『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』
この作品は、まさに、この世界と俺の元の世界をわかりやすく説明するのに最も、うってつけといえる。
ティードが介入しなければ、アタルがいる世界が、俺がいた元世界のように、タイムジャッカーも、イマジンもいない世界だったかもしれない。
そして、海東大樹が介入したのが俺ではなかったとしたら、俺の世界にもアタルの世界のような影響が出ていたかもしれないと思うこともある。
最終的に、この世界に影響を与える俺も、オーマジオウに倒される運命にあるのかもしれない。
しかし、『闇の手』によって日本が蹂躙されるかもしれないこの世界には、やっぱり仮面ライダーは必要だと、改めて、強く思った。
上映映像を見ている会場の人達は、九郎ヶ岳遺跡でティードが話す内容と、焚き火をしながら、イマジンのフータロスが話す言葉に、考えを巡らせているみたいで、特に警察組の小声で話合う声がちらほらと聞こえていた。
時の空間のターミナルに現れたタロスズに、小さく、野上良太郎の涙声がして、映像に映った姿に、周囲の人達は映像と、野上良太郎を何度も往復して見ていたし、モモタロスの声についには、下を見てしまったのに対して、隣にいた日高仁志に頭を撫でられていた。
そして、ざわめきが、だんだんと歓声に変わっていき、最終局面にもなると、どこか、それぞれが納得したようだった。
うす暗くなっていた正面が明るくなり、スクリーンが天井へと上がっていく。
そして、今度は、俺が、震えそうになる体を深呼吸しながら押さえつけて、舞台の中央から向かって行く。
「みさなん、はじめまして。
俺の名前は、狭間玄乃といいます。
ここに、この場所でみなさんの姿を見られただけでも、感動で、声が震えてしまいます。
俺は、この世界とは別の世界、仮面ライダーが現実には存在せず、特撮映像作品として存在する世界からきました。
そう、先ほどみなさんに観てもらった映画を提供したのも、自分です。
そして、みなさんに仮面ライダーとしてのアイテムを郵送して、記憶を呼び覚まそうとしたのも、大元は、俺なんです。
まだ、先ほどの映像を見て、いろいろと考えを巡らせている方もいらっしゃるでしょうし、俺にいろいろと話を聞きたいという方もいらっしゃると思います。
なので、このままご歓談とお食事を楽しみながら、お話をさせていただきたいと思います。
本日は、この場所に集まっていただいて、本当にありがとうございました。」
そして、そのまま、乾杯の音頭をすると、舞台から降りて、会場に足を進めた。
…以外な程、否定的な意見は、無かった。
関係者や仮面ライダー同士で話が盛り上がったり、しみじみとした会話があったり、鳴海荘吉さんや左翔太郎君にも、少しの文句を言われただけで、むしろ反対に感謝されてしまった。
仮面ライダーとして、胸が熱くなった。という声があって、俺もうれしくなった。
そして、その日はそのまま夜遅くまで、歓談はつづき、翌朝の朝食後の時間帯に、もう一度、集まってもらうようにとスタッフにお願いをしてもらった。
宴会会場にみんなが集まると、俺は、舞台に上がって話を始めた。
「昨夜の映像はとても衝撃的なものだったと思います。
ここにおられるみなさんは、仮面ライダーとして、また仮面ライダー達の関係者としてこの場所におられると思います。
昨夜の話合いの折、警察の方々からのお話で、我々のこの集まりを組織として運営していきたいということになりました。
確かに、この世界には、怪人はおらず、みなさんの記憶の中にあった悪性な組織も見受けられていません。
しかし、それでも、この世界の日本には、巨大な秘密組織が存在して、裏社会を覆い尽くして、策略と、暴力と、支配をもくろむ連中がいるというのは確かな事実です。
どうか、この仮面ライダー同士の組織、まだ名前は検討中ですが、仮面ライダーがいるこの世界で、人類の自由のために少しでも、ご協力をお願いいたします。」
そして、警察組の話が始まり、次の会合を警察組織から通達するという連絡もあって、この会合は終了したのである。
そして、2009年4月、東京のとある施設で、何度目かの話し合いがあり、そこに、鳴海荘吉さんと一緒におもむいていた。
「今回は、ボディーガードの件、ありがとうございます。
最近は、ネットで都市伝説化してきている関係上、闇の手の連中に関係者が襲われることも増えてきましたので、助かりました。」
「お前はライダーを継いだとはいえ、アドバイザーや、クライアントに近い立ち位置だからな。
いくら戦闘訓練を積んでいるとはいえ、その他の業務が多いお前に何かあっても困る。
それに、そろそろ翔太郎に仕事を任せてもいい頃合だ。
来人も馴染んできたころだ。娘が事務所に就職するまでには、俺の手を借りないぐらいの事が出来るようにならないといけないだろう。
俺も、やつらの末端ではあるがニンジャ共と戦闘をする時間を捻出しなければいけないだろう、という理由もある。」
そう、ついに、この世界の日本では、仮面ライダーをネット間の都市伝説に近い立ち位置ではあるが、日本のヒーローとして認識されはじめていた。
昭和世代に仮面ライダーを制作した制作陣と、原作者が全面協力してくれた事で、組織名も決まったし、仮面ライダー達は日々進化を遂げながら、日夜闇の手との戦闘を行っている。
そして、表面的なダミー組織としての特撮映像会社に入り、地下行きのエレベーターに乗り込む。
そして目的の階層につくと、IDカードとディエンドライバーを正面のケースに置いて、スキャンさせると、扉が開いた。
それらを回収後、鳴海荘吉さんもIDカードとロストドライバーとスカルメモリをスキャンさせて入ってくると、そこは、我々の組織名が中心に書かれた円卓テーブルの部屋になっていた。
その組織名には、『SPIRITS』と、書かれたプレートが立っている。
元ネタは、もちろん仮面ライダーSPIRITSからだ。この世界の昭和仮面ライダー作品にも登場した組織名を、場所の提供を条件に制作陣が認めさせたという経緯がある。
さて、その日本のヒーロー本部とも言えるSPIRITSだが、今回の議題内容は、『技術力の昇華』である。
この円卓のうちの一つに俺が座り、鳴海荘吉さんは、本部内にあるトレーニングエリアに向かって行った。
そして、俺の後から、一人の人物が入ってきた。
「あら?私が最後だったのね。」
「いえ、俺も今きたところですから。」
大量の資料を抱えた女性、鬼関係の開発実験試作室室長『滝澤みどり』さんに向かって声をかけた。
「では、会議を始める。」
と、今回の議長になった人類基盤史研究所BOARDの『烏丸啓』さんが言う。
この会議に集まった人たちは、仮面ライダーファンからすれば、一度は見てみたい光景だろう。なにせ、上記の二人に加えて
仮面ライダーアギトの世界では、未確認生命体対策班の実働部隊G3運用チーム、通称《G3ユニット》の主任だった『小沢澄子』さん。
今は、警察の技術関係の実質のトップである。
その他にも、スマートブレイン技術開発部の『花形康治』さん。
原作では名字しか出てなかったけれど、偶然ではあるが、役者さんと同じ名前だったのには、驚いた。
嶋財団会長の『嶋護』さんと、園咲琉兵衛さんの奥さんの『園咲文音』さんが、何やら俺の方にアイコンタクトを贈ってくる。
俺の隣に座っている、幻夢コーポレーションの若きプログラマーの『壇黎斗』が、話を聞かずに、一心不乱にパソコンに向かって、キーボードを叩いている。
反対側の隣にいる葛城忍さんからも、視線がきているが、作中の人物像を知っている俺は、我関せずを貫いていた。
さらに言えば、壇黎斗の隣にいる戦極凌馬が、興味深そうにパソコンをのぞきこんでいたので、どうしようもないと思っていたこともある。
「話を聞かないならばそのままでいいが、後でとやかく言わないように。
小沢君、始めてくれ。」
「はぁ、わかったわ。
まず、量産体制を整えたG3システムの全国配備が始まったわ。
スペックとしては、既存のG3システムの6割といったところね。
装着システムをスマートブレインからの技術提供で簡素化できたことで、半年足らずのスピードで進められたわ。
ただし、技術流出を防ぐためのセキュリティを、そこの無視してる子が担当したのは不安材料なのが、正直なところね。」
「無視してなど、いなーい!!
時間は、有限だからこそ、時間を無駄にしないやり方で、参加しているだけだぁ!」
「さすがは若き精鋭プログラマー、一つのミスもなくプログラムを組んでいるみたいだね。
先ほどからのぞきこんで見ていたけれど、感心しているよ。」
「戦極君も、何か報告することは無いかい?」
「私としては、オブサーバー扱いの狭間玄乃は、この場所に必要ないと思っているがどうだろうか?」
ああ、また明後日の方向に会議内容が向くのかと頭を抱えはじめるのだった。