side如月弦太朗
「リムジンの中ってこうなってたんだなー。」
「ちょっと弦ちゃん落ちついて。
目の前に有名な議員さんがいるから、ちゃんと話を聞こうよ!」
天ノ川学園高等学校に転入してから数日、放課後に、学園の全員とダチになるために奔走していると、幼なじみの城島ユウキが俺を探し回っていたらしく、何事かと聞いて見ると、学園の外に突然黒いリムジンが止まって、そこから現れた人物が、俺を呼んでいるらしかった。
さっそくユウキを連れてその場に行くと、リムジンから降りてきたのは、テレビでも見たことがある国会議員の人で、何でも俺に話があるようで、ユウキ共々、リムジンに乗せられてしまった。
「んで、俺に何かあんのか?」
対面座席に座っているその議員さんに、リーゼントを整えながら聞くと
「ははは。(…はじめましてになるんだけど、本人を目の前にすると、逆に懐かしくなるのはあの映像を見た影響かなぁ。まあいいや。)
まずは自己紹介。俺の名前は、火野映司。
まあ、君たちからみれば、テレビの中で見たことぐらいはあると思う。
君たちは、如月弦太朗君と、城島ユウキさんだね?」
「おう。俺たちを知ってんのか?
まあ、俺を探しているぐらいだから、知っていてもおかしくないだろうけどよ。俺たちはあんたとは面識はないはずだぜ。」
「ちょっと弦ちゃん、言い方!」
俺を注意しながら、火野と名乗った議員に頭を下げているユウキを手で制しながら、俺たちに赤いリボン付きの箱に取り出すと、目の前に差し出された。
そこには、なにやら、ゴテゴテしい機械と、変わった形をしたスイッチらしきものが入っていて、戸惑いながら、その手を伸ばして、その機械に触れると、急に脳裏にいくつもの映像や記憶が見えた。
「今のは…フォーゼドライバー?
えっと、火野先輩だよな?」
「思い出したみたいだね。記憶が戻って戸惑いもあるだろうけど、そのドライバーは君の物だから、好きに使ってほしい。」
隣に座っているユウキも、箱の中に入っていた、アストロスイッチに触ったことで、未来の記憶?らしき、俺が仮面ライダーフォーゼとして戦ってきたことを思い出していた。
「えっと、天ノ川学園には、賢吾君はいないし、ライダー部も、ラビットハッチだってないはずなのに。」
「いろいろ混乱しているだろうけど、今見えた記憶は、別の世界の君たちが経験してきたことで、本来なら平和な日本では必要のないことなんだけど、でも、君たちの力を貸してほしいんだ。」
正直、別の世界の記憶とか言われてもよくわからないけれど、仮面ライダーフォーゼが必要ならいつでも力になると考えていると
「…火野。」
「後藤さん?どうしました?」
「さっきからつけてきている車がある。どうする?」
「もしかしたら、『闇の手』かもしれませんから、人通りが少ない道をお願いします。
…さっそく、弦太朗君の力を借りるかもしれない。」
「気にする必要はないぜ。
ダチの頼みを聞くのに、理由はいらないからな!」
運転席にいた男と先輩が話す会話を聞くと、思わず声を出していた。
「弦ちゃん!?」
「心配しなくても大丈夫だぜユウキ。
なんたって俺は、仮面ライダーフォーゼだからな。」
「頼もしいね。ありがとう。頼りにしているよ。」
リムジンが人通りが少ない海岸線を走っていると、急にリムジンが止まった。
リムジンから降りると、道をふさぐように車が止められていて、その車からは、まるでダスタードみたいな服装の連中がわらわらと姿を現し、後ろからも車が止まって、同様にそんな連中が出てきた。
そして、派手なスーツを着た男がその中から姿を表して声を荒げた。
「お前さんが、俺たちを邪魔している連中を支援しているという議員さんか。
おとなしく連れて行きたいところだけどな、お前さんは事故死に見せかけて死んでもらわなきゃならなくなった。
おい!お前ら、あの議員さんはきれいな死体で殺せ。
女は、俺がもらうから傷つけるんじゃねぇぞ!
後は、好きにしな。」
そういうと、その男は、黒装束の連中で見えなくなっていく。
「後藤さん、城島さんをお願いします。」
「わかった。あと、本部に連絡を入れておく。」
「お願いします。…弦太朗君、いいかい?」
「おっしゃっ!よくわかんねぇけど、あいつらが、敵だっていうのはわかった。
こっちでの初変身、きめていくぜ。」
俺は、ラッピングされた箱を捨てて、中に入っていたフォーゼドライバーを腰に当てると、自動でベルトがまかれる。
まるで体に刻み込まれたような、記憶の通りに、4つのトランスイッチを右から順に押していき、
左手を心臓の前に、誓いを込めるように手をおく。
THREE
TWO
ONE
「変身!」
勢いをつけて、エンターレバーを倒す。
すると右手を宙の何かをつかむように腕を振り上げると、頭上にゲートが出現し、そこから神秘の宇宙エネルギー・コズミックエナジーが降り注いで、スーツを物質化することにより変身が完了した。
「宇宙…キター!仮面ライダーフォーゼ、まとめてタイマン張らせてもらうぜ。」
と、思わず叫び、両腕を振り上げて大の字になって、黒装束の連中に右拳を突きつけた。
side後藤慎太郎
「宇宙キター!」
「うお!?君も言うのか。」
隣で、どことなく緊張感のない女子高生を尻目に、変身した少年の隣で、今度は火野がオーズドライバーを腰に当てているのが見えた。
「変身!」
TAKA
TORA
BATTA
TA、TO、BA、TATOBA、TA、TO、BA
相変わらずよくわからない歌が流れながら、火野がオーズに変身すると、フォーゼと並び立って、闇の手の連中と戦闘になった。
俺も、座席から取り出したバースバスターを構えて、非戦闘員を守るような動きをしていく。
「…先ほどの男は捕えたいが、今までのような足切りだと、きりがない。
だが連中の情報はあんなチンピラでも、少しずつでも聞き出したいが…」
リムジンを盾に、非戦闘員を守りつつ、ニンジャ共にセルメダルから発生された弾丸を発射しながら、思考の一部は、警察官として生活していた時を思い出していた。
事の起こりは、とある会議に呼び出された時だった。
わざわざそれぞれの席にネームプレートが貼り出してあり、その座席には段ボール箱がおいてあった。
参加者は俺を含めて数人で、中にはネームプレートのない席に座っている者もいた。
会議が始まると、段ボール箱を開けて中のものを手に取るように指示され、中に入っていたゴテゴテしい物と数枚のメダルに触れて見ると、自分が、仮面ライダーバースとして戦っていた記憶が見えた。
混乱の最中に、目の前にはスクリーンが現れて、ビデオカメラで撮影されたらしき映像が、再生された。
仮面ライダーが虚構として存在する世界と、仮面ライダーが存在する世界による、今までの自分からこれからの自分を考えさせられた映像だった。
そして、そのまま流されるようにSPIRITSに所属することになり、火野の運転手兼ボディーガードとして派遣され、鴻上ファウンデーションから提供される装備品を使って、闇の手の連中との攻防と情報収集の日々だ。
財団X並の技術力と戦闘力、その底の知れなさに、不安になりながらも、グリードが発生していないだけましだと、思いを改める。
ふと、周囲を見渡すと、ニンジャ共が証拠を残すまいと、自爆特攻をしながら先ほどの男を逃がし、落胆しながら変身を解除する火野たちに合流するのだった。
side 狭間玄乃
2011年を迎え、SPIRITSのメンバーとして忙しく活動しながら、この2年で、俺は戸籍を得て、銀行口座を開設し、多方面との調整役や仮面ライダー関係のアドバイザーとして活動していた。
あの会合から大きく動いた事柄がいくつかある。
まずは、カマー・タージのエンシェント・ワンが接触してきたことだ。
カマー・タージの主にして、至高の魔術師"ソーサラー・スプリーム"の称号を持つ、年齢不詳の女性の魔術師である。
作中では、その魔力は魔術師の中でも最強を誇り、弟子たちを圧倒する程の実力を持つ。
しかし弟子たちには重大な秘密を隠している。とされている人物である。
なんでも、最近になってミラーディメンション内を行き来できる見覚えのない者たちが現れているため、接触してきたとのことだった。
まず間違いなく、龍騎系の仮面ライダーたちのことだろう。
実際に報告されたのは、城戸さんと秋山さんがミラーワールドから移動してきた時だったらしく、直接俺に連絡がきた。
そして、会いに行くと
「私が出会った仮面ライダーと名乗った者達は善性の存在のようですね。
しかし、あなたは悪性の存在を正しく認識している。
そして、私の存在も私がこれからどうなるのか知っているのですから、あなたの存在が、スティーブンと同じように、これからの歴史の鍵となるということがわかりました。
これから、日本に関係している時はあなたに話をしに行くことにしましょう。」
と、一方的にまくし立てられて、ゲートウェイでいなくなってしまった。
それから、たまに魔術関係の資料を融通させてもらいながら、ウォンやモルドから相談をされることになったのである。