仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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その男、最強につき

side狭間玄乃

 

目前を走る車が急ブレーキをかけるのを避けながら右へ左へとハンドルをきる凰蓮さんだったが、ジープタイプの車に当てられて蛇行する車が横転しかけたところでスティーブさん達が一纏めになって車のドアをクッションにしながら飛び出すのが見えたので、こっちの車も止まるようにお願いした。

 

俺達も車を降りて向かおうとしたが、凰蓮さんにはシットウェルが逃げないように見張ってもらうようにお願いする。

 

凰蓮さんは舌打ちしながらも了承したのを確認し、俺達も向かおうとすると、ウィンターソルジャーによって放たれたグレネードによってスティーブさんが吹き飛ばされるのが見えたので、急いでバラバラに停車された車をぬいながら銃を乱射している連中の所に向かった。

 

俺は変身はしていない状態で、車を盾にしながら、敵の背中にディエンドライバーに銃撃を浴びせてこちらに注意を引いた。

 

ウィンターソルジャーは相変わらずナターシャさんを狙っている様子で、仲間から受け取った新しいグレネードをナターシャさんが盾にしていた車ごと吹き飛ばされるのが見えた。

 

 

Meteor Ready?

 

「変身!

ウワチャー!」

 

激昂したような叫びと共にウィンターソルジャーに飛び膝蹴りを当てに行く仮面ライダーメテオの姿が横目に見えた。

 

しかし、しっかりと金属の腕でガードされて、数メートルほどウィンターソルジャーが引きずられただけだったのに舌打ちした声と共にウィンターソルジャーとインファイトをはじめていた。

 

 KAMENRIDE

 

「変身!」

 

 DI!END!

 

俺もディエンドに変身して、さらにカードを装填する。

 

 ATTACKRIDE BLAST

 

追尾弾によって3人を倒すが、対向車線から現れたジープからさらに敵の数が増えはじめた。

 

本郷さんは変身をせずに相手を打ち倒しているし、耀子さんと飛電さんは市民の避難を優先している様子だった。

 

増えた敵が銃をメテオに集中して攻撃し始めて、ウィンターソルジャーはそのスキに下の道路に降りてしまった。

 

俺は、ウィルソンさんがバックパックを背負うのを邪魔されないように動いていると、耀子さんが近づいてきていた。

 

「私も変身します。

狭間さんと本郷さんで、下の援護をお願いします。」

 

そう言うなり、耀子さんはワンダーライドブックを取り出して息を吹きかける。

 

 

 昆虫大百科

 

 この薄命の群が舞う幻想の一節…

 

 

そして彼女の手に煙が集まり、スチームパンク調の剣、煙叡剣狼煙(エンエイケンノロシ)が握られ、閉じられたワンダーライドブックをノロシシェルフにはめ込んだ。

 

「変身!」

 

 

 狼煙開戦(のろしかいせん)!

 

 FLYING! SMOG! STING!  STEAM!

 

 昆虫CHU!大~百~科!

 

  揺蕩(たゆた)う切っ先!

 

「仮面ライダーサーベラ。

行きます!」

 

中央分離帯を飛び越えて対向車線で銃を乱射している相手に向かって行く姿に、俺は本郷さんの方を向くと、本郷さんもこちらを向いていて頷いてくれた。

 

本郷さんは飛電さんに何かしらを言ってそのまま下に飛び降りてしまった。

そして、飛電さんが向かってきた。

 

「本郷さんから、ウィルソンさんの手伝いのために残って欲しいと言われました。

ここは任せてください。」

 

「わかりました。

では俺も下に行きます。」

 

俺はオーロラを開いて下の道路に降り、さらに戦闘の中心に向かって、オーロラを開いて移動する。

 

市民が残しただろう車が散乱している中で、ウィンターソルジャーがスティーブさんと戦っていて、近く車の影で、肩を押さえたナターシャさんがいたのでそこに向かう。

 

「大丈夫ですか?」

 

「肩を撃ち抜かれたわ。」

 

「では、ここで安静にしていてください。」

 

そう言ってオーロラからタオルを取り出してナターシャさんに渡し、俺もウィンターソルジャーに向かおうとすると、スティーブさんを庇うような立ち位置で本郷さんがウィンターソルジャーの前に立っているのが見えた。 

 

ウィンターソルジャーは持っていた銃を撃つが、本郷さんは避けるまでもないようで、手をその場でパパパパと動かして、その握られた拳を開いて見せる。

 

すると、その拳からパラパラと銃弾だけが落ち、それを見ていたスティーブさんは絶句して動けないでいるようだった。

 

「…あり得ない。」

 

後ろのナターシャさんの声が聞こえるが、俺も本郷さんから目を反らせずにいた。

 

本郷さんはその開いた手のひらを上に向けて手をクイックイッと動かしてウィンターソルジャーを挑発している。

 

ウィンターソルジャーも手に持っていた銃を捨てると、左手にナイフを持って本郷さんに飛びかかっていく。

 

「ハァ!」

 

本郷さんはそのかけ声と共にナイフを根元から手刀で叩き折ると、ウィンターソルジャーの金属の拳のパンチを掴んで止め、持ち手だけになったナイフを捨てて殴ってきた左手もそのまま掴んで止めた。

 

ウィンターソルジャーは、咄嗟に膝蹴りを入れようとするも、それを本郷さんも膝を持ち上げて止める。

 

手段が乏しくなったのか、ウィンターソルジャーは本郷さんに頭突きをしてきたが、まるで金属音のような音が響き渡るとウィンターソルジャーのサングラスが飛びながらその額が跳ね返されていた。

 

本郷さんはウィンターソルジャーを放り投げると、ウィンターソルジャーはマスクが外れながらゴロゴロと転がっていった。

 

「…ふむ。こんなものかね?

私は傷一つついてはいないぞ?」

 

本郷さんは何事もなかったかのようにその場に立ってウィンターソルジャーを見ていて、どことなく残念そうに言っていた。

 

ウィンターソルジャーはその場で立ち上がるとその素顔を晒している。

 

「バッキー?」

 

「バッキーとは誰だ?」

 

スティーブさんの声に反応したウィンターソルジャーは後ろから来てきた金属製の翼を広げたウィルソンさんの奇襲の蹴りに飛ばされると、はっと気づいた俺もディエンドライバーから光弾を放ち、その光弾がウィンターソルジャーの近くにあった車に着弾して車が爆発。

 

その煙と炎が晴れると、ウィンターソルジャーの姿はなくなっていた。

 

 

その瞬間から周囲にS.H.I.E.L.D.の車が現れはじめたので、俺はオーロラを開いて周りの人を呼び込んだ。

 

しかし、スティーブさんはS.H.I.E.L.D.にされるがままに捕まってしまい、それに抵抗しようとしたウィルソンさんまでもが捕まってしまった。

 

「行って!」

 

「しかし!」

 

「私達は大丈夫だから、行って!」

 

そう言われて、俺と本郷さんはオーロラで移動して合流するしかなかった。

 

俺と本郷さんが凰蓮さんのいる車に合流すると、流星君と耀子さんは変身を解いていたので、俺も解除した。

 

「狭間さん!

ロジャースさん達は!?」

 

「S.H.I.E.L.D.に捕まった。

どうにか救出しなければ。」

 

本当は救出されることを知ってはいるのだが、そのまま正史の通りになるのかわからなかったので考え込んでいると、端末に連絡が入った。

 

『…まだ世界を救っているのか?』

 

その声は予想通りの声だった。

 

「あなたは死んだと聞きましたが?」

 

『君は私が本当に死んだと思っていたのか?

端末に座標を送った。そこに合流しろ。』

 

「しかし、スティーブさん達がS.H.I.E.L.D.に捕まってしまいましたが…」

 

『問題無い。ヒルに救出を頼んである。』

 

「わかりました。」

 

俺は端末を切ると、その情報をみんなに共有してその座標に向かうことになった。

 

 

 

そこは、トリスケリオンからそれほど離れてはいないダムで、岩肌がむき出しの本当に知る人が限られている場所なのだとわかった。

 

飛電さんは、S.H.I.E.L.D.にキャプテンアメリカにSPIRITSが協力していることがばれたので、SPの人達に連絡を入れて荷物を予備の車にまとめておくように連絡を入れていた。

 

アサルトライフルを持つ軍服姿のエージェントに案内されながら、その中を進んでいく。

ちなみに、シットウェルは引き渡し済みである。

 

「ロジャースさん!ウィルソンさん!ロマノフさんも!

無事だったんですね!?」

 

「ああ、リュウセイ。お前達も無事だったか。」

 

流星君は彼らがその場にいるとなると駆け寄って行き、ウィルソンさんに迎えられていた。

 

「ヒルさん、お久しぶりです。

彼らの救出、助かりました。」

 

「フューリーの命令だから気にしないで。」

 

「フューリーさんは奥に?」

 

「ええ。」

 

俺達はスティーブさん達に合流して、そのまま一緒に奥に進むと、この場所には似合わない病院のベッドが置かれ、フューリーさんがそこにいた。

 

「何だ?やっと来たのか…」

 

そこに到着するなり、ナターシャさんの治療も始まりながら、話しが進む。

 

「大丈夫なのか?」

 

「脊椎損傷、胸骨にヒビ、座骨粉砕、肝臓に穴、肺の衰弱、オマケにひどい頭痛。

それ以外は元気だ。」

 

「オペ中に心臓が止まったでしょう?」

 

「テトロドトキシンB、脈を1分間に1回に遅らせる効果がある。

ブルース・バナー用の鎮静剤だった。彼には効果がなかったがな。使い道があったということだ。」

 

「何故秘密に?僕達にまで…」

 

「暗殺に成功したと思わせる必要があったの。」

 

「死んだやつはもう殺されない。

それに、どこに敵がいるのかわからなかったからな。」

 

そして、フューリーさんはこちらを向いて話しはじめた。

 

「インサイト計画の強化案は元々私は否定的だった。

あの会談で、即時決裂してSPIRITSの総司令官に危機が及べば、SPIRITSの戦力はインサイト計画の殲滅に移れるだろうと考えていた。

…まさか、あの場であんな情報が入るとは思わなかった。

あの情報には加工した後があったがどういうことだ?」

 

「あたり前でしょう?

変身者のプライベートまで晒すわけにもいきませんからね。

多少の加工は加えましたよ。」

 

「ふん。まあいい。」

 

フューリーさんは鼻を吹かせると、渡す物があると言って、俺達を別の部屋に案内するのであった。

 

 




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