらしい姿が闇夜に目が慣れてきていて、うっすら見えた。

 

「ハザマ、助っ人を呼ぶなら今のうちだぞ。」

 

そう言われたので、キャンピングカーの裏にオーロラを開いた。

 

するとすぐに、門矢士さんと光夏海さん、そしてやはり、海東大樹さんが現れた。

 

「士!夏海ちゃん!」

 

「ユウスケ。お前、へましてないだろうな。」

 

「もう、時差のことを考えてなかったから慌ててて、ちゃんと手助けできたのか心配してたんですよ。」

 

「大丈夫だって!ちゃんと人助けしてきたから。」

 

小野寺さんが二人と会話している間に、海東さんに話かける。

 

「海東さん。助力、ありがとうございます。」

 

「二代君、先代としてずいぶん良くしてもらったからね。

そのお礼さ。感謝してくれたまえ。」

 

「はい。

それと、海東さんがディエンドに変身するならば、自分は別のライダーに変身します。

なので、俺がアイテムを取り出す時と、専用ビーグルを呼び出す時にはオーロラを開けてもらいたいです。」

 

「だったら、僕は先代君のそばで戦うことにするよ。」

 

「狭間。」

 

「門矢さん、光さんも。

今回は、ありがとうございます。」

 

「状況はどうなっているんだ?

ユウスケに聞いても英語がわからないから、詳しくはわからないって言ってたが。」

 

「今回の敵は、エクストリミスという特殊なナノマシンを実験投与された兵士です。

主に遠距離は一般的な銃による攻撃なので、ライダーに変身していれば問題ないでしょう。

兵士そのものは、投与されたナノマシンによる影響で、機動力、攻撃力はアナザーライダー並と見ていいと思います。

防御力は通常の人間と同じなのですが、回復力が異常です。

骨折、部位欠損ぐらいならば数秒もあれば再生します。

心臓や、脳を狙った場合の確認はとれていません。」

 

「何か、特殊な攻撃をしてくることはないのか?」

 

「エクストリミス兵士は体を赤熱させて、戦闘力を高めているようで、鉄ぐらいならば簡単に溶かしてきます。

ボスのキリアンという人物は、炎を口から放っていました。

あとは、不確定要因なのですが、バグスターウイルスに感染している可能性があります。」

 

「なんだと!?」

 

「小野寺さんを呼び出した時間帯にエクストリミス兵士と戦ったのですが、オレンジ色の頭のバグスターウイルスになっていました。

ここにいるやつらも、そうなるかもしれません。

現在のこの世界では、ディケイドかディエンド、もしくはエグゼイドのカードを使うか、召喚してもらうしか対処法がありません。

コンピューターウイルスなだけに、ナノマシンとの相性が良かったのかもしれません。

くれぐれも、注意をお願いします。

それと、今回は、敵の打倒だけが目的ではありません。」

 

「どういうことですか?」

 

「この先には、この国、アメリカの大統領と、今回の敵の目的でもあった、トニー・スタークさんの恋人の救出をしなければなりません。

大統領の救助には、スタークさんの友人と五代さんに別動隊として動いてもらっています。

そして、スタークさんの恋人は、彼を絶望させたいという敵の思惑で、エクストリミスを投与されてしまっています。」

 

「そんな…」

 

「それと、今回、一緒に戦うスタークさんは、全身をアーマーで纏って戦う、アメリカのヒーローでもあります。

この戦いで、彼はどうやらアーマーの多重展開を行い、敵の数をそれで補おうという作戦のようです。

なので、人型大のロボットのような見た目をしている物は味方なので、見間違えないようにお願いします。」

 

一気に説明したが、どうやら特に質問もなく、理解してもらえたようだった。

 

すると、スタークさんが近づいてくる。

 

「ローディ達の突入準備ができたそうだ。

僕はやつらの混乱に乗じてアーマーで飛んで行く。先に行ってくれ。

それと、そいつらが、協力者か?」

 

「ああそうだ。あんたがトニー・スタークか?」

 

「お前は英語が話せれるんだな。

そう。僕こそが、トニー・スタークで、アイアンマンだ。

サインは、終わってから書いてやるよ。」

 

どことなく、変な空気になりそうだったので、門矢さんを急かして、予定場所に向かう。

 

小さく文句を言われたが、そこは光さんに注意されて静かになっていた。

 

埠頭の陸側には鉄製の壁で囲まれていたが、その周りにはガラクタや廃タイヤなどが積まれていて、簡単に侵入できるようになっていた。

 

巡回する武装したやつらから隠れながら、出来るだけ近づいて行く。

 

「いつまで隠れているつもりだ?

戦うならさっさとやるぞ。」

 

「救出しなければならい対象を出来るだけ先に発見したいんです。」

 

「あれじゃないかな?

ほら、あの鎖に繋がれてる青いやつ。」

 

ウズウズしている門矢さんに俺が言うと、海東さんが指を指して伝えてきた。

 

「さすがは泥棒、目ざといな。」

 

「誉めても何もないよ。」

 

門矢さんは嫌味で言うが、海東さんには通じなかったようだった。

 

「わかりました。

では、二手に別れましょう。

門矢さんは小野寺さんと光さんの3人で、俺は海東さんと行動します。

出来るだけ、救出する方から敵を遠ざけるようにお願いします。

では海東さん、オーロラを開けてください。」

 

「ほら。」

 

門矢さん達が別の方に行くのを尻目に、海東さんにオーロラを開けてもらい、クラインの壺から一つのアタッシュケースを取り出した。

 

それは、スマートブレインのロゴが入ったもので、それを地面に置いて鍵をあける。

 

「デルタギアかい?」

 

「そうです。保険その1ですね。」

 

 

 

 

 

 

俺はニューヨークの戦いで、ディエンドの二代目として戦う覚悟を決めた。

だが、それはその時の怒りが主な原因で、しかも相手が宇宙人だったからだ。

 

人間特有の生々しさもなく、言葉が通じる相手でもない。

完全な敵として認識していたからその時は戦えていた。

 

しかし、いざ終わって冷静になってみると、体の震えは治まらず、不安と恐怖がのし掛かってきた。

 

覚悟を決めても、俺は戦いたくないのだと、心の中で叫びを上げる自分を、見て見ぬふりをして、そしてそれをなんとかしようと考えて、ライダーの知識をフル活用して出てきた答えが、デルタギアのデモンズスレートと、シュルトケスナー藻だった。

 

そしてこれが、俺の精神をなんとか平常心に持っていける、保険その1と保険その2になった。

 

どちらも副作用がひどく、後々になって苦しむことになるのはわかっていたが、これらは、今の俺の精神をマイナスからゼロ、ゼロからプラスに持っていける要因でもある。

 

トニー・スタークよりも、精神医療にかかった方いいのは俺かもしれないが、俺がディエンドであり、SPIRITSの設立メンバーの一人として…

 

 

 

 

 

 

 

いや、これはただの言い訳だ。

 

あの時の五代さんからかかってきた電話でのアドバイスは、俺にしてほしかったことなのかもしれない。

 

だからこれはどうにか克服しなければならない問題だ。

 

だけど、今は。

 

 

 

 

 

「行きましょう。」

 

俺は、目を見開き、ベルトを装置する。

 

銃のグリップとトリガー型の電話、デルタフォンを手にもち、それを口元に持ってきて、トリガーを引きながら言う。

 

 

「変身!」

 

 

右腰のデルタムーバーに装着し、エコー音声が二回鳴ると、フォトンフレームが形成される。

 

 

 Standing by

 

 

 Complete

 

 

仮面ライダーデルタに変身を完了すると、恐怖が薄れるように感覚がクリアになる。

 

 

 KAMENRIDE

 

 

「変身!」

 

 

 DI!END!

 

 

海東さんも変身を完了して行動を開始する。

 

直後、多方面から銃声が鳴り響いた。

 

 

 

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