仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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会談、トリスケリオン

side狭間玄乃

 

翌日、ホテルの一室で着替えをしていると凰蓮さんの声がかかってきたので、そのまま入ってもらって大丈夫だと伝えた。

 

「凰蓮さん、おはようございます。」

 

「おはようと悠長に言ってる場合じゃないわよ。

これを見て。」

 

凰蓮さんの手に握られていたのは、小型のカメラのようなものが12個ほどで、それを近くのテーブルの上に置いた。

 

「これは?」

 

「私の部屋と、耀子ちゃんの部屋に仕掛けられていた小型カメラよ。

巧妙に仕掛けられていたわ。

幸いなことに盗聴機の類いはなかったから、音声までは大丈夫だったみたいだけどね。

こういうのを見つけるのは軍人だった頃の癖みたいなものなのよ。それが役にたったわ。それで。」

 

「この部屋にもあるかもしれないと?」

 

「今、耀子ちゃんと飛電インテリジェンスの人たちにもお願いして、私たちが宿泊しているすべての部屋を見てまわっているわ。」

 

「だったら、さっそくお願いしよう。」

 

俺が一緒について行きながら、凰蓮さんの作業を見ていると、次々に小型カメラが出てくる出てくる。

計7個もの小型カメラが仕掛けられていたことがわかり、ホテルの一室に集まって数えて見ると合計56個もの小型カメラが仕掛けられていたことがわかった。

 

「今、このホテルの支配人に抗議の声明を行っています。

それと、仕掛けられていた小型カメラの機種の割り出しも平行して確認中です。」

 

走ってきたのだというシャワーを浴びてこざっぱりした様子の流星君から、スティーブさんとの遭遇の報告を受けていると、スーツ姿の飛電さんが入って来てそう報告された。

 

念のため、窓から一番遠いソファーに座った本郷さんが唸るように声を出した。

 

「これはS.H.I.E.L.D.かね?」

 

「かもしれません。

ニック・フューリー長官ならば、『安全のために必要なことだった』とでも言いそうですね。」

 

「うぅむ。こういう先手を打ってくるか。

これでは、観光は諦めた方がいいかもしれんな。」

 

俺の言葉に本郷さんが言うと、耀子さんと凰蓮さんの落胆する雰囲気が伝わってきたのを感じた。

すると、ホテルの支配人が来たというので入ってもらい説明を受けると、数日前に政府の人間が同じ部屋に泊まっていったのは確認しているが、まさか小型カメラが仕掛けられていたとまではわからなかったという。

 

お詫びとして、宿泊中のホテルのルームサービスはすべて無料にすると言うと退室していった。

 

あくまで、自分達は知らなかったと言い張るつもりかもしれないがアウェーなのは我々であり、ホテルに仕掛けられていたカメラを探し出す為とはいえ、ホテル内を傷つけたのもまた事実なのであまり追及もできなかった。

 

「宿泊費ぐらい無料にしてもいいじゃないのよ。」

 

凰蓮さんは支配人の無責任さに呆れているようだった。

 

「湊君、会談の予定は?」

 

「明後日のお昼からの予定となっています。」

 

「ふむ、こういうことをするのだ。

明日の午前中に変更を伝えなさい。」

 

「わかりました。」

 

耀子さんは失礼しますと言って部屋を退室していく。

 

「本郷さん。これでは、ルームサービスの無料というのも怪しいですね。

睡眠薬入りとでもなればそのまま拉致されかねません。」

 

「S.H.I.E.L.D.はそこまでするのか?」

 

「いえ、S.H.I.E.L.D.内部の別の組織の可能性があります。」

 

「別の組織…ですか?」

 

真剣に話を聞いていた流星君が聞いてくる。

しかし、それに答えたのは俺ではなく凰蓮さんだった。

 

「ヒドラね。」

 

「ヒドラというのは?」

 

流星君にはその知識がなかったようで不思議そうに聞いてきた。

 

「ヒドラというのはね…」

 

凰蓮さんが流星君に説明をしている間に、俺達は小型カメラの機種が判明したという報告を受けていた。

 

「この機種は、あまり市場には出回らない品のようですね。

見る限り軍の製品のようです。

市場価格は、一般的は小型カメラの3~3.5倍はするようです。」

 

飛電さんがノートパソコンの画面をこちらに見せながら説明してくれる。

 

「それが56個、これがS.H.I.E.L.D.…ひいてはヒドラか。」

 

「朝食は近くのカフェからテイクアウトしたサンドイッチやドーナツを買って来させますので、少々お待ち下さい。」

 

「私も行くわ。観光ができないならせめて街並みを見てまわるぐらいはしたいわ。

周囲の状態も確認しておきたいしね。」

 

飛電さんがSPの人たちに指示を出すと凰蓮さんもそれについて行ってしまった。

それと入れ替わりに耀子さんが戻ってくる。

 

「連絡を入れました。

いろいろと言われましたけれど、向こうもひとまず了承してくれました。」

 

「よくやってくれた。

狭間君、君は朝食を食べたら一度本部に戻ってくれないかね?

持って来て欲しいものがあるのだよ。」

 

「はぁ。それぐらいならば可能ですが、いったい何を?」

 

 

 

 

翌日、飛電さんが用意した車に乗り込み、セオドア・ルーズベルト島に存在するS.H.I.E.L.D.の本部『トリスケリオン』へと向かって行く。

 

たった二本の橋に隔たれた巨体な施設、日本のSPIRITS本部が地下にあるというのに、堂々とその場所に建っている。

 

正面入口付近に車が止まると、俺達が先に降りて

、再び本郷さんの扉の前に並んで出てくるのを待った。

俺の隣には飛電さんも立っていて周囲を警戒していようだった。

本郷さんが降りてくると、俺は本部に一度戻って持ってきた物が入ったアタッシュケースを持って、部下達に背中を守られながら入って行く。

 

その間に、飛電さんが車を移動させて待機してS.H.I.E.L.D.に細工されないように監視することになっている。

 

建物の中に入ると、案内役のスタッフが現れて武器の所有などがないかを調べられた。

 

本来ならば部下達も所有しているドライバーなどは俺のクラインの壺の中に入れてあり、接収などさせるつもりはさらさらなかった。

 

検査が終わるとどことなく不満気なスタッフに連れられて音声操作式のエレベーターに乗り込み、高官のいるフロアに通されて、そこの会議室らしき場所に通された。

 

部下達はここで待機して欲しいとのことで、三人はここで待機することになった。

俺達が話し合いをする場所にはガラス越しにではあるがこちらから見ることができそうではあった。

 

俺と本郷さんは再びスタッフに連れられて行くと、長官室にいるフューリーさんのところまで通された。

 

 

「お久しぶりで。

SPIRITSの総司令官殿。」

 

「お久しぶりですなぁ。

S.H.I.E.L.D.の長官殿。」

 

やはり、ホテルの小型カメラはこの人の差し金らしく、本当にSPIRITSの人たちの安全を考慮して行ったことだと言われ、逆に、あらかさまなプライベートな部分を避けるように配置してあったと言う説明まで受けた。

 

今回の会談の目的は、人類の為にとある計画、世界中のテロや戦争行為を未然に防ぐ『インサイト計画』なるものが進行中であり、そのためには拠点、兵装、兵士のそれぞれを現行のはるか先の次元を持って行わなければならないという。

 

「日本でも、市民を狙ったテロ行為が行われた後にならなければ行動を起こすこともできないだろう?

すべてが後手後手に回り、市民の人命が失われることになるよりも前、未然にそれを防ぐことで被害を減らすことにつながる。」

 

「そのために、未来で犯罪者になりえるかもしれない全国民に銃口が突きつけられること容認しろと?

ばかばかしい。」

 

本郷さんに、もちろん自分もだが呆れて軽く引いていた。

 

「そのばかばかしいことを行わなかった事で、どれだけの人命を失う事になるのか考えられないわけではあるまい。」

 

現時点では、拠点、兵装の拡充が行われきたが、兵士の強化につながるものが必要だとか。

 

「それが、ライダーシステムだと?」

 

「そうだ。日本で現在使われている物、それを提供していただきたい。」

 

フューリー長官が、テーブルのパネルを操作すると、G3部隊や黒影トルーパーの戦闘シーンが写し出される。

 

「これらのアーマーは普通の警察官でも扱えるほどそれほど癖があるものではないようだな。

しかし、量産品であるにもかかわらずトニー・スタークが作ったアイアンスーツよりも高性能のように見える。

これらを更に強化、配備できればインサイト計画を現実のものにできるだろう。

それに、何もただ寄越せと言っているわけではない。

拠点の一つをまるまるSPIRITSが本部として使うといい。

あんな地下に隠れて活動する必要が無くなるのだ。戦力も拠点もできる。見返りとしては十分だと思うがな。」

 

確かにそれが叶えば闇の手のテロ行為を未然に防ぐことができるようになるだろう。しかしだ。

 

「フューリー長官、どうやらあなたには浪漫というものがわかってはいないようだ。

それに、ライダーシステムを提供した結果、この世界がどうなるかの想像がはるかにできていない。

あなたのその考えこそが世界の破滅を加速させることにつながるのだという考えすらないとは呆れたものだ。

ライダーシステムを提供した後には、狭間君あたりをオブザーバーにでも招いてディエンドを手元に置いておきたいという思惑がありありと透けて見えますな。」

 

「何?」

 

「フューリー長官。

その考えはとても立派だと思います。

ですが、S.H.I.E.L.D.の全てがその考え方であるとは言えますまい。

現に、チタウリの技術などのS.H.I.E.L.D.が管理しているはずのものが流出しているというのもまた事実。

我々のライダーシステムがそのような輩に渡らないとは、100%無いとは言えないでしょう?」

 

「では何ならば提供できるというのかね?」

 

フューリー長官は俺の言葉に思いあたる節もあるようだったが、それでも言い出した手前、引き出したいという気持ちがはやるのか聞いてきた。

 

俺は本郷さんの方を見て、本郷さんが頷くと下に置いていたアタッシュケースをテーブルの上に置いた。

 

 




アバターの新作見てきました。
あっという間の3時間でおもしろかったです。

感想待ってま~す。
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