仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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トニー・スタークのやらかし

「アレクサンダー・ピアース、この男は一度ノーベル平和賞を断っている。

『平和とは功績ではない、我々の果たすべき責任である。』…とな。

こういう事があるからこういう人間が信用出来なくなっている。」

 

「世に出ている姿が品行方正であるほど裏では悪どいことをしているという典型ですね。」

 

「フューリーさんの偏見も混じってそうですけどね。

それで、渡す物とは?」

 

フューリーさんの言葉に流星君が言えば、俺も言葉を返した。

 

「ふん。相変わらず一言多い男だな。

…これだ。」

 

ヒルさんが持っていた黒塗りのアタッシュケースをテーブルの上に置いて開き、それの中身を見せてくれた。

 

それはカード状の回路基板のような物が3枚と、

一つのUSBメモリが入っていた。

 

(…USBメモリ?正史にはないものがあるのか?

これがバタフライエフェクトか。)

 

「それは?」

 

俺が正史にない状況に頭を悩ませていると、ウィルソンさんが聞いた。

 

「ヘリキャリアは高度900メートルで衛星とリンクし、完全武装が完了する。」

 

ヒルさんがノートパソコンを開いて、映像を見せながらフューリーさんが解説をはじめてくれた。

 

「その前に攻撃目標をロックオンする機能を、この基板をヘリキャリアの中枢の基板と取り替えることで無効化できる。」

 

「3機全てを取り替えなければ意味がないわ。

1機でも武装が完了してしまえば大勢の犠牲者がでてしまうのよ。」

 

「このUSBメモリは?」

 

「ウイルスだ。

基板と同じ所に取り付ければ、ヘリキャリアのどれかに積まれているとある兵装の起動を阻害できる。」

 

「…待ってくれ。どれかだって?

どのヘリキャリアに積まれているのかわかっていないのか?」

 

「そもそも、どういう兵装なわけ?」

 

スティーブさんとナターシャさんから疑問があがった。

 

「SPIRITSとの会談の時にも言ったが、インサイト計画における重要素は3つ。

『拠点』『兵装』『兵士』だ。

拠点は言わずもがな3機のヘリキャリア。

兵士はSPIRITSから得られるはずだったライダーシステムだな。

そしてその兵装だが元はスタークが設計したものになる。

その名を『ハルクバスター』『ソーバスター』『ライダーバスター』の3つ。そのうち、インサイト計画に採用されたのが、ライダーバスターになる。」

 

「スタークが…」

 

「詳細はわかりますか?」

 

スティーブさんの呟きと、俺の声が重なった。

 

「スタークが言うには、クウガが暴走をした場合を想定したものらしい。

アイアンスーツのように着込むタイプの物ではなく、AIが積まれたコアにドッキングするキューブ状のいくつものパーツに別れ、それぞれにフラッシュグレネード、音響兵器、トリモチ弾、凍結弾、催眠効果照明などの多様な特殊攻撃を行う物のようだ。

だが真に恐れるべきは、ある程度のダメージがコア部分に届いた場合に、とあるウイルスを注入することにあるらしい。」

 

「…もしかして!」

 

「スタークは一度戦い、その反則さから密かに採取培養して搭載したと聞いた。

たしか、『バグスターウイルス』と言ったか。」

 

「あの人は…まったくなんてことをしでかしたんた!?」

 

「知っているのか?」

 

俺が憤っていると、スティーブさんが聞いてくる。

 

「2年前のクリスマスに起きたスタークさん対テロリストの戦いには俺も参加していました。

テロリスト、正確にはA.I.M.という企業によって行われていたものだったんですが、その戦った相手が使用していたものになります。

治療可能な病原菌なんですが、大元は人間に感染するコンピューターウイルスなんです。」

 

「コンピューターウイルスが人間に感染するなんて聞いたことないぞ。」

 

俺の説明に対して、ウィルソンさんの言うことにその場にいた何人かも頷いていた。

 

「おそらく最初の感染例は日本でしょう。

ゲームをしていた少年が感染したのが最初の例だとされています。

それにより、通称『ゲーム病』とも呼ばれています。

現在日本では対策医療チームを編成中でして、SPIRITSもそれに一枚かんでいます。」

 

「そのウイルスのどこが反則的なんだ?」

 

「バスターウイルスが表面化すると一切の物理攻撃が通らなくなるということです。

何せ病原菌ですから、攻撃ではなく治療を行わなければなりません。

これは受け入りですが、パソコンの画面に映る敵に対して、画面の前でシャドーボクシングをしているようなものらしいです。」

 

「一切の物理攻撃が効かないようなものをどうやって倒すんだ?」

 

スティーブさんの疑問に答えると、ウィルソンさんが聞いてくる。

 

「幸い、ディエンドの能力ならば対処が可能なので、3分の1を外した場合は俺がトドメを刺す形になるでしょう。

問題は、確実にヘリキャリアを衛星とリンクさせないことと、例えライダーバスターが起動した場合に特殊攻撃をどう対処するかになりますね。」

 

「ヘリキャリアに乗っているやつらは全員ヒドラだと思え。

そいつらを突破してヘリキャリアの中枢に入り込み、こいつをセットする。

後はヘリキャリアを回収して、「回収などさせない。」…何?」

 

フューリーさんの言葉に被せてスティーブさんが言い放った。

 

「ヘリキャリアは全て破壊する。

ヒドラも、S.H.I.E.L.D.もだ。」

 

「S.H.I.E.L.D.は関係無い。」

 

「いいや、あれはもうS.H.I.E.L.D.じゃない。

あんたはS.H.I.E.L.D.がヒドラになっていくのを気づいてもいなかっただろう。

あれはもうヒドラだ。今回の戦いでケリをつける。」

 

「いいや、気づいていたからこそ、この場所がある。」

 

「この場所ができるまでにあんたは一体どれだけの犠牲を出した?」

 

「…バーンズの事は知らなかった。」

 

「どうせ知ってても言わなかっただろう。

お得意の情報の分断ってやつか?

ヒドラも、S.H.I.E.L.D.も潰す。これは絶対だ。」

 

スティーブさんにそう言われたフューリーさんは、言葉を返しようがないのかあちこちに顔を向けて賛同者を見つけようとするが無関係なウィルソンさんに断られると俺の方を向いた。

 

「我々SPIRITSに賛同を求めないでもらいたい。

そもそも、ライダーバスターもスタークさんの設計とはいえ作ったのはS.H.I.E.L.D.でしょう。

それとも、ライダーバスターもUSBメモリのウイルスによって起動しなかったとしたら回収したいとでも言いたいんですか?

バグスターウイルスが残っているんです。

あれはどうなろうとも殲滅しますよ。

…ですが、スティーブさんに言いたいこともあります。」

 

「何だ?」

 

「これまで、あなたがトリスケリオンから逃れてゾラと会い、そしてこの場所にいる。

その間に何の疑問点も持たなかったのですか?」

 

「…どう言う意味だ。」

 

「S.H.I.E.L.D.…いえヒドラはスティーブさんを捜索するために、様々な情報を集めたでしょう。

信号機の操作、監視カメラ、端末の盗聴、SNSの監視、しかし実際は我々にもある程度余裕を持てていました。」

 

「それは、ナターシャやサム、君たちSPIRITSが協力してくれたからだろう?」

 

「ええ、それもあるでしょう。

しかしおそらくは、S.H.I.E.L.D.の内部のエージェント達の協力があったからだと思われます。

アレクサンダー・ピアースによってスティーブさんの捜索を命令された際に、ろくな情報を与えてもらえず明らかにおかしいと思ったエージェント達によって、それを妨害したことで、ヒドラに情報がいきにくくなっていたのでしょう。」

 

「何故それがわかる?」

 

「スティーブさんも先ほど言ったではないですか?

S.H.I.E.L.D.にはお得意のものがあると。」

 

「!!情報の分断か!」

 

「そうです。

我々からしたら小さなことでも、彼らからしたら大きな勇気を持って、スティーブさんを信じた者達がいるのです。

トリスケリオンの破壊は賛成しますが、そこにいるS.H.I.E.L.D.の全ての人がヒドラだと思わない方がいいと思います。」

 

「…わかった。僕達がトリスケリオンに潜入したら、真っ先に通信施設に行き、そこで職員達に呼びかけをしよう。協力者が増えるならば僕達も動きやすくなる。

…すまないな。」

 

「しょうがないですよ。死んだはずの友人が生きていてそれが敵ともなれば、精神的に不安定にもなります。

それに、そういう時は。」

 

「…そうだな。ありがとう。ハザマ。」

 

「…ふん。誰も私の味方はいないようだな。

であれば、私はもう命令は出さん。

たった今から、キャプテン、君が我々のリーダーだ。

今後は君が命令を出せ。」

 

俺達のやり取りに観念したのか、フューリーさんが椅子に沈みながら言い放った。

 

「…だったら、ヘリキャリアに乗っている者達の中にも協力してくれる者達がいるかもしれない。

全てがヒドラでないならば、可能な限り人命を助けろ。

…それが僕の最初の命令だ。」

 

「了解、キャプテン。

んで、どうするんだ?」

 

スティーブさんの言葉にウィルソンさんが返すと、そこに俺が言葉を加えた。

 

「でしたらその場合、まずはスティーブさんの声かけに協力して動いてくれる人員からネズミ算式に協力をお願いするように呼びかけてみてはどうでしょうか?

そこからヘリキャリア乗組員に情報が行けば、操作を妨害できるかもしれません。

最悪敵対はしないでしょうから、戦う相手が減るので基板の入れ替えまでの時間の短縮ができるでしょう。

周囲に頼る。これもあなたが言ったことですよ。

ついでに、水辺への誘導ができればなお良しですね。」

 

「…わかった。その作戦でいこう。

それで、基板を取り替える人選だが、僕とサムで1枚づつを担当するから、ハザマ達で1枚と、USBメモリを頼んでいいか?」

 

「わかりました。

ここは流星君にお願いしようか。」

 

「え!?俺ですか!?」

 

いきなり呼ばれたので、流星君が飛び上がって驚いていた。

 

俺はクラインの壺からある物を取り出して、それを流星君に渡す。

 

「…これは!?

狭間さんはこれも持っていたんですか。

わかりました。ここまでされたらやるしかないですね。

でも、俺がライダーバスターの起動を防げなかったとしても恨まないでくださいね。」

 

「…期待してるわよ。」

 

凰蓮さんにも肩を叩かれて流星君はうなだれていたのだった。

 

 




なんかいきなり閲覧数が増えて驚いてます。
楽しんで見てもらえれば幸いです。

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