生存報告がてら投稿させていただきます。
ー約1時間前ー
side飛電或人
「…そうか、わかった。ありがとう。」
キャプテンアメリカ、スティーブ・ロジャースさんの携帯に着信が入ったようで、幾つかの余韻の後に携帯を閉じていた。
その様子を見て、美人のお姉さんのナターシャ・ロマノフさんとサム・ウィルソンという男性が声をかけている。
「…例のCIAの彼女か?つき合わないのか?」
「…やめてくれ。
最愛の女性を見送ったばかりなんだ。…まだそういう気分にはなれないさ。」
「まだ…ね。
まあいいわ。それで、どうだったの?」
「容疑者の居場所がわかった。
後は移動手段だが…。」
その時だった。出入り口のドアが無造作に開いて男の人が一人、入ってきた。
「それについては大丈夫だ。ヘリを手配してある。」
「…バーンズ。どこに行ったのかと思ったけれど、そういうことだったのね。
まあいいわ。そういうことならさっさと行きましょうか。」
片手がメタリックに鈍く輝いていた男性の言葉に、ロマノフさんが声を出したところで、俺も思わず声を出していた。
「…あの!俺も連れて行って下さい!」
その言葉に驚いた顔をしたのはスティーブさんと金属の腕の人以外だった。
金属の腕の人は眉間を少し歪ませただけだったけれど、スティーブさんはなんとなく悲しげな顔をしたように見えた。
「…それは、了承できない。
君はまだまだ子どもだ。本来はこんな危険な事に巻き込まれる事がないのが普通だ。
…僕は兵士だが、君は民間人だ。
守られてほしいと僕は思う。」
「…それは、…そうであるべきかもしれません。
でも、あんな事件を目の当たりにして、ただ悲しむだけの子どもでもないと俺は思います。
あなたみたいなヒーローを前にして言うほどのことでもないような事かもしれませんが、…何か、俺にもできる事があるんじゃないかとずっと頭の中で思ってたんです。
…俺も連れて行って下さい。」
そのままの表情のまま呟くように言うスティーブさんに、俺は思いをぶつけた。
すると、かえってきた言葉はスティーブさんからではなく、金属の腕の人だった。
「どこのガキかは知らないが…まるで、出身地を偽造してまで軍に志願しそうな貧相さだな。
スティーブ。お前もそう思わないか?」
「…バッキー?」
「…だが、キャプテンアメリカになる前のお前と同じ眼をしているように、俺には見える。
…その心意気だけは気に入った。
俺はジェームズ・ブキャナン・バーンズだ。」
「…あ、飛電或人です。
こっちは秘書のイズ。」
「…イズです。はじめまして。」
思わず差し出された右手に握手をしながら自己紹介をする。
イズはその場で深いお辞儀をしていた。
すると、バーンズさんはその左腕をスティーブさんの胸板に当てるような仕草をして、なにやらひそひそと二人で話をしているようだった。
そして俺は今、ヘリから飛び出したキャプテンアメリカとファルコンと、たった今飛び出て行ったバーンズさんを尻目に、近くにいるイズから渡されたアタッシュケースを開いた。
「或人様。そのドライバーはもしものための秘中の秘。
もし使用すれば、是之助様や其雄様が或人様に知られたくないものも知る事になってしまいます。」
「…イズ。それは今更だよ。
じいちゃんや父さん、狭間さんやスティーブさん達にいつまでも守られている側の人間でいたくないんだ。
…あんな事件をもう二度と起こさないためにも。
俺は、このドライバーを使うよ!」
「あなたみたいな子が着いてきてどうするのとは思ってたけど!
…まさかあなたも仮面ライダーだったってわけね。」
俺は脳裏に爆発の惨状を思い浮かべながらイズに答えると、ヘリコプターの操縦席に座ったロマノフさんから声がかけられた。
「…いいえ!俺は仮面ライダーだったんじゃあないです!
…俺はたった今から仮面ライダーになるんです!」
俺はアタッシュケースに入ったドライバーと、黄緑色のバッタの絵が描かれた物を掴むと、そのままドライバーを腰に当てた。
ゼロワンドライバー!
その電子音声と共に、俺の意識はどこかに飛ばされてしまった。
『…ここは?』
『…ここは我が社、飛電インテリジェンスが所有する人工衛星【アーク】の中です。
或人様の脳はアークと無線接続しています。』
『…つまり俺は超高速思考状態ってことだな。
…これは?』
ゼロとイチが流れる白い空間の中でイズと話をしていると、目の前にホログラムの扉のような物が現れた。
『これは、狭間玄乃様によってもたらされた或人様が経験することになったかもしれない可能性です。』
『これが、じいちゃんや父さんが俺に見せたくなかった事なんだな。
…俺は知りたい。例えどんな嫌な事がこの扉の先で知り得た事だとしても、俺は!』
その扉に手を伸ばした先で様々な記録を見て、そして現実世界に戻ってきた俺の事、数秒間の停滞をしていた事に怪訝な顔をしたロマノフさんが声をかけてくれた。
「…大丈夫なの?」
「…はい!やれます!」
俺は眼を見開き、腰に巻かれたゼロワンドライバーに手に持っていたライジングホッパープログライズキーの天面のボタンを押してスキャンエリアに翳す。
ジャンプ!
オーソライズ!
「変身!」
そしてそのまま俺はヘリから身を乗り出したのだった。
side呉島貴虎
「…なん…だと?凌馬、貴様!闇の手と手を組んだのか!?」
「…手を組んだとは言えないよ。
お互いに利用し利用される関係さ。」
「…だとしても!ここまで堕ちた貴様を、俺はもうゆるさん!」
遂に使う時がきたかと思い、通常のロックシードよりも角張ったロックシードを取り出そうとすると、俺と凌馬の間に巨体なバッタのような形をした奇妙な物体が空から現れた。
それはあちこちに飛び跳ね回り、同じく空から降りてきた男達と闇の手の連中との戦いにも乱入して、その場をめちゃくちゃにし始めた。
「…何だいこのバッタは?
私の邪魔をしないでくれないかなぁ?!」
凌馬の手に握られた赤い弓状の武器であるソニックアローから攻撃が放たれる。
しかしその攻撃は空を切り、メタリックなバッタは空から降りてきた黒塗りの姿をした何かに吸収されるように消滅してしまったのだった。
プログライズ!
飛び上がライズ!ライジングホッパー!
A jump to the sky turns to a riderkick.
黒塗りのスーツに先ほどのバッタを思わせる蛍光グリーンのパーツのその人物は、電子音声を響かせながら片膝をつきながら俺と凌馬の間に着地すると、スクリと立ち上がった。
「【空へのジャンプは、ライダーキックになる】だって?
つまり君も仮面ライダーかい?
…やれやれ、次から次に。いい加減にしてくれないかい?」
凌馬はその人物に向けて肩をすくめると、気だるそうに首を向けていた。
「…俺は仮面ライダーゼロワン!
戦極凌馬!あんたの企みを止めるのは俺だ!」
その挑発気味に放たれた言葉よりも、俺が気になったのはその声色だった。
「…子どもの声?
まさか、君は未成年なのか!?」
「…子供だとかは関係無いさ。
僕達の邪魔をするのなら、君も葬ってあげよう。」
凌馬がそう言ってソニックアローから矢を放つが、そのライダー、ゼロワンは蛍光グリーンの光のラインの残像を残しつつその身を軽快に動かして攻撃を躱し、凌馬に近づいて行った。
「バカな!?このデュークの演算速度を上回るだと!」
おそらく特別なチューニングが施されていたゲネシスドライバーなのだろうが、凌馬はそれすら上回る速度で動き回って攻撃を回避していくゼロワンに驚愕していた。
すると、ゼロワンは凌馬から距離を置いた俺の近くに着地して構えていた。
「そこの!ゼロワンと言ったな。
すまないが、凌馬を止めるのに手を貸してくれ。」
「…あんたも仮面ライダー?えっと、味方でいいんだよな?」
「ああ。俺は呉島貴虎、この姿の名はアーマード…いや、仮面ライダー斬月だ。」
「アーマー?えっと呉島さんって、もしかしてユグドラシルコーポレーションの!?」
「ああ。知っているのか。それなら話は早い。
同時に仕掛けるぞ。」
俺の話に元気よく返事がかえってきて、お互いに凌馬に構えをとるが、その瞬間に例の黒い猫系スーツの男が音もなく背後から凌馬に飛び掛かっていた。
しかし
「…だから、見えていると言っている!」
ソニックアローの弦の刃で切り払われるも、その男は自ら跳躍することでダメージを軽減していた。
「…はぁ。
次から次に。いい加減にしてほしいね。」
そう呟いた凌馬は、こちらを向いたままに後ろに跳躍すると、ひとっ飛びでオーロラゲートの手前に着地していた。
「待て!」
「貴虎。最後通告だ。
こちら側にきたまえ。君こそ私が理想とする王にふさわしい。」
「…だからふざけるなと言っているだろう!」
「…そうか。」
ゼロワンの叫びを他所に発せられた凌馬の言葉に返答すると、そのまま凌馬はゲートをくぐって姿を消した。
するとゲートも役目を終えたかのように消滅すると、黒装束や赤装束の連中が配慮する必要がなくなったかのように飛び掛かってきた。
その場にいたキャプテンアメリカや、ファルコン、ウィンターソルジャーとの共闘によりそいつらを打ち倒すと自分たちの証拠を残すまいと考えたのか次々に自爆し始め、ついには足元がぐらつきだしていた。
「…いかん!下の階には負傷者がいる!」
俺の叫びを聞いてか
「俺が行きます!」
『…私も手伝おう。』
「俺も行くぜ!」
ゼロワン、黒いスーツの男、そしてファルコンが飛び出して行った。
俺やキャプテンアメリカ、ウィンターソルジャーはとっさに立体駐車場の崩落に巻き込まれまいと飛び出す。
負傷者を含む俺達の目の前でガラガラと崩れ出した立体駐車場を尻目にいつの間にか複数のヘリコプターが上空を旋回していた。
そのうちのひとつから垂れたロープをつたって飛び降りたのはピッチリとしたスーツの赤毛の女性だった。
「私達はアベンジャーズよ。
…話を聞かせてもらえるかしら?」
「いいだろう。」
俺は戦極ドライバーからロックシードを取り外して変身を解除しながら、そう答えるのだった。
これからも少しずつですが、執筆は続けます。
更新は亀のような速度ですが、それでも見てくださるのであればお待ちいただけると幸いです。