仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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それぞれの休息

「狭間君。」

 

「本郷さん。ありがとうございました。」

 

本郷さんが俺の近くにくると、本郷さんも変身を解いていたので俺も変身を解除した。

 

「うむ。五代君が暴走するかもしれないと聞いた時はそんなバカなと思ったが、あんな穏やかな人間を操作しようとする恐ろしい能力を持った者がいるとは…」

 

「…その能力を持った人物もまた、性根が悪い人間ではないようで、どうも迷っているようですね。」

 

「…そうか。そういう能力の持ち主もまた、我々仮面ライダーのように、迷いながらでも正義の道を目指してくれると良いのだがな。」

 

俺と本郷さんは五代さんと一条さんの元に向かって行き、本郷さんは五代さんの肩を叩いて言葉をかけていた。

 

「一条さん。おそらくアベンジャーズの皆さんも五代さんと同様に、精神攻撃を受けて参ってしまっていると思われます。

俺はこのまま本郷さんを本部まで送りますで、クインジェットにゆっくりでいいので五代さんを連れて行って事情を説明しておいてもらえませんか?」

 

「…わかった。…五代、行けるか?」

 

「…はい。」

 

俺は本郷さんと一緒にオーロラを通って本部に戻ると、本郷さんに向かって言う。

 

「今回の敵は、ウルトロンという人工知能が作り出したロボットです。

その目的はアベンジャーズの全滅らしく、既に精神攻撃によってチームがバラバラになりつつあります。

そして、実力行使で大群による圧殺をしてくると思われます。」

 

「…ロボットの強みは大量生産による面での攻撃だということかね?

…先ほどの五代君のように精神的に弱くなっているところを狙われれば確かに全滅もあり得る。」

 

「ですから、決戦の際にはニューヨークの戦いのようにSPIRITSの人員を貸していただきたいのですが、大丈夫でしょうか?」

 

「…そうだな。日本の技術研究所からのロボットらしき者達による盗難報告も聞いている。

闇の手の襲撃もワシントンのヒドラを討ったことで最近は散発的な動きしかみられない。

それにニューヨークの時は隊員達が渋った事で数人しか参戦できなかった。

いいだろう…五代君が暴走したことを含め、今戦うべきはそのウルトロンという相手のようだな。

こちらでも準備を整えておこう。」

 

「ありがとうございます。

おそらく猶予はあまりないと思われます。

2~3日中には作戦が決行される可能性があると思われますので、急いでもらえると助かります。

それと相手は通信を傍受しているでしょうから、連絡の取り合いのやりようがありません。」

 

「…そうか。そうすると…期限をはっきりさせておくか。

現在の時刻から2日…いや2日半、60時間後に一度本部に戻って来てくれたまえ。

そこでどうするかを再び話合うこととしよう。」

 

「わかりました。」

 

俺は端末のタイマーをセットすると、本郷さんに再び感謝の言葉を言ってオーロラをくぐった。

 

クインジェットには、随分と憔悴しているように見えるアベンジャーズの面々が座りこんでいた。

 

「スティーブさん…ソーさんにナターシャさんまで…随分としてやられたようですね。」

 

「ハザマか…そこの新人君に聞いたよ。

ユウスケもやられて暴走したそうじゃないか。」

 

「バートンさん…あなたは大丈夫だったようですね。」

 

「まあな、精神操作は一度経験済みだったからな。

ハザマはタイミング的に強化人間と遭遇しなかったみたいだな。」

 

「そうなりますね。

SPIRITS本部から総隊長をもしものためにとお連れするのに時間がかかってしまいましたので。

ところで、スタークさんがいないようですが?」

 

「ハルクの対処だな。

もうそろそろ戻ってくるだろう…来たな。」

 

「よーし、しっかりしろバナー。クインジェットだ。

なんだ、みんなやられたみたいだな…

ハザマとバートンだけが無事だったのか?」

 

「…まあな。つかまってろ。

出発するぞ。」

 

そのバートンさんの声とともにクインジェットがゆっくりと上昇して飛行しはじめた。

 

「スタークさん。あなたは把握していなかもしれないので、話をしておきます。

強化人間によって五代さん…クウガが暴走しました。」

 

「そんな!?

ユウスケは…いるな。なんとかなったのか?

新人君と一緒に…見た限りなんと言うか、落ち込む息子を慰める父親みたいだな。」

 

「ええ。俺が本部に戻って総隊長を連れてきたことで被害は最小限に抑えられています。

また精神攻撃による混乱はその人、一条さんがいたおかげで正気を取り戻しました。

彼はなんと言うか、五代さんの戦友であり保護者みたいな人なんです。」

 

「そうか、ライダーバスターがなくてもなんとかなったなら良かった事だ。」

 

「はい。

ところで、バナー博士はやはり?」

 

「…ああ。

バートン、ヒルにつないでくれ。」

 

しばらく飛行している中で、バートンさんが繋いだ通信に反応したヒルさんの声が機内に響いた。

 

『あなた達ニュースで大人気よ。

市民には人気ないけど、バナーを逮捕するっていう報道は出ていない。

でもそういう空気にはなってる。』

 

「救済ボランティアは?」

 

『手配済み。

チームの様子は?』

 

「みんな、ダメージを受けてる。

だけど、乗り越えるさ。」

 

「ヒルさん。海岸線についての報道はありますか?」

 

ヒルさんとスタークさんの話に入るのは悪いかと思ったが、聞いておきたかった。

 

『不自然な地震や崩落を観測されたみたいだけれど、被害者も目撃者も無し、ハルクみたいな直接的な被害報道はされてないわね。』

 

「…わかりました。ありがとうございます。」

 

俺は肩を寄せあったまま眠っている五代さんと一条さんのほうを見てからヒルさんにお礼を言う。

 

『とにかく、今はクインジェットをステルスモードにしてそこから離れた方がいいわね。』

 

「…それで、隠れてろって?」

 

『ウルトロンが見つかるまでは他に方法が思いつかないわ。』

 

「…そうだな。」

 

ヒルさんとの通信が終わると、どうやら正史通りにバートンさんのセーフハウスに向かう事になったようだった。

 

そして俺も仮眠をとって目を覚ますと、朝焼け空を目にしながら、どこかの開けた場所に着陸するところだった。

 

全員が降りて、近くの一軒家にと納屋が見える場所に向かう事になった。

 

「ここはどこだ?」

 

「安全な場所。」

 

「…だといいが。」

 

ソーさんの言葉にスタークさんとバートンが答えていた。

 

家の中に入ると、妊婦の女性と二人の子供たちがバートンさんに抱きついていた。

 

「押し掛けてすまない。」

 

「電話するべきだったな。

まさか、家庭があったとは夢にも思わなくて。」

 

「ここは、フューリーが便宜をはかってくれてな。

S.H.I.E.L.D.の記録にはない。秘密に頼む。

隠れるにはいい場所だろ?」

 

スティーブさんとスタークさんの言葉にバートンさんが答えてくれたが、ソーさんが子供に見つめられてばつが悪くなったのか、外に出てしまいスティーブさんが追いかけて行った。

 

「確か、ユウスケは子供たちを楽しませる技を持っているんだったよな?

相手をしてやってくれるか?」

 

「バートンさん…俺…」

 

「五代、心を落ち着かせたいなら断ってもいいんだぞ。」

 

「いいえ、わかりました。」

 

五代さんは二人の子供たちの目線にかがんで別の部屋に行っていた。

 

「一条さん。今のうちに話しておきますけど、SPIRITS本部の方ではウルトロンの討伐に乗り込む準備をしてもらっています。

各国の研究所から盗難された機材の量から見て、かなりの数のロボットが相手になると思われます。

休暇中のところ申し訳ありませんが、協力をお願いします。」

 

「休暇は元々ただの口実に過ぎない。

それに乗りかかった船だからな。最後まで付き合わさせてもらうさ。」

 

「…わかりました。

では一条さんは五代さんの様子を見ておいてもらえませんか?

俺は俺にできることをします。」

 

その後、軽い朝食をもらって食べ、そのお礼にとスタークさんとスティーブさんは薪割りを、俺は町工場の頃の経験を生かして家具の修理を薪割りをしている二人の横ですることにした。

二人は一時言い争っていた様子だったが、バートンさんの奥さんのローラさんがスタークさんに納屋の耕運機を診て欲しいと言って行ってしまったため、スティーブさんはため息を吐いていた。

 

「スティーブさん。あなたも行った方がいいと思いますよ。」

 

「僕は耕運機の修理はできないぞ。」

 

「いえ、そうではなく。

少し気になっていましてね。

この場所はフューリーさんがバートンさんの家庭のために提供したということでした。

そして、ウィルソンさんはいなくなったフューリーさんを探しているらしいとパーティーの時に聞きました。

つまり、この場所はフューリーさんも知っていてなおかつ、S.H.I.E.L.D.の記録にもないので隠れ場所としては十分だと思いますよ。」

 

「あの納屋にバッキーもいるというのか?」

 

「その可能性もあるというだけですよ。」

 

俺達は一緒に納屋に行くと、その中では案の定スタークさんと話をしているフューリーさんがいた。

 

「ハザマのいう通りだったな。

フューリー、バッキーも一緒か?」

 

「ミスターハザマ、相変わらず余計な一言を言ったみたいだな。」

 

「…性分ですので。」

 

「…ふん。キャプテン。

残念ながら、バーンズは別行動をしている。

今はどこにいるかは把握できていない。」

 

「別行動?何をやっているんだ?」

 

「ウルトロンが拠点にしている場所の特定だ。

彼は彼でキャプテン、君の役にたとうとしているようだな。」

 

「…そうか。

バッキー…」

 

スティーブさんはバーンズさんのしている事にうれしさがこみ上げてくるのか心臓の前で拳を握っていた。

 

 

 

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