仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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キャプテンアメリカの逃走

翌日、ホテルで今日の予定を確認中の時だった。

端末に救難信号の発生の通知が入ってきたのだ。

 

「狭間さん!救難信号です!」

 

通知音に反応した流星君が端末の画面を見て、即座に俺に言ってくる。

 

「本郷さん。」

 

「うむ。これより、我々SPIRITSはキャプテン・スティーブ・ロジャースの味方として行動する。

飛電君、お願いした通り用意してもらった別の車を使わせてもらう。

狭間君、凰蓮君、湊君は飛電君が用意した車で救難信号の場所に行きキャプテンアメリカを救助及び彼の援護だ。

飛電君の部下数人をホテルの監視に残し、私を含めた残りの者はウィルソン君の家におじゃましに行く。

行動を開始せよ!」

 

『『了解!』』

 

飛電さんから車の鍵を受け取り、俺達三人は駐車場に停めてあったジープタイプの車に乗り込んで助手席の耀子さんの指示に、凰蓮さんが運転手となって、すぐさま救難信号のあった場所まで急ぐ。

 

そこは、ショッピングモールに併設された入り組んだ駐車場で、渡してあったグリップの上部にスイッチが入った装置は車止めの場所に置かれていた。

 

周囲に警戒しつつ、監視カメラの陰になるような位置取りの駐車場に停車して耀子さんにスイッチの回収をお願いした後、少しすると、車のドアをたたく音がしたので、ゆっくりと開いた。

 

「ハザマ、よく来てくれた。」

 

「ハザマじゃないの。

何?SPIRITSは味方なの?」

 

「エージェント・ロマノフ。

あなたの方こそ、味方と捉えてよろしいので?」

 

すぐに乗り込んで来た二人は、あまり似合わない私服姿で、ロジャースさんは伊達メガネをかけていて、盾を座席のそばに置いている。

 

「何よ。女付き?

ワテクシじゃあ足りないって言うの?」

 

「私がスティーブの女?

それはゴメンねってあら?ピエールじゃないの。」

 

「もしかして、ナターシャちゃんかしら?

お久しぶりね。」

 

「二人はお知り合いで?」

 

「ロシアの軍にいた時に共闘してた時があっただけよ。」

 

「そうね。ピエールなら信用できるわ。」

 

二人の意外な関係に驚いていると、戻ってきた耀子さんが声をかけてくる。

 

「スイッチの回収は終わったわ。それで、目的地は?」

 

「ニュージャージー州、ウィートンだ。

近くにS.H.I.E.L.D.のストライクチームが散開している。

十分に気を付けてくれ。」

 

「了解よ~。」

 

私服姿の凰蓮さんが応えて車が走り出した。

 

意外なほどスムーズに移動ができているようで、前の座席の二人が監視カメラをうまい具合に避けている様子だった。

 

「それで、状況はどうなっていますか?」

 

「キャプテン、駄目よ。」

 

「ナターシャ、彼らはS.H.I.E.L.D.を敵にまわしてでも僕に協力してくれている。

何も話さないのは不義理だ。

それに、早いか遅いかの違いでしかない。

ハザマ、落ち着いて聞いてくれ。

…フューリーが殺された。」

 

「…確かなんですか?」

 

「私とスティーブの目の前で息を引き取ったわ。」

 

「…用心の塊のような人がこんなにあっさりと?

犯人の目星はついているんですか?」

 

「…亡霊よ。」

 

「…それなら、ワテクシも聞いたことがあるわ。

『ウィンターソルジャー』、正確無比な殺し屋。

誰もその正体は知らないわ。」

 

凰蓮さんの真面目な言葉に少しの間、車内がしんと静かになってしまう。

 

「それで、フューリーさんが殺された理由はわかっているんですか?」

 

「真実はまだわかっていない。

ただ、S.H.I.E.L.D.の理事、アレクサンダー・ピアースはフューリーが情報を他国に売り渡そうとして拗れた結果、殺されたのだろうと言っていた。

まあ、僕もその人もその説を否定しているが。

フューリーから渡されたファイルが最後の手掛かりだ。

ところで、ハザマは『地球の守護者』という言葉に聞き覚えはあるか?」

 

「地球の守護者…ですか?」

 

「フューリーが死ぬ前、最後に来たのは僕の部屋だった。

僕はフューリーからは、『誰も信じるな。もしも困ったことになったら地球の守護者に頼れ。彼らならば…』と何かを言いかけて狙撃され、殺された。

思いつくことはあるか?」

 

「…(エターナルズか?いや、もしもあのデータを見てそれを信じたとすれば。)

我々SPIRITSのことかもしれません。」

 

「どういうこと?」

 

ロジャースさんの不思議そうな表情と、エージェント・ロマノフが怪訝な表情を向けて俺を見ていた。

ふと助手席の耀子さんもこっちを見ていて、運転席の凰蓮さんもバックミラーを動かしてこちらを見ていた。

 

「葛葉紘汰、黄金の果実、始まりの男。」

 

俺は前の座席の二人の方を向いて言うと、二人は納得して再び運転とナビに集中し始めた。

しかし、ロジャースさん達にはわからない様子だったので解説する。

 

「今言ったのは前の座席の二人に分かりやすく伝える為の単語に過ぎません。

詳しい内容を知っていなければ意味はないので忘れてください。

我々SPIRITSが今アメリカにいるのはフューリーさんと会談をするためだということは?」

 

「僕はトリスケリオンで会った時に聞いた。」

 

「私も任務から戻ってきてから知ったわ。」

 

「今回の会談の目的は、『インサイト計画』の強化案を進めるために、兵士の強化のために日本のライダーシステムを提供するようにということでした。

そこで、我々SPIRITSはそれを拒否して、その代わりにとあるデータを渡しました。」

 

「データ?」

 

「はい。我々『仮面ライダーの歴史』です。

仮面ライダーが守ってきた歴史と、戦ってきた相手の情報、そして仮面ライダー達の簡易的な情報をまとめたものをフューリーさんに渡して、もう一度この計画を見直してほしいということを言ってあの場はお開きになりました。」

 

「待て、…戦ってきた?

日本ではニンジャ達と戦っているんだろう?

まだ他にもいたのか?」

 

「ええ、ショッカー、GOD機関、ドグマ、ゴルゴム、グロンギ、オルフェノク、ワーム、ファンガイア、財団X、等々挙げればキリがありません。

仮面ライダーというのはただの総称に過ぎません。

それぞれの仮面ライダー達はまったく別の敵組織との因縁があり、それぞれに戦う理由があります。

そもそもが自分たちのことを仮面ライダーと言わなかった者達もいます。

それぞれが戦っているうちに自然と手を組み、組織化されて今の仮面ライダー達の相互組織であるSPIRITSが存在しているんです。

五代さんも言っていたと思いますよ。仮面ライダーではなく、固有名称であるクウガで呼んでほしいと。」

 

「…そうだったのか。

確かにユウスケは仮面ライダーと呼ぶよりも、クウガと呼んでほしいと言っていたな。」

 

「ハザマは何かと戦ってきたの?」

 

「俺の敵は闇の手です。

なので、仮面ライダー達の中では若輩者の部類に入ります。

先輩達からまだまだ学んでいる最中ですよ。」

 

俺達が会話をしていると凰蓮さんがそろそろウィートンに入るというので詳しい場所を教えてもらうと、戦略科学予備軍の元訓練施設だと言う。

 

凰蓮さんの運転でその敷地に入ると、正面の入り口はフェンスで閉じられており、立ち入り禁止の表示がされていた。

 

盾を持ったロジャースさんとエージェント・ロマノフ、そして俺が車から降りた。

 

「車を隠しておくわ。

何をするのか知らないけど、私達は周囲の見張りをしておくから何かあったら連絡を入れてちょうだい。」

 

凰蓮さんがそう言って、ジープを敷地の外に運転していった。

 

「フューリーさんから渡されたというファイルに、ここの座標があったんですか?」

 

「ええ、どうやらそのファイルの出所はここみたいね。」

 

「僕の古巣でもある。昔ここで訓練した。」

 

そう言うと、かけられた鍵を盾を打ち付けて壊し、中に入っていった。

 

しばらくの間、エージェント・ロマノフが端末を使って探っている様子だった。

 

「70年前の話ですか。

その時と変わりましたか?」

 

「…少しな。」

 

 

「駄目ね。熱反応も信号も無し、無線もとんでない。手掛かりは無しよ。」

 

「…いや。」

 

「ロジャースさん、どうかしましたか?」

 

「訓練中に習ったが、兵舎の500メートル以内に武器弾薬の格納庫は設置できない。

だから、目の前の設備はおかしい。

ファイルの出所はここだろう。」

 

そう言って、再び盾を使って鍵を壊して中に入ると、エージェント・ロマノフが施設の電源を入れた。

 

「S.H.I.E.L.D.ね。」

 

「ここから始まったのか…」

 

「ですが、それほど重要そうな物があるようには見えませんね。」

 

俺が古いS.H.I.E.L.D.のマークを眺めていると、ロジャースさんとエージェント・ロマノフが別の部屋に入って行く。

俺も気になってついて行くと額縁に入った写真が飾られていた。

二人は何かを話していたようだったが、さらに奥に入って行く。

 

「ここが秘密のオフィスなら、なぜわざわざエレベーターを隠す?」

 

ロジャースさんは棚を動かしてさらに奥に隠されたエレベーターを見つけた。

まだ正常に動いているエレベーターに乗り込み、俺を含めた3人は更に下の階層に降りて行く。

そこは、埃を被った古い機械がずらりと並び、正面にはブラウン管の画面がいくつも並んでいる。

 

「あのファイルの出所にしてはテクノロジーが古すぎるわ。」

 

「…あらかさまに、これだけが新しいですね。」

 

画面の前のキーボードには、埃が被っておらず、最新のアダプターの挿入口が置かれていた。

 

エージェント・ロマノフは無言で手に持っていたメモリを嵌め込むと、目の前のブラウン管の画面が作動して緑色の電光色で、起動するかを聞いてきていた。

 

「イエス、イエスよ。」

 

すると、目の前の画面に光が流れて、徐々に眼鏡をかけたような人の顔になっていった。

 

 

 




映画ブラックウィドウに凰蓮さん参加フラグが立ちました。
いや、そこまで書くつもりはありませんが、妄想ぐらいはいいと思います。

感想待ってま~す
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