仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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アベンジャーズ編
始動


side五代雄介

 

「それが、今回の相手のようです。」

 

今では顔馴染みである俺にベルトを送ってきた人物の狭間玄乃さんが、俺に手渡した紙を指しながら言う。

 

あの映像を見て、再びベルトをつける決心をしてもうそろそろ4年目になろうとしている頃、グロンギとの戦いとは違い、たくさんの仲間がいることも要因にあるだろうけれど、聖なる泉はいまだに保たれていて、少しずつ少量の電気を長い期間をかけて取り込んだことで、金のクウガになった時の副作用もなく、ベルトの侵食も現代の医療が進んでいる事で、あまり深刻な状態にならずにすんでいた。

 

 

心配をしてくれる一条さんに現状を説明しながらも、今回のアメリカ遠征に同意したのは、半年ほど前の集団誘拐事件の救出作戦に参加できなかった悔しい思いもあったからだ。

 

 

目の前の人物も救出作戦に参加して、ライダーに変身して闇の手の連中と戦ったそうだ。

 

 

いままで、どことなくこの人には無責任な人に見えていたけれど、自分の考えを改める必要がありそうだと思った。

 

それに、これまでの旅で、英語は問題なく話せるし、クウガとしての戦闘力も期待されているのだろうとも思った。

 

目の前の資料には、大きな角が特徴の兜をかぶった光る杖を持った男の写真がうつっていた。

 

「ロキ…ですか?

まるで、北欧神話の神様みたいな名前ですね。」

 

「みたいではなく、彼らの事をモデルにして北欧神話が語られているようです。

つまりは、自分たちを神と自称するほどの力を持った存在で、とんでもなく寿命の長い種族のようですね。

ついでにいえば、異星人です。」

 

「つまり、宇宙人って事ですか…

宇宙人とは戦った事はないので、通用するのかが気になるところですね。」

 

 

資料に夢中になっていると、狭間さんの携帯に、連絡が入り、着いたという知らせを受けた。

 

「着いたって、まだ海の上ですよ?」

 

「まあ、外に出ればわかりますよ。」

 

 

そう言われて、外に出てみると、見上げるほどに大きな建物が海に浮いていた。

 

「コンテナの移送を始めてくれ。」

 

『了解』

 

狭間さんと、その戦艦みたいな建造物は、通信のやりとりをしているらしく、自分が乗ってきた船から直線コンテナを移送し始めていた。

 

「さて、俺達も乗り込みましょう。」

 

「え?でもどうやって?」

 

激しい波に、乗り移るのは難しそうだと思っていると、一機の気球についているような籠がついた小型飛行機が近づいてきたのが見えて、まさかあれに乗り込むのかと、困惑していると、

 

「ある意味、VIP待遇ですからね。

いきましょうか。」

 

と、そのまま籠の中に彼が入るのを確認すると、自分もその中に入る。

すると、籠のワイヤーが巻き取られて籠の部分が飛行機の胴体に合体して、飛行機になると、そのまま例の建造物に近づいていった。

 

上から見ると、空母をとてつもなく大きくしたような戦艦のように見えて、思わず身震いしていた。

 

「すごいでしょう!これでもアメリカの1組織が作り出した物らしく、名前を『ヘリキャリア』というそうです。しかも、船のように見えますけど、別の機能をもつトンデモ建造物で、まさにアメリカの象徴みたいな部分がありありと見えますね。」

 

「ヘリキャリア…ヘリ?まさかあれが空を飛ぶのか!?

仮面ライダーもびっくりのトンデモ建造物ですね。」

 

そのまま飛行機は、甲板に着陸すると、俺たちを下ろして、機体を甲板に固定し始めていった。

 

「甲板に描かれたマークを見ましたか?あれがSHIELDの象徴のようですが、我々仮面ライダーから見ると、まるでショッカーのマークに酷似しているように見えます。

狙っているとは思えませんが、皮肉が効いてますね。 」

 

「あら?ずいぶんな言いぐさね。」

 

「エージェントロマノフ!?」

 

狭間さんの言葉に一瞬うなずきかけたけれど、すぐに聞こえた女性の声に振り返って見ると、狼狽する狭間さんをにらむように立っているスタイルのいい赤毛の綺麗な女性が立っていた。

 

「あなたは?…」

 

「私はSHIELDのエージェントのナターシャ・ロマノフよ。

あなたは、そこの相変わらず一言多い失礼な男とは違うようね。

話には聞いているわ。SPIRITSのお二方。

ミスターハザマと。」

 

「五代雄介です。ユウスケと呼んでください。」

 

「ユウスケね、私もナターシャでかまわないわ。

ようこそ。日本が誇るスーパーヒーローさん。アメリカへ。」

 

自信にあふれているようなはつらつとした雰囲気のある女性でありながら、まるで引き込まれそうな妖艶さがにじみ出ていた。

 

「事態はどうなってますか?」

 

「そろそろ、捜査を始めるそうよ。

それに、そろそろアメリカが誇るスーパーヒーローも到着予定なんだけれど…ああ来たわね。」

 

狭間さんの言葉に答えるナターシャさんは、甲板に降りた翼に付いたエンジンが特徴的な飛行機が降りたった方向を向いて言うと、その飛行機に向けて歩き出し、俺たちもそれについていった。

 

飛行機後方が、開いて、二人の男性が出てくるのが見えた。

 

「エージェント・ロマノフだ。

それと、日本の協力組織、SPIRITSのミスターハザマと、ゴダイ・ユウスケだな。」

 

サングラスをかけたスーツ姿の男性がチェック柄のシャツに、ジャケットをはおったがっしりとした体型の男性に俺たちを紹介するように話していて、そのがっしりとしたほうの男性に握手を求められた。

 

「五代雄介です。ユウスケと呼んでください。」

 

「よろしく、ユウスケ。僕はスティーブ・ロジャースだ。

僕のこともスティーブと呼んでくれてかまわない。

君たちのことは資料で読んだよ。」

 

 

力強さを感じさせる握手を交わしながら、一条さんにも似たカリスマ性が見てとれる男性のように見えた。

 

「そろそろ、捜査を始めるそうよ。」

 

「そうか、ミスターハザマも同行をお願いしたい。」

 

「わかりました。五代さん、作戦行動中は、彼らのチームのメンバーとして行動してもらうことになりますので。

では、のちほど。」

 

そう言って、黒いスーツ姿の男性と狭間さんは一緒に行ってしまう。

 

スティーブさんと、ナターシャさんは、会話をしながら歩き出したので、自分もついて行くと、スティーブさんは『キャプテンアメリカ』という資料で読んだヒーローということがわかった。

 

そして、グレーのスーツ姿に眼鏡をかけた男性に話かけていた。

 

この男性は、今回の最重要捜索物の『四次元キューブ』という物体を探すために呼ばれたバナー博士という人物だそうで、俺も自己紹介をすると、どこか含みを持たせた言い方をする男性で、俺の反応が思わしくなかったのか

 

「もしかして、聞いていないのかい?

僕が緑色の大男に変身できる存在だってことに。」

 

「たしか『ハルク』でしたね。ということは、あなたがブルース・バナー博士でしたか。

あなたのことは、資料で読みましたけれど、大丈夫ですよ。

われわれSPIRITSのメンバーにも、暴走形態がある力を持っている者も複数いますので。」

 

「そういう次元の話をしているんじゃないんだけどね。」

 

「甲板で話し込むのもいいけれど、そろそろ中に入ったほうがいいわよ。

呼吸がつらくなるだろうから。」

 

そうナターシャさんは言うと、周囲があわただしくなっていく。

 

「これは潜水艦か?」

 

「なるほど、僕を金属コンテナに入れて海に沈めようって?」

 

そして、どんどんと空に舞い上がって行く

 

「ユウスケはあんまり驚いてないみたいね。」

 

「俺は、ここに来るまでに教えてもらいましたから。」

 

「潜水艦のほうがまだましだった。」

 

バナー博士の愚痴を聴きながら、俺達は船内に入っていった。

 

ナターシャさんの先頭で船内を進むと、オペレータールームか、艦橋のような場所には、あわただしく人が行き交い、言葉を交わしている。

 

バナー博士が、なにやら捜査の手助けをしようと難しい話をしていたようだったが、ナターシャさんにつれられて、ラボという場所に行ってしまう。

 

すると、眼帯をしたいかつい雰囲気の男性、長官と呼ばれている人が握手を求めて来たので答える。

 

「歓迎しよう仮面ライダー。ゴダイという名前だったな。」

 

「ユウスケでかまいませんよ。

あと、変身後の名前は『クウガ』です。

仮面ライダーという名前は、総称に過ぎませんから、個別名称で呼んで下さい。」

 

「了解した。ミスターハザマは、船内デッキで、受け入れたコンテナを見ている。

君も見てくるといい。」

 

と、案内に人が呼ばれて、その人について行くと、狭間さんが、周囲に指示を出しながら、俺のビートチェイサーや、ゴウラムの近くにいた。

 

「案内ありがとうございました。狭間さん!」

 

案内してくれた人にお礼を言いながら、俺は、狭間さんに向かっていった。

 

 

 

 

side狭間玄乃

 

 

アメリカ人の仕事は、おおざっぱなイメージがあったが、きちんとコンテナの中に気を使ってくれていた様で、ビートチェイサーや、ゴウラムは、固定具を外すだけですんだ。

 

俺のオーロラ能力が移送すれば楽なんだが、手続きがどうのこうのと必要で、結局はこうやって移送しなければならななくなった。

 

「狭間さん!」

 

「ああ、五代さん、来ましたか。

一応大丈夫だとは思いますが、各部チェックをお願いします。

特に、ゴウラムの様子は、端から見ただけだとよくわからないので。」

 

「わかりました。」

 

 

そして、ゴウラムの霊石部分を撫でながら言葉をかける五代さんを見ながら、今後のことに頭をひねっていた。

 

 

 

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