仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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キャプテンアメリカウィンターソルジャー編開始です。


キャプテンアメリカ・ウィンターソルジャー編
米国渡来


side朔田流星

 

俺がSPIRITSに加入して数週間、訓練を積みながらの初任務はアメリカだった。

 

同じ部署の半年ほどの先輩である御影暁さんは、気さくでよく食堂に誘ってくれるし、ドリンクぐらいなら何回か驕ってもらったこともある。

だけど、この人は端から見ていると戦闘経験も少ない半ば素人に見える。

だから、この任務から外されたのは納得した。

 

凰蓮さんはしゃべり方は気持ち悪いけど、いい大人だ。

暁さんのような人にも熱心に指導しているし、他の隊員たちからの評判もいい。

それに生身の対人訓練ではこの人には勝ったことがないぐらい強い。いつかは勝たせてもらうけど。

 

湊耀子さんは狭間さんの秘書だ。美人だしクールだし。

狭間さんが言うにはプライベートではけっこうミーハーなオタク気質な人らしい。友子ちゃんみたいな感じだろうか?

 

この人も戦闘経験が豊富みたいだ。対人訓練では足技に翻弄されているとあの剣での攻撃の対処が間に合わなくなってくる。

凰蓮さんとの対人訓練では、よく白熱した模擬戦が繰り広げられていた。

あの二人の戦いを見ていると星心大輪拳の道場を思い出してウズウズしてくる。

 

狭間さんの戦い方は、いわゆる指揮官タイプだ。

メイン武器が銃ということもあるだろうが、俺達が前線で戦い、狭間さんはそれをフォローして動いて俺達の戦いを邪魔されないような戦い方をしてくれる。

戦場だとありがたい存在だ。

 

俺は狭間さんのおかげで弦太朗の事も友子ちゃんの事も思い出す事ができたし、仮面ライダーメテオとしての経験を思い出して、それを今の自分に反映しながらの訓練を心がけている。

 

俺達は地下駐車場から友子ちゃんに、御影さんやSPIRITSの人たちに見送られながら空港に出現した。

 

闇の手と呼ばれる全容がわかっていない組織は、ダスタードにも似た集団や暴力団を使って日本を支配下に置こうとしているらしい、いわゆる財団Xにも似た存在だ。

 

あの日、友子ちゃんとのデート中にやつらはいきなり現れて通行人を襲って連れ去ろうとしていた。

もしも俺にメテオとしての力がなければ、SPIRITSの人たちが来てくれなければ、今の俺も友子ちゃんもいなかっただろう。

 

今回の任務で、俺の訓練の成果を出す機会があればその時は…

 

 

 

 

 

 

side狭間玄乃

 

えらくガチガチな流星君に、凰蓮さんが声をかけているのを横目に、空港に車が入り、下車する場所にいる人が見える。

 

下車した俺達が、本郷さんが降りるのを見られないよう壁になるような立ち位置で待ち、そして本郷さんが降りて来た。

 

待っていた人物、飛電其雄さんが本郷さんと握手をして話だす。

 

「お久しぶりです。送迎、宿泊の手配等をさせていただきました。

日本人がなめられないよう対処するつもりですので、今回のアメリカ遠征は、我々に任せていただきます。」

 

「飛電其雄君だったね。父君とはよくさせていただいているよ。

今回の事は、狭間君から連絡を受けている通りに君達に全面的に頼りにさせてもらう。

よろしく頼むよ。」

 

そして今度は俺に対しても握手を求めてきたので答えた。

 

「飛電さん、この度はありがとうございます。」

 

「狭間さんこそ、こちらからもありがとうございます。

スタークインダストリーとの極秘提携がかなったおかげで、父の本社でヒューマギアに関係する研究が進みました。

今回の事は、そのお礼だと思っていただきたい。

我が社、飛電インテリジェンスが今回の会談を全力でバックアップしますので、要望があればその都度おっしゃってください。

日本人の底力というものを見せつけてやりましょう。」

 

そう、アルドリッチ・キリアンとの戦いの折りにペッパーさんを助けて得たお願いの権利を、飛電インテリジェンスとの技術連携をお願いしたのだ。

 

実際にパーティーに飛電其雄さんに同行してもらい渡りをつけると、自分の望みのために使わないことに小言を言われたが、研究者の知識を二人が話しだすとどんどん熱中して行き、喜んで協力を得ることができた。

 

しかし、世間には確実な結果が出るまでは公表を控えてもらっている。

これは、とある特定の人物達の暴走を抑える意味合いもあり、ペッパーさんには重々お願いしてきていた。

 

今回の事でヒューマギアの開発が大きく進むだろうし、スタークさんのいい刺激にもなるだろうと思ってのことだった。

 

今回の事でも、ニューヨークに出張に行っていたこの人に意見を求めたところ、それなら頼ってくださいと申し出てくれたためにそれに甘えさせてもらうことにした。

 

俺達が話をしている間に、飛電インテリジェンスの社員と思える人たちと部下達が荷物を下ろして手続きをしてくれていた。

俺はみんなに小さく感謝を言いながら乗り込む飛行機へと向かって行った。

 

 

 

ワシントン・ダレス国際空港に到着した俺達は、飛電さんの先導について行く形になった。

荷物などは再び、部下や社員さん達が運んでくれたのでかなり助かった。

 

飛電さんの話す話題は尽きず、本郷さんはそれを面白そうに聞いていたが、俺は部下達の統率に加えて警戒もしなければならなかったので気が休まる事はなかった。

 

黒塗りの車に乗り込むと、再び飛電さんの話で、今回のホテルにまずは向かって、時差ボケを直す意味合いもあるのでそのまま数日はそのホテルで過ごしてからの会談という形になるようだ。

 

実際にある程度余裕を持たせたスケジュールで来ているので、俺達は飛電インテリジェンスの社員達の同行であれは、観光やランニング等のトレーニングができるということも言われた。

 

そのことに凰蓮さんと耀子さんは嬉しそうにしていたが流星君はどうやら固い表情だった。

 

「流星君は、乗り気じゃないようだね。」

 

「俺が記憶している通りのアメリカならば、あまりはしゃぎ過ぎるのも良くないと思います。

観光気分だと思わぬ危険があるかもしれません。」

 

「その言葉には一理ある。だが常時気を張り続けるのはとても疲れるものだ。

ある程度は警戒もするが、もう少し柔軟に対応できるように力は抜いていてもいいと思うぞ。」

 

「…わかりました。」

 

俺の言葉に納得したのかしなかったのかよくわからない返事をしていると飛電さんから泊まるホテルの紹介を受けて話題が変わっていった。

 

アメリカの歴史を知るにはうってつけのスミソニアン博物館や、ランニング場所としては人気のあるナショナル・モールにも近いところにあるホテルらしく、連泊で宿泊できるようにするのはとても大変だったと言っていた。

 

そして、ホテルに到着すると飛電さんが部屋にきたのでそのまま入ってもらった。

 

「狭間さんはお気づきかと思われますが、今回同行してもらっているのは、社員に見せかけたSP部隊です。

実際に、空港についてからこちらを見張る素振りをする人物がいたという報告もありました。

もしかすると、このホテルにも監視の目があるかもしれません。

十分注意をお願いします。」

 

そう言うと、これからの日程の打ち合わせを行うことになった。

 

 

 

 

side朔田流星

 

夜があける前に目が覚めたので目を覚まさせる意味合いも込めてランニングをしに行く格好に着替えた。

ホテルの一階フロアに降りると、飛電インテリジェンスの社員の人がいたので、その人にお願いして昨日の車の中でも話があったナショナル・モールという場所につれて行ってもらうことにした。

 

社員の人は車に残って待っているというので、俺は車から降りるとその場で体をほぐして、そしてランニングをはじめた。

 

俺の他にもこの時間からランニングをしていた人がいて、リズムを整えるためにその人を基準にしてスピードを整えていく。

 

その黒人の男性について行くように走っていると、まるで全力疾走をしているかのように白人の男性が追い抜いて行く。

 

「左から失礼!」

 

その声はとても疲れているようには聞こえなかったのでとても驚いたが、あれではすぐにバテると思い自分のペースを守るように走って行く。

 

すると、いつの間にか先ほどの男性が後ろから同じペースで俺と黒人の男性を追い抜いていく。

かけてきた声も同じで、黒人の男性はさっさと抜いてくれといわんばかりの声を発していた。

 

そしてリンカーン記念堂リフレクティングプールに差し掛かった時にも先ほどの男性が同じペースで追い抜いていった。

 

さすがにむきになったその黒人の男性が白人の男性に追い付こうと走り出すけれど、それを軽々と突き放して走って行ってしまう。

 

そろそろランニングを終えようかと思っていると、バテバテのその黒人の男性が木に寄りかかるようにして休憩していたので、心配になって声をかけた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ああ、一緒に走っていた君か。

俺は大丈夫。

追い抜いていったやつが異常なだけだ。」

 

「ずいぶんな言い種だな。衛生兵を呼ぼうか?」

 

と、その白人の男性も戻ってきたようで話しかけてきた。

 

黒人の男性は、白人の男性に肺を取り替えてくれと冗談交じりに話をしていたので、大丈夫そうだった。

 

その黒人の男性の話によると、白人の男性は20キロメートルを30分という驚異的なスピードで走っていたことになるらしい。

しかし、白人の男性はそれでも遅いと言っていたので声も出せないでいた。

 

どうやら黒人の男性は退役した軍人のようで、サム・ウィルソンと名乗って、白人の男性に腕を持って起こされていた。

そして、白人の男性も名乗ったことでこの男性がどうしてこうも超人的なのかがわかった。

 

「あなたが、キャプテンアメリカだったんですね。」

 

「ああ少年。驚かせて悪かったね。

名前は?」

 

「リュウセイ・サクタ、日本人です。」

 

「リュウセイか、観光かい?」

 

「いいえ。仕事です。

それと、これでも20才です。」

 

「日本人が若く見えるってのは本当だったのか。」

 

ロジャースさんに少年と言われて思わずむきになって言ってしまったけれど、ウィルソンさんにそう言われれば言い返してしまった自分に恥ずかしくなっていた。

 

その間に二人の話は弾んだようで、ロジャースさんはメモ待てとっていた。

するとボソッとロジャースさんが言葉をこぼして言う。

 

「僕も日本人には知り合いがいてね。」

 

「狭間さんのことですか?」

 

「ハザマを知っているのか?」

 

ついつい反応して言ってしまったので、このまま身分をあかすことにした。

 

「俺の上司ですよ。」

 

「ということはハザマも今ワシントンにいるのか、君もSPIRITSの?」

 

「はい。新人ですけど。

狭間さんにはこのことを話しても大丈夫でしょうか?」

 

「ああ、かまわない。

おっと、連絡だ。」

 

ロジャースさんは端末を取り出すと、任務だと言ってウィルソンさんと軽口を言い合うと、ロジャースさんは赤毛のブロンドの綺麗な女性の車に乗って行ってしまった。

 

すると、そのすぐに迎えの車が来たので、ついでにと、ウィルソンさんを家まで送ってもらい、ホテルに帰ることになった。

 

 




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