仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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SPIRITSの現状

side狭間玄乃

 

俺は今、元の世界の暁の尻拭いをしているところだ。

 

暁は期限の1年半をギリギリでクリアして一つの聖剣に選ばれていた。

本当にギリギリのギリッギリだったので、聖剣の方が同情したのかもしれないとか思ってしまった。

 

だけどまあ、選ばれたのは事実なのでSPIRITSでは俺と暁が休暇をもらって元の世界に帰ってきて、少し前に頼んでおいた探偵会社のところに行く。

 

この探偵会社で調べた事は期限切れで聖剣に選ばれなかった時は破棄してもらうつもりだったのだが、無駄にはならなかったようだった。

 

結果からいえば、暁の元カノは借金取りのヤクザの下っ端とできていて、その下っ端が作った借金を暁が作ったものだと言い張っているらしい。

 

だが今回依頼した探偵会社の社長さんと例のヤクザの親分さんが知り合いらしく、話を一緒をしに行ったところ、その借金は払わなくてよくなった。

 

その親分さんがとても気さくな人でしきりに暁に謝っていて、逆に暁が恐縮してペコペコすみませんと言っていた。

 

その探偵会社の調査で蒸発した元カノの居場所も判明していたが、今さら会う気にも慣れなかったようでそのまま暁の実家に行って説得すると、最初は不満気なおじさんおばさんも自分たちの勘違いを理解して暁に泣いて謝り、途中で俺も抜けてきて半年分の税金を払って俺も実家に帰った。

 

契約しているマンションに行っても姿がないし、そのご近所に話を聞いても会ったことがないとか言われて心配していたと言われだが、出張が多い職場だから気にしないで欲しいと言って、お袋の手料理に舌鼓をうち、用意していたお土産を渡して、感謝の気持ちとしてプレゼントも送った。

 

ちょっと気味悪がられたが、出張先で思う事があったからだと言って納得させた。

 

翌日、朝から暁とおじさんおばさんが菓子折りを持って家に来て、うちの客間で両親を交えて話をして驚きと涙と感謝に次第に酒盛りが始まっていて、そして夕方に俺と暁は第二の故郷とも言えるあの世界に帰ってきたのだった。

 

暁はSPIRITSに戻るなり、自分を選んでくれた聖剣を使いこなすために凰蓮さんに鍛えてもらうと言って行ってしまった。

 

そしてそこで、五代さんがソコヴィアに行ってアベンジャーズに加わってヒドラと戦った事を一条さんから聞いたのである。

 

「五代さんのことはわかりましたけど、どうして一条さんがその報告を?」

 

「この前、警察に正式配備されたドライバーがあっただろう?」

 

「ええ、『ガードドライバー』でしたか。」

 

現在のSPIRITSは警察組織の一部というのが警察としては一般的な認識で、仮面ライダーカブトで言うZECTと似たような位置付けになっているのだか、SPIRITS内の装備開発部門に参加している中には仮面ライダードライブで特状課のメカニック担当だった『沢神りんな』さんも当然参加している。

 

彼女にも記憶は戻らせているので、クラインの壺からマッハドライバー炎を渡して量産型のマッハドライバーを作れないかというお願いをしていたのだ。

 

仮面ライダー純みたいに出来ればと思っていたのだが、小沢澄子さんとの共同開発により個人の警察官としてのデータを入力したキーを装填することで、G3システムを纏う事ができるようになったのである。

 

そのドライバーの事を専用のバイクから名前を取ってガードドライバーとされ、警察の正式装備としてガードドライバーを、SPIRITS内の正式装備として戦極ドライバーを配備されたのが、S.H.I.E.L.D.が崩壊して3か月ほどしてからの事だった。

 

「ああそうだ。

あれは警察バッチを持つ者には皆平等に変身資格があるが、俺はそれを使って変身してみてもどうも鈍く感じてしまってな。」

 

「G3システムはパワードスーツですよ?

動きやすくではなく、鈍く感じたと?

では戦極ドライバーを使ってみてはどうもでしょうか?」

 

「それも使わせてもらっていたのだが、どうも似たような感覚だった。

そこで五代に相談したんだが、狭間君に相談してはどうかと言われてな。」

 

「…ふぅむ。

(一条薫さん。この人ってたしか、この世界ではSPIRITS内では戦闘部隊の指揮官とかしてたはず。

正史では五代さんの相方だった人だから仮面ライダーとしての素質が十分にあったってことか?)

わかりました。」

 

俺がそう言ってクラインの壺を開いたその瞬間だった。

 

デルタギアのアタッシュケースを取り出すつもりで開いた小さなオーロラから、聖剣の一つである『音銃剣錫音(オンジュウケンスズネ)』が出てきたのである。

 

音銃剣錫音は空中をふよふよとゆっくりと動きながら一条さんの目の前にくるとそこで止まった。

 

「狭間君。これは?」

 

「それは音銃剣錫音と言うアイテムで、クウガのベルトと同じく仮面ライダーに変身できるアイテムです。

昆虫型のゼクターと同じくアイテムが使用者を選ぶタイプの物になりますので、おそらくその剣は一条さんを選んだんだと思います。」

 

「俺を?…っと、結構重いな。」

 

一条さんは目の前のマゼンタ色の聖剣を掴むと、結構な重さが片手間にかかったのにもかかわらず、少しも態勢が変わらなかった。

 

「それに選ばれたということは一条さんはスラッシュという名前の仮面ライダーに変身できるということになります。

使い方を説明しますので、トレーニングルームに行きましょう。」

 

そう言ってトレーニングルームに行くと暁から贔屓だと言われてため息を吐くのだった。

 

 

 

 

side五代雄介

 

アメリカに戻ると、スタークさんのタワーだったものがアベンジャーズタワーという建物に変わっていてハイテクさに驚いた。

 

バートンさんの治療をアジア系の女性に任せて、俺はパーティーまでの3日をそのタワーでお世話になりながらニューヨークを満期していると、パーティー前日に狭間さんが異世界から戻ってきたのを端末の連絡で聞いた。

 

狭間さんもパーティーに参加するらしく、さらには俺にサプライズがあるらしいので、少しワクワクしながら次の日になると、狭間さんとタクシーで一緒にきたのは一条さんだった。

 

「一条さん!?

え、…何でですか?」

 

「どうだ五代?サプライズだぞ。」

 

「え?一条さんがサスペンス、じゃなくてサプライズですか。

確かに俺にとってのサプライズですね。

驚きました。

え、でも、どうして?」

 

「ははははは。珍しいな五代がここまで慌てるとは。

それだけでも来たかいがあったかもしれないな。

五代がお世話になっている人達に挨拶しておきたくてな。

狭間君と一緒に来させてもらった。

ああ、心配するな。英語ぐらいなら話せる。」

 

狭間さんの出てきたドアとは別のドアから出てきた一条さんに思わず混乱してしまったけど、深呼吸をして落ち着けると、何だか授業参観日に普段は来ない親がきたみたいで何だか気恥ずかしくなってしまった。

 

 

 

side狭間玄乃

 

一条さんが音銃剣錫音に選ばれて、その使い方を教えるとほんの数時間でその使い方を把握してしまった。

 

考えて見れば、パワードスーツが鈍く感じるんだから生身の方が強い事になるので、この世界の一条さんはそういう特殊能力の持ち主なのかもしれないと考えた。

 

俺はウルトロンが誕生するであろうパーティーに参加したかったのでアメリカに行く事を伝えると、一条さんも急にどこかに連絡を入れると、いつの間にか一緒に行く事になってしまった。

 

元々働き過ぎで休暇を取れと言われていたらしいので大丈夫なのだそうだ。

 

俺達はドレスコードを整え、そのままニューヨーク行きの飛行機に乗り、タクシーを捕まえて連絡を入れておいた五代さんの迎えでアベンジャーズタワーの中に入った。

 

珍しく慌てる五代さんを見ながらエレベーターに乗り会場に到着すると、軽快な音楽が流れながら沢山の人達が着飾ってパーティーを楽しんでいるようだった。

 

「あら?ハザマじゃない。

戻ってたの?」

 

「お久しぶりです。ナターシャさん。

今回は残念ながら凰蓮さんは来られませんでした。」

 

「そう。一緒にヒドラと戦ったから会えなくて残念ね。」

 

「久しぶりだね。ミスターハザマ。

ナターシャに聞いたけど、君はマルチバースの人間だっていうのは本当かい?」

 

「バナー博士。お久しぶりです。

本当ですけど、あまり言い振らさないでくださいね。

それと、実験とかは勘弁してください。」

 

「ははは。興味はあるけど専門じゃないからその実験とかはしないよ。

それより、バーカウンターでユウスケと一緒にいるのは日本人かい?もしかしてSPIRITSの?」

 

「はいそうですね。

同じSPIRITSのメンバーになります。後で紹介しますよ。

ちなみに日本での五代さんの相棒みたいな人ですね。それと彼も仮面ライダーです。」

 

「仮面ライダーっていうのは沢山いるみたいだね。ネットワークで見たよ。」

 

「まあ固有名称がある仮面ライダーは、総勢200人以上はいますからね。

それでも、日本各地に別れて活動していれば微々たるものですよ。」

 

俺がナターシャさんとバナー博士が座っているソファーの近くで喋っていると、スティーブさんや、ウィルソンさん、ローズ大佐やソーさんにスタークさんからも声をかけられて久しぶりに会う人達との会話を楽しみ、五代さんと一緒にいる一条さんを紹介してお酒を楽しんだ。

 

そして時間が経ち、大半の人間が帰ってしまい二次会に突入した辺りでソーさんのハンマーが他の人にも持てるのかという話題になった。

 

映画で見たあのシーンは俺もやってみたいとは思っていたので、諸手を上げて賛成して俺も挑戦させてもらったがびくともしなかった。

 

五代さんや一条さんも参加させてもらっていたがびくともしないのを見たソーさんはとてもうれしそうにしていた。

 

そして誰もが持ち上がらずにソーさんがヒョイとハンマーを持った時だった。

 

かん高い音が響き渡ったのだ。

 

 

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