「…駄目よティ・チャラ。容疑者の事については当局や私たちに任せて。」
「…父はただ、和平を望み…復讐を望まなかったでしょう。
ですが、私は父とは違います。
私が自ら犯人を見つけて、…この手で殺します。」
「え?ちょ!?」
男の人は女の人の制止を聞かずに行ってしまい、俺は戸惑いの言葉を出すしかできなかった。
すると女の人の端末に電話がかかってきたようで、数分ぐらいすると戻ってから俺にも同行してほしいという事で、俺とイズは女の人、ナターシャ・ロマノフさんについて行く事になってしまった。
着いたところは近くのホテルの一室で、そこには二人の男の人がいた。
そのうち一人は俺でも知ってる人で、キャプテンアメリカ、スティーブ・ロジャースさんだった。
「…スティーブ、サム。」
「無事か?」
「災難だったみたいだな。
で?一緒にいる奴らは誰なんだ?」
キャプテンアメリカが聞いてきたので自分から名乗る。
「俺は飛電或人、こっちは秘書のイズです。
…あの、ファンです!サインもらえますか!?」
「なんだ?民間人を連れてきたのか?」
「サインは後にして。
異変に最初に気付いたのはこの二人、いえ一人と一体ね。」
「一体?そういえば、女性の方は体幹がおかしいように見える。
人間じゃないのか?」
「はい。私は飛電インテリジェンスによって開発されたアンドロイドのイズと申します。」
「ロボットだって?危険じゃないのか!?」
「イズは、製造されて既に2年以上経ってる。
あんた達が倒したっていうソコヴィアのロボットに重ねて見てしまうのは仕方ないかもしれないけど、イズは俺のために今まで沢山の事をしてくれてる。
壊すとか言わないですよね!?」
「…いや、すまない。
こちらの反応も過剰だった。
彼女からは、ウルトロンのような威圧感は感じない。
安心してくれ。壊す気はない。」
俺は思わずほっとして、近くにおいてあったソファーに崩れるように腰掛けた。
「…そこの彼女が異常に気付いて、坊やが会場で注意してくれたからテロに気付く事ができたのよ。」
「…そうか、感謝しないとな。
俺はキャプテンの仲間のサム・ウィルソンだ。」
「…よろしくお願いします。」
「…ところでナターシャ、ハザマを見たか?」
「…そういえば、姿を見てないわね。」
サムさんと握手をしている横で言われたキャプテンの言葉に俺もはっとしていた。
そういえば今回の見学では、じいちゃんや父さんの知り合いで、俺も何度か面識のある狭間さんと合流するはずだった。
だけど、姿を見せないままにそのまま会議が始まったので、会場に入ることになったのだ。
「…急に来られなくなったのなら、ハザマなら常に連絡をしてくれた。
今回のテロ行為がSPIRITSに悪影響を及ぼしていなければいいが。」
side狭間玄乃
うっすらと意識が浮上するのを感じた。
「…ん」
俺はどうしたのか…飛行機の座席で寝てしまったのだろうか?
いや、日本の空港に行く途中までは記憶があるが飛行機に搭乗した記憶は無い。
思わず体を捻ろうかとすると、体が動かなかった。
見れば、座らされている椅子に手足が縛りつけられていて、更には鉄製と思わしき檻のようなものに周囲が覆われていた。
「…これは?…いったい?」
「…ん?眼を覚ましたのか。」
俺が座らされている椅子の裏から声が聞こえてきた。
日本語でひょっこりと顔を覗かせたのはアジア系の顔をしていた。
「…見覚えが…ある。
確か…貴様は、闇の手の…最高幹部の…一人の【ムラカミ】…だった…よな?」
「なんだ、俺も随分名がうれたな。」
「…何を…している?」
ムラカミは俺の横で金具に何やらカチャカチャと音をたてている。
見れば、俺の腕に刺された管から点滴が打たれていた。
「お前さんはまだまだ精神的に強固みたいだからな。
洗脳するためには精神を弱めないといけない。
だからまずは鎮静剤で自己を曖昧にする必要がある。」
「…洗脳……鎮静剤…だと?」
急激に目の前がうっすらとしてくる。
「…く…そ。」
そしてそのまま目の前が真っ暗になった。
side呉島貴虎
急に連絡が取れなくなった凌馬を部下に捜索を指示していた矢先に、テロの容疑者として指名手配された事で、急遽ウィーンに向かい今しがた到着した。
そのままヘリに乗り換えて、端末に示されていた場所へと急行する。
元々信用を失いつつあった凌馬にはいくつもの探知機を着けていたが、そのことごとくを無効化されて行方がわからなくなっていた。
しかし、ウィーンに到着してからはそのうちの一つが反応したために向かっているが、明らかに誘っているのがわかる。
「…たとえ罠だろうと…凌馬、貴様の蛮行は俺が止めなければならない!」
発信源の真上にホバリングして、ロープを垂らして降下する。
着地すると、そこは立体駐車場の屋上で真下から銃撃音が聞こえてくる。
流れ弾に当たらないように物陰に隠れながら音の発生源へと急いで向かうと、ちらほらと防弾ベストを着用した特殊部隊らしき者達が倒れていた。
そのうち一人の首筋に手をあてて脈をはかると、気絶しているだけのようでほっとしていた。
いつの間にか銃撃音は鳴りやんでいて、流れ弾の心配がないと思い急いで近くの角を曲がると、中央付近で倒れた特殊部隊達の中央に白衣姿の男、戦極凌馬が立っていて、その腰にはフェイスプレート付きの戦極ドライバーが装着されていた。
「…やあ。貴虎、来たんだね。
見たまえ。無粋な連中だろう?
私を捕まえるのに仕向けた戦力がこの程度でしかなかった。
彼らの上司の無能さに呆れていたところさ。」
「凌馬。なぜあんなことをした?」
「あんなこと?…ああ、あれはただの狼煙に過ぎないよ。」
「狼煙だと?あの爆発で何人が犠牲になったと思っている!?」
「…あの程度の爆発で死んだ者達など興味はない。
しかし、ソコヴィア協定とやらは無粋極まりない制度だからね。
ちょいと、釘を刺したくなったのさ。」
おどけたように笑い、指先を摘まむような動作をした凌馬をにらみつける。
「怖い顔をしないでくれよ貴虎。どうだい君も、我々の仲間にならないかい?」
「ふざけるな!
…変身しろ。ここで貴様を倒してその蛮行を止めるのが俺の役目だ!」
メロン!
「いいだろう。止められるものなら止めてみてくれ。」
レモン!
ROCK ON
「「変身」」
メロンアームズ! 天・下・御・免!
レモンアームズ! インクレディブルリョ~ウマ~!
仮面ライダー斬月に変身した俺はとにかく二人だけで戦う為に仮面ライダーデュークへと変身した凌馬のレイピアと無双セイバーを交えながら移動する。
そして俺が最初に降りたった最上階にたどり着くと、盾であるメロンディフェンダーを使い、凌馬の動きを封じながら徐々に優位に立つ戦いになっていく。
凌馬ははじき飛ばされて倒れた体を起こしながら話出した。
「やはり、君相手に優位に立つことは難しいようだ。」
「わかっているのなら話は早い。凌馬、投降しろ。
そして全てを話すんだ。」
「貴虎。私は勝てないとは言ってないよ。
この"旧式のドライバーでは難しい"と言ったんだ。」
すると凌馬は変身を解き、ベルトを外すと別のドライバーを取り出している。
「…そのドライバーは!」
「やはり君もあのデータを見たのか。
…いや、そういえば異世界の記憶とやらを持っていたのだったね。
そうだ。このゲネシスドライバーは君が使う戦極ドライバーでは太刀打ちできないパワーを発揮できる。」
凌馬はそのままゲネシスドライバーを腰に装着してレモンエナジーロックシードを取り出して見せた。
しかしその瞬間、凌馬の動きが止まった。
その理由は、俺の頭上を飛び越えて真っ黒なスーツに身を包んだ黒猫のような姿の人物が現れたからだ。
「…はぁ。何者だい?
私と貴虎の戦いを邪魔しないでくれないか?」
『…関係ない。私は私の信念で貴様を殺す。
そういう者だ。』
その男性だろう人物は、両手の指先に爪のような刃を飛び出させると、独特な構えをとった。
レモンエナジー!
「…変身。」
ROCK ON SODA
レモンエナジーアームズ!
ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイファファファファファイト!
「…いいだろう。何者かは知らないが、邪魔するのならば君も貴虎も打ち倒すだけだ。」
凌馬はゲネシスドライバーで変身したバージョンの仮面ライダーデュークへと変え、その男とも戦いに入った。
俺もその男も凌馬に刃を振り下ろそうとするも、お互いの戦い方が合わないのか、時折体がぶつかりそうになったり、互いに刃をぶつけあいそうになったりしていた。
『…邪魔をするな。』
「…こっちの台詞だ。」
いや、これはおそらく俺達の戦い方が悪いのではなく、凌馬の動き方によりこうなっているのだろうと考えつく。
「…どうやら、貴虎は気付いたようだね。
さすがだ。」
「種さえ解れば!」
俺が凌馬の動きに対して動こうとすると、凌馬の後方から何かが飛んで来た。
しかし、凌馬はその物体を見向きもせずに掴んで止めた。
「この私に死角は無いよ。
隙をついたつもりかな?キャプテンアメリカ!」
凌馬はそのまま後方に現れた青いスーツに身を纏った男に向かって掴んでいた物体、キャプテンアメリカのシールドを投げ返した。
キャプテンアメリカはとっさに身を屈めてそれを避けると、そのシールドは駐車場に停められていた車にめり込んでしまう。
「そして君もね!」
そのまま凌馬は身を宙に翻すと、凌馬に向かってドロップキックをしようとしていた金属製の羽を着けたファルコンだろう男に蹴りを入れて吹き飛ばした。
ファルコンはゴロゴロと転がり、痛そうにうつぶせになっている。
「痛かったかな?
すまないね、この姿の時は手加減は得意ではなくてね。」
凌馬はおどけたように言うと脱力してバックステップで俺達から距離を取って行く。
「待て!」
「貴虎、無粋な連中が集まって来たから私は一旦引かせてもらうよ。」
そして凌馬が片手を軽く上げるとその後方に見覚えのある銀色のオーロラが展開され、そしてそのオーロラから黒装束や赤装束の集団がぞろぞろと姿を現すのだった。