突然の闘争
東欧 ソコヴィア国 山奥
side五代雄介
アメリカのワシントンD.C.にあったS.H.I.E.L.D.の本部が解体されて早1年、世界の平和を守る象徴はS.H.I.E.L.D.ではなく、アベンジャーズとSPIRITSの二枚看板となっていると聞いた。
アベンジャーズというチームは本来、チタウリみたいな人類が太刀打ちできない未曾有の危機に陥った場合の特別な戦力らしいんだけど、S.H.I.E.L.D.が崩壊してその職を失った人達がたくさん出たので、アベンジャーズというチームをスタークさんが組織として発足させてそのままその人達を雇い入れたんだそうだ。
実質的なリーダーは、うちの総隊長が助けたっていう理事会のメンバーの人達。
キャプテンアメリカ、スティーブさんも同じぐらいの発言力があるらしいんだけど、もっぱら前線の指揮をするためにその人達やスタークさんが運営しているみたいだ。
そんな中、ニューヨークの戦いでいつの間にかアベンジャーズのメンバーになっていたらしい俺にも協力して欲しいという連絡がきた。
本人である俺が拒否しなかったので、日本からアメリカに向かうと空港にはクインジェットがあって、ろくな説明もなくこの国に入った。
送り届けた人達とはあまり会話もなく、防寒用の服装に着替える事をお願いされただけで、現地にて説明があるからと、ソコヴィアという国に連れていかれて到着するなりものものしい雰囲気の中、ジープタイプの車が集まって特殊部隊みたいな装備をした人達の中にスティーブさんがいた。
「ああユウスケ来たか。」
「いったい何があったんですか?
何の説明もなくこの場所に連れてこられたんですけど。」
『何だ。SPIRITSには説明しなかったのかキャプテン』
「スタークさん!?そのスーツどうしたんですか?
ペッパーさんにはもう作らないとか言ってませんでしたっけ?」
いきなり近くにアイアンアーマーが降りてきて、スタークさんの声がしたので驚きつつも気になったことを聞いてみる。
アイアンアーマーの頭部がアーマー内部に収まってスタークさんの顔が現れると話をはじめた。
「あー、アベンジャーズが組織化したのに僕だけが戦えないのはどうも嫌でな。
スーツを作ったんだけど、それが原因でペッパーとはギクシャクしてるからあんまり聞かないでくれ。
それよりもだキャプテン。ユウスケに説明してやってくれ。」
「スタークも説明不足だったみたいだな。
まあいい。今回呼んだのはニューヨークでロキを捕まえた時にS.H.I.E.L.D.に保管されていたはずの杖がヒドラの連中に渡っていて、それの場所が判明したから取り返すのに協力して欲しかったんだ。
それで、ハザマはいないのか?」
「狭間さんは休暇中ですよ。
ご友人を連れて帰郷してるって聞いてます。」
「何、じゃあユウスケだけなの?
連絡はつかなかったの?」
ナターシャさんがどこからか現れて自然と会話に入ってきていて、その後ろからはバナー博士とソーさんも姿を見せていた。
「異世界にいるのにわかるわけないじゃないですか。」
「異世界?彼も地球人じゃなかったのか?」
「俺の知っている世界にはああいう名前の者は地球でしか見たことがないぞ?」
バナー博士とソーさんに久しぶりと挨拶されてからそう言われるとナターシャさんが答える。
「ヒドラとS.H.I.E.L.D.の情報をネットワーク上に公開した中に、SPIRITSの情報も含められていたのよ。
まあその前に本人から聞いていたけど、情報が広まったならもう時効でしょ。
だから言うけど、ハザマは別の世界、マルチバースでの地球の人間よ。
ディエンドの能力でこの世界に来ているみたいね。」
「あの能力はとにかく便利だからな。
いるのと、いないのとでは大違いなんだが。」
「何でもご両親の親孝行もしたいとか。
後、友人さんのトラブルを解決するためとかなんとか。」
「そうだな。親孝行は大事だ。」
「失ってからでは間に合わなかったと嘆くしかなくなるからな。
親が健在なうちに会えるだけ会っておいた方がいい。」
スティーブさんの言葉に返すと、スタークさんとソーさんから言葉を返されて、自分のことじゃないのに心が暖かくなった。
「そういえば、狭間さんがずいぶんと怒ってましたよ。
埠頭の戦いで倒したはずのウイルスを勝手に培養していたそうじゃないですか?」
「すまなかったよ。
あれはただの興味があったから手を出しただけで、もうデータも残ってない。J.A.R.V.I.S.。」
『全てのデータ、バックアップ、物質は消去済みです。』
「…ほらな。前にユウスケがしてくれた話があっただろ?
クウガにも暴走形態があるって、だからそれを押さえるための物があったらいいと思ったんだ。
だけどS.H.I.E.L.D.の理事がまさかヒドラだったとは思いもしなかったんだよ。…反省してる。」
「わかりました。
狭間さんに会ったら伝えておきます。」
「頼むよ。お、バートン!
どうだったんだ?」
「なんだ。ユウスケが来てたのか?
軽く偵察してきたが、こそこそ行くより正面から突破した方がいいかもな。
このメンバーなら余裕だろ。」
「だったら、さっさと終わらせて帰ろう。
ああそうだ。ユウスケも終わったらアベンジャーズタワーに来てくれ。
僕の邸宅もそっちに移したから、盛大にパーティーといこう。」
そして、スティーブさんの号令でソーさんとスタークさんは飛んで行き、俺とバートンさんが荷台に乗った車をナターシャさんが運転して、スティーブさんが乗ったバイクが走り出し、バナー博士がハルクに変わってジャンプして行った。
聞いた話によるとチタウリの技術を使った装備を使っているらしいけど、普通の軍隊ならば殲滅できてもアベンジャーズが戦えば普通に倒せるらしい。
俺もいつ交戦に入るかわからないので、アークルを腰に出現させておいた。
木々の隙間から、ヒドラの兵隊が放ったと思わしき光弾が周りに溢れだし、青い光を放つ装甲車が現れはじめる。
「超変身!」
適当なところで俺も車から飛び降りて、青の金のクウガになり、近くに落ちていた金属の棒を拾って、クウガの武器、狭間さん曰くライジングドラゴンロッドを作り出した。
向かってくるパワードスーツらしいものを身に纏ったヒドラの兵隊を殺さないように薙払いながら、アベンジャーズの人達をフォローするように動いた。
ナターシャさんが運転する車から離れないように走ったりジャンプしながら迷彩柄の兵隊達を打ち払って行く。
そして鉄条網で仕切られた防壁を何故かアベンジャーズの皆と並びあうように飛び越えて、その先にある古城に向かって駆け出していった。
あらかじめ受けとっていた耳栓型のインカムに、先に飛んで行ったスタークさんから音声が入るがスティーブさんが直ぐに返した。
『クソッ!』
「スターク、言葉が汚いぞ。
J.A.R.V.I.S.上から何が見える?」
『中央の建物は特殊なエネルギーバリアで守られています。
ストラッカーは、他のヒドラの基地よりも優れたテクノロジーを使っています。』
「ここにロキの杖があるのは間違いない。
でなければこれ程の防御はできない。
…ふう、これで終わりだ!」
「終わりじゃないわ。
まだまだいるわよ。」
「…ソーさんの周りが片付いただけだと思いますよ!」
ソーさんの言葉にナターシャさんが言ったことに思わず俺が言ってしまった。
「ちょっと待て、こんな時までキャプテンの説教したことには誰も反応しないのか?」
「…はあ。
つい口が滑った。」
「スタークさんが気にしすぎなだけだと思います。」
「そう言ってくれるだけでもユウスケが来てくれたかいがあるな。
スタークだけだと、いっときは話のネタにされる。」
すると、J.A.R.V.I.S.の報告でこの近くにある市街地にヒドラの砲撃の被害がいっているらしいというので、スタークさんがアイアン軍団とかいうのを送り込んでいた。
「…スタークさん。
反省する気あるんですか?」
『あれは日本の企業の飛電インテリジェンスとの合同研究の結果だ。
何だ。ハザマから聞いてないのか?』
「…狭間さん。スタークさんに怒ってる資格ないじゃないですかぁ。
おっと、しょんぼりしてる暇ないんだった。」
ヒドラの攻撃が、足が止まった俺に集中し始めたので高くジャンプしてそれを避ける。
その時、ナターシャさんの声でバートンさんを心配する声が聞こえてきた。
「どうしたんですか!?」
「強化人間がいるな。」
「強化人間って何です?」
「SPIRITSの流れた情報にあった改造人間をベースにヒドラが作り出したらしい超人兵士だと解析班の者達は言っていたが。」
ロジャースさんの説明に俺はため息を吐くしかなかった。
「クリントが被弾したわ!」
ナターシャさんの声で再び気持ちを落ち着かせて、俺もバートンさんの近くに行く。
バートンさんを攻撃したトーチカはハルクが吹き飛ばしていたから問題なかったけれど、バートンさんの脇腹がえぐれているように見えた。
「相手はどういうやつでしたか!?」
「…ぁあ、足が早い男だ。」
「しゃべらないで!」
俺は聞いた事を思わず後悔しながら、
ライジングドラゴンロッドを捨てる。
「超変身!」
緑のクウガに変わると、落ちていたヒドラの銃らしき物を拾ってボウガン、狭間さん曰くペガサスボウガンに変えて耳を澄ます。
そして高速で走る足音をとらえた。
「そこだ!」
ペガサスボウガンから放たれた弾丸は、一直線上にあった木々を貫通したことで威力が弱まったらしく仕留めきれなかったようだった。
強化人間とかいうやつには逃げられたけれど、どうやら制圧が完了したらしく、後はロキの杖をスタークさんが持ってくるのを赤のクウガに超変身して待つ事にした。
というわけで、唐突なアベンジャーズ・エイジオブウルトロン編の開始です。