仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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誤字脱字報告ありがとうございます。


次の戦いに向けて

 

ニューヨーク州北部 アベンジャーズ基地

 

side狭間玄乃

 

ソコヴィアでウルトロンとの戦いが終わり、数日が経った。

 

我々SPIRITSは正式に日本の災害救援隊という枠組みで避難民の援助を行う為に在中し、スタークさんの支援金もあって着々とSPIRITSの人員から自衛隊、各国の復興支援員と入れ替えをしながら復興が進められることとなっている。

 

警察機関の援軍は真っ先にゲートで帰国してしまったけれど、あの戦力がなければ今回の救助もままならなかっただろうから感謝している。

 

ある程度の人員変更の後に俺も一度帰国して、五代さんと一緒に再び新しく建設されたアベンジャーズ基地に赴く事になった。

 

沢山のスタッフ達が忙しそうに移動している中をお上りさんのようにキョロキョロしている、果物が入ったバスケットを持った五代さんを背に、俺は手に持ったタブレットを見ながら医務室へと足を進めた。

 

そこに設置された複数のベッドには、リクライニングで上半身を起こした二人の男性が横になっていた。

 

「沢木さん。」

 

「あ、狭間さん。五代さんも。

お見舞いありがとうございます。」

 

その内の一人は沢木さんで、その近くには片足をギプスで吊られたピエトロ・マキシモフが面白くなさそうにそこにいた。

 

原作ではウルトロンが奪ったクインジェットのバルカンにより絶命するはずのピエトロ・マキシモフは、この世界でも子供を庇ったバートンさんを助けようとしたそうだが、それよりわずかに早いタイミングでクロックアップを使用した沢木さんの仮面ライダーザビーが介入して助け、結果的に子供とバートンさんは無事に、ピエトロ・マキシモフは片足を撃ち抜かれただけですんだのだ。

 

その代わり、ザビーのボディにバルカンの弾丸を複数浴びてしまった沢木さんは、衝撃でそのままその場で気絶してしまい、ヘリキャリアの救命挺にそのまま一緒に乗せられてピエトロ・マキシモフと一緒にこの施設に入院しているのである。

 

五代さんが果物が入ったバスケットを二人のベッドに間に置くと何も言わずにピエトロはそこからバナナを房ごと取り出して食べはじめた。

 

「あ、あなたも、ありがとうぐらい言えないんですか?」

 

「俺はこっちに来てからテツヤに礼はしたが、あんたらには借りがあるだけだとしか考えちゃいないぜ。」

 

五代さんの言葉にピエトロはそう呟くと、2本目を食べはじめる。

 

「隣で寝せられてる俺の身にもなれってんだ。

ワンダや弓のおっさんに小言は言われるし、出される飯は不味いわでやっとまともなもんが食えたんだぜ。

それにテツヤはワンダのお気に入りみたいで、ワンダとテツヤの見つめ合いを見てると甘ったるくて胸焼けしてたんだよこっちはな。」

 

口の中にバナナを詰めこんだピエトロはぶつぶつと文句を言っている。

 

「…え?そうなんですか?」

 

俺は思わず沢木さんに訪ねるが、当の本人はきょとんとした顔で言ってくる。

 

「俺ってお気に入りなんでしようか?

あの人はちょくちょく会いに来てくれますけれど、そういう事とは違うんじゃないかと思うんですけど…」

 

沢木さんが言うにはウルトロンとの戦いの最中に自分の中に光の力があるような事を言っていたので、いろいろと話を聞いている最中らしい。

 

アギトの力は光の神の力とはいえ超能力の延長線上にあるような力の為、もしかして沢木さんは超能力者であり、その力が眠っているのかもしれない。

今回の戦いで、直接的なダメージを受けた沢木さんは、ザビーゼクターから見放されたのかライダーの資格を失ってしまった為、今後はその力の制御に集中してもらう事になりそうだった。

 

すると持っていたタブレットにメールが入って、スタークさんから呼び出されたので、沢木さんと話したいという五代さんを残して、俺はその場を離れて呼び出された場所に向かうと、スタークさんだけじゃなく、スティーブさんとソーさんもいた。

 

「ハザマ、今回は助かった。」

 

スティーブさんに礼を言われると、スタークさんとソーさんが一度戻るということだったので、俺も見送ることにした。

 

道中の話題はヴィジョンがソーのムジョルニアを持ち上げた事についての事であれこれと意見が出ていたが、結局ハンマーの持ち上げルールの変更はうやむやになり、ソーさんはインフィニティストーンの危険性を言い残して虹の橋で去って行き、スタークさんとスティーブさんは車の前で二人で話し、スタークさんは俺に片手を軽く上げて俺はそれに答えると、そのまま車に乗っていってしまった。

 

「スティーブさん、先ほどのハンマーの件ですが、あの時にあなたはハンマーを持ち上げる事ができたのではないですか?」

 

「どうしてそう思った?」

 

「少しですが、動いたように見えたので。

もしかしてソーさんやスタークさんに配慮して持ち上げられないふりをしたのでは?」

 

「…さてな。もうソーはアスガルドに戻ったから確認はできないぞ。

それより、ハザマとユウスケはSPIRITSとはいえアベンジャーズのメンバーだと僕は思っている。

これからも協力を頼んだぞ。」

 

そう言って俺の肩を軽く叩くと歩いて行ってしまった。

 

 

 

side五十嵐一輝

 

急な階段をダッシュしながら何往復かして、大天空寺と掲げられたお寺の敷地にあるベンチに腰掛けて汗を拭く。

 

「兄ちゃん、お疲れ様。」

 

弟の大二にスポーツドリンクを渡され、礼を言いながらそれを喉を鳴らしながら飲んでいく。

 

「…ぷはー。はぁ…はぁ…何で俺までトレーニングしてんだろ?」

 

「しょうがないじゃん。父ちゃんがあんな真剣に話してくるなんてめったにないし、それに最近の世間は物騒になってきてるから自衛できるようになった方がいいとは俺も思うよ。

それに、トレーニングさせられてるのは兄ちゃんだけじゃないし。」

 

すると、俺の一つ上の先輩の天空寺タケルさんが、息を切らせながら階段を上りきり、そのまま地面に大の字に転がってしまう。

 

「もー!汚れるじゃないの!ほら、さっさと立って、ほらスポーツドリンク。」

 

幼馴染みだと言う月村アカリさんが引っ張り起こしながらスポーツドリンクを渡していた。

 

「もう限界かタケル。

後輩を見習ってもう少し体力をつけ方がいいぞ。」

 

「そうですぞ。タケル殿はもう少し鍛えた方がいいと拙僧も思いますな。」

 

「マコト兄ちゃんだけじゃなく御成まで。

もう少し俺に優しくしてもいいじゃん。」

 

俺達と一緒にトレーニングをしている深海マコトさんや、この寺のお坊さんの御成さんに小言を言われている。

 

「でも、狭間さんから大切な剣を預かってるんでしょ?」

 

「預かったというよりは剣に選ばれたということみたいだが。

俺も同じく剣を使う事になったからな。

使いこなせられるようになるには、トレーニングは必要だ。」

 

この間、父ちゃんに連れられてこの寺に来た時に、前に旅館で映画を見た時にいたらしい人との交流が元で知り合ったっていう狭間さんから、タケルさんとマコトさん、それにもう一人の男の人に剣と本みたいな物を渡しているところを見たのを覚えている。

 

特にタケルさんはその中でもとても重要な物だったらしく、なんでも【救世主】になり得る代物らしい。

 

タケルさんはどことなくめんどうそうだったけれど、タケルさんのお父さん、天空寺龍さんと仙人とかいうおっちゃんにいろいろと言われて、なんだかんだで俺も一緒になってトレーニングをさせられている。

 

「いいよなぁ。俺はこれといってそういうものはもらってないし、なんていうかサッカーみたいなモチベーションが上がらないんだよなぁ。」

 

「…兄ちゃん。そんなこと言ってると、カノンさんに嫌われるよ。」

 

「ばっ!?俺は別に好きとかそういうんじゃ…ああ、いや、深海さんの妹さんがかわいいのは事実ですけど俺は…ああもう!大二!余計な事を言うなよ!」

 

俺は深海さんに睨まれながら、なんとか弁明できるように考えを巡らせていた。

 

 

 

side天空寺龍

 

あの旅館での出来事の時に話しを聞いたが、この寺の地下にある【神の石】から度々現れる男、イーディスの事も狭間玄乃は知っていた。

 

イーディスがいるという世界は現在は平和だが、宇宙からの侵略に備えていろいろと準備をしているらしく、この大天空寺にはもしものための王族の避難所として使わせるという契約を結んでいる。

 

まあ、最近まではただの飲み友達といったところだったが、どうやら宇宙では生物がいる惑星を侵攻するような勢力があるらしく、王族であるアランを連れて警告に来てくれたので、狭間に教えようと呼んだところで、狭間が所持していたという聖剣に息子のタケルや、息子と親しくしてくれているマコトくんにイーディスが連れてきたアランがそれぞれ選ばれたそうだった。

 

特に息子のタケルが選ばれたという炎の聖剣はその侵攻勢力を打倒できる可能性を秘めた代物らしく、それを使いこなすには同じ聖剣持ち達以上に力をつける必要があるらしかった。

 

イーディスは渡りに船とはこの事で、私もどうやら覚悟が必要だと認識し、現在は息子達と、あの旅館で知り合い、連絡を取り合っている五十嵐くんも含めて例のSPIRITSという組織に協力を得られる算段をつけようとしているところだった。

 

しかし、狭間曰くその聖剣の力を必要としている時は案外近いらしく、今、目の前の敷地で賑やかに談笑している息子達に対して厳しく修行が必要だと感じていた。

 

 

side剣崎一真

 

ロボット軍団との戦いの後、橘さんは仮面ライダーを引退した。

 

それに伴って、すべてのラウズカードを狭間さんに返却し、俺のブレイドとしての力も失う事になった。

 

だけど、俺は仮面ライダーになれな訳じゃない。

橘さんの引退も、ラウズカードの返却も狭間さんにはあらかじめ報告していて、その時に俺にもガードドライバーをもらえないかと話をしようと思っていたところで、俺も日高さんや湊さんみたいな聖剣を使う資格を持っているということを聞いていた。

 

だから、俺はこの雷の力を持った聖剣で仮面ライダーを続けて人助けができることを嬉しく思っていた。

 

 

 




次からシビルウォー編に入ります。
原作とはだいぶ変わりますのでご了承下さい。
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