仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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間章
思いもよらない乱入者


さて諸君。

俺はアイアンマン3を経て、もっとも今気になっていることがある。

 

というか、実際に裏取引や被害が発生してしまっている以上、問題にならない訳がないのだ。

 

そう、『バグスターウイルス』を、キリアンはどこから入手したのか?

ということなのだが、まあ今の段階で理由は違えど、結果的に檀正宗が拘束、逮捕され、服役。

夢幻コーポレーションは息子の檀黎斗が引き継ぐこととなった。

 

この世界では、ゼロデイが発生していないため、ポッピーピポパポも、グラファイトも誕生していない。

だが、宝生永夢がバグスターウイルスらしきものに感染していたかもしれないという情報は入ってきていて、もしかするとパラドは誕生しているかもしれないという不測の事態が発生していた。

 

事情聴取しても、檀親子は黙秘を続けるし、記憶を戻らせたのは失敗だったかもしれないと、今では後悔している。

 

だが、俺が彼らの記憶を戻らせなかったとしても、ネクストゲノム研究所がこの世界には存在したらしい。

 

まあ、違法薬物取り扱いで検挙されて、潰されていたこともわかっているし、檀正宗はそこの元職員で、検挙される前に辞めていたということも判明しているようだった。

 

その時に、宝生永夢が…という事実は判明していないからどうとは言えない、やっかいな事情になっているようだ。

 

 

ただし、今回の流出の件は、以前に檀黎斗がこぼしていた。

 

 

「以前に社員が開発したゲーム『フレイムウォーリアーズ』という作品を以前にボツにしたことがある。

あれは、炎使いの主人公が悪の科学者が作ったロボットを倒していくゲームだが、既存のゲームとどことなく似ていたし、発展性を感じなかった。

だが、私が破棄しようと思っていたがいつの間にか消去されていたから、自らの過ちに気づいて破棄したのだろう。

この神たる私以上に、ゲームを作れるものがいないと悟ったのだろう。

そうだ。そうに違いない!フハハハハ!」

 

 

という、『フレイムウォーリアーズ』という作品は、見方によれば、エクストリミスという体を赤熱させる側が、トニー・スターク氏が作ったアーマーを破壊するという、逆から見ると一致している部分が見てとれた。

 

例の社員は作品を提出した後は、そのデータに触れた形跡が見つからなかったため、その作品に研究中のバグスターウイルスを混ぜて、流出させたのだろうということだった。

 

 

今だに、真犯人はわかっておらず、檀親子のキャラクター性も相まって、謎が謎を呼ぶカオス状態になりつつあった。

 

これに対して、我々SPIRITSは、今後にバグスターウイルスが広まる可能性を考えて、聖都大学附属病院に電脳救命センター(通称CR)を設置することが決定した。

 

もちろん、責任者に院長の鏡灰馬氏が就任して、息子の鏡飛彩、放射線科の花家大我、監察医の九条貴利矢を召集して対策をはかることとなったが、檀黎斗がオブザーバーについたことで、必然的に彼らの記憶を戻らせる必要があった。

 

当然、いくつもの混乱と、離散の危機もあったが、現在はまだバグスターウイルスが広まっておらず、グラファイトも誕生していないことから、宝生永夢の保護を第一目標に活動を始めたのだった。

もちろん、ゲーマドライバーは一つしかないため、同時並行で開発を進めているし、檀黎斗が全てのガシャットを作り直すと息巻いているので、普段は彼らも聖都大学附属病院に転院して勤務しているのが現状である。

 

 

 

あのクリスマスの騒動から半年が経過した。

 

我々SPIRITSは、バグスターウイルスの調査だけに集中していた訳ではなく、もちろん闇の手のニンジャ達との戦いは続いていた。

 

しかし俺の現在の立場は、いち戦闘員というわけではなく、ライダーであり戦えはするが、所謂中間管理職のようなものでデスクワークがほとんどであり、また、交渉役という役割を担っているために、様々な人員のスカウトも行っている。

 

ある日の戦いで黒影トルーパーの隊員から、オネエ口調のヤクザを助けたという報告があったので、もしかしたらと思い、その人物に接触をはかったところ、やはりというか、みんな大好きルナネエさんこと、泉京水氏だった。

 

京水氏にスカウトを行ったところ、あっけなく参入してくれた。

 

曰く、イケメンが沢山いる職場だからだそうだ。

 

そういう理由でSPIRITSに参入してくれた人物には他にいて、平成ライダー作品で京水氏と並ぶ二大オネエキャラの凰蓮・ピエール・アルフォンゾ氏である。

 

この人は、以前から戦力強化の意味合いでスカウトを行っていたが、俺が言っても無駄だろうと、沢木哲也さんにお願いしたところ、これもあっさり陥落。

沢木哲也さんの人柄の良さも相まって、たまに食堂のキッチンで一緒にデザートを作っていたりする。

 

それと、以前に呉島貴虎さんが訪ねてきた際に、湊耀子さんを紹介された。

 

別の世界では戦極凌馬の秘書としてユグドラシルコーポレーションに所属していた仮面ライダーマリカだったが、この世界では、元々は、他会社からの産業スパイらしく、拘束して警察につき出すか迷っていたらしいのだが、興味があるかと思い、俺に紹介したとのことだった。

 

色々と話し合った結果、SPIRITSに参入することとなり、実質、俺の秘書のような立ち位置に収まってしまった。

 

周囲の余計な配慮が見え隠れしていたが、そういう関係になることはないだろうというのが正直なところだ。

 

なぜなら、彼女はBARONというアイドルグループのガチ恋勢だからだ。

 

最初に気づいたのは、彼女が持っていたキーホルダーで、何気なく聞いてみたところ、急に前のめりになってグイグイと興味があるのかと聞いてくるわ、押しを聞いてもいないのに早口言葉でしゃべりだすわ、終いには一人で妄想し始めて女性がしてはいけない顔になるわと、さんざんだった。

 

さて、BARONというアイドルグループがあると言ったが、その名前からわかる通り、この世界でのビートライダーズのチームバロンは、ストリートダンサーではなく、歌って踊れる大人気のアイドルグループなのである。

 

最近開催されたというコンサートに、泉京水氏、凰蓮・ピエール・アルフォンゾ氏、湊耀子さんがキャーキャー言いながら参加していたということを他の隊員から聞いてしまい、どう反応すればいいのかがわからなかった。

 

 

そんな彼ら(泉京水氏を除く)の記憶を戻らせるのには、随分と悩んだ挙げ句に実行すれば、凰蓮氏も、耀子さんもが、これは運命だと言いはじめて、ますますBARONの虜になっているっぽかった。

 

特に耀子さんは、仕事中とのギャップがすごく、若い隊員の中には、恋心を抱いている者もいるらしいと聞いていた。

 

俺から言わせれば、応援はするが、現実を見ろとも言いそうになった。

 

 

 

 

 

 

2022年8月 狭間玄乃の世界

 

 

お盆休みに久しぶりに実家に帰ると、就職はするのかという話になったので、新興のベンチャー企業に就職しているとごまかし、向こうの世界の通帳を見せて黙らせた。

 

家にいても、親がうるさいので、親戚の墓参りや、ぶらぶらと歩いていたら、学生時代の友人に久しぶりに会った。

 

地元で唯一の喫茶店で、近況をしゃべり、軽食とコーヒーを飲んで、そこで別れた。

 

 

 

さて、俺がどうしてこんなことを言い始めたかというと、オーロラを通ってSPIRITSに戻り、事務作業を再開していると、だんだんと騒がしくなってきたので、聞いて見ると、侵入者がいたから拘束したけれど、よくわからないことをぺらぺらと、しゃべるので、俺に教えたほうがいいのではないかという話になったという。

 

そして、反省室とプレートがかかった部屋にくると、その拘束したらしい人物の声が聞こえてきて、だんだんと俺の顔がひきつってきた。

 

その部屋の扉を開けると、目の前には、あの喫茶店で別れたはずの友人がそこにいたのだった。

 

 

 

 

「お!玄!来たな。」

 

「来たな。じゃないよ。

何やってんのさ…」

 

 

俺は頭をかかえることになり、とりあえず、二人だけで話をさせて欲しいと周囲にはお願いして、俺と、その友人だけにしてもらった。

 

 

「もう一回言うぞ。

何やってんだ?」

 

「いやぁ。たまたま見かけた玄が、裏路地に銀色のオーロラみたいなのに入って行ったのを見て、俺も飛び込んだらここにいてさ。」

 

「阿保か。俺はわざわざ実家から何県も離れた場所で、しかも深夜に誰もいないことを確認してから入ったんだぞ。

たまたまなわけないだろうが。」

 

俺はジト目で睨みつけながら言うと、そいつは急に土下座して謝ってきた。

 

「すまん。

実は…」

 

話を聞くに、こいつには10年以上付き合った彼女がいたが、同棲していて仕事から帰って見ると部屋中の物がなくなっていて、どうにもできずに呆然としていると、ヤクザがやってきて借金を払えと脅してきたんだそうだ。

 

持っていた所持金でなんとか実家に帰ってきたが、実家の両親からも、自分が借金をしたのだと勘違いして聞き入れてもらえず家を追い出され、会社に連絡を入れるが、会社にヤクザが来たことでクビを言い渡されてもう自殺しようかと考えていたところに、俺と再会したのだという。

 

あの時は本当のことを言えずに、俺が奢ったサンドイッチとコーヒーのありがたみを忘れられずに、礼を言うために探していたら偶然、どこかに行く姿を見てついて行ったら、あの銀色のオーロラに入って行いくのが見えて、無我夢中で中に入ったんだそうだ。

 

「そしたら、有名人が沢山いるから混乱している内に捕まって、ここにいるんだ。

すまなかった。

それと、ありがとう。

あの時のお前の優しさが俺を救ってくれたんだ。

だから、俺にできることなら、なんでも言ってくれ。金はないし、人望もないけど、俺は!」

 

 

俺は、土下座して頭を地面に擦り着けているこの友人をどうしようかと、頭を悩ませていた。

 

 

 

 

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