忘れ去られたもう一柱の神〜IF旅人〜   作:酒蒸

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諸事情(親戚の集まり的なアレ)で昨日は投稿休んだぞ!!

本編書かなきゃ…と言いつつこっち側のモチベが高くて書いちゃうんだよな…ハハ


第16話 動き始める者達③

混乱が収まるまで暫し経って、

 

「それで、どういうことなんだよウェンティ!お前、なんで璃月の神様なんか連れて来ちゃったんだ!?」

 

勿論自分の中の混乱は全く収まっていない様子のパイモンが後頭部をポリポリと掻きながら困ったように笑っているウェンティに向かってそう言った。そのウェンティに対して、モラクス───尚真偽の程は定かではない───はジト目を向けつつ、

 

「だから言っただろう。俺を突然ここへ連れて来ては外交問題にもなりかねん、と…」

 

そう言った。だが、ウェンティは何でもないことのように苦笑しつつ告げた。

 

「でもじいさんだってアガレスを助けたくてここに来たんでしょ?ってかアガレスが敵に回ったらヤバいからじいさんにも協力してほしいって話をしたじゃん!」

 

途中から頑固なモラクスに対して腹が立ってきたのかウェンティは頬を膨らませつつそう告げた。対するモラクスはウェンティの言葉を軽く流すと、

 

「改めて、俺の名はモラクス。隣国璃月の神をやっている者だ」

 

その場にいたウェンティを除く全員に向けて自己紹介をした。その後ジン達も軽く自己紹介をしようとしたのだが、モラクスの自己紹介を聞いたウェンティがすぐに「あははは!!じいさん、ふざけてる時のアガレスみたいな時のノリだね!!」とからかいながら爆笑し、満更でもなさそうな顔をしながらモラクスが拳骨でウェンティを黙らせるという珍事が繰り広げられたためにできなかった。

 

ようやく落ち着いたので今度こそ自己紹介を終えると、ジンは胸に手を当てながら、

 

「それで…ウェンティ殿、何故…その、彼を?」

 

モラクスを見て何と呼ぶべきか決めかねている内にそう続けた。ウェンティはそう言えば説明してなかったね、と呟くと、

 

「…そうだね、皆は『八神』のことを知っていると思うんだけど、中でもモラクスはボクと同じくアガレスと交流があってね。まぁボクの次くらいにアガレスについて詳しいから助けてほしかったんだ」

 

そう言ってモラクスのことを目を細めつつ見た。言われたモラクスは、というとピクッと不機嫌そうにその眉を顰めたが、なんとか芽生えた感情を押し殺してウェンティの言葉に同意した。

 

「…それでさ、旅人!キミがトワリンから聞いた話は本当?」

 

突然話を振られた蛍はビクッと驚いた様子を見せたが、

 

「トワリンが嘘をついてなければ…多分本当」

 

すぐに首肯いて肯定しつつそう言った。その言葉にウェンティとモラクスは二人同時に眉間にシワを寄せた。その様子に気が付いたらしいガイアが首を傾げながら何かおかしいことでも?と問いかけた。

 

二人は同じ表情のまま顎に手を当てて考え込むように黙っていたが、やがて先に考えが纏まったらしいモラクスが口を開いた。

 

「…蛍、と言ったな。その話に嘘は本当にないのか?」

 

改めての事実確認らしいその言葉に蛍はすぐに首肯いた。モラクスはふむ、と唸ると、

 

「大体の状況はバルバトスから聞き及んでいる。そしてトワリンからも先程…同じ話を聞いた」

 

そう言った。その言葉に驚いたのは蛍とパイモンである。

 

「えっ!?でも、それっていつの話だ…?」

 

勿論、つい先程の話である。ウェンティとモラクスが大団長室に来るまで何をしていたのか、というとトワリンに話を聞いていたのだ。トワリンはウェンティに深く謝罪し、ありのままを話したようだった。

 

それを聞いた蛍達は納得したようにうんうん首肯くと話の続きを待った。そしてそれを察したらしいモラクスが腕を組みながら再び口を開いた。

 

「さて、トワリンの話にも旅人の話にも齟齬は何もない。そしてトワリンが嘘をついているわけでもなかった」

 

モラクスもウェンティも長い年月を生きている。そのため相手が嘘をついているか否かを見破ることなど造作もなかった。

 

だからこそモラクスもウェンティも念の為蛍の言葉を確認したがったのである。しかし結果はシロ…つまり、心の底からアガレスがモンドを襲ってそれをトワリンやモンドの民で協力して撃破し、自分は消えようとしているということがわかった。

 

「…まぁ、アガレスの考え方自体が本当はあり得ないはずだけどね」

 

ウェンティの言葉に全員がどういう意味かわからず首を傾げた。だがモラクスだけはウェンティの言葉に同意するように首肯いている。

 

「キミ達はアガレスとの付き合いが浅いからね、違和感がないのも無理はないよ」

 

ウェンティは寂しそうに笑いながらそう言った。そもそもウェンティはアガレスに再会した時はメンタルがズタボロになっていたために深く考えることができなかったが、全てにおいてあの言動はあり得なかった。

 

「アガレスは絶対に、何があろうと本当の意味でボク達を傷付けることはないんだ。確かに彼の言っていた事だって…よくわかる。でも行動に矛盾が多すぎるんだ」

 

ウェンティの言葉にパイモンが首を傾げつつ、何かに気が付いたようだった。

 

「あっ!アガレスは頭が良いのに、ウェンティの言葉を絶対聞きたくないって感じだったよな…なんか、駄々をこねてる子供みたいな…?」

 

「普段のパイモンみたいだね」

 

「おいっ!!」

 

パイモンと蛍の漫才はさておき、パイモンの言葉にウェンティはよくできました!とばかりに手を叩くと少し考えつつ口を開いた。

 

「そう、普段の彼にはあり得ない言動や行動が多かったんだ。普段の彼は自分を含めた双方の立場を理解しようとするんだ。どうしても理解できない場合は自分が護りたいモノの方につくみたいだけど…」

 

それはさておいて…とばかりにウェンティはすぐに話題を元に戻すと、

 

「それに比べて今のアガレスの状態を一言で言い表すとすると───」

 

そう言って少し考えるような仕草を見せた。少し間を置いて思いついたらしくウェンティはいい笑顔で人差し指を立てると、

 

「───全然ダメダメだね!」

 

 

 

閑話休題。

 

「───すまない、コイツは風情がわからないようだ」

 

モラクスは少しだけ頭を下げながら怒りの表情を浮かべている。尚、彼の足元には頭に大きなたんこぶを作って撃沈しているウェンティの姿がある。モラクスはそんなウェンティには全く目もくれずに言葉を引き継いだ。

 

「まぁつまり、俺とバルバトスは一つの仮説を立てたんだ。さて…お前達に問おう───」

 

モラクスは腕を組むと、部屋の中にいた全員を見回してから、

 

「───今まで信仰されていた対象が自分を忘れ去り、剰え恐れるようになっていた…そこにつけこまれ邪悪な存在に目をつけられたがために、正常な判断や思考ができなくなってしまった…似ていると思わないか?」

 

そう問いかけた。まさか、という表情をジンとリサ、そしてディルックが浮かべ風神像の前でモンドの住民の目に入らないように小さくなっているトワリンを見た。モラクスは一瞬瞑目すると、すぐに目を開いて全員に告げた。

 

「アガレスは、『アビスの腐食』に侵されている」

 

その場の全員に戦慄が走り黙りこくった。だが蛍だけは冷静に詳しく話を聞くようで、口を開いて言葉を発した。

 

「アガレスさんが腐食に侵されたのはいつって考えてるの?」

 

モラクスはふむ、と一つ唸ると、

 

「俺達が立てた仮説ではトワリンを元に戻す過程で腐食に侵されたのではないか、と考えている」

 

とそう言った。だが、その言葉にアンバーは首を傾げると蛍を見ながら言う。

 

「でも、その前からアガレスさんの様子はおかしかったよね?しかも、ちょっとずつおかしくなっていったような感じで…」

 

蛍はモラクスとアンバーの言葉それぞれに首肯くと思考しつつ口を開いた。

 

「…そう、アガレスさんの様子はそれ以前からおかしかったし、トワリンを治すだけの時間は多分ないはず───」

 

蛍はそこまで言って一つ思い出したことがあったために言葉を止めた。いや、正式には言葉を止めざるを得なかった。その様子に怪訝そうな表情を浮かべるモラクスと復活したバルバトスだったが、蛍は気力を振り絞ったような声で言った。

 

「…私とアガレスさんでトワリンを撃退した時に───「ああああ!!もしかしてあの時!?」」

 

蛍の声を遮ってウェンティがそんな風に叫びながら頭を抱えた。勿論その場にいた全員がそのウェンティの行動に驚きつつ心配そうに見たが、ウェンティは構わず蛍を見て続けた。

 

「旅人、キミがトワリンの暴風に巻き込まれて上空へ吹き飛ばされるのを見た時、ボクが手助けしたでしょ?」

 

「アレってウェンティだったんだ───」

 

会話を要約すると、トワリンの暴風に巻き込まれ上空へと投げ出された蛍は風の翼を展開したが、長い間空中に留まれていたため不思議に思っていたところ、風に乗って色々と助言をする声が聞こえてきたようだ。蛍自身も何がなんだかわからなかったが、取り敢えずその通りにしていると遅れてやって来たアガレスにも同じことを言われたため同じことを続けていると、遂にトワリンが逃げる素振りを見せたため蛍は気を抜いたのだ。

 

しかし、直後トワリンは踵を返して蛍を喰らおうと口を大きく開いて蛍へ向かった。その際、突然のことに動揺して動けなかった蛍をアガレスが護ったのだ。

 

「───その時、アガレスはトワリンの横っ面を軽く殴って追い払っていたんだけど…」

 

「まさか、その時に!?」

 

パイモンの言葉にウェンティと蛍は首肯くと、ウェンティが更に続けた。

 

「旅人、ボクはトワリンの説得に失敗してボク自身も『腐食』されかけた、って言ったよね?アガレスはトワリンの横っ面を殴った時に軽く接触してる…つまりその時には既に…」

 

ウェンティは苦々しげな表情を浮かべながらそう呟いた。

 

「おい、一つ忘れてることがあると思わないか?」

 

そんな中、ガイアは全員へ向けて神妙な顔つきで口を開いた。ガイアに全員の視線が集中する中で、ガイアは口を開いて続けた。

 

「…トワリンは自我を失ってモンドそのものへの憎しみを募らせ襲い始めた…つまり───」

 

ウェンティとモラクス、そして蛍とパイモンはまさか、という表情を浮かべた。そして大団長室の外が騒がしくなってきたことに気が付く。ジンはすぐに何かがあったことを察すると、

 

「すまない、少し抜けさせてもらう」

 

とそう断りを入れてから大団長室を出て行った。

 

「…あら?トワリンが…」

 

そんな時、窓側を見ていたリサが風神像の前に先程までいたトワリンがいなくなっていることに気が付いた。そしてそのリサの呟きによって何があったのかを理解したらしいモラクス、ウェンティ、そしてディルックとガイアはすぐ行動を開始しようと動き始めようとした。

 

その直後、かなり切羽詰まった様子のジンが大団長室の中へと戻ってきた。

 

「…ガイア、どうやら君の予想は的中したみたいだ」

 

戻ってくるなり、ガイアを見て悲しそうにそう言うと、ジンは決意を込めた瞳で室内の全員に向け告げた。

 

「アガレスがモンド城を襲い始めたようだ!総員、戦闘準備!!」

 

その言葉だけで時間がないことを悟ったウェンティやモラクスはすぐに行動を開始した。尚、アンバー、ガイア、リサの三人は既にジンの指揮の下動き始めている。

 

「じいさん、アガレスの足止めをお願いできる?」

 

ウェンティはモラクスにそう言った。その瞳にもう迷いはなく、それを見たモラクスも同じように瞳に力を込めると、

 

「承知した、引き受けよう」

 

とそう言って槍を持つと、大団長室の窓を開けて外へ出て行った。ウェンティはディルックと蛍達を呼ぶと、

 

「キミ達は天空のライアーを持ってきてくれないかい?ボクの見立てではアレが必要なんだ」

 

元々はトワリンを救うために欲しかったモノだが多少対象が変わっただけだ、と割り切ったウェンティはディルックと蛍にそう言った。だが、とディルックは早口で告げる。

 

「天空のライアーの貸与に関しては代理団長の許可が必要なはずだが?」

 

そのディルックの言葉を聞いたウェンティはニヤリと笑うと自分の懐から一枚の用紙を取り出してディルックに手渡した。

 

「こんなこともあろうかと、許可は貰っておいたよ!時間はそれなりにあったからね」

 

ディルックは用紙を見てすぐに状況を理解すると、蛍達に向けて早く行くぞ、と告げて大団長室を出て行った。蛍達も急いでついて行こうとしたがウェンティに呼び止められたため一瞬留まった。

 

ウェンティは蛍の肩に手を置くと、目を伏せながら言う。

 

「…アガレスを治すためにはきっとキミの力も必要だから…今のうちに言っておくよ───」

 

その言葉に直後、蛍の肩に触れるウェンティの手先から風元素が蛍を包み込んだ。蛍とパイモンが首を傾げているとウェンティは微笑みながら告げる。

 

「───風のご加護があらんことを。さ、行っておいで!」

 

蛍達はウェンティに一言ずつ礼を言うとディルックの後を追って大団長室を出て行った。ウェンティは一人残された大団長室で一瞬瞑目したが、すぐに覚悟を決めたように自分も大団長室を去るのだった。




毎度のことながら長くなるね!!はっはっは!!

ウェンティ「じいさんよりボクのがアガレスに詳しいんだけどねっ!」
モラクス「カッチーン、やっちゃう?処す?処す??」
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